まっすぐな人

転載自由拡散希望

経済的植民地化政策

 中国は、マレーシアのような負債を抱えるアジア諸国をターゲットに、インフラ整備を低融資で“肩代わり”し、返済不能になった時点で重要な港湾や土地を買収する「経済的植民地化政策」を習近平政権下で進めている。

 アジアの負債を抱える国の多くが、これまでのマレーシアのように腐敗、汚職が蔓延り、民主化が進んでいない国々だ。

 中国は、習国家主席の下、国内的には汚職、腐敗の取り締まりを徹底し、クリーンな政府を目指してきた。

 しかし、一方でアジアの国々への関与においては、自国で展開する反汚職、反腐敗方針とは反対に、それらの国々に資金的援助を行うことで、中国にとって都合のいい腐敗政権のアジアのリーダーを育て、維持、温存させてきた。

 特に、一帯一路の経済的植民地化政策の下、「中国にとって支配しやすい」「中国にとって都合のいい」国家を増やすことが中国にとって最大のメリットだからだ。

 マレーシアにとっても、「キャッシュは王様(cash is king!)」と、ばら撒き戦略により、現金で一票を買ってきたナジブ政権にとって、資金難でありながら、数々の一帯一路プロジェクトでお金を貸してくれる良き理解者であり、資金提供者だった。

 だからこそ、中国は1MDBの巨額負債を肩代わりし、使い勝手のいいナジブ氏のような国家的リーダーを延命させてきた。

 言い換えれば、中国の存在と援助がなければ、ナジブ政権がここまで腐敗することはなかったかもしれない。

 マレーシアを負債国家に陥れたのは、実はナジブ氏ではなく、資金提供を惜しまず、ナジブ政権の尻拭いを喜んで買って出た中国が“元凶”だったと言えるかもしれない。

行き過ぎた日本的な「潔癖主義」

行き過ぎた日本的な「潔癖主義」は生産性を低下させるとの声


 弁当を買いに行くため3分間の「中抜け」を繰り返していた神戸市職員が、減給の処分を受けた。指示に反抗する乗客と言い争ったバスの運転手も処分されるという。つくばエクスプレスを運行する会社は、定刻の20秒前に発車したとしてホームページに謝罪文を載せた──。いったいどこまで細かくなるのか。

 こうした重箱の隅をつつくような管理は、欧米では「マイクロマネジメント」と呼ばれ、しばしば非効率、非人間的な経営の代名詞となる。実際、上記の事例も海外では揶揄する声があがっているそうだ。

 わが国では昨今、何かにつけ寛容さを失い、潔癖を求める風潮が広がっている。かつては大学生になると当たり前のようにタバコを吸い、酒を飲んだものだが、いまなら場合によっては本人や責任者が処分されるなど、大事になりかねない。

 芸能人やスポーツ選手といった有名人なら、公にされた時点で即アウトだ。たとえ記者会見を開いて謝罪しても、ちょっとした落ち度があるとワイドショーで袋だたきにされるし、長期謹慎も余儀なくされる。

 息苦しい世の中になったものだ。

◆「潔癖」の代償

 そもそも「潔癖」といえば好ましい印象を与えるかもしれないが、もともと「癖」(くせ)であり、必ずしも美徳ではないということを知っておく必要がある。

 企業でいえば、食品にちょっとした異物が入っていただけで、たとえ健康や衛生に問題がないとわかっていても、イメージ悪化を恐れた会社は何百万、何千万という商品を自主回収する。商品にゴキブリが混入していたとネットに投稿され、生産販売中止に追い込まれたケースもある。悪評の拡散を恐れる会社の弱みにつけ込んで、店員に土下座を要求したり、商品を脅し取ったりする事件もあった。

 日本企業が誇る徹底した品質管理も、良い面ばかりではない。日本のメーカーが海外の企業から部品を調達する際、一つでも「不良品」が見つかると全品が送り返されることがある。しかも不良品のなかには、性能に支障のない程度の小さな傷があったり、バリがついていたりする程度のものも多いといわれる。そうした品質基準の差が原因で、外国企業との間で摩擦が生じる場合も少なくないそうだ。

 問題は、高い基準とコストとの兼ね合いである。製品の納期にしても日本企業は厳しいことで知られているが、製品によっては80点の水準ですむところを95点まで引き上げるとコストが2倍かかるという。当然、それは国際競争においてハンディとなる。

 そして、厳しすぎる基準は別の問題にまで波及する。

 最近、大企業で品質検査の手抜きやデータの改ざんといった不祥事があいついでいるが、背景には必要以上に厳しい検査基準があるとささやかれている。基準が現実の必要性からかけ離れていると現場で受け止められた場合、遵法意識そのものが薄れてしまう。それがエスカレートすると、大きな事故につながりかねない。

 もちろん製品によっては高い品質が求められるし、生命や健康に関わる場合には完璧な管理が求められる。しかし、いくら「完璧」を目指しても人間のすることには限界がある。むしろ完璧が求められるような仕事はAIやIoTに任せ、人間には人間特有の能力を発揮してもらうよう役割分担を進めるほうが合理的ではなかろうか。

◆最低限の仕事しかしなくなる公務員

 話を冒頭の例に戻せば、重箱の隅をつつくような管理を行い、厳罰主義を貫いていると、表面上の不祥事は減るかもしれないが、徐々に職員は萎縮し、最低限の仕事しかしなくなる。

 実際に職員への管理が厳しくなった自治体では、窓口の応対が杓子定規になり融通を利かせてくれなくなったとか、職員が休日の地域活動やボランティアに参加しなくなったという声が聞かれる。

 ちなみに私はアメリカで各地の自治体を調査した際、職員が勤務時間中に喫茶店に立ち寄ったり、ちょっとした買い物に出たりすることは許されないかをシティマネジャー(市長や議会から市役所のマネジメントを委託された責任者)に尋ねてみた。するとほとんどのシティマネジャーから、「自分の仕事をこなし、役割を果たしている以上、問題はない」という答が返ってきた。

 つぎに、些細な落ち度や家族の不祥事などで職を解かれたケースを考えてみよう。責任ある地位を追われた人の中には、余人をもって代えがたいほど実力のある人が少なくない。しかしいくら有能だろうが、実績があろうが「微罪」でもアウトである。

 そして彼らがつぎつぎと淘汰されれば、人材が無尽蔵ではない以上、能力はともかくクリーンなだけがとりえの人しか残らなくなる。

◆グローバル競争の大きなハンディに

 このように行き過ぎた潔癖主義は軽視できない副作用をともなうにもかかわらず、その副作用は長期的にじわじわと生じるため、表面化しにくい。そのため、どうしても目に見える規律正しさや几帳面さのほうが優先されてしまうのである。

 海外の主要国と比べたわが国の労働生産性や国際競争力は、1990年あたりから大きく低下している。企業の利益率も欧米企業などに比べて顕著に低い。正社員は突出して長い時間働いているにもかかわらずだ。

 その原因の一つがこの潔癖主義にあると考えて間違いなかろう。これから本格的なAI時代に突入すると、人間に求められる要素も、働き方もこれまでとは大きく変わってくる。そして行き過ぎた潔癖主義は、わが国がグローバル競争を勝ち抜くうえでいっそう大きなハンディになる。

 大切なのは、厳しい基準を追い求めることと、それがもたらす弊害とをつねに比較考量し、バランスをとることである。少なくとも、行きすぎた潔癖主義に異論を唱えることを許さないような風潮は改めなければならない。

 では、何にその役割を期待できるのか。はっきり言って、それは「外圧」しかないと思う。わが国の歴史を振り返ってみても、歪んだ社会を正したのはたいていが「外圧」である。グローバル競争の激化や外国人労働者の増加、海外からの厳しい批判などを奇貨として、際限なき潔癖主義に歯止めをかけるべきだろう。

吉田証言のようなことがあったら朝鮮の男は黙ってみていない

韓国才女「親日を責める国、ばかばかしい」「吉田証言のようなことがあったら朝鮮の男は黙ってみていない」

私は米ボストンに住む韓国人の友が何人かいる。

 彼らは日本統治時代に、ある年齢まで日本語教育を受けているので日本語ができる。皆85歳以上ながら、朝鮮戦争後、韓国最高峰のソウル大学を卒業して、学問のため米国留学をした。

 去年の夏、85歳で亡くなったHさんは日本の文化、文学をこよなく愛し、日本各地を訪れ、就眠前はベッドで百人一首を読むことを常としていた。

 彼女が受けた日本語教育は、終戦の12歳で終わっていても、きれいな昔の日本語だった。

 ソウル大学を卒業した後、米国の大学院で生物化学を修めた才媛。頭脳明晰(めいせき)とは、彼女そのものだった。

 その上、記憶力が抜群ときているので彼女から聞く昔の思い出話は、楽しく興味深いものだった。

 亡くなる月まで日本から文芸春秋を取り寄せ、日本の世情に精通するだけでなく、ニューヨーク・タイムズなども購読する教養にあふれた最愛の友人の1人だった。

 慰安婦問題に関しても、彼女は、自分の人生経験を基にして怜悧(れいり)に韓国を見つめ、このように話をしていた。

■挺身隊になれることを楽しみにしていた

 Hさん「女子挺身隊とだまして慰安婦にさせたと言っていますが、12、13歳の私たち生徒は、15歳になるのを楽しみにしていたのですよ」

 私「どうしてですか」

 Hさん「15歳になれば女子挺身隊に入れるからですよ。だって、戦争末期には、お国のためと、学校の授業もほとんどなくって雲母を一枚一枚剥がす仕事ばかりさせられていました」

 私「何に使うのですか」

 Hさん「さぁ、子供ですから考えたこともなく、言われるがまましていましたけど、何でも飛行機の電気関係とか聞いたことがあります」

 「でもですよ、慰安婦にさせられるのでしたら、私たち(上流階級の子女らが集まった)淑明女学校の女子は、あのように挺身隊に憧れませんよ」

 「吉田清治って、希代の嘘つきですよ。作り話に乗せられて、済州島では200人余りの若い女性たちを暴力でトラックに積み込み慰安婦にさせたと書いた日本のA新聞社もどうかしていますよ」

 「その記事のせいで(間違った情報が)世界に広まったのでしょう?。そんなことがあったら、朝鮮の男たちは黙ってみていませんよ」

 「特に済州島の男たちは荒いのですから、命をかけて戦いますよ。A新聞は、大スクープ!と飛びついたのでしょうけど、ジャーナリストたるもの、記事にする前に冷静に調査しなければいけません。本人の素性も調べていないようですね。ばかげた話です」

 「慰安婦は、今の世の中を基準にして考えてはいけません。あの時代は、人権なんてありませんよ。特に女性は。日本だって金のため親は娘を売りました。当時は、それが悪ではなかったのです。村々を回って親から娘を買っていた女衒(ぜげん)は朝鮮人だったのですよ」

■日本人はなぜ捏造(ねつぞう)を信じたのか

 私「女衒は朝鮮人だったのですか」

 Hさん「だってそうでしょう。田舎の貧しい朝鮮の親たちは日本語を話せないのですから。私の母親は一応、両班(特権身分の階級)の出ですが、『女に学問は不要』といった当時の朝鮮ですから、日本語を話せないだけでなく、ハングルの文字も読めませんでした」

 「父は小学校から大学まで日本語教育を受けていますし、朝鮮殖産銀行に勤めていましたから日本人と変わりなく話しました」

 吉田氏は韓国に石碑を建て、その前で土下座をし、「許してください」などと謝罪したそうだ。

 私は、Hさんのために大高未貴氏(著)の「父の謝罪碑を撤去します」を購入し、手渡した。

 同書を読み終えたHさんは、「どうしてこんな(吉田氏の)捏造話を信じたのでしょうね。日本人は、もっと賢い民族のはずです」と私に問いかけてきた。そして、こうも語った。

 Hさん「本当にばかげた話なのですけど、自殺をした廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の下で親日財産没収法が決まって、朝鮮総督府が設立した朝鮮殖産銀行に亡くなった父が勤めていたことで、私たちは親日(という扱い)となっていたのです。それで長女の私に統治時代に築いた財産を没収するって手紙がきたのですよ」

 「このために韓国政府は特別機関を作って、全世界に散らばっている親日といわれる子孫を探し出すのですから。こんな愚かな手紙を出すお金があれば、北朝鮮への防衛費に使ったら良いのです」

 私「それでどうしたのですか」

 Hさん「破って捨てました。もう何年もたちますが何も言ってきません。政府も忘れているのでしょう」

 「あの慰安婦像だってそうですよ。どう見たって12、13歳の少女です。そんな歳で慰安婦なんてあり得ません。日本人が怒れば怒るほど彼らは喜ぶんです。ほっとけば、今にほこりを被りますよ」

 ■デモには北が入り込んでいる? 

 いろいろな話を聞かせてくれるHさんに私が「韓国の話をするときには、『ばか』の言葉がたくさん出てきますね」と語りかけると、「だって本当のことを言えば、親日と責める国ですもの。ばかばかしい…」と真面目に答えるのが印象的だった。

 去年、韓国で広がったキャンドルデモをテレビで2人で見ているとき、Hさんの分析に考えさせられた。

 Hさん「このデモには北朝鮮からの人間が相当入り込んでいると思います」

 私「どうしてですか」

 Hさん「日本人と違って、韓国の人間は一致団結ができない民族なのです。この短期間にキャンドルやビラ、そして、そろいの上着などを民衆が団結して用意できるはずがありません。北朝鮮の人間は長年の間、命令に従うことに慣らされています。これだけ韓国民が同じ行動ができるのは、北朝鮮からの指導者が統率しているはずです。民衆が気づいていないだけです」

 私「協力できない民族なのですか」

 Hさん「こんなことわざがあります。『日本人と朝鮮人が1体1で戦えば体の大きい朝鮮人が勝つ。2対2では日本人が勝つ』。それは、日本人の協力し合う民族性からです。朝鮮民族は、2人になれば、お互いに大将になりたがってけんかが始まります」

 このことわざは、私が釜山に住んでいるときにも、家のお手伝いさんから聞いたことがある。

 Hさんには「これほど日本を愛してくれる貴方に対して、日本の首相に一筆礼状を出すようにお願いしなければいけませんね」と冗談を言ったものだ。

 私が彼女にしてあげられなかった唯一の心残りは、彼女が日本統治時代に教えを受けた日本人教師の家族を探せなかったことだ。

 終戦で日本人教員が引き上げる前日、学校の講堂に集まった女生徒たちに、先生1人ひとりが別れのあいさつをしたという。

 最後に、彼女が最も尊敬をする男性教師は「立派な朝鮮女子たれ!」と大きく涙声で言ったそうだ。

 「果たして期待に沿える朝鮮女子になれたのかどうか分かりませんが、せめて先生のご家族に、あの時の立派な言葉を伝えたいものです」とHさんから聞いていたからだ。

 力を尽くしたが、ついに探すことはできなかった。

◆       ◆

ここからは私のがんの治療に関するお話です

 2011年7月5日に腔鏡腎尿管全摘除術を行うことになった。

 当日早朝、知り合いで元阪大の吉岡淳先生が病院に指定された5時半に間に合うよう私の車を運転して連れて行ってくれた。

 手術予定は3時間。手術終了まで付き添うと言い張る吉岡先生の優しさに感謝するも、強制的に帰ってもらった。

 午後、麻酔から目が覚めると広く清潔な個室のベッドに寝かされ、脇腹にはビニール管と袋がつり下げられていた。

 部屋には、シャワールームもあり、早速、持参した消毒紙でトイレシートを拭く。

 前に経験した激痛で懲りている私に、ケーンズ医師が「絶対に約束する」と言った通り、術後の痛みは全くなかった。同月15日にカテーテルが外されるまで病院で購入をした痛み止めを飲むことは1度もなかった。

 ただ、体内で機能していた臓器が1つ摘出されたというのに、この無感覚は何だろう。

 術後は食欲がなかった。摘出から2日目、形容しがたいほどまずい三度の食事。ほとんど残した。

 3日目となる7日午前、病室に入ってきた医師から「おめでとう」と退院許可が下りた。

 「何か質問は」と聞かれて、「初めての経験なので、何を聞くべきか分かりません。なので質問はありません。それよりも、おすしを食べてよいでしょうか」と尋ねると、「おすしは僕も好きですよ。どうぞ」との返事が帰ってきた。

 親友の金子操さんと彼女の長年のボーイフレンドであるマークが迎えに来てくれた。

 「買ってきてもらいながら、思うほどおすしを食べられないわ」とこぼす私に、「普通の男よりも食べている」とマークが笑う。

 数時間後、ご飯とおでんをごちそうすると「これ以上いたら、もっと料理しそう」と泊まる支度をしてきた操さんは、彼と帰ってしまった。

 その夜、これから留学されるお客さまたちに帰宅したことをメールで知らせてシャワーを心いくまで浴びた。

 帰宅して1週間、訪問看護婦がわが家を毎日訪れ血圧、脈拍、傷口、そして袋の中の尿を検査する。

 このシステムだと、落ち着ける自宅でパソコン仕事ができ、好物も料理できる。好きな時にベッドに横たわり本も読め、駄犬のチビの散歩もできる。

 ベストセラーになった「診てもらいたい日本の10人の医者」の1人で、愛知県癌センターで活躍された山村義孝先生と電話で訪問看護の話をすると、「あなたは独立心旺盛だからできると思いますよ。今の日本ではまだ無理です」との意見だった。

 いずれ日本も医療費の削減政策で、自宅看護を活用して入院期間を短縮せざるを得なくなるだろう。

◆       ◆

【プロフィル】新田多美子(Tamiko Arata) 大分県津久見市生まれ。72歳。1983年に米ボストンに移住し、日本などからの留学者向けに住居の手配、生活用品の買い物、車購入と自動車保険など生活の立ち上げサービスの仕事をしている。

 現在は、がん治療を受けながら働く毎日。治療では、スイスのロッシュ社による新薬の免疫チェックポイント阻害剤「アテゾリズマブ」を使っている。日本ではまだ認可が下りていない。早く認可が出た米国で、実際の治療を通して知見が得られている最新治療を受けることを聞いた私の回りの日本医師たちは、口をそろえたように「幸運だ」と言う。

 日本が恋しいわけではないが、誰よりも日本を愛し誇りに思う。ボストンから見る日本や、少し変わった日常の出来事などをコラムにし、日本ではまだ認可されていない最新のがん治療の様子も紹介していきます。

この1年の真の防衛努力が、日本民族の存亡を左右する

1 朝鮮戦争前の戦略環境に逆戻りする東アジア
 政府は、5年ぶりに「防衛計画の大綱(防衛大綱)」を見直し、今年末までに新防衛大綱を策定することになった。正しい判断だ。

 北朝鮮に核装備を止める意思はなく、仮に米国がこれを阻止できなければ日本を敵と公言する北朝鮮の核の脅威が現実化することは間違いなかろう。

 また、2020年から2030年にかけて、中国は海洋侵出を進展させるために、その足がかりとなる第一列島線上の日本や台湾などに対する直接的な軍事的圧力を強めるであろう。

 したがってこの1年、我が国の防衛力の質量の強化に向けた決断と実行は死活的に重要である。

 しかし、マスコミは米国や中国、あるいは、北朝鮮に関する細かい報道には熱心だが、専守防衛の足枷のままで日本は守れるのか、どうやって米国を巻き込みこの国を守るのか、そのために予算などの国家資源をどれだけ投入しなければならないか、など真の防衛論議に世論を導いているとは思えない。

 一言で言えば、アドルフ・ヒトラーの台頭を許した英国の「宥和政策」と同じことをやっていないだろうか、との疑念である。

 もちろん野党は、中国の習近平国家主席が軍隊に対して「戦争に勝て」と演説し、北朝鮮の金正恩委員長が「日本を火の海にして太平洋に沈めてやる」と言っても国内の些事が大事なようなので論外だ。

 肝心な与党だが、最近中国を訪問した与党の幹部が、中国の「一帯一路」への日本の参加に含みを持たせたり、昨年10月の中国共産党大会で表明された「人類運命共同体」を理解できると述べたりしたことは驚きである。

 昨年、筆者は中国を訪問し一流の学者や高級軍人と防衛について論議したが、その時、中国側は、米国は「覇道」であり中国は「王道」であるとし、米国はアジアから出て行けと強く主張していたことを思い出す。

 筆者は、「確かに米国は覇権国家であるが、一方で米国は自由や民主主義、そして失敗を恐れぬチャレンジ精神などの夢を見させてくれている。中国は、米国はアジアから出ていけと言い、中華民族の復興と中国の繁栄ばかりを言うが、一体我々にどのような夢を見させてくれるのか」と問うた。

 中国の答えたのは「運命共同体」であった。

 中国の言う運命共同体とは、中華の秩序の中で、個人の自由を奪ったうえでの中国共産党員のための繁栄でしかないことは分かっている。

 チベットやウイグルを苦しめ、香港や台湾の基本的人権を脅かしている、そんな国との運命共同体が「宥和政策」の末路ではないか。

 一部マスコミは、中国の潜水艦が尖閣諸島の接続水域を潜没航行した後も、日本は冷静に対応し、最近の日中関係の改善の流れを推し進めなければならないと説く。これが宥和政策である。

 日中の友好関係の発展と言うが、現実は中国が日米離反に本腰を入れ、日本の取り込みにかっているのに、自ら首を差し出す愚を犯していないか今一度考える必要がある。

 やみくもに中国と交流するなとは言わないが、外交、防衛、そして経済も中国に対する十分な警戒と備えなくしては危険である。

 一方、米国は、ドナルド・トランプ大統領の一般教書演説では北朝鮮を攻撃する可能性は高いと考えるが、日本は米国が北朝鮮を今年前半までに攻撃する場合と攻撃しなかった場合の両面を考えておかなければならないだろう。

 日本のマスコミは、トランプ大統領の揚げ足を取ってばかりだが、核兵器の保有を絶対に諦めず、日本に敵意を明確にしている北朝鮮に対して、犠牲はあっても今、米国が北朝鮮を攻撃することは日本の生存のために必須である。

 仮に米国が今年前半に北朝鮮を攻撃しなければ、トランプ大統領は世界からの信頼を失うばかりでなく、北朝鮮の日本に対する脅威の除去は永遠に困難になるだろう。

 つまり、このような切迫した危機事態には、「平和主義」という決意のない考え方は無用である。

 しかし、万一米国が軍事的解決を果たしたとしても、東アジア情勢の今後は楽観できない。

 いずれ米国の朝鮮半島への駐留の意義は薄れ影響力を失い、一方中国の影響力は増大し、やがてはっきりとした親中反米・反日の政権が出現するだろう。東アジアは、朝鮮戦争前の「アチソンライン」に戻るということである。

 つまり、北朝鮮が潰れようと潰れまいと、日本に残された選択肢は、核兵器を含む防衛力の増強しかないのである。

 さらに筆者は、「北朝鮮は前哨戦」であり、「中国こそが本丸」であると論じてきたが、まさに、米国の新たな国防戦略では、「中国は地球規模での優位を確立し、米国に取って代わろうとしている」と指摘し、「中国との大国間競争が国防の最優先課題である」と明記したのである。

 米国は、北朝鮮という眼前の脅威に対処しながら、時代の大きな節目に気がついたのである。本丸は「中国」であると。

 ここにおいて日本は、当面の脅威は北朝鮮であり、中長期的な脅威は中国であることを明確にすることを躊躇してはならない。戦略環境が180度激変したことを深刻に認識したうえで、新防衛大綱を論議することが重要である。

2 新たな防衛大綱は従来の思考の延長線では成り立たない
 昨年の中国共産党大会の決定は、極めて重大な意味を持っており看過してはならない。その中で、覇権獲得のための時程表を明らかにしているからである。

 習近平総書記は、米国の軍事力を睨みながら、中国軍を「世界一流の軍隊」にすると、ややぼかした言い回しをしているが、その原型は2012年に中国人民解放軍のシンクタンクである軍事科学院の「強軍戦略」にすでに謳われていたものである。

 すなわち、2020年までにアジア太平洋地域で優位な地位を確保し、35年までに同地域での絶対的な優位を確立し、49年までに世界の平和維持に大きな影響力を持つとの国家目標を明確にしたものである。

 もっと分かりやすく言えば、南シナ海をほぼ手中に収めた今は、2020年までに尖閣諸島を奪取し、東シナ海を手中に収めるということである。

 そして中国が、2035年までに日本や台湾、フィリピンなどを軍事的に無力化するか支配して東太平洋以東へ米国を追い出し、併せて軍事的・経済的にアジアから中東、アフリカ、欧州などを傘下に収めてしまえば米国はもはや中国の敵ではないことになる。

 日本の中国の「一帯一路」への支援は、中国の覇権拡大を手伝うことになる。このように周辺国を揺さぶりながら、事実上、2035年までに米国との覇権争いに決着をつけようというのである。

 そこでトランプ大統領は新しい国防戦略の中で、中国を主敵と位置づけたのである。しかし、その国防戦略では、米軍自体が劣化していることを認め、中国との戦いも敵の攻撃間に「展開し」「生き残り」「作戦する」となっている。

 このことはエアシーバトルを巡り米国で長年にわたり議論されてきたことであり、当面、中国の長距離ミサイルの脅威を回避するため後方へ退避し、態勢を立て直して「長期戦」で決着をつけることである。

 そして、米国の作戦は、中国よりもさらに長射程のミサイルなどで攻撃する「長距離打撃」に戦い方が変わることを意味している。つまり、米軍の空母も航空機もしばくは日本近海に来援しないということである。

 したがって、現防衛大綱下の「中期防衛力整備計画(中期防)」で謳われている、日本が当初から海上・航空優勢を取って防衛作戦を遂行するという考え方はもはや成立しない。

 日本も、いかに「生き残り、戦い続けるか」を追求しなければならない。しかも国民を守りながら、自衛隊の能力を補完する米軍の作戦の土俵を作らなければならないのである。

 このような中で、海上自衛隊が単独で東シナ海で作戦することは極めて困難であり、航空自衛隊は民間飛行場も最大限に使用し「生き残り、戦い続ける」ことが要求されているのである。

 むしろ、米軍は、対空ミサイルに防護された陸上自衛隊や米陸軍による長距離の地上発射型対艦ミサイルなどで中国海軍の動きを封じ込めつつ、米海・空軍や陸海空自衛隊の長距離精密対艦ミサイルなどにより中国海軍に大きな打撃を与える態勢を確立することによって、中国の海洋進出を断念させる方向に向かっている。

 (この詳細については、共著、SB新書『日本と中国もし戦わば』、共著、国書刊行会『中国の海洋侵出を抑え込む日本の対中防衛戦略』を参照されたい)

 残念ながら、アウトレンジから射撃する長距離精密ミサイルは日米よりも中国の方が進んでいるため、これに勝つには中国よりもさらに長い多様な長距離精密ミサイルを日米が多数装備することが必須である。

 以上を踏まえ、新防衛大綱の策定に当たっては、次の点を考慮しなければならない。

(1)新防衛大綱(防衛戦略)の策定は首相直属の国家安全保障局(NSS)を主役とし、政治家はそれを可能とする防衛政策を考え、予算を与えよ。

 自民党の国防部会は、次の防衛大綱を作ると言っているが、「防衛戦略」とゲームチェンジャーを含む「装備体系」の骨格を策定するのは、5年前にその役割を持って設立された国家安全保障会議(NSC)であり、その事務方である精鋭な国家安全保障局(NSS)である。

 米国の国防戦略でも謳われているように、資源(予算)が与えられなければ意味がない。

 日本も、直面する国難突破に当たって、戦略と必要な装備体系が提示されたら財政主導をやめ、大胆に国家予算を振り向け短期間に強力な防衛力を作り上げなければならない。それが政治家の使命である。

 トランプ大統領にとって、アジアの信頼できる同盟国は日本しかない以上、NATO(北大西洋条約機構)と同様に「防衛予算GDP2%」の確保は最低限の義務である。もちろん、装備品の性能と日本の防衛技術の向上を考えない米国装備品の爆買いはやめるべきである。

 さらに、この環境の中で、自衛隊の手足を縛っている、「専守防衛」と非核三原則の内の「核を持ち込ませず」は非現実的であり、政治家はこれを撤廃することを真剣に議論すべきであろう。

 もし核の持ち込みを認めないというのであれば、日本は厳しい生存競争の中で生き残るため核の保有について検討を開始すべきだ。このような根本的な政策を議論することが政治家の務めである。

(2)「空白を埋める防衛力(基盤的防衛力)」の考えを棄て、北朝鮮や中国の具体的な脅威に対抗する「脅威対抗の防衛力」に転換せよ。

 すべての誤りは「基盤的防衛力」の考えにある。今の日本の防衛力は、自らが空白となって、敵の侵略を誘発しないという極めて曖昧な「哲学」からできている。非現実的な防衛政策を変えることができないのもこの哲学に原因がある。

 こんな考え方だから、ショーウインドウに装備を並べるだけの防衛力しか保有しておらず、実際に戦力となるミサイルや弾薬は貧弱であり、自衛隊は米軍が日本に期待する1~2か月の戦いも遂行できなければ、防衛費を倍増することすらできない。

 例えば、北朝鮮が300発のミサイルを持っているならば、これを全部迎撃できる防衛力を持つことが、脅威対抗の防衛力である。

 イージスアショアは施設を作るだけで1000億円、北朝鮮のミサイルを迎撃するだけでも数兆円のミサイル数が必要である。このような真実を国民には語る必要があろう。

 中国の軍事力を「張り子の虎」という向きもあるが、基盤的防衛力の考え方に毒された我が国では、「張子の虎」は実は日本であることに気が付いていない。

 脅威対抗だと莫大なお金がかかるだろうし、そもそも中国には勝てやしないとうそぶく学者もいる。もちろん、今の防衛費では日本は守れない。

 しかし、筆者などが米国と腹を割って議論した末に導いた「米国と一体となった日本の防衛戦略」と、確固たる最新技術に裏づけされた「ゲームチェンジャー」といわれる装備を開発・装備化することにより、かって元寇で中国(元)・朝鮮連合軍を打ち破ったように、中国海軍を壊滅させ、中国の軍事的野望を断念させることは、日本の経済力と技術力をもってすれば十分に可能である。(2冊の共著参照)

3 新防衛大綱の柱はこれだ
 新防衛大綱は、日本と米軍が一体となり中国に立ち向かうことが大前提であり、この際、米軍が日本に期待する役割は明確である。

 1つは、中国の対米国「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を逆手に取って、日本に対中国A2/ADネットワークを構築させ、米軍の西太平洋における戦力展開を支援してもらうとともに、ハリス米太平洋軍司令官が号令をかけているように「船を沈めよ」を実現することである。

 2つ目は、不正規軍に先導された「潜り込む攻撃」、すなわち、海上民兵に支援された精強な地上軍の攻撃を日本自ら撃破することである。当然、尖閣諸島は日本独自で守らなければならない。

 これを踏まえ、今新しい防衛大綱の柱とすべきは、陸海空の作戦領域がクロスドメインになっていない現防衛大綱の「統合機動防衛力」を改め、真に陸海空戦力が統合された「積極拒否防衛力」を目指すべきである。その柱は、

(1)南西諸島に対艦ミサイル、防空ミサイルおよびこれらを守る地上部隊を配置して防衛拠点を拡大・強化することである。

 平時からその態勢を作り上げなければ、中国の東シナ海および南西諸島の支配の流れに大きく遅れてしまう。

 また、西太平洋の支配のために、中国が南西諸島を支配しようとする意志は揺るがず、自衛隊がいるから紛争に巻き込まれると言うのは為にする議論にほかならない。

 さらに、朝鮮半島の不安定化に伴い、南西諸島防衛に加え、日本の防衛拠点を、対馬、隠岐の島、佐渡島、さらに津軽・宗谷海峡に拡大することは喫緊の課題である。

(2)前述したように、米太平洋軍司令官が号令をかけ、特に米海軍が狙う「船を沈めよ」こそ、日米一体化作戦の焦点であり、日本を守る切り札でもある。

 この考え方の背景は既に説明したが、日米の陸海空の戦いの領域を一体化することにより、中国の虎の子である中国海軍の息の根を止めることで、中国の軍事的野望を打ち砕くことができるのである。

 ここで大切なポイントは、1つは自衛隊による地上発射型、空中発射型の対艦ミサイルと米海空軍の長距離精密対艦ミサイルとの連携であり、2つ目は潜水艦、機雷、無人艇などによる「水中の支配」の追求である。

 1つ目の長距離精密ミサイルは、今導入しようとしている米国製の「LRSAM」などがあり、これは極めて正しい選択である。

 本来、LRSAMは空母艦載機である「F-18」のために開発されているものであるが、イージス艦や地上からも発射可能である。このため、たくさんミサイルを撃てる日本の「F-15」が装備化することで、格段と日米の連携が深まるだろう。

 これに併せて、国産の地上発射型の対艦ミサイルの射程を少なくとも500キロ以上として、高速化を図るとともに、中国が保有する空母キラーと言われる高速飛翔弾などを、日本も早く開発し装備化する必要がある。

 また、海上自衛隊も安全な太平洋側から対艦攻撃が出来るように、LRSAMなどを導入する必要があろう。

 間違えてはいけないが、長距離精密ミサイルは、核弾頭をつけない限り敵基地攻撃のために導入するものではない。なぜなら、北朝鮮には少し効果があるかもしれないが、本丸の中国に対しては全く効果がないからである。

 2つ目は、米海軍も極めて重視している「水中の支配」に海上自衛隊の重点を移していくべきであろう。

 この際、対地・対艦のミサイルを発射できるような原子力潜水艦か、技術革新による新たな動力源を持った潜水艦の装備化を急ぐべきである。

 この際、中国にはない「P3C」や「P1」などの対潜水艦哨戒機が日米の潜水艦、護衛艦(駆逐艦)などと一体となり作戦ができるのは、島嶼に配置された対艦・対空の防衛網があって初めて可能になることを忘れてはいけない。

(3)新たな技術革新によるゲームチェンジャーの新装備と従来の装備を組み合わせたミサイルディフェンス(MD)網の早期構築が喫緊の課題である。

 イージスアショアに対する期待が強いようだが、その効果は限定的だ。もちろん、導入することは防空のシステム化、統合化のために必要ではあるが、北朝鮮、中国の弾道ミサイルや巡航ミサイル、無人機などの飽和攻撃には効果が薄い。

 また、本丸の中国と対峙する時は、東シナ海に入ることが難しいイージス艦によるMDは困難であろう。

 米国は、中国やロシアのミサイルは多弾頭化され、中・露のミサイル飽和攻撃にはミサイルで迎撃することは困難として、2010年からレーザ兵器、レールガンや電磁波兵器に軸足を移している。日本は周回遅れだ。

 ロシアは既に電磁波兵器、および大出力電波妨害兵器を車両化して装備化しているが、米国はまだ保有していない。

 驚くことに、これらの新装備に欠かせない技術力などはかなり日本に集中している。

 中国や米国はこのことに数年前から気がついており、今、国を挙げて日本にアプローチしている。これに対して日本の経産省などはあっさりと外国に売ってくれという始末である。

 米国はこれに乗じて日米同盟を盾に、日本の技術と技術者の獲得に乗り出し、中国は得意の札束で買収などを仕かけてきている。誰も盾になり守らない。これが日本の実態である。

 技術と技術者を日本の宝だと思わず、その流出を放置して逆に日本を苦しめている。第2次世界大戦時、日本で八木アンテナを発明しておきながら、その価値の認識や開発が遅れ、逆にその発明を直ちに採用した米国でレーダが完成し、日本を打ち負かしたことと同じことが今起こっていることに愕然とさせられる。

 セグウエイは日本で発明されたのに、日本にはない。戦闘機のステルスの塗料は日本が発明したのに、中国や米国が使っている。

 さらに、米国の某軍事産業は、日本の技術でゲームチェンジャーを作りそれを中国に売ると言っている。これが、米国の軍需産業の実態だ。このような面からも外国との兵器開発競争に日本は負けてはいけないのである。

 日本がゲームチェンジャーとなる技術と技術者を国家として守ることは死活的に重要なことである。

 今、このことに気づき、速やかに対策を取り日本の企業が呼応したならば、まだ日本はゲームチェンジャーといわれる幾つかの兵器を手にすることができるだろう。

 日本人がこの国を本気で守ると決意し、2番でいいという負け犬根性を棄て、世界で1番を取るんだと覚悟を決めることが前提である。

 地理的に中国や北朝鮮に近い日本こそゲームチェンジャーを必要としている。

 特に、最悪の環境にあっても日本国民を守り切るためのMDは、陸上自衛隊が既に保有している世界で唯一航空機と巡航ミサイルを迎撃できる短距離・中距離SAMおよび航空自衛隊の「PAC3」を最後の砦として、ゲームチェンジャーと組み合わせ最強のMDの体制を構築しなければならない。

 幸いにも、防衛省はゲームチェンジャー技術の活用を打ち出す方針を固めたと言われているので、従来の考えにとらわれず、また、脅威認識が欠けた悠長な開発時程を改めて速やかに結果を出して頂きたい。そのための政治決断も必要である。

4 大局を見て日本の針路を誤るな
 この1年の新防衛大綱の策定に関する議論が、日本の将来を決めるだろう。わが国は、そのような日本の生死を分ける重大な局面を迎えている。

 中国は、日本に対して「日中関係が早急に平常化し、発展の軌道に戻るよう期待する」と言うが、平常化を壊して軍事的覇権を拡大し続けているのは、米国も「主敵」と考える中国だろう。

 今年が日中友好条約締結40周年とは皮肉なもので、それに浮かれて日本を滅ぼすか、ぐっとこらえて日米で中国に立ち向かう実態のある防衛力を構築できるかの曲がり角である。

 繰り返しになるが、この1年の真の防衛努力が、日本民族の存亡を左右するであろう。

中国・天安門事件、実際は“大虐殺”「犠牲1万人」

■人民を戦車で踏み潰す…中国政府「死者は学生36人など民間218人」発表、実際は「万」

 みなさんも恐らくご存じだと思います。1989(平成元)年6月4日、民主化を求め、首都・北京の天安門広場に集まった学生を中心とする一般市民のデモ隊に対し、中国人民解放軍が発砲したり、装甲車でひき殺すといった武力弾圧を強行し、多数の死傷者を出した「天安門の大虐殺」です。

 「え、天安門事件のことでっしゃろ。大虐殺?。そんな大袈裟(おおげさ)なもんちゃいまっせ」と思ったあなた。間違ってますよ?。

 なぜか。中国政府は当時、発生から15日後の6月19日、死者数は学生36人を含む民間人218人と人民解放軍(PLA)の兵士10人、武装警察官13人の計241人。負傷者は7000人と発表していたのですが、先ごろ英国で公開された外交機密文書によると、実際は何と、少なくとも1万人の一般市民が殺害されていたことが判明したのです。政府の公式発表の約41・5倍ですね。

 昨年の12月23日付で英BBC放送や英紙インディペンデント、フランス通信(AFP)など、欧米の主要メディアが一斉に報じているのですが、この数字、どこから出てきたかと言いますと、当時の駐中国英国大使、アラン・ドナルド卿(きょう)が、この大虐殺の発生翌日の1989年6月5日付で打電した英政府への極秘公電の中に出てきたのです。

■英国大使「中国の内閣から聞いた虐殺数は…」

 この極秘公電、ロンドンの英国立公文書館が保管しているのですが、昨年の10月に機密指定が解除され、それを受けて香港のニュースサイト「HK01(香港01)」がこれを閲覧。最初に内容を報じたのでした。

 前述した各メディアの報道によると、アラン卿の情報源は「中国の国務院の“良き友人”から聞いた情報を伝えてきた」人物で、6月3日の夜から4日の夜の大虐殺についての状況が説明されています。

 ちなみに中国の国務院とは、実質的に中国を支配する内閣で、議長を務めるのは首相です。なので極めて信用できる内容なのは間違いありません。事実、アラン卿はこの情報源について、この大虐殺が起きる以前から信頼できる人物で「事実と憶測と噂を慎重に区別」する人物だったと説明しています。

 では肝心の内容はどうだったのか?。アラン卿の打電内容について、前述の英紙インディペンデントなどはこう記しています。

 <天安門広場の周辺に集結した大勢の人々に“残虐行為”を行ったのは、(中国北部の)山西省の人民解放軍の陸軍「第27集団軍」で、彼らの60%は読み書きができず、primitive(原始的な人々、幼稚な人々)と呼ばれていた>

 <(当時の中国の最高実力者である)●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)率いる共産主義政府が“最も信頼でき、従順である”との理由で「第27集団軍」を選んだとみられる>

 <「第27集団軍」の装甲兵員輸送車(APC)は群衆を銃撃した後、彼ら(の遺体の)上を走っていった。APCは時速64キロの速度で軍隊や一般市民を轢(ひ)いていった>

 <(集結した)学生たちは、天安門広場から退去するまでの時間として、1時間の猶予を与えられたと考えていた。しかし5分後、APCが攻撃を開始した>

■生き残った1000人にも、機関銃で…

 <学生たちは腕を組んで対抗しようとしたが、(APCに)ひき殺された。そしてAPCは何度も何度も彼らの遺体をひいて“パイ”を作り、ブルドーザーが遺体を集めた。集められた遺体は焼却処分され、ホースで排水溝に流された>

 <負傷した女子学生4人が命乞いをしたが、銃剣で刺された。そして負傷した3歳の娘を助けようとした母親が銃撃された。この子供を助けようとした他の6人の人々も銃撃された>

 <「第27集団軍」はダムダム弾を使っていた。そしてこの軍の狙撃兵は、(建物の)バルコニーや路上にいる一般市民を標的銃撃練習の的(まと)にしていた。北京の病院は、(軍の)治安部隊の負傷者だけを受け入れるよう指示された>

 <最初の大量殺戮(さつりく)の波が過ぎ去った後も、虐殺は続いた>

 <生き残った1000人は、脱出できると聞かされていたが、特別に用意された機関銃で掃射された。負傷者を助けようとした救急車も銃撃され、乗務員が殺害された>

 そしてアラン卿は打電の最後にこう結んでいます。

 <最も少なく見積もっても、一般市民1万人が命を落とした>

 どうですか?。この極悪非道&人権無視ぶり(実際、打電内容には、軍のメンバー同士を殺害させたとの記述もある)。

 民主化を求める中国政府への抗議行動は数週間にわたって中国全土の約400都市で繰り広げられ、1989年の6月3日から4日の夜、天安門広場でピークを迎えました。

 アラン卿は打電の中で<国務院の委員の一部は、内戦勃発の危機が迫っていると考えていた>と記していますが、内戦の鎮圧にしては明らかにやり過ぎです。

 そして中国当局が発表した死者数がたったの200人から300人。また、大虐殺があった6月4日の朝、中国の赤十字は死者数を2700人と推計・発表していますが、これも少な過ぎますね。

 ちなみに2014年に明らかになった米の機密文書には、中国軍関係者の声として、中国共産党が天安門の大虐殺の犠牲者(死者)を1万454人だと考えていると記されていました。今回のアラン卿の打電に出てくる数字とほぼ同じです。

 フランス人の中国研究家ジャンピエール・カベスタン氏も前述のAFPに対し、この米の機密文書も類似した死者数をはじき出していることから、アラン卿のこの数字には信憑(しんぴょう)性があると述べています。

 当然ながら、この大虐殺の死者数について中国はいまだにシカトを続けています。大虐殺によって命を落とした活動家の追悼行事は一切禁止。これに関するネットでの議論なども厳しく規制しています。おまけに、これに関する情報を集めた海外サイトへのアクセスまで禁止させようとする始末です。

自衛隊に敵ドローンを撃ち落とす権限なし

――2018年X月、自衛隊壊滅。とどまることを知らぬ北朝鮮に対し、海上封鎖をついに決意したトランプ政権。しかし、そのとき、自衛隊は北朝鮮の手によって壊滅していた。なぜならば、北朝鮮の工作員がヤマダ電機などでも購入できる10万円ほどの小型無人機(ドローン)によって、自衛隊の戦闘機も護衛艦も破壊されていたからである。ウクライナでは世界最大の弾薬庫を吹き飛ばし、シリアでの戦いでも頻繁に使用されている、焼夷手榴弾等の爆発物を積載したドローンでの爆撃によってである。現代兵器は、その全体が精密部品の塊であるがゆえに意外と脆い。イージス艦もレーダーを破壊されれば、対空ミサイルも対艦ミサイルも誘導できなくなり、単なる鉄の塊でしかない。1機100億円のF-35も同様で、エンジン付近なりコックピット周辺を破壊すれば、修理のためにしばらく無力化できる。燃料が満タンなら大爆発を起こすだろう。滑走路にパチンコ玉を大量にドローンでばらまいてもよい。ジェット戦闘機は滑走路に異物があるまま離陸を試みれば、空気吸入口からエンジンが異物を吸い込み爆発を引き起こすからだ。燃料車を爆破してもいい。これらは装甲もないので、簡単に炎上し、滑走路を使用不可能に追い込むだろう。航空自衛隊のミサイル弾薬の多くが貯蔵されている愛知県の航空自衛隊高蔵寺分屯基地の弾薬庫も山腹からトラックへと搬出作業中に、大量のドローンから爆撃されれば最低でも大混乱、最悪の場合は大爆発するだろう……。

それでも政府は「撃墜権限を与えない」

これは差し迫った脅威をドラマ仕立てで表現したものである。過日、自衛隊は、爆発物を積載したドローンが駐屯地や母港に襲来したとしても有事でなければ法的にも能力的にも何もできないと防衛省が認めた「自衛隊に敵ドローンを撃ち落とす権限なし」との論考をPRESIDENT誌に掲載した。

平和

多くの日本人は「平和」を堪能する一方で、戦争や危機について「考えない」「準備しない」ことが「平和」につながると思い込んできた

中国共産党“静かなる世界侵略”…豪州で突如、批判本が出版中止 諸外国に言論統制“圧力

中国共産党“静かなる世界侵略”…豪州で突如、批判本が出版中止 諸外国に言論統制“圧力”  さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、自分たちの気にくわない思想や言論は徹底的に弾圧し、人民に対し、いまだに厳しい言論統制を断行。ネットも平気で規制・検閲する中国に関するお話でございます。  前々回、11月30日付の本コラム「中国14億人『完全管理』ディストピア実現へ 街なかAI監視カメラ+顔認証+ネット履歴+犯罪歴…」 http://www.sankei.com/west/news/171130/wst1711300002-n1.html でご紹介したように、ビッグデータとAI(人工知能)によって人民を完全に管理下に置き、不満分子の徹底排除を企(たくら)む中国ですが、その常軌を逸した企みは、中国国内の人民だけでなく、海外もしっかり対象に入っています。あの米サンフランシスコの慰安婦像の一件でも、裏で糸を引いていたのは中国系の反日団体…。  こういう世界規模の巧妙かつ執拗(しつよう)、そして大規模な中国政府(中国共産党)のやり口がどれほど恐ろしいか。それを如実に知らしめる出来事が最近、起きました。というわけで、今週の本コラムは、その一件についてご説明いたします。     ◇   ◇ ■抜け穴きっちり…豪州の法制度を熟知している中国  このニュースに接し、中国の底知れぬ恐ろしさを思い知りました。今年の11月13日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH、電子版)などが伝えているのですが、豪ノースシドニーの大手出版社アレン・アンド・アンウィンが、豪州の政界や学会における中国共産党の影響について分析・論考した書籍を「中国政府、もしくはその代理人から法的措置を起こされる恐れがある」との理由で発売を中止してしまったのです。  この書籍のタイトルは「静かなる侵略:中国はどのようにして豪州を傀儡(かいらい)国家に変えつつあるのか」。つまり、豪州で密(ひそ)かに進む中国共産党の巧妙な党略によって、気付かない間に豪州が彼らの意のままに動かされる「Puppet State=傀儡国家」の道を突き進んでいる状況を告発する内容なのです。  著者は豪ニューサウスウェールズ州にある名門チャールズ・スタート大学で公共倫理学を教えるクライブ・ハミルトン教授で、11月6日の週に、この出版社のロバート・ゴーマン最高経営責任者(CEO)が、同教授の完成原稿の出版を断念すると明かしたのです。  ゴーマンCEOは11月8日、ハミルトン教授に「『静かなる侵略:-』は非常に重要な本であることは間違いありません」との電子メールを送っています。  しかし、SMHや経済紙ジ・オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー、そしてマカリー・ラジオ・ネットワークといったさまざまなメディアを傘下に持つ複合企業体「フェアファックス・メディア」(本社・シドニー)が入手した電子メールでゴーマンCEOは「北京(つまり中国政府→中国共産党ですな)から、この書籍と当社に対して起こされる可能性があるな潜在的脅威」に対する懸念が記され、こう書かれていたと言います。  「これらの脅威の中で最も深刻なものは、弊社に対して、そして恐らくあなた個人にも、最もシリアスな名誉毀損(きそん)訴訟が起こされる可能性が極めて高いということです」  そして11月12日、この出版社はハミルトン教授のこの書籍の出版中止を正式に表明したのでした。 ■教授「私の書籍を出版させたくない…それが真実を示している」  この措置に当然ながらハミルトン教授は憤慨(ふんがい)。前述のSMHに対し「外国の力で、その当該国を批判した書籍の出版が止まったという事例は、豪州の歴史上、聞いたことがない」と呆れ「私の書籍の出版を止めた理由こそが、この書籍の出版が求められる真の理由なのだ」と訴えました。  この一件、当然ながら中国当局がこの出版社に圧力をかけた、もしくは何かしらの圧力があったという証拠はありませんが、前述のSMHは、豪州の諜報(ちょうほう)機関「豪州保安情報機構(ASIO)」の調査を引用し、こうした中国政府の工作活動の実態は秘密裏、もしくは非常に不透明で、豪州の政治家や学者がターゲットになっていると報じています。  恐ろしい奴らですね。そしてさらに恐ろしいのが、中国当局は豪州の法制度を熟知しているということです。  豪州の名誉毀損法は、訴えられた側(被告側)に対し、自由な発言の大切さや公益上の利益の保護を認める米国や英国の法制度と異なり、訴えられた側(被告側)に厳しいと悪名高いことで知られます。彼らはそこを狙っているわけです。  今年8月、英の名門ケンブリッジ大学の出版局が、天安門広場での大虐殺(massacre)、いわゆる「天安門事件」や、習近平国家主席のリーダーシップについての論考といった、中国当局(→中国共産党)が問題視する論文など数百件について、当初、渋々応じていた中国国内からのアクセス遮断(しゃだん)措置を、世界中からの大批判を追い風に、撤回する騒動がありました(8月21日付英紙ガーディアン電子版など)  ハミルトン教授は、自身の書籍の出版中止に関し、この騒動を引き合いに出してこう警告しました。  「ケンブリッジ大学の出版局は、中国国内で自分たちの書籍などを出版することを当局に認めてもらうため、こうした検閲措置に応じたが、英国内で出版された中国共産党に批判的な出版物の検閲をあえて行うことはないだろう(つまり、それにまでケチが付くことはないのが普通という意味ですね)。しかし、そうした検閲に屈せねばならない事態が今まさに、豪州で起きたことなのです」  この一件で、豪州では学問の自由や言論の自由について深刻な疑問が生じていますが、この一件は、学問や言論だけに関わらず、将来的に国の安全保障を大きく損なう可能性をはらむ大変な出来事だと思います。  実際、今年の7月10日付のSMH(電子版)は、豪州で暮らす中国人向けの中国語新聞が、中国当局(→中国共産党)の完全な管理下に置かれ、中国に批判的な内容の記事を掲載したため、広告を干され(現地企業にも圧力をかけるらしい)、2006年に廃刊に追い込まれた新聞もあるといった内幕を報じるとともに、「今の状況はもっと悪い。なぜなら、今の中国はさらに金持ちになっているから」という告発者の声を紹介しています。  中国と豪州との関係は極めて親密です。もともと豪州の貿易相手国のトップは日本でしたが、2007年以降、中国がトップに躍り出ました。中国の経済発展と歩調を合わせるように、豪州から鉄鉱石といった天然資源が中国に大量に輸出されています。  マルコム・ターンブル首相も大の親中派で知られます。なので、いまや豪州の経済成長のカギは中国が握っているといっても過言ではありません。  その一方で、シドニーやメルボルンでは中国人富裕層による高級マンションの爆買いなどが始まり、前述したような政治家や学者に対する狡猾(こうかつ)な言論統制や出版物への検閲体制が進んでいます。  京都や大阪にもあふれかえる中国人ですが、記者の地元、京都では、中国人が民泊目的で京町家を買いあさっているという話をよく耳にします。日本政府も早めに対策を講じないと、豪州のような問題が発生すると思われます…。   (岡田敏一)      ◇
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