2007年11月23日
#047 【指導室】
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教室に戻り、机の上にお弁当を広げている美晴に話し掛ける。
「さっき購買の所で、カオリ先輩のお友だちに声掛けられてさぁ・・・」
簡単に説明すると、美晴の表情が少しこわばった。
「心当たりあるの?」
あたしはサンドウィッチを袋から取り出しながら美晴に訊く。
「ある・・・というか・・・でもまさか」
なんだかはっきりしない美晴。お弁当箱を開けながら無言で考え込んでる様子。
「・・・確認するけど、カオリ先輩、休みなのね?」
箸を出す手を止め、美晴はあたしを見つめる。
「うん、そう言ってた」
「そう・・・ま、後で調べるからさやかは気にしなくていいわ。早く食べましょ」
小さく息をつき、美晴はようやく箸を手にする。
『気にしないで』とは言ったものの、食事の間中もずっと何かを考えているようで口数が少なかった。
「失礼します・・・」
あたしは職員室のドアをノックしてから入る。職員室って、どうしてこんなに緊張しちゃうんだろう。
お弁当やコーヒーの匂いが交じり合っている・・・それから、煙草の匂いも。あたしは少しむせそうになる。
喫煙室は職員室の隣にあるらしいんだけど、やっぱり匂いが混ざっちゃうのね。
「お〜、町田、すまないな。昼はもう食ったか?」
たなっちが席から立ち上がる。机の上には食べかけの愛妻弁当。アスパラベーコンが覗いている。
「ん?後でちゃんと食べるから、町田は気にしなくていいんだぞ」
あたしの視線の先に気付いて、たなっちが笑う。
「指導室が空いてるから、そこを使おう・・・こっちだ」
「・・・はい」
って、せんせ〜!指導室なんて、余計に緊張しちゃう場所じゃない!
「え〜っと、まぁ、そんなに緊張しなくていいから」
たなっちはあたしに席を勧め、扉を少し開けた状態で自分も席に着く。
初めて入った指導室。なんだか堅苦しくて、刑事ドラマの取調室みたいな雰囲気。
・・・後で知ったんだけど、扉を少し開けておくのには意味があるらしいわね。
その時は、折角個室になっているのにドアを開けてたら他の人に聞こえちゃうじゃない、って思ってたんだけど。
「そうだ、町田コーヒー飲めるかコーヒー・・・あ、お茶もあるぞ?どっちがいい?」
「いえ、あの、結構です」
がちがちに緊張している様子を見て、リラックスさせようとしてくれたんだと思うけど、無理。だって場所が場所ですもの。
「まぁなんだ・・・教室でする話でもないな、と思っただけだから。そんなに緊張すんな。ちょっと確認したいことがあるだけだよ」
「・・・は、はい・・・」
「え〜っと・・・その、訊きにくいことなんだが・・・ん〜・・・その、あ〜・・・町田には、付き合ってる相手がいるのかな?」
「・・・はぁ?」
たなっちがあたしの緊張をほぐそうとしているのだと思った。だから、少し笑いながら答える・・・怒っているわけではない、と見せるために。
「先生・・・下手すればそれ、セクハラですよ?」
たなっちがいつも言う冗談は、面白いというわけではない。でも、セクハラっぽいこととかは言わないと思ってたのになぁ。
「あ〜やっぱりそう思われちゃうよな・・・いや、そうじゃないんだ。別に、町田が誰と付き合ってても非難する立場じゃぁないんだが・・・」
「じゃあなんなんですか先生〜・・・びっくりしたじゃないですか」
たなっちは頭をこりこり掻きながら少し考え、言いにくそうにもう一度切り出す。
「・・・実はな、町田のお母さんからな、今朝学校に電話が来たんだよ・・・」
・・・あたしの頭は、たなっちの話の展開について行けなかった。
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教室に戻り、机の上にお弁当を広げている美晴に話し掛ける。
「さっき購買の所で、カオリ先輩のお友だちに声掛けられてさぁ・・・」
簡単に説明すると、美晴の表情が少しこわばった。
「心当たりあるの?」
あたしはサンドウィッチを袋から取り出しながら美晴に訊く。
「ある・・・というか・・・でもまさか」
なんだかはっきりしない美晴。お弁当箱を開けながら無言で考え込んでる様子。
「・・・確認するけど、カオリ先輩、休みなのね?」
箸を出す手を止め、美晴はあたしを見つめる。
「うん、そう言ってた」
「そう・・・ま、後で調べるからさやかは気にしなくていいわ。早く食べましょ」
小さく息をつき、美晴はようやく箸を手にする。
『気にしないで』とは言ったものの、食事の間中もずっと何かを考えているようで口数が少なかった。
「失礼します・・・」
あたしは職員室のドアをノックしてから入る。職員室って、どうしてこんなに緊張しちゃうんだろう。
お弁当やコーヒーの匂いが交じり合っている・・・それから、煙草の匂いも。あたしは少しむせそうになる。
喫煙室は職員室の隣にあるらしいんだけど、やっぱり匂いが混ざっちゃうのね。
「お〜、町田、すまないな。昼はもう食ったか?」
たなっちが席から立ち上がる。机の上には食べかけの愛妻弁当。アスパラベーコンが覗いている。
「ん?後でちゃんと食べるから、町田は気にしなくていいんだぞ」
あたしの視線の先に気付いて、たなっちが笑う。
「指導室が空いてるから、そこを使おう・・・こっちだ」
「・・・はい」
って、せんせ〜!指導室なんて、余計に緊張しちゃう場所じゃない!
「え〜っと、まぁ、そんなに緊張しなくていいから」
たなっちはあたしに席を勧め、扉を少し開けた状態で自分も席に着く。
初めて入った指導室。なんだか堅苦しくて、刑事ドラマの取調室みたいな雰囲気。
・・・後で知ったんだけど、扉を少し開けておくのには意味があるらしいわね。
その時は、折角個室になっているのにドアを開けてたら他の人に聞こえちゃうじゃない、って思ってたんだけど。
「そうだ、町田コーヒー飲めるかコーヒー・・・あ、お茶もあるぞ?どっちがいい?」
「いえ、あの、結構です」
がちがちに緊張している様子を見て、リラックスさせようとしてくれたんだと思うけど、無理。だって場所が場所ですもの。
「まぁなんだ・・・教室でする話でもないな、と思っただけだから。そんなに緊張すんな。ちょっと確認したいことがあるだけだよ」
「・・・は、はい・・・」
「え〜っと・・・その、訊きにくいことなんだが・・・ん〜・・・その、あ〜・・・町田には、付き合ってる相手がいるのかな?」
「・・・はぁ?」
たなっちがあたしの緊張をほぐそうとしているのだと思った。だから、少し笑いながら答える・・・怒っているわけではない、と見せるために。
「先生・・・下手すればそれ、セクハラですよ?」
たなっちがいつも言う冗談は、面白いというわけではない。でも、セクハラっぽいこととかは言わないと思ってたのになぁ。
「あ〜やっぱりそう思われちゃうよな・・・いや、そうじゃないんだ。別に、町田が誰と付き合ってても非難する立場じゃぁないんだが・・・」
「じゃあなんなんですか先生〜・・・びっくりしたじゃないですか」
たなっちは頭をこりこり掻きながら少し考え、言いにくそうにもう一度切り出す。
「・・・実はな、町田のお母さんからな、今朝学校に電話が来たんだよ・・・」
・・・あたしの頭は、たなっちの話の展開について行けなかった。
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