ウェブ進化論(梅田望夫)2006  ちくま新書

ウェブ進化論(梅田望夫)2006  ちくま新

最近、ブックトークの連載が滞ってしまい

ウェブ進化論(梅田望夫)ちくま新書 2006

 

今日紹介する「ウェブ進化論」。今年の二月に店頭に並べられ始め、どこの本屋でもずっと平積みで置かれていたので、きっと売れ筋の本だと思って、本屋に行くたびに横目で眺めていました。

 

  ところで先日のこと、私のIT師匠である木村氏、いわく、

「情報科の教員にweb2.0のこと聞いたって知らねぇってんだから話になんねぇや」

 

「へぇ〜、困ったもんだねぇ・・・」

と苦笑いしたものの、私自身も、それがITの双方向性に関すること、これからのIT社会を革命的に変えるものであること、といった、いたって表面的なことしか知らなかったのが実のところ。

 

そこで、「これはちっと勉強せねば」ということで、本書を手に取った次第。それが昨夜のこと。

 

 売れ筋の本ならブックオフで300円で売られてるのを買ってもよいのですが、自分に有益な知識を与えてくれる本なら、ちゃんと著者に印税が入るようにしようと、あえて書店で740円で購入。

 

 で、読み始めたのが昨夜の10時ごろ。とりあえずweb2.0に関する説明個所だけと思って読み始めたものの、これが読み始めたら止まらず、4時前までかかって一気に読了してしまいました。

 

 というわけで、それくらい、IT素人の私でも、おもしろくわかりやすく、これらの情報化社会について学べた本でした。

 

いままで聞きかじりに知っていた情報化社会のキーワード、「オープンソース」「ロングテール」「アフィリエート」などが、つながりのある意味として把握できたこと、これまでのITを牽引してきたマイクロソフトとこれからのウェブ進化をリードするグーグルとを多面的に比較対照しながら理解できたことなど収穫の多い本でした。

 

 ちなみに、この本、各章末に参考文献の一覧が記載されているのですが、これが全てURL

 

 著者が意識してやったことでしょうが、本文中の引用もほとんどが著名なブログから。

 

 実は、これがスゴイことなんです。

 

 なぜなら、これまでは、参考文献が紹介されていても、読者は本屋か図書館に行かなければ、それを確認することができなかったのです。

 

 しかも、売れ筋でもない専門書は、たいてい、本屋にも図書館にも無い。まじめに探求したくとも、そんなことが壁となって先へ進めなかったのが読者・学習者の現状。しかも、関連の本を買うとなれば何千円もの出費。

 

 ところが、引用文献がネット上に公開されているものであり、そのURLが紹介されているのであれば、「瞬時」に「無料」で原著にたどり着くことができるのです。

 

 これぞ「知の民主化」と言わずしてなんでしょう。ここにIT革命の恩恵があります。

 

 おそらく、これからの「知」の交流は、こうして、ネット上で「持てる者」「持たざる者」を問わず自由に平等に開かれていくことになるのでしょう。

 

 そんな興奮が、私にこのブックレビューを書かせているのでした。

 

 さて、この4ヶ月ほどのブックレビューを書かずにいた間に、15冊の本を読みました。自分への尻叩きの意味もこめて、以下に予告編として紹介しておきます。

 

 

【予告編】

◎ 現代の世相・風潮を眺めるために読んだのが・・・

 ・「脱ファスト風土宣言」(三浦 展)2006 講談社
 ・「世紀末の隣人」(重松 清)2000 講談社文庫

◎ これからの社会のあり方を見通すために読んだのが・・・

 ・「社会学入門」(見田宗介)2006 岩波新書

 ・「世界共和国へ」(柄谷行人)2006 岩波新書


◎ 生命や意識の問題を最新の生物科学・脳科学の側面から理解するために・・・

 

 ・「自己創出する生命」(中村桂子)1993 ちくま学芸文庫

 ・「脳内現象」(茂木健一郎)2004 NHKブックス

 ・「心を生み出す脳のシステム」 2001(茂木健一郎)2001 NHKブックス

 

◎ 物理学の最新の知見から「世界」と「主観・客観」の問題に接近・・・

 

 ・「新しい物性物理」(伊達宗行)2005  ブルーバックス

 ・「「量子論」を楽しむ本」(佐藤勝彦 監修)2000  PHP文庫

 ・「相対論(対)量子論」(メンデル・サックス 原田稔/訳)1999  ブルーバックス

 

◎ 当代最高のSF作家が描くのは、現代科学や現代社会の根源的な問題

 

 ・「万物理論」(グレッグ・イーガン 山岸 真/訳)2004 創元SF文庫

 ・「宇宙消失」(グレッグ・イーガン 山岸 真/訳)1999 創元SF文庫

 

◎ 幕末の武士の生き方は、激変の渦中に生活する現代人に通底。自然の薫りと人間味の豊かに描かれた文学に心を揺さぶられます。

 

 ・「五年の梅」(乙川優三郎)2000 新潮文庫

 ・「椿山」(乙川優三郎)1998  文春文庫

 「霧の橋」(乙川優三郎)1997 講談社文庫