ユーコンに抱かれて勢いの出発

2007年08月24日

ユーコンに抱かれて パート2

ユーコン川を遡上してくるキングサーモンを釣り上げてトロを刺身にして食べる。
イクラ丼にして食べる。





という思惑は見事に裏切られた。
キングは釣れません。


ユーコン川の旅は本当に全てが自由。何時に起きて、何を食うか、何キロ進むか、古今東西するか、歌うか、覚えしりとりするか、どこでテントを張るか、何時に寝るか。この辺りは自転車とも共通する部分があるけど、カヌーの場合はさらに文明から離れるために、より生活するのがハードになる。何もかも自分達でしなければならないのは長期間に及ぶと辛くなってくるが、これくらいの期間ならばそれを楽しんで過ごすことが出来る。

しかしあまりにも自由な生活だったのでダラダラし過ぎて、少しケツを叩く輩が現れ始めた。カヌーのレンタル期間とミユキちゃんの飛行機の出発日が迫ってきていたのだ。レイクラバージュを越えるまでに10日間を掛けてしまっており、このままではドーソンに着くのは一ヶ月ぐらい掛かってしまう。当初の予定では16日間ぐらいだろうね、ってことでミユキちゃんが飛行機をそのすぐ後に予約してしまっているし、カヌーのレンタル期間も一応18日間なのでその期日までには絶対に帰らなければならない。

それまでの一日は、朝の11時に出発して昼の2時にキャンプ地に着くという恐るべきダラダラさで過ごしていたのが、それからは朝の9時に出発して夜の9時に着くという強行日程でこなさなければならなくなった。しかし、漕がずにゆっくり行こう精神はそんな切羽詰まった状況でも見事に発揮され、川の上にいた約12時間はただひたすらに流されてぼーっとしていた。脳みそが使わな過ぎてかなり死んだと思う。



で、いきなりアレなんですが、オーロラ見ちゃった。やっとこさ。シチュエーションもなかなかロマンチックであった。その詳細はこうだ。

先にミユキちゃんが寝ていて、俺は焚き火に当たりながら徐々に暗くなってきたユーコン川を、火越しにぼーっと見ていた。辺りには俺たち以外誰もいない、あるのは火と川と夜空と針葉樹林の森、揺らめくオレンジ色の淡い炎に照らされる自分、アウトドア用の大きな椅子に座り、コーヒーを飲にながら 「いいねぇ」 と、そんなシチュエーションにいる自分に完全に酔っていた。

深夜1時30分、そろそろ寒くなってきたので俺も寝ようかとテントに入ると、ミユキちゃんが悪い夢を見たと言ってひどく怯えていたので、暖かい焚き火の近くに座らせて落ち着かせるようにした。しばらくすると、明るく暖かい火の近くで安心してきたのかミユキちゃんに笑顔が戻ってきたのでホッと一安心。その後もいったいどれくらいの時間が流れたのか、ぼーっと二人で焚き火を見ていると、その向こうの北の空に、揺らめく光のモヤが現れ始めた。緑色をしたそれは、まさにカーテンが風に吹かれるようにゆらゆらとたなびき、小さくなったり大きくなったりしながら大空を駆け巡りユーコンの夜空を彩った。

思わぬところで現れたオーロラに鳥肌を立てながら二人で驚いていた。口をポカーンと開けて夢中になってオーロラを見ていると、スッと流星が流れた。目の錯覚かとも思い注意深く空を見ていると、いくつもの流星が短い尾をつけて流れているのが見られた。「スゲースゲー!!あっちもだ!あ、あっちにも!!」と二人でわめき合う。じーっと見続けていると衛星まで見えてしまった。もっと見ているとロトナンバーの数字が現れたらいいなぁ。なんて素晴らしい夜なんだろう。ミユキちゃんもさっきまでの怯えた様子はどこへ行ったのか、はしゃいで喜んでいる。こういうときは決まって一人で見ているものなのだが、今日はこの喜びを共感できる人がいる。誰かがいるってことは本当に素晴らしいことだな。

って感じ。




こんな大きくて重いスイカを、誰がユーコン川でスイカ割りをしたいからという理由だけで持ってくるだろうか。はい、僕達です。こんな重いものはさっさと割って食ってしまおうと毎日のように言い続け、結局割って食ったのは15日目のことだ。お互い一回づつ外し、二回目で俺がキレイに割ってやった。そのこぼれた果実を拾って食べたら目が裏返るほど旨かった。かなり大きいスイカで二人で食べきれる量ではなかったが、喉が渇いていたこともあって夢中になってバクバク食べた。これはユーコン下る予定の人がいたらオススメしよう。
スイカ割り





















パイクという50〜60cm級の魚をミユキちゃんがさばいて焼いたもの。二人でも食べ切れなくて残りは捨ててしまった。こうやって自然の恵みで生活するのも悪くない。
私だ



































入れ食いのポイントで釣ったグレイリングを調理して食っているところ。このように、料理の8割は焚き火で作っていた。幸い、一日中燃やしても有り余るほどの薪がどこでも簡単に手に入る。だから毎日毎日朝から晩まで盛大な焚き火を起こしていたのだが、指が火傷と薪を作るときに刺さる棘と乾燥で割れてしまいがっさがさ。しかも、日本のユニクロで買った愛用のフリースに火の粉が飛んで十数か所穴が開き、中国で買ったフリース地のスパッツにも火の粉が飛んで穴が開き、ユーコンのレースでしか手に入らないロンTにも火の粉で穴を開け、ミユキちゃんは二枚のパーカの袖口に熱で穴を開けぎゃー!!
食う!
















































この娘さんが俺のユーコン川のパートナーであるミユキちゃん。の、はずです。カヌートリップ中は、他の人が見ればかなり謎の人物に見えたことでしょう。このようにユーコン川ではほとんど彼女の素顔を見ることがなかったので、俺もたまーに、「あれ?俺って誰と下っているんだっけ」と考えることもあったりなかったりとか。女性の美容に対するパワーは本当に凄い。
誰ですか?






































この川旅での楽しみの一つに釣りが挙げられる。っつーかメインに近い。気合入れてルアーなんか6っつも買っちゃったもんね。でもカヌーに乗って実際釣ってみると、考えていたよりユーコン本流は全然釣れない。初めて釣れたのは枝だった(写真左上)。コントじゃねーっつーの。小さい魚影はよくルアーを追っているのが見えるのだが、大きいのがなかなか来ない。まったくあたり無しのまま根がかりやちょっとしたミスであれよあれよとルアーがなくなっていき、2日目にして最後の一つになってしまった。ショーック!!
四日目にもキャンプ地に着いてから1人でカヌーに乗って釣りへ出かけた。いつものようにどーせ釣れねーんだろーなんて考えながら何度が振っているといきなりヒット!!小さいグレイリング(20〜25cm)だ。嬉しくなってすぐにキャンプ地へ帰り串に刺して焼いて食べた。これがバカウマ。でもまだまだあのポイントは釣れそうな気がしたので、今度はミユキちゃんと肉も連れてそのポイントへ向かった。入れ食いだ。俺が振ってもミユキちゃんが振っても面白いように釣れる。持って帰ったのは5匹だったが、逃がしたのも含めると10匹は釣った。

ユーコン川の釣果としてはグレイリング8匹、ノーザンパイク2匹、だったが、バレたのや逃がしたのを含めると20匹ぐらい。その中でも恐怖を覚えるほどの巨大な魚影にヒットしたときはビビッた。しばらく(と言っても数秒)戦っていたのだが、ググっと引っ張られたと思ったらいとも簡単にラインごと引きちぎられてしまった。あの、ゆっくりでぬーっとした巨大な魚影が今でも忘れられない。
釣り




















































俺VSノーザンパイク(写真右上)
寝ぼけ眼で丸焦げになったポップコーンを見つめる俺(写真左下)。こんな感じでダラダラ用意して出発するもんだから忘れ物多く、靴下三足、手袋三枚、焼き物用の網、温度計、石鹸、歯磨き粉、釣竿、ルアー8個、コショウがユーコンの闇に消えていった。めでたくアルツの仲間入り。
誰もいないロッジを見つけて寝る。暗くなるとお化け屋敷のように雰囲気が悪い。あまりにも怖かったので朝に日本のお化けを意識して撮ってもらった(写真右下)
その他のは・・・どうでもよさそうですね。
キモイ・・・




































テントからの眺め(写真左上)。ここでオーロラを見た。真っ暗でもなかったし、オーロラ自体も薄かったので迫力はいまひとつって感じだったけど、見れたことに意義があるのだ!!
毎日キャンプファイアーではマシュマロを炎であぶって食べるのが日課になっていたが、なかなか火加減が難しくて焦がしてしまうことも多かった(写真右上)。
ユーコン川で文明が及ぶところに泊まったのはカーマックスという人口数百人の町だけで、後は動物の足跡がドカドカとたくさんあったり、風でテントが吹っ飛ばされそうになったり、ハエや蚊の大群に囲まれたりと、自然の息吹が体中で感じられるそれはそれは素晴らしいキャンプ生活だった。キャンプ地の選定は俺の仕事で、キャンプファイアーは出来そうか、テントを張るのに適した場所か、動物の足跡や糞などの痕跡はどうかという項目を入念にチェックし、合格!!と判断したらカヌーに残してきたニクやミユキちゃんを「ご用意が出来ましたお嬢様」と、呼びに行く(写真左下)。
ゴールのドーソンシティでは二人共めったに飲まないお酒で祝杯(写真右下)。
祝杯







































で、いよいよ自転車で南下を再開する。現在こちらは25日の朝8時50分。今のところ晴れているので出発することにする。でも、買い忘れたものが少々あり、もう一度スーパーが開いたら買い物に行くので、出発はそれからだけど。
こちらは徐々に夜の時間が長くなってきて寒くもなってきた。ここから500km北のドーソンシティはすでに葉の色が変わり始めてきていたので、今から南下すれば丁度紅葉のキレイな時期に南下できそうだ。旅って一つのところに留まれば留まるほど次に移動するときのドキドキ感が増していく。恐らく磨り減っていた精神が、傷の回復のように治っていくためじゃないだろうか。今回はホワイトホースに二ヶ月弱いたから、うぶな旅行者のように新鮮な気持ちで再出発できる。怪我には気を付けないとな。

さぁ、がんばるぞっ!!


satosisisi_0305 at 04:07│Comments(16)TrackBack(0)カナダ 

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この記事へのコメント

1. Posted by ミユキ   2007年08月26日 11:12
日焼け対策、さとしさんと会ってから気にするようになりました。
だって、、、さとしさん「シミができるぞ〜シミが。シミシミシミシミシミがぁ。あ〜ぁ深雪ちゃんにシミが、シミシミシミがぁ、あ、1こ、2こ、3こ、、、シミィ」っておどすから。
そ、そんなにできちゃうものなのかな?って、単純な私、次の日から顔を出さなくなりました。笑
この先、又転んで骨折、、、ぃぇぃぇ、熊と戦って怪我をしないように気をつけて下さいね〜

2. Posted by さとし   2007年08月26日 13:01
>ミユキ
そんなに言ったかな俺。
でもシミはあるより無い方がいいもんねー。
こっちは日本の紫外線の8倍??はあるんでしょ?
今風の女の子みたいにちゃーんとスキンケアもしなきゃだよー!
3. Posted by しげる   2007年08月26日 14:04
この歩くシイタケが!!!
とりあえず冬になる前にビザが切れる前に
バンクーバーに着ける事を祈りますぜ!
GOOD LUCK!
4. Posted by サブロー   2007年08月26日 16:43
おお、ようやく終わったか。
楽しめたみたいで何よりだよ。
やっぱりサーモンは難しいみたいだね。
俺も釣れなくて悔しかったからバンクーバーに戻って、スーパーでサーモンの刺身を買って食べたよ。
キングじゃないけどね。

ところで俺の鍋、間違って持って行かなかったか???
探しても無いんだけど。。。
5. Posted by しょうご   2007年08月28日 12:45
チャイニーズじゃない!ネパール人や!!
すげー楽しそう。うらやましい。。ちょー行きてっ!
キモさたっぷり変ネパール人写真集見れてよかったです!!俺VSノーザンパイク最高!
これからはまた気を引き締めて頑張んないとですね!次回の更新楽しみにしてます!
6. Posted by    2007年08月28日 16:12
自分の写真、載っけ過ぎ。
7. Posted by kubo   2007年08月31日 22:37
ひさしぶりにお前の顔みたわ。
元気そうでなにより。
君の笑顔をみてると狭い日本で
空の見えない毎日を送ってる自分が
むなしく感じるし、あなたが旅立った気持ちも
少しはわかる。

世界は広いかい?
世界はどうよ?
そっちからみる日本はどうみえるんだろうね。
8. Posted by もりもっち   2007年09月06日 01:16
おひさしぶり!
すっかり、文明から離れた暮らしに馴染んでしも〜て!
こっちは、まだ夏真っ盛りで残暑を耐えてます。
黒い服着てたら、汗の塩が白くなるほどですわ。
すっかり、日本の湿気の多い夏をお忘れでしょう?
しかし、紫外線恐るべし (-,-)==☆
9. Posted by リッチ   2007年09月06日 07:39
おひさしぶりです。
リッチもオーロラ見たかったよー

怪我には気を付けて!!
GOOD LUCK
10. Posted by さとし   2007年09月08日 14:06
>しげる
あ、またパクッたな!!
どうせなら、
このほふく前進する高級京都産マツタケがっ!
ぐらい言って欲しかったな。
がんばるっぺよ!



>サブロー
あっ!!ごめんなさい。
実は、出発前日に荷物整理してたら出てきたんですよね、あの鍋。
もうサブローさんはバンクーバー行っちゃってるし、どうしようかってことで、川に持っていかないでハイドに寄付してきちゃいました。
連絡が遅れてごめんなさい!
11. Posted by さとし   2007年09月08日 14:11
>しょうご
そうそう、ネパール人。
基本的に、ネパール人。
時折り中国人で、たまーにタイ人。
どうだ、すごいだろー。



>ゅ
仰るとおりです。
そんなツッコミがあろうかと、パート1の方の冒頭に”自分大好きなんです”っていう断りを一応入れておいたんですよね。
ほんと、後で見直すとヤバイですね。
12. Posted by さとし   2007年09月08日 14:30
>kubo
俺はお前らの顔を二年近くも見とらん!
世界は広いよ大きいよ。マジで。
空の見えない生活かぁ、人間、ない物ねだりだからねー。
俺から見るとそれはそれでいいんだけどなぁ。



>もりもっち
まだそっちは暑いの!?
もう湿気とはしばらく疎遠だから、日本の夏が怖くて怖くて。
文明から離れると分かるけど、文明って素晴らしいね。うん。
住むなら間違いなく街に暮らす。



>リッチ
ど、ど、どーも。
オーロラは見たけど空がまだ真っ暗じゃなかったんで、本当の美しさにはまだまだなような気がします。
も、もうビクトリアには帰ったの??
13. Posted by mio   2007年09月08日 19:17
いやぁ〜
相変わらずで。。。
しっかし
さとしくんって

やっぱかっこいいねぇ〜
顔じゃないよ。

素敵よね〜
顔じゃないよ。

尊敬するわ
顔じゃないよ。

ワイルドで
顔じゃないよ。

たくましくて
顔じゃないよ。

こんな人と結婚できたら楽しいだろうなぁ〜
って思う。

みおちゃんは嫌やけど。
14. Posted by さとし   2007年09月09日 06:18
>mio
みおちゃーん、ほんと、いつもいつもいつも、
一言も二言も三言も多いよねー。
そして最後にはいつも、みおちゃんは嫌やけど。
って入るんだよねー。
それ余計やわー。
そんなみおちゃんがいいんだけども。
15. Posted by mio   2007年09月10日 12:31
みおちゃんは嫌やけど。。。
16. Posted by さとし   2007年09月12日 11:30
>mio
はいはいはい、みおちゃんはとにかく嫌なんですよねー。
はいはいはい、俺、27歳、十分わかってますよー。
伝わるわー、その嫌さ加減が。
でもその裏の裏の裏で、いいんだよね?
もうそういうことにしておいてくれ。

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