川辰仲



元は鍋茶屋専属の置屋だった『川辰仲』は古町にあります。


古町芸妓(ふるまちげいぎ)は新潟県新潟市中央区古町を拠点とする芸妓で、


最盛期には約400人の芸妓が古町で活動し、


京都の祇園、東京の新橋の芸妓と並び称されていたそうです。


その古町芸妓の一人、川辰仲廣子さんが亡くなるまで住んでいたのが


 この建物です。


川辰仲
11時になると、この札が出ます。
玄関の引き戸は湿気に強い青森ヒバを使用。


川辰仲
今回見学させて頂くきっかけになったのがコチラの張り紙。

川辰仲
玄関開口部の軒下には桜の木が使われています。
細かいこだわりですねぇ。


川辰仲
玄関を入ったところには、亡き主の写真が飾られています。
粋な雰囲気で、さぞかし人気だったのだろうなぁと思われました。

玄関正面の階段を上がります。


川辰仲
二階への階段を上がった左側にある、ふた間。
女性らしいこだわりが随所に見られます。
欄間の上や幅広の襖の上の空間は部屋を広く見せる工夫かも。


川辰仲
モダンにも感じられた照明器具。

川辰仲
採風、掃き出し用の開口部も随所にあります。
外側の開口部に和紙を使っているところも外にない感じ。
推察するに、対面から中を覗かれないようにするためなんでしょうね。


川辰仲
大正・昭和初期の時代を感じる遺品も飾られていました。

川辰仲
雨戸を操作する戸袋部分の開口部。
寒い日には窓を開けずに済んで便利そうですね。


川辰仲
客間に使っていたようで、随所に女性らしい工夫がなされています。
この欄間も独特で、南洋材を使っているっぽい。
天井は敷目板張り天井ですね。


川辰仲
床脇の地袋には華やかな和紙が貼ってあります。
壁の窓の三方枠も細めで、華奢な印象を部屋に齎していますね。


川辰仲
畳縁も通常よりは幅が細く、繊細な印象を与えます。
主張し過ぎない畳縁で、素材は木綿かな。


川辰仲
螺鈿が施された茶卓。
軽いので、女性でも簡単に持ち上げられます。


川辰仲
昭和初期の民家で、螺子式ではない錠を付けるのは、当時珍しかったんじゃないかな。

川辰仲
二階の窓からは向かいにある鍋茶屋が見えます。

鍋茶屋
そもそも川辰仲邸は鍋茶屋の前庭だった場所に建っているんです。

川辰仲
昭和ならではのタイル貼りの水屋。
温水が出たっぽい右側にある水栓。
総じて使い勝手が良さそうですね。
ってか、あの時代に二階に水屋があるなんて、どんだけ贅沢なんだ。


川辰仲
二階の和室。
床の間があるところからすると、客間だったのかも。
押入れの下にも掃き出し窓があります。
風通しが良さそうな部屋ですね。
今は亡き主が使っていた着物や長唄の本などが飾られています。


川辰仲
同室天井は庭に向かって掛込み天井になっています。
手前の二重廻縁は、漆塗りの細木で縁取られており、
白を入れることで天井に浮遊感が生まれています。


川辰仲
照明器具は当時の建築物ではよく見るタイプ。
当時流行した形なんでしょうね。


川辰仲
今は形状的に使えないガス栓もありました。
ガス栓を二階に引いているということは、暖房器具で使っていたのかな?


川辰仲
庭を見下ろしたところ。
女性一人が手入れするのに丁度良い大きさですね。


川辰仲
これまた違ったタイプの窓の錠。
現在のものとは異なり、下からフックを上げる施錠になるんですね。


川辰仲
ものすごくしっかりした、とても美しい階段。直線の美って感じですね。
木と壁の白さのコントラストが本当に美しいです。
両壁は左官職人の腕が素晴らしかったようで、今もきれいな状態です。
※新潟は大きな地震もあったのに


川辰仲
階段の側面(廊下側)を見ると、踏み板が露出したデザインになっています。
塗るのが面倒だし技が高度だし、これは左官職人のコダワリなんでしょうね。


川辰仲
ほんと凄いな。

川辰仲
一階に下りてきました。
奥に、上の写真にある建物中央の階段があります。
※建物内には階段が二つあります


川辰仲
手前の和室は主の居室だったようです。
襖にはそれぞれ着物を使ったと思われる布が貼ってあります。


川辰仲
天井は竿縁天井。角竹と煤竹が使われています。
(これは居室前の廊下の天井だった気がする)


川辰仲
和紙を貼った照明器具。
すごく温かみのある雰囲気で個人的には好みです。


川辰仲
部屋には主が使っていた鏡台などが飾られています。殆どが朱塗り。

川辰仲
一階の水屋。
タイル張りの下が地袋になっているところが和洋折衷で面白い。
(まだまだ遺品の整理中らしい)


川辰仲
一階奥の和室。
驚くのは床の間の「落とし掛け」。
左官職人の腕、どんだけ良いんだよ!って感じ。
水平材が使われず、八畳の部屋の片面分の長さを維持しています。
剥落(はくらく)しないところにハンパなく感動!
ちなみに床柱は北山杉の絞り丸太を使用。


川辰仲
庭石も名のある石がさり気無く配置してあります。
(奥は赤石)


川辰仲
昔の地図で見ると、鍋茶屋の向かいにある前庭と書かれている部分が同宅になります。

鍋茶屋
二階からは老舗料亭「鍋茶屋」が見えます。



とても興味深い置屋建築で、一見の価値アリ。


11時スタートなので、札が出ているのを確認してから玄関ベルを鳴らしてください。


まだまだ整理中という室内ではありますが、


建物が好きな人にはオススメしたい場所です。


数年後には文化財になっているかもな。


個人的な見どころは中央にある階段。


懐具合を考えず、同じものを作りたいと言っても、


たぶん、今は100年維持するのは無理だろうなぁ。


ぜひぜひ、頑張って後世に残して頂きたいです。


古町を観光される際は、是非立ち寄ってみてください。


11時以降にね。



【2018.3 再訪・外観のみ】
川辰仲
2018年3月再訪。早い時間だったので閉まっていました。

川辰仲
手書きの説明が印字に変わってました。

川辰仲
時間がある時に内部を再度見学したいものです。

川辰仲
【川辰仲】
新潟市中央区古町通り8番町1439
見学可能時間 11:00~18:00
見学料:500円


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