2007年01月17日

新たな少子化対策戦略会議設置へ

毎日新聞 2007年1月10日 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070111k0000m010056000c.html
 政府は10日、少子化対策の総合的な戦略を検討する新たな会議を今月中にも設置する方針を固めた。経済・労働界もメンバーに加え、働き方の見直しなどを中心に検討、6月までに基本戦略をまとめ来年度の骨太方針に盛り込む。7月の参院選前に対策をアピールしたい考え。

 会議は塩崎恭久官房長官をトップに柳沢伯夫厚生労働相、高市早苗少子化担当相ら関係閣僚と民間委員で構成。民間委員には経済団体幹部や労働界の代表なども入る予定で、官民一体で実効性の高い仕事と子育ての両立支援策を目指す。

 政府は昨年6月に猪口邦子少子化担当相(当時)がまとめた「新しい少子化対策」を決定した。これは児童手当の乳幼児加算創設など育児支援メニュー中心だった。このため新会議では、(1)働き方の見直し(2)地域や家族の再生(3)若年者の自立支援−−などを中心に具体策を検討する。

 ただ、政府内には首相をトップにした「少子化社会対策会議」などの検討組織がすでにあり、新たな会議との位置付けが不透明。また94年のエンゼルプラン以降、複数の総合対策を施しながらも少子化傾向を止められなかった経緯もあり、政府内には「単に看板をかけ替えるだけで、選挙向けのパフォーマンスにならなければいいが」と危惧(きぐ)する声も出ている。


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2007年01月13日

残業代ゼロは少子化対策にも必要?

(2007/1/5 朝日)安倍首相は5日、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。


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2007年01月09日

【報道】少子化対策は安倍内閣での重要課題

 [東京 20日 ロイター] 塩崎恭久官房長官は20日午後の記者会見で、出生率の低下について聞かれ「2007年度予算でも重点配分し、対応していく」とし、「少子化対策は安倍内閣でも重要課題としているのでいっそう頑張る」と引き続き対応する考えを示した。
 また「出生率の低下により年金制度の前提が崩れるが、年金制度が破たんすることはありえない」としつつ「少子化対策については、なお正面から真剣に対応しなければならない」と述べた。

 安倍政権の成長路線は、もともと人口の減少を前提にオープン、イノベーションな姿勢で経済を活性化させることを目指しているとし「労働環境を改善させ、元気な日本経済を作り、財政再建もできるようにすることが当初からの政策目標だ」と強調した。

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2007年01月06日

政府「家族の日」制定へ

2006年12月31日の読売新聞の報道によると、政府は2007年度から11月23日を「家族の日」として制定する方針を決定したとのこと。

 安倍首相は、所信表明演説で「家族の価値を社会全体で共有できるよう意識改革に取り組む」と表明。そのための具体策の一つとして、「家族の日」を制定する。11(いい)23(ファミリー)の語呂合わせで11月23日で調整している。首相や有識者による家族をテーマにしたフォーラムの開催や、家族や地域のきずなを深める活動を表彰することなどを検討している。
 また、家族の日の前後に「家族の週間」を設け、期間中は残業などを せずに早く帰宅することなどを、国民や企業に呼びかける方針。飲食店や映画館などに賛同を呼びかけ、家族割引などのサービスを実施することも検討する。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061231i501.htm


2006年11月24日

教育再生会議 ジェンダー・家族をキーワードにウォッチすると

■議事要旨から

第1回 10月18日 議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/dai1/1gijiyoushi.pdf

浅利慶太委員:日本人の心の徳目「父母を敬い、兄弟結ばれ、妻を愛し、友を信じ、幼きを護れ、愛しき者たちよ」(「異国の丘」の歌を引用)は日本人の心の基本。
海老名香葉子委員:「孝心は情の原点」。学校教育以前に、家庭での教育、孝心をもつ子を育てよう。
伊吹文部科学大臣:核家族化、共働きで家庭の教育力が低下。

→教育勅語復活もありかと思われる表現が並ぶ。
→伊吹文部科学大臣の共働きで家庭教育力低下というのは、何を指標にしているのだろうか。女性の社会進出を悪玉にする論理がまたも文部科学大臣の名前で発せられている。

第2回 10月25日

■分科会発足。
第1分科会:学校再生分科会 
◎白石真澄、○小野元之、池田守男、陰山英男、葛西敬之、門川大作、小宮山宏、中嶋嶺雄、野依良治、義家弘介、渡辺美樹

教員免許の更新制や、いじめ、教員の評価・処遇、学校への民間人活用などを話し合う。教員免許更新制関連法案を07年の通常国会に提出するため、07年1月に中間報告までに結論をまとめる。


第2分科会:規範意識・家族・地域教育再生分科会
◎池田守男、○浅利慶太、海老名香葉子、川勝平太、小谷実可子、品川裕香、張富士夫、野依良治、義家弘介

食育、企業が教育現場にあたえる影響など議論。 07年末までに最終報告


第3分科会:教育再生分科会  
◎川勝平太、○中嶋嶺雄、池田守男、小野元之、陰山英男、門川大作、小宮山宏、品川裕香、白石真澄、野依良治、義家弘介、渡辺美樹

大学の9月入学や教育バウチャー制度など。  07年末までに最終報告


■ 教育再生ホットライン 〜みんなで実現する教育再生〜
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/hotline.html
   (教育の現状に対する疑問や提案を受け付けております)

→自民党の過激な性教育・ジェンダーフリー教育プロジェクトチームの手法とまったく同じ。意見を募集して、都合のいい意見を募集し、攻撃に使おうとする。
ここに私たちの意見も届けるしかない。


動画…こんにちは 安倍晋三です。私は吉田松陰先生を尊敬しております。それが明治維新の原動力になっています。高杉晋作の晋からとっております。…
事務局は補佐官の山谷えり子さんが担ってくれています。 山谷えり子氏登場。高い規範意識と学力の水準…など。教育再生ホットラインを設けた。
続きを読む

2006年10月23日

報道記事より 保守色強い教育再生会議

産経ウェブ10/16の報道です

教育再生会議、顔ぶれに期待と不安 「官邸主導」は?
http://www.sankei.co.jp/news/061016/sei001.htm

 安倍晋三内閣が最重要課題に掲げる教育再生の具体策を検討する教育再生会議の初会合が18日に開かれる。17人の有識者メンバーの顔ぶれを見ると、教育改革に意欲的な財界人を登用するなど一定の方向性はうかがえる。しかし一方で、バランスに配慮しようとして、「官邸主導」や「安倍カラー」が薄まったメンバー構成になったともいえそうだ。(教育再生取材班)



■保守系論客

 葛西敬之JR東海会長は安倍首相を囲む財界人の勉強会「四季の会」に参加する財界ブレーンの一人。「エリート養成」を掲げて今春、愛知県蒲郡市に開校した全寮制の中高一貫校、海陽中等教育学校の副理事長を張富士夫トヨタ自動車会長とともに務める。

 居酒屋チェーン店「和民」を経営する渡辺美樹ワタミ社長は郁文館中高(東京都文京区)の理事長で、安倍首相が前向きな教育バウチャー制度の推進論者だ。

 学校評価制度を早くから導入した門川大作京都市教育長は、教職員によるトイレ掃除の会を発足させるなどユニークな教育改革で知られる。

 浅利慶太劇団四季代表は中曽根康弘元首相と親しく、小渕−森内閣の教育改革国民会議の委員。中国問題が専門の保守派論客、中嶋嶺雄国際教養大学長は小学校の英語必修化を提言した。川勝平太国際日本文化センター教授は『「美の文明」をつくる』『富国有徳論』などの著書がある保守系文化人だ。

 教育ジャーナリストの品川裕香さんは、扶桑社で編集に携わった後、独立。非行少年の更生を描いた『心からのごめんなさいへ』や軽度発達障害の児童への特別支援教育を扱った『気になる子がぐんぐん伸びる授業』などの著書がある。

続きは
http://www.sankei.co.jp/news/061016/sei001.htm



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2006年09月28日

少子化対策に「家族の日」

(産経 06/9/4)
 政府は少子化対策の一環として、来年度から「家族の日」を制定することを決め、来年度予算の概算要求に関連行事の開催費用など9500万円を盛り込んだ。11月23日などが有力だ。
 これまでの少子化政策は働く母親への支援などが中心だったが、政府が6月に決定した「新しい少子化対策」は「従来の対策のみでは、少子化の流れを変えることはできなかったことを深刻に受け止める必要がある」と表明し、「家族や地域のきずなの強化」を打ち出していた。
 「家族の日」は、一家だんらんの機会をつくったり、町内会などの行事参加を促したりする狙いがある。政府は「家族の日」の前後に各地で行事を開くなど啓発活動を行う。飲食店の家族割引なども呼びかける。
 経済産業省が後援している「いい夫婦の日」の11月22日や、「いいファミリー」「いい夫妻」の語呂が合い、祝日でもある11月23日などが検討されている。
 山谷えり子内閣府政務官は「少子化対策は保育所整備など『育児の外注化』中心から家族再興に転換しつつあり、次期政権ではその路線がさらに明確になるだろう。『家族の日』を機に夫婦や親子のきずなを大事にしてほしい」と話している。


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2006年09月25日

「あったかハッピープロジェクト」って・・・ナニ?

「あったかハッピープロジェクト」(笑)って聞いたことありますか?
政府は「少子化対策の一環として」、「家族・地域の絆再生」政務官会議プロジェクトチームを作っています。その中間報告が首相官邸ホームページに載っていますが、
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2006/0516seimukan_pt.html
「あったかハッピー」というより、「ゾッとするモラル押し付けプロジェクト」といった方がいいのでは!?最初の数行を読むだけでも・・・続きを読む

2006年08月23日

9/1「部落差別の現状と戸籍制度」

講 師  西島藤彦 さん(部落解放同盟中央本部書記次長
            部落解放同盟京都府連合会書記長)


憲法14条は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と、あらゆる差 別を禁止しています。しかし、憲法で差別を禁止したからといって差別がなくなるわけではありません。現実には、女性である、障がい者である、婚外子で
ある、外国人である、貧困であるというだけで差別されています。特に、被差別部落出身者に対する差別はきわめて陰湿に行なわれ、深刻な問題にもかかわらず、その実態はあまり知られていません。
そこで、部落解放同盟の西島藤彦さんを講師にお迎えして、部落差別の現状と戸籍制
度についての勉強会を行うことにいたしました。

日 時  2006年9月1日(金)18:30 
会 場  文京区民センター(電話03‐3814‐6731)
参加費  500円


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2006年06月21日

岩手日報「論説」の24条廃止論に抗議する

自民党が2004年6月にうちだした憲法24条見直し論は、多くの批判を浴びて、表向きは改憲議論から姿を消しています。しかし岩手日報が2006年5月22日に掲載した前田邦夫氏による「論説」は、家父長主義的な家族観に基づく24条改憲論がいまだに力を失っていないことを明らかにしています。24条の見直しをふたたび改憲課題に含めて「家族の復元」をはかるよう主張する前田氏の「論説」は、以下に指摘するように、男女間の不平等に関する歴史的認識を欠き、また、論理的根拠なく24条を「良俗秩序」の崩壊の原因とするきわめて粗雑な議論であり、その背景には、男女平等と個人の尊厳に反する家族観があります。このような主張を「論説」として掲載した岩手日報のメディアとしての無責任は見過ごすことができません。

(1) 女性差別に関する歴史認識の欠如

 前田氏の「論説」は、憲法24条が両性の「合意のみ」に基づく婚姻や、離婚における夫婦の平等な権利を「ことさら強調しているのは異常」として、「背景にはGHQの専制権力を利用した米国フェミニストによる容喙があった」と、あいかわらず「フェミニズム=海外勢力の陰謀」「日本国憲法=GHQによる押し付け」論を展開しています。さらに「男女同権や両性の合意などは理の当然」であって「日本にはない」というのは「わい曲」だと述べています。
おそらく前田氏は、明治憲法下の日本では、男女同権や両性の合意にもとづく婚姻は「理の当然」とされていなかったという歴史的事実をご存知ないか、意図的に失念されておられるのでしょう。明治憲法下では家長が結婚相手を決めるのが当然で、結婚・離婚において女性が圧倒的に不利な立場に置かれていたからこそ、婚姻が当事者の「合意のみ」に基づくこと、離婚を含む家族関係における男女平等の権利を24条が規定したのです。そして憲法24条の規定は参政権を得たばかりの当時の女性たちの圧倒的な支持を得たのです。

(2)根拠のない「24条=家族破壊」論


女性差別に関する歴史的事実を無視してGHQ陰謀説を主張する一方、前田氏は、自分は家長制度の復活を主張しているのではなく「良俗秩序は家族共同体が原点であると主張しているのだ」と言います。しかし前田氏のいう「良俗秩序」が何を指しているのか、それと24条との間にどんな論理的な関連があるのか、前田氏の理想とする「家族共同体」が家長制度とどのくらい違うものなのか、読む者は首をひねらずにいられません。
たとえば前田氏によれば、「不純行動にふける10代の少年少女」は「両性の合意」を口実にしているそうですが、24条が実際にそのようなかたちで広く使われている具体的根拠を示していただきたいものです(ところで「不純行動」とは何を意味しているのでしょう?)。また、「子を虐待死させる男女」の背景に「同居別居の繰り返し」があるという根拠は何か、それと24条に何の関係があるのかも、まったく説明されていません。


このように、「良俗秩序」崩壊の「根源は憲法24条の家族否定にある」という前田氏の主張は、女性が平等な権利を保障されてこなかった歴史についての認識を欠くだけでなく、きわめて保守的で不平等な家族観を背景にしています。「婚姻・家族における個人の尊厳と両性の平等」を規定する24条が否定しているのは、家族の中における不平等や暴力的な関係であって、当然、家族関係そのものではありません。それが男女平等や個人の尊厳を認めたくない前田氏には「親子の情愛まですべて否定し去る」と見えるのでしょう。
さらに問題なのは、このように粗雑で差別的な24条見直し論を「論説」として掲載する岩手日報のメディアとしての無責任さです。現在も介護や育児の負担が女性に重くかかり、女性、男性、子ども、若者、婚外子、障がい者、高齢者、性的マイノリティ、在日(滞日)外国人、など多くの人々が未だに個人の尊厳を十分に保障されていない現状を考えれば、このような一方的な論説を掲載することの無責任さは決して看過できません。ここに強く抗議します。

2006年6月17日

STOP!憲法24条改悪キャンペーン


公序良俗に反する岩手日報の論説

岩手日報のトンデモナイ「論説」に対する細谷実さんの批判文をご紹介します。

.................................................

 さる5月22日に右のような論説が岩手日報に載りました。
最近、男女共同参画に対する保守派の批判が盛んですが、この論説には驚きました。

まず、「「合意のみ」と「離婚も平等」をことさら強調しているのは異常」ということですが、両性の合意が結婚の必要十分条件であることを強調することの何がいけないのでしょうか? 例えば、親の賛成を必要条件に入れたいのでしょうか? まさか親の賛成で十分条件だと言うのではないでしょう。また、「離婚も平等」は、それまで不平等な離婚が多かったからことさら強調されたのでしょう。

続けて「米国憲法にもこのような家族否定条文はない」と言うのですが、その条文によって家族は否定されているのでしょうか? 事実がそれを反証しています。その条文に拠る戦後民法によって多くの家族が作り出され営まれています。そうなると、「家族否定」というのは、単に前田氏が理想と見る家族の否定なのでしょう。前田氏は「旧民法の家長制度を復活せよと主張しているのではない」と述べてはいるものの、前田氏が理想と見る家族が旧民法の家族とどのように違うものなのか、よく見えません。

さらに、「両親のみが結婚を定めており男性のみが支配していると決め付けて」とありますが、草案はすべての家族について述べたものではなく、悪しき例を提示して比較しているに過ぎないでしょう。実際に、そうした悪しき実例が旧民法下にはあったのではなかったですか?

しかも、前田氏は「日本の優れた教育制度と文化」と書きます。むろん戦前の日本にも部分的に優れた教育制度と文化があったことは否定できません。しかし同時に悪しき教育制度と文化もあったことを、前田氏は認めないのでしょうか? それを反省し改革することで戦後日本は始まりました。前田氏は、自分が愛するものに対する評価が甘すぎるようです。

たとえば、「男女同権や両性の合意などは理の当然であり「日本にはない」とわい曲する」と言うのですが、旧民法下で「男女同権や両性の合意などは理の当然」ではありませんでした。そのことに目をつむるつもりなのでしょうか? つまり、「日本にはない」というのはわい曲ではなく正論なのです。

逆に「「両性の合意」を口実に不純行動にふける10代の少年少女」という部分は前田氏の方がわい曲しています。婚姻についての24条の規定を、性関係の規定として読み替える少年少女なんて本当に居るのでしょうか? 読み替えているのは、前田氏自身ではないのでしょうか?

「愛情いっぱいながら、しつけには厳しい家庭」には賛成ですが、24条の現行条文の削除がそれをもたらすというのは、あまり根拠のない話です。

以上、あまりにずさんで理の通らない論説なので、とても驚いています。

           2006,6,17     細谷実


2006年06月18日

ジェンダーの憲法学

本当にかゆいところに手が届いた!と快哉をさけびたくなるような、「ジェンダーに敏感な視点」に立つ憲法論です。たとえば、「性別をことさらに問題にすることは、近代杜会になって基本原理として登場した」「大日本帝国憲法」が女性差別を明確に要請する憲法なのは、両性の平等を要請する規定が欠落していたためではなく、「1条の「一系」思想と、2条の「皇男子孫」規定により、「母系」を切り捨て、「女性」を排除し、妻妾制度を保持することが、統治者たる天皇の正統化根拠であることを宣言しているからであり、この一系思想は、「大日本帝国憲法」の基本原理として女性差別を象徴するものであり、戦後もこの思想が、下位の法律になったとはいえ、皇室典範に残されたなどドキドキするような考察が次々に展開されます。
24条についても、その特質や画期的な意義、そして9条と24条のつながりが、皮肉にも、9条「改正」派には自覚されながら、9条支持派には明確に捉えられてこなかったことなどが平易な表現ですっきりと説明されています。


ジェンダーの憲法学

『ジェンダーの憲法学―人権・平等・非暴力―』
若尾典子著、2005年(家族社)1500円

【も・く・じ】

はじめに
1.近代法を考える
私たちの法律観  生活利益の保護  強制力と公平さ  「近代」という歴史の特質 「憲法」の特質  憲法と民法・刑法の関係  憲法の抽象性と解釈の多様性
新しい人権「お日さま」訴訟  憲法の存在理由

2.近代法と女性

オランプ・ド・グージュ  「近代」社会と性別観念  ルソーの『エミール』
性的特質論  性別教育論  戦争社会としての市民社会観
憲法運動としての女性運動  「家族」関係における女性の権利

3.日本の近代法と女性

「近代」憲法としての大日本帝国憲法  天皇主権という憲法制度
日本の宗教問題の特質「万世一系」思想の現代性女性天皇論と憲法学
双系と一系「男性天皇」論「不魔の大典」と男子絶対主義妻妾制と嫡出子制度
女性差別としての「一系」思想皇室典範の転換

4.明治民法・刑法と女性

お墓と明治民法明治民法の結婚観 臣民の「家」と天皇家の関係
家族観を強制する憲法と民法大日本帝国憲法と刑法性的特質論と刑法
日本の女性運動「近代杜会」に挑む女性の視点

5.女性運動の「発見」と女性学の誕生

「両性の平等」と「女らしさ」私はなぜ主婦なのか女性たちの発信
沖縄の1985年「うない」(=sisterhood)を掲げるフエスティバル
女性運動の「発見」女性学の誕生「女性の視点」をめぐる問題ジェンダー

6.「両性の平等」とジェンダー

「平等」概念への疑問  オーストリアの結婚姓  別姓制度の提起
ジェンダーに敏感な視点  性差別撤廃条約女性差別撤廃条約とジェンダー  家事をめぐるジェンダー問題  戸籍制度「個人」か「戸籍筆頭者」か  婚外子相続分差別規定民法改正過程での婚外子相続分差別規定をめぐる議論

7.日本国憲法と女性

日本の女性たちの動き  働く女性の権利を求めて  家族のなかに平等を
日本国憲法の特色  24条の特質  ボン基本法との比較  24条の画期的意義
暴力禁止の盲点  日本における家庭内暴力の様相  裁かれる「嫁」たち
尊属殺重罰規定違憲判決  DV被害者の心理  最高裁判決と性暴力
高裁判決の合憲判断と事実認定地裁判決の違憲判断と事実認定
家庭のなかの暴力を「みえる」ものとするために

8.非暴力と女性運動

女性の人権運動  「女性の人権」と軍隊  暴力撤廃宣言
新しい人権としての「女性の人権」.  戦後日本の平和論と女性
憲法「改正」を阻止する力  9条と24条新しい女性運動の取り組み
沖縄と軍隊沖縄の女性たち  北京女性会議ヒロシマと9条テロと9条
9条を掲げる憲法改正一般論の問題女性運動の課題

おわりに
女性が女性を発見すること
新潟ウィメンズ企画 田代俊子さんとの出会いから 佐藤裕美子
資料
主要文献

若尾典子さん◎1949年生まれ。1972年から89年まで沖縄で暮らし、現在、県立広島大学保健福祉学部人間福祉学科教授。著書に『ジェンダーの憲法学〜人権・平等・非暴力』(家族社、2005)、『フェミニズム法学』(共著、明石書店、2004『闇の中の女性の身体』(学陽書房、1997)など


2006年06月17日

とんでもない岩手日報「論説」の24条改悪論!

岩手日報が2006年5月22日に、憲法第24条を見直して「「家族」を復元させよう」という内容の前田邦夫氏の「論説」を掲載しました。
あいかわらずの「フェミニズム=海外勢力の陰謀」「日本国憲法=GHQによる押し付け」論に立った、「24条=社会悪の根源」論。表向き24条改悪論は鳴りをひそめめているようですが、やはり根強い勢力を保っていることを示しています。

2006年06月10日

6/17集会「STOP!暴力の政治」にお集まりください!

第1部 14:00-15:50 若尾典子さん講演
「人権・平等・非暴力の条項としての9条と24条」
第2部 16:00- 緊急!国会報告

日時 6月17日(土)14:00〜
会場 文京区民センター 3A会議室
(都営線・春日駅/東京メトロ・後楽園駅3分/JR水道橋駅10分)

若尾典子さん◎1949年生まれ。1972年から89年まで沖縄で暮らし、現在、県立広島大学保健福祉学部人間福祉学科教授。著書に『ジェンダーの憲法学〜人権・平等・非暴力』(家族社、2005)、『フェミニズム法学』(共著、明石書店、2004)『闇の中の女性の身体』(学陽書房、1997)など

savearticle24 at 14:33|Permalinkclip!各地集会・関連イベント 

2006年05月29日

教育基本法改悪に反対します

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
私たちは教育基本法改悪に反対します
これは、実質的な憲法24条改悪です
                              
            STOP! 憲法24条改悪キャンペーン
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 基本的人権を脅かすような法案がいくつも取り沙汰されている今の国会
で、5月16日「教育基本法改正案」審議が始まりました。
毎日新聞の世論調査では、今国会での成立が必要とするのは17%、それ
に対し、必要ないとする意見が66%です。このように市民の意見をよそに、やみ
くもに「戦争国家づくり」を進めている政治が、ルールを踏み越えて人々の内面
まで管理しようとしていることに強い憤りを感じます。

さらに、民主党が政府案への対案を衆議院に提出しました。民主党の「日本
国教育基本法案(新法)要綱」(以下、民主党案)を読むと、政府案よりもさらに右
傾化した問題だらけの対案になっています。政界では、政府案へのゆさぶり、自
民党内の不満分子に踏みこんだ、などとの見方もありますが、どこの政党であろ
うと、どのような思惑があろうと、おかしいものにはおかしいと声をあげましょ
う。

 以下、特に24条の「改悪」と関わりの深い問題点を列挙します。

続きを読む

2006年05月27日

6/1国民投票法反対国会前集会

憲法改悪のための国民投票法はいらない、緊急国会前集会
6月1日(木)12:00〜13:00
衆院第二議員会館前
呼びかけ 5・3憲法集会実行委員会

***********************************
小泉暴走にSTOP! 6.1集会〜共謀罪・憲法改悪国民投票法案・米軍再編に反対
しよう
***********************************
日時 6月1日(木) 18:30開会 19:30デモ
会場 日比谷公園野外音楽堂
発言 /福山真劫(フォーラム平和・人権・環境)、高田 健(憲法共同会議)、富山洋子(共謀罪反対実行委/日消連)
国会議員からの情勢報告/沖縄からの報告
デモ 日比谷野音〜銀座〜東京駅〜常盤橋公園
◎主催:6.1集会実行委員会
フォーラム平和・人権・環境(03-5289-8222)
憲法共同会議(03-3221-4668/許すな!憲法改悪・市民連絡会)
共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会(03-5155-4765/日本消費者連盟)


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2006年05月06日

第二弾リーフレットができました!

「ホントは怖い改憲のはなし〜自民党新憲法草案の本音〜」

昨年11月に出された自民党新憲法草案の解説をわかりやすく、
また法解釈だけでなく、章の見出しにも着目して改憲派の本音を
あぶり出します。
「えほん改憲くん」に引き続き、イラストはサカイエリさんにお
願いしました。的確なイラストで、わかりやすくかわいらしいリ
ーフレットに出来上がっています。
このリーフレットを広めていくことで、憲法「改悪」反対の動き
を盛 り上げていきましょう。
表紙





もくじ:
・憲法は国が守るルールのはずなのに…
・憲法の基本原則がすり変わっちゃう?!
・憲法の見出しって? 〜タイトルにも地雷が!〜
・婚姻及び家族に関する基本原則?
・もしも新憲法草案が通ったら・・・
・9条と24条はセット?
・あなたより「公(くに)」が大切?
・これで地方自治?
・96条がターゲット!?

■ 頒布について
1部20円で販売しています。送料は無料です。100枚以上のご注文は
とくに歓迎です。代金のお支払いについては、1000円以下は切手でも
可能です。ご注文は事務局まで:「STOP!憲法24条改悪キャンペーン」
E-mail: savearticle24@yahoo.co.jp 
FAX:03-3463-9752

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2006年05月03日

「河北新報」に9条・24条の改悪反対広告が掲載されました!

本日、憲法記念日、宮城県大手新聞「河北新報」に標記の意見広告が4段で掲載されました。
文言は「世界に誇れる平和憲法を守ろう!私たちは憲法9条、24条の改悪に反対します。」とともに、500名弱の署名が掲載されました。


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2006年05月01日

ジェンダー視点から考える「障害者自立支援法」


障害連 代表 太田修平



○ 母親は典型的な「障害者の親」だった

1957年私は東京に生まれました。障害がわかったのは、ちょうど1歳のお誕生日の前後だったと言うことでした。首の座りが悪かった私を見て、変だと思った母親は色んな病院を回り、最終的には「脳性マヒ」ということがわかりました。
それから機能訓練所通いが始まり、母親は私のために運転免許を取り、養護学校へも自分の運転で送り迎えをしてくれました。
父親は典型的な日本のサラリーマン、子どものことは全部母親に任せるという感じでした。
今はだいぶ変わってきたとは思いますが、40年前ぐらいまでは、障害のある子が生まれると、全部母親がそれを一手に引き受けてしまう、そんな家族が多かった(今も少なくないとは思いますが)ように思います。

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障害者自立支援法集会の記事

4月27日に開いた学習会「家族・ジェンダー視点からみる障害者自立支援法」の記事がjanjanに掲載されています。報告は安部宝根さん。コチラからどうぞ

記事にもあるように、太田修平さんはユーモラスな語り口で個人史を語られながら、家族に担わされる重いケア責任が、ケアを担うことの多い女性たちにも、またケアされる側にも負担となっているかを伝えてくださいました。
障害者自立支援法の成立で、またもや家族責任が強化され、上限が世帯収入によって決められてしまうことになっています。より詳しい情報が障害連のホームページにあります。


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