TOURISTIC

モノとコトと不思議をつなぐ愉快なBLOG

2005年09月

ホールデン君とめぐるNYC

帰国記念の特別企画。小説「ライ麦畑でつかまえて」でめぐるニューヨーク案内。Powered by Google Map.

ペン・ステーション
ペンシー高校から逃げてきたホールデン君が辿り着く駅。ここからニュージャージー方面にのびるNJトランジットに乗ってきたものと思われる。相席になった女性がおりるのは空港のあるニューアーク駅。

セントラル・パークの池
ホールデン君がしきりに家鴨(あひる)が冬になったらどうするのかを気にしていた池。セントラル・パークにはいくつか池があるが南側にあるThe Lakeではないかと思われる。

エドモント・ホテル
NYCについたホールデン君が最初に泊まるホテル。このホテルは実在しないらしい。タクシーで90丁目まで行ってわざわざ引き返させているので、ミッドタウンのどこかじゃないかと思われる。(地図リンクはNew Yorker Hotelというホテルの場所を指してみた)

グリニッジ・ヴィレッジ
ホテルを抜け出したホールデン君がイヤみなピアノ弾きアーニーのいる店に行く。ちなみに、このリンクがさしているのはヴィレッジ・バンガード。

グランド・セントラル・ステーション
ヴィレッジのホテルで散々な一夜をすごした後に、朝食を取りにやってくるのがこの駅。尼さんに気前よく10ドルあげる。

東71丁目(ホールデン君の家)
ホールデン君の実家がある。妹のフィービーを探している時に「71丁目に家がある」としか語られないが、それ以前に「イーストサイドには顔見知りがいる」とコメントしているからアッパー・イーストサイドの71丁目だろうと思われる。後ほど、そのアパートの12階が実家だと語られる。ちなみに、この辺りは高級住宅街。

自然史博物館
ホールデン君が子供時代に毎週行っていた博物館。女性の先生の思い出とともに思い出す。

ラジオ・シティ
ホールデン君がサリーとスケートをしにいく。そしてわけも分からず口説いた後、イライラして悪態をついてしまう

メトロポリタン美術館
西部に旅にでようとするホールデン君がフィービーをよびだす美術館。ミイラを探す。

セントラル・パークのメリーゴーラウンド
最後のシーンでフィービーが乗るメリーゴーラウンド。出版当時のものは1950年に焼けてしまったそうだが、いまでもパークの中に復旧したものがのこっている。ただし、小説の中でふれられる「黄金の輪」はない。[参考]

エンケン祭り

帰国早々エンケン祭りという濃ゆいイベントを見に行く。場所は渋谷AX、出演はエンケン&カレーライス、曽我部恵一、銀杏BOYZ、で最後にまた遠藤賢司バンド。すごい面白いイベントだった。

-曽我部
10年ぶりにライブで見た。なんか垢抜けない太った学生さんがやってくるなと思ったら曽我部だった。前みたいなへんな力とか構えた感じが抜けててすごくよかった。とても楽しそう。

-銀杏BOYZ
ギブスをした峯田があばれまくる圧巻のステージ。「BABY BABY」に感激。あのヤボったい歌の「永遠に〜生きられるだろうか〜」ってフレーズにてんで弱いんだな、僕は。

-エンケン
はじめてみたけど最高!まさにロック化け猫。

終った後、某人に「いや〜エンケンよかったよ〜」と言ったら「それってスターリンの人?」と聞かれた。それは遠藤ミチロウ。この間違いもすごいね。

NYCピルグリム ~帰国後

カトリーナにもリタにも負けず、ノースウエストのぞんざいなアテンダントにも負けず、バーガーキングのカロリー過多のクロワッサンウィッチにも負けず、無事ニッポンに帰ってきました。総括もかねていくつか感想を箇条書き

-アメリカ
どうも最近はアメリカ不人気が多数派みたいだけど、実際自分もそうだったわけだけど、今回また行ってみて、そんなにひどくもないかな、と感じました。いいところもあるけど、わるいところもある、というような割と当たり前の感想になってきています。例えば、ダイエットペプシやカフェイン抜きコーヒーのようなめちゃくちゃな商品をまきちらしているのもアメリカだし、バス運転手のイカつい黒人の運ちゃんが、ちゃんと車いすの客にはバスにのるためのステップを操作してあげたりする(そういうルールを整備している)のもアメリカだな、という話

-スペイン語
NYCの単純労働者層におけるヒスパニック系の割合の高さには驚いた。カフェやデリ、ポーターにセキュリティに美術館に座っている人まで、半数以上がスペイン語を話していた。あるレストランには英語がうまく喋れないウェイターまでいた。しかも、スパニッシュハーレムのようなスペイン語コミュニティのあるところではなくミッド・タウンやアップ・タウンの方までそうだった。なので、スペイン語話せたら便利だろうなぁと思った。(とはいえ、語学はメリットではなく根拠なきモチベーションで続けるものなので、ちゃんと上達するのはきっと無理だろうな、とも思った)

-観光地としてのNYC
ニューヨークを観光地としてオススメするかと聞かれたら、ちょっと答えに迷う。ナイアガラの滝まで足をのばすのならいいかもしれないけれど、NYCはあくまで単なる都市なので、あの都会の雰囲気自体を楽しめないとあまり面白くないのではと思う。例えば、自分の親にオススメするか、と聞かれたら、答えはNOである。京都やパリのように歴史的な建造物を一周すればそれである程度見たことになる、というような構造はしていない。思うに、都市というのは一種のツールであるので、見て回るというよりも実際に使ってみて、鋏の切れ味を楽しむように、地下鉄の雑踏や危うい運転のキャブを楽しむものではないかと。「ライ麦畑でつかまえて」の後半はニューヨークを舞台とするが、あれは都市の使い方をよく知っているホールデン君だからこそ、みずからうっそうとした都会の森にまぎれていってしまったのではないだろうか、とか思ったり。

-で、結局この旅はなんだったのか?
それはこれから考えます。

NYCピルグリム (5)

NYC-SOHOいよいよ最終日。一週間の旅行は意外と長い。2都市以上をまわるとさすがに時間がもうちょっとあれば、と短く感じるのだが、一箇所だけならだいたい十分なんじゃないかと思う。もっとも、ブルックリンにあるという若いギャラリースポットなどには行けずじまいなのだが、思うにそういう"IN"なエリアは、そこが観光客向けに開かれすぎていないからヒップさが保たれているわけで、結局のところそこに住んで生活圏の一部としないと満喫できないんじゃないかと感じる。チェルシーの下の方のGansvoortストリートあたりの地区もちょっと勝手が分からないと単に素通りしてしまう感じだった。ちょうど東京の中目黒あたりが、雑誌などでいくら書かれても結局駅をおりたら目の前はパチンコ屋で、大通りをあるくと松屋や居酒屋ばかりで、ふらっとやってくるとどこが話題スポットなんだか分からないようなものだ(よく「思ったよりお洒落じゃない」とガッカリされる)。それに比べると昨日歩いたソーホーのあたりは、慣れた人にはちょっと"OUT"なんだとしても(旅行前にとあるフランス人にそうアドバイスされた)、通りにずらずらとブティックが並んでいるので分かりやすいし、キョロキョロしながら散歩するのも楽しい。観光客の我々にはこの辺がよくもわるくも限界である。ところで中田ヒデの買ったビルはソーホーにあるというけれど、どこなんだろうね?

今日はホイットニー美術館と新装オープンしたMOMAをはしごするという強行スケジュール。ハッキリ言って一日に美術館二つは無理である。とくにMOMAはやたら広いので上の方の階にのぼるにつけ一つ一つの作品にかける時間が短くなってきて、白黒写真のコーナーなんかはだんだん素通りするようになってしまう。でも、僕は美術館の価値は、その都市におけるアクセスのよさと作品の量だと思っているので、このMOMAのお腹いっぱい感はとても素晴らしいと思う。そんなわけで、また日本の話になってしまって恐縮だが、いま六本木に建てている国立美術館には結構期待している。東京都現代美術館がいくらよいコレクションをそろえていようともあんなこの世の果て(失礼)にあっては魅力も半減である。ちなみに、この新装開店MOMAは日本人の手によるデザイン。新しいMITのメディアラボといい、日本の建築というのは知らぬ間にワールドスタンダードを超えているらしい。

ホイットニーではロバート・スミスソンという作家の企画展をやっていた。この人については何もしらなかったのだが、ところどころ数学的な図形をモチーフとしていたり、そうかと思えば石や砂のような自然物を素材につかったりと、なんとなくその感覚は僕の好みの感じであった。主に70年代に活躍した人らしい。後で調べてみよう。その他には大好きなエドワード・ホッパーが見れたのがうれしかった。ホッパーの絵を見ていると、我々は肉の皮(肌の色や体格など)と文化の皮をかぶって、言ってみればそこに閉じ込められているわけだけれど、その皮をはがすと中で感じているものというのは同じものなのかもな、という気がしてくる。幸せのような不幸せのような。よく光のあたるホッパーの風景は、光が強く描かれるにしたがって抑えられた感情が奥深くから現れてくるかのようである。

ついでに書くと、ホイットニーの別の階では現代のドローイングという特集展示も行われていた。今回そういった意図で集められただけかもしれないが、現代の、2000年代のドローイングというのは、図形の単純化、抽象化ではなく、もっと具体的な細かいモチーフをキャンバスの上に散らばらせるようなものが多いように感じた。手法としてはドローイングだけれど、考え方としてはカット&ペーストや音楽でいうループのようなコンピュータ処理的な思考がながれているように思える。その意味ではMOMAにあったライアン・マクギネスの作品なんかもそういう傾向があると思う。動物やら安全ピンやらのシルエットが左右対称にならんでシャンデリアのようになっているとか、既存の情報を持ってきて変質させて遊んでいるかのようだ。と、こう書くと60年代風だけれど、現代のものはもっと細かくて混乱して発散している、と思う。それがどういう時代の現れなのかは、、もうちょっと考えてからちゃんと書こうかな。

ところで、旅行先で美術館になぜ行くのか、と聞かれることがあるが、それはやはり本やテレビでしか見たことがなかったものを実際にこの目でみれるからで、よく言われることだけれどやはり本物を見ると印象が全く違うという作品もたくさんある。例としてはモネの睡蓮がよくあげられるけれど、僕はもう一つモンドリアンをぜひとも推したい。モンドリアンというとおなじみの白地に黒の直線で四角をいくつか描いて、ところどころ赤とか黄色に塗ってあるというアレである。デザインパターンとしてあまりにも有名なので、僕もずっと前から既に見た気でいたのだが、最初に本物を見た時はかなり驚いたものだ。なぜなら、それはあの絵が"手描き"だから。時代的に当然と言えば当然なのだけれど、キャンバスに近づくと筆のあとや絵の具のわずかなはみ出しのようなものが見える。しかも、驚いたことに白の部分までちゃんと筆で塗ってあるのだ。じっとそのあくまで生生しい筆の跡をみていると、生々しさを消そうとして馬鹿馬鹿しいまでに白い部分を塗りつぶす作家を想像してちょっと滑稽な気持ちになる。そして、その微妙なゆらぎがあるために、なんとも言えない味がでているし、そこから連想されるマンハッタンやら何かの力関係やらも生き生きとしてくるように見える。少なくとも個人的にはそう感じる。ぜひモンドリアンを見る機会があったら、遠くから「あーアレね」ですまさないで近づいてじっくり見てみてください。だんだん人間くささがプンプンしてきますから。とまぁこんなことをツラツラを書いてみたのは、ここMOMAにもモンドリアンがたくさんあって、久々に見れてうれしかったからです。他にもいろいろあったけど、長くなるので省略。

さて、このへんでこのblogシリーズもひとまず終了。なんだか今日は旅行の話を書いてないような気もするけど、まぁいいか。誤字脱字は後でなおします。

NYCピルグリム (4)

はっきり言って既にヘロヘロである。連日の歩きまくりと時差ボケでぐったりしている。毎度のことだが、夜ねむくて遅くまでおきていられない。ちょうどロイクソップがNYCのクラブでライブをするという情報を調べてきていたのだが、やっぱり眠くて寝てしまった。できれば夜の部も満喫したいのだが、いたって健康的な毎日である。

さて今日はチェルシーあたりを散歩。まずはシド・ヴィシャスで有名なホテル・チェルシーからはじまって、川沿いのギャラリー地区へ。バレンシアーガ、コム・デ・ギャルソンが倉庫を改造して店にしている(外見は似てるが、中は対照的)あたりを通過し、チェルシー・マーケットをのぞいて、噂のミート・パッキング・ディストリクトに到着。現地の人に言わせると「あのあたりは本当に薄汚い地域だったけど、みるみるうちに店が集まるようになって、夕方になるとカフェにもはいれないほどなの」とのことだが、確かにブティックやギャラリーの間々に自動車整備工場などのいかにもなガレージがならんでいる。なるほど、最近横浜あたりでもさかんな空き倉庫のリノベーションというのはこういうところをイメージしているのだな、と納得。

ところで、ちょっとニューヨークのグルメ事情について一言。

だいたいにおいてアメリカご飯なんていうのはフンバガーとダイエッペプシーさえあればこと足りるし、下手にベーコンエッグやらフレンチトーストやらを頼むと質的にも量的にも悲劇的な状況におちいってしまう。そういえば、妻がスターバックスにてキャラメルマキアートを注文したのだが、陽気な黒人の兄ちゃんが最後のキャラメルをこれでもかと景気よくかけまくったので、喉が焼けるほど甘い飲み物ができあがってしまい、甘党の彼女にして一口でギブアップさせるに十分な代物だった。まぁ万事がその調子で基本的には濃い味かつ一味足りないという絶妙なバランスで成り立つのがアメリカご飯の醍醐味である。

というのが基本ではあるのだが、さすがに大都会ニューヨーク、ちゃんと選ぶと結構おいしいものが食べられる。特にイタリア料理でおいしいものが食べられたのには驚いた。というのも、今までにアメリカで食べたイタリアンなんて、のびたソフト麺みたいな塩のきいてないパスタがなんだかよくわからないジャブジャブしたトマトソースのボールの中につっこまれている、というようなものしか食べたことがなかったので、アメリカのイタリアン自体を全くと言っていいほど信頼していなかったのだ。でも、今回は適当に街を歩いていて店に入った割りには非常に満足のいくものが食べられた。

NYC-italian-1まずはアッパー・ウエスト・サイドの「My Favorite Bistro」というお店。この店名、レシートに書いてあったのでそうしてみたが、どうも違う店名だったような気もする。場所はコロンバス・アヴェニューと72ndストリートの交差点のところ。セントラルパーク沿いのダコタ・アパート(例のジョン・レノンのやつ)のところを曲がってすぐのところである。なんとなく大きなガラス窓から見えた店内がさわやかな感じがしたので入ったのだが、味の方もとてもよかった。ホウレン草とドライドトマトを使ったガーリックオイルのファルファッレとチキンとアスパラのスパゲッティ、サラダを頼んだのだが、どれも美味しかった。しっかりと硬いパスタをアメリカで食べられるとは思わなかった。ちなみにスパゲッティは平麺のタイプ。日本だと表参道のラス・チカスぐらいでしか出てこないけれど、アメリカでは一般的な存在なのだろうか。

次はチェルシー・マーケット付近のお店。ごめんなさい、これは店名も忘れてしまいました。場所は9thアヴェニュー沿いの16thから18thストリートのあたりの白いホテルのような建物の二階にあるお店(情報が適当ですいません)。まぁとにかくここもよかった。ピザもアメリカ式のパンみたいなやつじゃなくてちゃんと薄い生地のサクッとしたものがでてきたし、アーティチョークを添えた鮭のグリルもふっくらとして美味しかった。パスタはタリアテッレのラグー・ソースを頼んだのだが、これもちゃんとコシのあるものが出てきて感動。昔テレビでジローラモが「このパースタのコシを理解できるのはイターリア人と日本人だけデス。ワタシうどん食べて感動しました」と言っていたが、ありゃリップサービスだな、と思った。

NYC-chiniseさて、最後はちょっと趣向を変えて中華のお店を一店。いつも思うのだが、中国人は世界のどこに言っても同じような料理を作っているから頭が下がる。ケチャップやバターにうんざりしてくると箸で食べられる中華料理というのはかなりうれしいものだ。ここニューヨークにも大きな中華街があるので、中華が食べたいなと思ったらいくらでも選択肢があって楽しいし、逆にどれがいいか迷ってしまうこともある。今回は日本で買った某ガイドブックと、その著者と友達だという現地の人のレコメンドを得て「Jo's Shanghai」というお店に行く。場所はPell St.(Bowery StとMott Stの間の小道のようなストリート)で、チャイナタウンの外れの方に位置している。ここでも名物だという小龍包と、あと冬瓜のスープなどを注文。小龍包はさすがにジューシーで、食べ応えもありかなり美味しい。しかもこのお店は結構安い。二人でお腹いっぱい食べても30ドルくらいですんでしまう(ただしカードは利用不可)。どうでもいいが、このお店、ガイドブックと現地人情報により発見した店だったのだが、気がついてみると去年ニューヨークに来たときに職場の同僚Mにつれてこられた店だった。おそるべしM。確かにあの時もモーレツにグルメサイトをしらべまくってたもんなぁ。

といったところで、今日はこの辺で。

NYCピルグリム(3)

77ef7ef4.JPGアメリカのホテルは朝食がでないところが多いので嫌だ。ホテル付近のカフェのようなところで朝食をとる。ちと不安だったが、ローマに来たらローマンドゥなので、ベーコン&エッグを頼む。月並みな感想で申し訳ないが、とんでもない量のカリカリベーコンと、ゆるゆる目玉焼き3つと山盛りのポテトが大皿一杯にのってやってきた。見ただけでコレステロール値があがりそうだったが、負けてなるものかとすべてにケチャップをもりもりかけて完食。どうでもいいが朝食二人分とコーヒーとジュースを頼んで、税金とチップをはらったら40ドルを超えていた。なんてこった。

朝っぱらから道を聞かれる。僕はどこへ行っても道を聞かれるのだが、外国に行ってもほとんどの国でそうなのはどういうことだろう。こんなカメラをさげたアジア人に道なんか聞いたって分からないに決まってる。詐欺かな、とも思ったのだが、僕に道を聞いたご婦人二人組みは、僕の後(分かりません、ごめんなさい)に他の人に聞いていたからそういうことでもないらしい。この日は自由の女神前にてカメラまで頼まれた。これも定番だ。

そう、今日は自由の女神まで行ってきたのだ。あの超ツーリスティックな島に難民船のようにごったがえすフェリーに乗って行ってきた。テロの影響か、船に乗り込むのにも空港並みのチェックが必要で、ジャケットを脱いでベルトをとって小銭も全部トレイにのせて金属探知機を一人一人通過しなければならないのでやたらと時間がかかる。確かに国のシンボルなのでテロの標的になってもおかしくないが、テロ的な効果は少ないのではないか、と思ったりもする。並んでいると、そのまわりには歌を歌う黒人やら、サングラスをかけた自由の女神のパントマイムやら、スティールパン演奏のおっさん(これはすごく上手だった)やらが寄ってきてすごく賑やかだった。退屈しのぎにもちょうどよい。

本当は自由の女神のフェリーが発着するバッテリーパークの前に例のワールド・トレーディング・センターの跡地にも行ったのだが、そこでの感想は割愛する。やすっぽくならずにちゃんと書ける自信がないし、下手すると一面的な意見になってしまいそうだからだ。ただ、あそこにあったビルがないという、不在の存在感はすごいものがあった。

さて、話はもどって自由の女神だが、まぁ想像通りの自由の女神がどーんと建ってるわけで、なんというか、思えばグランドキャニオンをはじめて見た時もそうだったけれど、既に記憶している風景を再確認しているような感じだった。でも、あの島の雰囲気はのんびりしててとてもよい。今日は天気もよかったしね。マンハッタンにもどる途中にエリス島による。ここはかつての移民局があった島で、これがドン・コルレオーネがコルレオーネになった島かぁ、とやや感慨深い。移民の国であるというのは、やぱりアメリカのアイデンティティの一部であるようで、移民時代の写真などを展示した一角に「アメリカはこれまでもこれからもも移民の国です。さて、セキュリティのために国民全員にIDカードを発行するべきかという議論があります。IDカードには氏名、番号とともにバイオメトリクス(指紋など)が刷り込まれる可能性もあります。あなたはどう思いますか?」というボードが立っていて、その下にポストイットで客が自分の意見を貼り付けられるようになっていた。こういう過去をふりかえるミュージアムみたいなところにそういう投げかけを置けるのはさすがだと思った。

NYCピルグリム (2)

nyc2NYは楽だなぁと思う。食べ物屋はいっぱいあるし、そこら中にスターバックスはあるし、Tシャツが足りないなと思ったらバナナリパブリックがあるし、ダンキンドーナツ、プレタマンジェ、等々おなじみのものばかりである。ほとんど東京と同じような使い勝手なので、逆に、なんで自分はこんなところに来てるのかと疑問になる。もっとヴァカンスらしく海とか山とか南の島とか行くべきなんじゃないかとふと思ったりする。

自然史博物館に行く。象やらトーテムポールやら恐竜の化石やらを駆け足でみた後、館内にあるローズセンターというプラネタリウムで上映されるスペース・ショーというものを見た。感動した。これは、プラネタリウム用の球体のスクリーンを使って地球が宇宙の中でどの位置にあるかを、太陽系、銀河系と順にズームアウトしていくことで見せるものなのだが、その映像がめちゃくちゃすごかった。壁一面モニターはよくVRを研究してる研究室などで見れて、だいたい「古代の遺跡めぐりを探検できます」とか言ってもそれほどリアリティは感じないのだが、これはちょっとすごかった。表示される地球から図形やらがまるで本当に浮いているかのようだった。アメリカの宇宙とヴァーチャルリアリティにかける意気込みをヒシヒシと感じた。お台場の科学未来館もいいが、そこにはこんな迫力のものはない。ちなみにこのショーのナレーションはトム・ハンクス。ぴったりの人選である。

CNNにて離着陸用の車輪の一つが壊れた飛行機がLAに不時着する様子を見た。テレビをつけた時点ではまだ飛んでいる最中で、これから不時着できるかを検討する、というような状態だった。その飛行機は前方の車輪が90度ひねられた状態(真横を向いた状態)のままで飛んでいた。旅行者の僕らにとっては他人ごとではない。結局は無事に着陸できたのだが、着陸時にその車輪が火を吹き上げて折れながら止まるシーンはまさに手に汗をにぎるものだった。着陸までLA上空をぐるぐるまわっている間にCNNでは元パイロットや航空技術者など呼んで「成功の確率は?」とか「最悪の場合は?」といった議論をえんえんと続けていた。そのゲストからの返答のほとんどがポジティブなトーンで「パイロットは経験があり、しかも空軍の経験者です。我々はみな非常事態の訓練を受けています。今回はただそれを実行するだけです。パニックしたら負けです。信じましょう」というようなものだったのが印象的だ。トム・ハンクスつながりというわけじゃないけれど、アポロ13の危機に立ちむかう勇敢な合衆国民、というようなスピリットを感じた。何はともあれ無事に着陸できて本当によかった。あれで引火して爆発でもしてたらしばらくは飛行機になんか乗りたくない。

テレビを見ていたら「バターのような食感!バターのような味!それがスマートバランス!脂肪分はなんとバターの1/3!」というコマーシャルをやっていた。こういうのも確かにアメリカ。カフェイン抜きのコーヒーとかダイエットペプシとか、なんだかよく分からないがとにかく数値の上では健康食品という発想は、とにかく最低限法律さえ守ればあとは何してもいいからさ、というようなあっけらかんとした哲学の表れだろうか。この手のものはだいたいマズいのだが、立法に対するアメリカ人の敬意からか、それとも油のとりすぎの罪の意識にうまくつけこんだからか、非常によく売れているようだ。そういえば、日本の発泡酒やドラフト1とかも「ビールみたいな味!」と言って売ってるが、あれはアメリカ的なルール主義が浸透してきたということだろうか。値段を下げるための税金対策だから本質は違うのかもしれないけど、同じような味のより合理的な商品を必死に作る様がちょっと近いんじゃないかなとも思う。

NYCピルグリム(1)

d999f5ba.JPG心配されたノースウエストも落ちることなくJFKに到着。どうでもいいがこの便、ノースウエストだけでなくデルタとコンチネンタルとのコードシェア便だった。何を選んでも破産会社はまぬがれない。機内もサービスも簡素というか経費削減というか、ちょっとボロい。座席に個人モニターもない。あれは、映画じゃなくて、今飛んでいる地点が地図の上に表示されるやつが好きなのだ(楽しいよね?)。この辺で既に文句を言ってるあたりで自分はアドベンチャーには向かないなぁと痛感させられる。ともあれ、無事飛んでくれて無事着陸してくれてよかった。その後、空港内シャトルであるエアトレインで地下鉄ジャマイカ駅に行き、そこからE線でマンハッタンへ到着。タクシーは渋滞だのぼったくりだのあるので、電車で市街地まで行けると楽である。まぁ運ちゃんと無駄話をするのも趣味の一つなのではあるが、とりあえずそれは後にとっておこう。

外国の地下鉄というのはどこの街でもちょっと緊張するものだが、今日は、それが空港から来る路線だかかもしれないが、ごつい警備のおじさんが車内をウロウロしていたのであまり危険を感じなかった。むしろパリの地下鉄の方がなんだか怖い気がする。(とか言ってるとあっさりスリにあいそうなので用心しよう)
This is New York.It's your town.

NYCピルグリム 〜出発前

実はニューヨークに行くのは3度目である。はじめて行ったのは1999年の9月で、アメリカ本土に降り立ったのもその時が初めてだった。ちょうどその頃に仕事で知り合った友人の両親がプリンストンに住んでいたので、彼が休みを利用して里帰りするついでにつれていってもらったのだ。その時は、ニューヨークにつく前に彼の希望でラスベガスに一泊し、グランドキャニオンをまわり、その後ニューヨークに向かう途中でハリケーンにあい、急遽、経由地のミネアポリスで一泊して、やっとの思いでニューヨークに辿りついた。それが本当の記憶かどうか今では自信がないのだが、夕暮れ時を飛ぶ飛行機の窓から自由の女神が見えた時に涙が出る程感動したのを覚えている。ニューアーク空港までは彼の両親が車で迎えに来てくれていた。家に向かう車内で、彼の父親が「私も初めてアメリカに来た時の印象ってのはずっと覚えててね」と言っていた。ふーん、そんなもんかな、と思ったのだが、その後でも、アメリカというと、というよりも海外旅行というと、あの時の窓から見えたマンハッタンの光景と、暗い夜のニュージャージーのハイウェイを進む車の中を思い出す。今では、その彼とはあまり連絡をとりあっていないし、両親の方も日本に帰ってきてしまった。それでも、あの時の滞在は本当に気楽で楽しかった、とその後の自分でいろいろと旅行するようになるにつけ、しみじみと思う。会ったら、彼にはそういう風につたえたいのだが、昔の友人の多くと同様に、なかなか連絡をとるタイミングがつかめないし、もう会わないかもしれないとも思う。それに、会っていったい何を話す?

2度目のニューヨークは去年(2004年)の3月で、その時は自分の中でのアメリカから受ける印象が変わっているのに驚いた。20代前半を通して僕はアメリカの小説が大好きで、特にオースターを熱心に読んでいたので、はじめてNYを歩いた時には胸がおどったし、それでなくとも、例えばグランドキャニオンに向かう砂漠をバスで走る時にポツンと立つガソリンスタンドなどを見ては、その荒涼とした風景に「バグダッドカフェ」みたいだ、と無邪気に喜んだものだった。それがこの時はちょっと違っていた。なんとなく全てがガサツに見えたし、ニューヨークの前に立ち寄ったボストンの街並もなんだか計画性に欠けるような印象を受けた。9.11テロとブッシュ政権によってアメリカが変わってしまったのか、僕が変わってしまったのか。もしかしたらフランス語を習いはじめたことの弊害か。基本的にフランス人の中にはアンチ・アメリカ的な意識が根強くある(気がする)ので、それに感化されてしまったのかもしれない(、とするのは他人のせいにしすぎだね)。

そんなこんなで3度目のニューヨークなのだが、今回は、現実的なところの不安としては飛行機である。予約していたノースウエスト航空がつい何日か前に破産を申請してしまったのだ。どうやらアメリカの破産法(チャプター11)というのは再建のための法律らしく、営業は以前と変わりなく行われるそうだ。でも、やっぱりちょっと不安である。ユナイテッドに加えてデルタとノースウエストが破産となると、日本へ来てるアメリカ便のほとんどが破産していることになる。全く困ったものだ。

ともあれ、余計な心配は程々にして、今日はこれからウディ・アレンの映画でも見て寝よう。

Soundtrack for NYC

来週はNewYorkに行ってきます。ということで、秋のNYCのための仮想サウンドトラック。

1. Song For You - Leon Russel
レオン・ラッセルのデビュー作。いまやヒゲの教祖みたいなレオンだが、このアルバムで聞けるのは若いピアノマンが都会にでてきて腕試ししているような緊張感あふれる演奏と歌の数々。カーペンターズのカバーなどでも知られる1曲目は秋のNYCが暮れていく風景をおもいおこさせる。



2.White Light/White Heat - Velvet Underground
日が暮れたら大騒ぎ。そのまんまNYC MANというタイトルのベスト盤まで出しているルー・リードはいつの時代も街の象徴。ウォーホールの手をはなれて作られた2作目は、いつ聞いても本当にメチャクチャな録音ながら、そこに込められたエネルギーには圧倒されてしまう。♪ワイライッ。楽しみになってきたね。



3.Bull in the Heather - Sonic Youth
SONIC YOUTHにも「NYC Ghosts & Flowers」という作品があるが、今回は94年のこのアルバムからチョイス。ギターのブリッジのところの弦をキンキンならすイントロはまさに真四角なビルに囲まれた街ならではのサウンドスケープ。徐々に緊張感をましていく変則チューニングのギターとキム・ゴードンの吐き出すような唄とのからみが素晴らしい。





ボーナストラックはこれ

5x2

フランソワ・オゾン監督の「ふたりの5つの分かれ路」を見る。ちなみに原題は「5x2(サンク・フォワ・ドゥー)」で、後で詳しく書くが、この邦題は失敗だと思う。さて、この作品は、ありきたりな離婚劇を5つのエピソードで区切って時間軸と逆順に見せていくという仕掛けのもので、確かにオゾンのこれまでのものに較べるとちょっと地味というか平坦な感じがするのだが、ラストに美しい出会いのシーンを持ってくることでなんとも言えない余韻が残るものとなっている。この逆順という仕掛けは散々書かれてしまっているので、もちろん僕もそれを知った上で見に行ったのだが、できることならば知らずに見たかった。エピソードの間に全くつなぎとなる情報(例えば、"10年前"とかをスーパーで出すとか)もなくアッサリと時間をさかのぼるので、もし何も知らずに見たら、「え?今、時間がもどってる?」というような驚きを味わえたのではないかと思う。よく時間を行ったり来たりする物語は語り手の回想という形で描かれるのだが、この映画においては語り手の視線(例えばナレーションなど)が全く排除されていて、あくまで誰でもない視点で撮られている点もそういう意図なんじゃないかと。
 それで、この映画のタイトルを「ふたりの5つの分かれ路」としたのを大失敗だと僕が思うのは、配給としてはそういうタイトルをつけて"女性向け"みたなくくりで売りたかったのかもしれないけれど、本来は「5x2」という記号的なタイトルをかかげることで、見る側に最初の謎かけを投げて、「これはなんの話だろう?」という疑問の気持ちで見始めるのが一番の楽しみ方だったのではないだろうか、と思うからで、「ふたりの」とつけた時点であまりにも人物に焦点があたりすぎてしまったのではないだろうか。某知人が、アメリカ映画は不幸からはじまって最後はお姫様と王子様の結婚式でハッピーエンドになる、フランス映画は幸せから始まって最後はすれちがいのサッドエンドになる(例:トリュフォーの「隣の女」とか)、という大雑把なことを言っていたが、この映画について深読みするならば、そういうフランス的なサッドエンドをブツブツ切って順序だけアメリカ風にすることによって、結局映画の持つドラマというのは登場人物の持つドラマとは関係しない、ということを皮肉っぽく実験しているんじゃないかとすら思う。とにかく徹底的に美しいエンディングは、それまでの(その後の)みじめなエピソードの積み重ねにおいて実現しているものであるのだが、例えばスターウォーズ1のアナキン君を見て「こいつもダースベイダーになるかと思うと泣けるよなぁ」といった切なさすぐはすぐには感じない。そういう意味では、僕はこの映画はコメディだと思う。

※というような話を奥さんにしたら「全然ちがうわよ」と怒られた。さてあなたの感想は?
※ちなみに、同じオゾンの「sous le sable(砂の下)」を「まぼろし」とした邦題はすごくよかったと思う。
※他の人の感想はこのblogあたりからよむと良いかと。かなり色んな意見があるのは懐の深い映画の証?

見てない方はこちらから↓
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/mo3621.html

選挙

うーむ、ちょっと勝ちすぎたなぁ。

ココア・クラッシュコース 〜5日目

入門書もそこそこに、CoreAudioに手をだしてみる。が、よくわからない。

ココア・クラッシュコース 〜4日目

引き続き電卓。画面上のボタンのクリックとキーボードからのタイピングを同期させる。見た目に変化がないので画像は割愛。

ちなみにココアのおともによく聞いているのがドイツ産のこちら↓
kompakt

こういうのって作業がはかどるよね

ココア・クラッシュコース 〜3日目

cfb91eba.gif電卓の続き。2進数/16進数での計算もできるようになりました。

ココア・クラッシュコース 〜2日目

08104315.gif電卓。作ってみると、Cocoaうんぬんの前に、演算をするタイミングを理解するのが難しい。

ココア・クラッシュコース 〜1日目

7f92b408.gifDemo or Die。AppleのCocoaとObjective-Cを即習するシリーズ。画像は今日の成果。図形を描画してみました。

残念会@ハートランド・バー のお知らせ

このたびはまことに残念でした。つきましては残念会(vol1)のお知らせです。

日時 9/9(金) 20:00くらいから
場所 ハートランドバー六本木 -地図はこちら

外人でめちゃ混みのバーで立ち飲みしながら口々に残念さを語り合うという愉快な会です。ふるってご参加ください。なお、時間などはとくに決めてませんので適当に来て適当に帰るという次第です。

*来る方は一応、僕の携帯までご連絡ください。そこらへんをウロウロしてるかもしれないので
*雨天中止

http://www.kirin.co.jp/brands/HL/shop/

無念

受からなかったよ。まいったな
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