2013年11月20日

東京都美術館で開催中の「ターナー展」

0315d900.jpg絵画に造詣などない私がターナーに関心をいだいたのは、フレーザーの金枝篇がその冒頭に掲げる「金枝」の謎解きの魅せられたのがきっかけです。まして、今年はすでに、この作品を上野で見る機会を得ました。更にありがたいことにターナー・コレクションでは最も多くの作品を所蔵するロンドンのテート美術館から、多くの作品が来日し展示される大回顧展が開かれるというニュースに期待が膨らみました。そしてそれは実現しました。現在、東京都美術館で開催中の「ターナー展」には、油彩画や水彩画など約110点が展示されています。(開催は、12月18日(水)まで)

今日は「ブロガーイベント with スペシャルトーク」という催しがあり、参加させていただきました。トークの後は、内覧でき写真撮影も可能でしたので、ターナーの世界を堪能しました。

展覧会の構成は以下の通りです。

機―藉
供 嵜鮃癲廚猟謬
掘\鏤下の牧歌的風景
検.ぅ織螢
后 ̄儿颪砲ける新たな平和
此/Ш未畔薫狼い鬚瓩阿觴存
察.茵璽蹈奪兮舂Δ悗領更
次.凜Д優張ア
宗仝經の風景画
晩年の作品

ターナーは、理髪店の息子として生まれたそうです。父親は息子の画を自慢するだけでなく販売していたというエピソードは、何とも味わい深く面白いです。過去の巨匠たち(ラファエロやレンブラント)には、強烈なライバル意識を持っていたという側面や、私生活をほとんど明かすことなく、同居している女性との間に生まれた娘の結婚式にすら出席しなかったというのですから驚きの生涯だったようです。この展覧会では、作品を見ていきながらターナーの人物像がほのかに見えてきます。
 
「英国における新たな平和」のコーナーでは、戦勝を謳歌するのではなく戦争で人々が被った危機、混乱を印象付ける作品を残しています。
夏目漱石はロンドン留学中に美術館にたびたび足を運んでターナーを見ていることが知られています。そのためいくつかの漱石作品にその名が登場します。なかでも有名なのは「坊ちゃん」ですが、登場人物の一人である赤シャツに 「あの松を見たまえ、幹が垂直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」と言わせています。そのターナーの画にありそうな木は、フレーザーの『金枝篇』の口絵に使用されたことで知られる「金枝」とも想像されますが、今回展示されている「チャイルド・ハロルドの巡礼−イタリア」をさしているとも言われています。(写真)
この作品は、バイロンの長編詩『チャイルド・ハロルドの巡礼』からの数行を添えて1832年のロイヤルアカデミーの展覧会に出品されています。ターナーは40代になってイタリアをしばしば訪れています。その印象をとどめたこの作品は、特定の場所を描いたのではなく想像の産物のようですが、いかにも象徴的な松の木と人々の姿こそ永遠に刻まれたターナーの心象世界なのでしょう。イタリアは古代ロマンがあふれる、特別な思いをいだかせる場所だったのかもしれません。

この作品が展示されている「イタリア」のコーナーには、著名な作品が並べられています。「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」(1820年発表)には、バチカンをも一望するローマの光景にラファエロを登場させるという斬新な画題が、私たちの心をわしづかみにします。
見ごたえのある展覧会に出会えたことに感謝しましょう。
(写真は特別の許可を得て、本日、撮影させていただいたものです。)

sawarabiblog at 23:45│Comments(0)TrackBack(0)

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