2015年07月20日

「戦争法案」を学ぶ

37e18dcc.jpg7月19日、船橋学習センター・ガリラヤでピース9の会の集いが行われました。弁護士の佐藤鋼造さんの講演「戦争法案と安倍内閣−平和憲法と国民主権を破壊する独裁政権−」からは、多くを学ぶことができました。主催者の予想を超えた参加人数だとのことですが、「戦争法案」の衆議院予算委員会での強行採決、翌日の衆議院本会議通過を、見ているしかできなかった私も含め。多くの人々の無念の思いが、こうした熱気を生んだのでしょう。「戦争法案」とは福島瑞穂さんが、安倍首相からレッテルを貼るなと批判を受けてから定着したネーミングですが、政府案として正式には「平和安全法制整備法」として一括審議される法案のことです。
講師の佐藤弁護士は1942年のお生まれなので、終戦時の記憶はあるとのことでした。希望に満ちた時代に育ち幸せでしたと語られました。勉強を始めたころは、民法や刑法と違って、「憲法」が法規範としてどのような意味のあるものなのか疑問だったと、率直な告白をされました。つまり憲法には、理想だけが述べられているので、何のために存在しているかがよくわからなかったそうです。しかし、お話を通じて、私たちに憲法の本質を鮮やかに理解させてくださるものでした。
いま、いわゆる「戦争法案」と言われているものは11の法案から成っていますが、これを一括して審議することには初めから政府の底意が見え見えだとおっしゃいます。11の法案の大部分は、既存の法律を改正しようとするものです。それでは、有事を想定した従来の法律はどのように、なっていたのでしょうか。
18〜19世紀にかけて、人類は戦争を廃絶することを希求してきました。それは人類の英知をかけるに値するものでした。哲学者カントは「永久の平和」について論じています。それは、私たちが持っている憲法9条と同じ志にもとづいています。日本人は、300万人以上の死者という被害をこうむった体験を持っています。その事実をふまえて、憲法9条は、戦争の道具そのものを放棄してしまおうとする考え方ですから、とてもすごいことなのです。国際的にも、戦争は違法であり、国際連合で認められた限り例外的に、合法性を得ることにしたのです。しかし、世界中は戦乱に満ちていることも事実です。その中にあって、日本は70年間、憲法9条があったおかげで、戦争で人を殺すことはありませんでした。ただ、この「平和憲法」が朝鮮戦争を契機に、変質してきたことも事実です。しかしながらです。絶対に越えてはならないことがありました。それは、「海外派兵」です。あくまでも専守防衛に徹するべきで、海を越えて他国に向うことは憲法上できません。これは政府が認めていることで、現行の自衛隊法第3条にも直接・間接侵略に対して日本を防衛すると書かれています。自衛隊法創設の際の国会決議でも、このことは確認されています。
安倍首相は、「最高責任者」としばしば口にしますが、あくまで行政府の長にすぎず、立法府の決定には従うべきであることをご存じないのかもしれません。国会を見下すような態度を目にしますが、とてもおかしなことだと思います。当時の自民党には、良識がありました。非核三原則、武器輸出三原則、軍事予算の制約なども決めていました。あの佐藤首相ですら守っていたことです。
1990年イラクのクウェート侵攻を契機に、日本に対する外圧が高まり、国際貢献が論議されるになり、さらに2001年、小泉内閣のときですが、「アメリカ同時多発テロ事件」を受け、時限立法であるテロ対策特別措置法のもと初めて、外国に装備した軍隊が出向くことになりました。名古屋地裁は、自衛隊がイラクに派遣されたことは憲法違反であるとの判決を下さしています。この判決は確定しています。実は、日本は立派に殺人を行っていると言えます。小泉内閣は、あくまで兵站行為、支援活動と言っていますが、給油すれば直ぐ戦闘に入るのです。武力と一体となっていないというのが詭弁です。直接戦闘行為でなくても、殺人に加担していることは紛れもありません。佐藤弁護士は、この点は力説されていました。70年間、日本人は戦争で人を殺さなかったというけれど、正確には違います。2000年代に入って、日本人は人を殺していると言えます。自衛隊がインド洋に派遣され、アフガニスタンで給油しているのは、戦争に加わったことに違いないです。
戦争法案の、支援活動の内容を検討しましょう。給水・給油・輸送に加えアメリカの武器の移動も可能になります。明らかな後方支援です。これまで非戦闘地域だけに限られていた、支援活動が戦闘現場(現に戦闘している地域)以外は、可能になります。危険性が増すことは明白です。
有事立法では、次の3つの場合を想定していました。そして今回の一括法案はそれを改正しようとしているものです
\鐐莨態の場合には武力攻撃事態法によって、防衛出動命令が出され武力行使が行われ国民も協力します。あくまで、攻撃を受けてからのことになりますが、改正法案では、集団的自衛権が認められますから、日本が攻撃されなくても、防衛出動命令が出され、海外派兵が可能になります。 
∪鐐茲砲呂覆辰討い覆い、日本の周辺に(おおむねフィリピン以北)おいて、日本の平和と安全に影響のある事態にアメリカの後方支援を行うこととされていました。周辺事態法の改正法案では、「我が国周辺における」の文言を削除し、アメリカ以外の後方支援を可能にしています。
F本には関係のない事態であっても、国際平和を脅かす事態に自衛隊を派兵するために、国際平和協力法(PKO法)などがあります。今回、新たに国際平和協力支援法(海外派兵恒久法)を新設しようとしています。支援という名のもとに、武力を行使しようとしています。国会前で抗議の活動をしている若者たちが的確に、これは「国際戦争支援法」であると名指しているところです。今までは、法律をひとつひとつ作ってきましたが、これからは内閣の判断でいつでも出兵を可能にするための法律です。
集団的自衛権が問題になるのは,寮鐐莨態の場合に限られます。アメリカはあちらこちらで、戦争をしています。,法崙本の存立に危険がある場合」が加わりますが、それはどんな場合のことでしょうか。「危険」を感じるのは人によって、さまざまだと思います。国会での質問に対して、「総合的に判断」という答えがかえってきます。これは、時の政府の判断に委ねることになるだけです。しかも防衛に関しては「特定秘密保護法」で開示されないことになるでしょう。時の政府によって、いつでも戦争が始められると言って過言ではありません。
戦争はこれまでも自衛の名目で始められることは明らかです。真珠湾攻撃しかり、イラクの核の存在も立証されませんでした。日本に関係ない事態でも、内閣の判断ひとつで自衛隊の海外派兵ができるようになります。これまで、日本の武器を戦争当事国に提供することはできませんでした。今回の改正によって、弾薬は売れるようになるとのことです。なんでも、押しだすものが武器であって、押しだされるもの(=弾薬)は武器ではないそうです。笑い話みたいですが、こんな論議がされているそうです。アメリカの鉄砲と口径が一致することから、日本の弾薬の提供が可能なのだそうです。
相手の立場に立って考えてみましょう。後方支援といっても、戦う相手に取って見れば、当事国と変わりはありません。日本に対して武力攻撃がなされることになりましょう、こうなれば、いつでも戦争状態になっています。共産党の志位委員長が「攻撃された時は、どのように対処するのか」という質問には、安倍首相は「逃げます」と答えたたそうですが、全くふざけた答弁です。
戦争法案の震源地となったのは、4月27日の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定でした。日米共同声明では、外務省・防衛省がアメリカの国防省と常時緊密に連絡を取り交わすことを明示しています。安倍首相は、国会提出前に渡米して8月にはこの法案を成立させることを表明しました。強行採決したのは、参議院に送り60日ルールで、衆議院の再可決をもくろんでいると言われていますが、本当だとすれば参議院をコケにした話ですね。参議院議員が、真摯に議論することを私たちは期待しています。自民党の支持率の低下も、はっきりしてきました。できれば安倍首相には退陣してもらうのがいいです。
憲法は誰が守るものか、学生時代に疑問だったことがわかってきましたと佐藤弁護士はおっしゃいました。例えば、「信教の自由は、国民に対してもこれを保障する。政府はこれを侵害してはならない」と読み替えるとわかり易いと言われます。つまり、「守るべき」と義務化されているのは「政府」だったのです。このことに気づいたのでそうです。もし国家を一つの体とみなせば、すべての細胞がつながっていると考えられます。もしつながっていないところは、「違憲」に該当します。細胞のひとつが、冒されると体全体に影響してきます。そうなる前に、防いでおかなければなりません。
国民のために憲法があることはわかりましたが、国民はもっと高次元で憲法を守る義務があると言えます。憲法を、侵害するものがあれば体を張ってでも守ることでしょう。安倍首相はそれがまったくわかっていません。
これからも大きな世論を盛り上げて、この法案を封じ込めることに努めたいと思います。一緒にがんばりましょう、と結んでくださいました。

sawarabiblog at 23:16│Comments(0)TrackBack(0)

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