2015年08月27日

映画『ふたつの名前を持つ少年』

e5c73074.jpg戦後70年の今年は、アウシュビッツ捕虜収容所解放70周年にもあたっています。ナチスドイツによるユダヤ人の犠牲者は600万人にのぼるそうです。
現在上映中の映画『ふたつの名前を持つ少年』を見てきました。(ヒューマントラストシネマ有楽町)
1942年、ワルシャワのゲットーから脱走した8歳の少年スルリックは、同様の境遇の子供たちと森で共同生活をしていたが、逃げる途中にはぐれ一人でさまよい飢えと寒さから森で行き倒れとなってしまいます。救ってくれたのは、敬虔なカトリック信者のポーランド人女性ヤンチック夫人でした。スルリックの愛らしさや賢さを知った夫人は、「ポーランド人孤児ユレク」という架空の身の上話を教え込み、一人で生き抜ける知恵を授けて逃がしてくれます。夫人がくれた十字架のネックレスをお守りにして、家のドアをたたいて食物を得る旅が始まります。ある農家では、仕事をもらい寝食をともにすることもできるのですが、割礼のあとを見られて、逃げ出すことになってしまいます。
ユダヤ人というだけで、大けがをして運び込まれた病院でも手術を拒まれるなど、なぜこれほどのむごい仕打ちをうけなければならなかったのでしょうか。考えさせられます。、「絶対に生きろ、親の名前は忘れてもユダヤ人であることだけは忘れるな」という父親からの遺言にもなった言葉を忠実に貫き通したスルリック少年の勇気に感動を覚えます。あっという間の2時間でした。
映画の終盤、ポーランド人家族のもとで、過ごしていたころ、ドイツの敗北が伝わりますがスルリック少年は、ポーランド人として生き続けるか、ユダヤ人孤児として生き直すのかの選択を迫られます。生き抜くことの厳しさをあらためて問いかけています。

The Big Issue Vol.269に原作の『走れ、走って逃げろ』を翻訳した母袋夏生さんのインタビュー記事が掲載されていました。映画を見ようと思ったきっかけの記事です。原作者のオルレブ氏が“子どもとして”当時を思い出すことで、心の均衡を保てるのであり、“大人として”思い返したら、薄氷を歩いている氷が割れて底なし沼に落ちてしまうと表現していることを伝えています。ホロコーストとはそのような体験だというのです。しかしこの映画が、知恵と力をつくして生き抜いた、たくましい少年の物語であることも、母袋さんは同時に告げてくださっています。私たちは観客として物語の進行にハラハラドキドキしながらも、少年らしいのびやかな行動にも共感しながら楽しむことが出来ました。一見の価値ある映画です。

sawarabiblog at 19:58│Comments(0)TrackBack(0)

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