2017年08月11日

映画『夜明けの祈り』

d58d508d.jpgカトリック中央協議会広報推薦に映画『夜明けの祈り』を見ました。(8日に千葉劇場で)
実在した女医マドレーヌ・ポーリアックの体験がベースになった物語です。

物語の舞台は、1945年12月のポーランド。赤十字の活動でフランス軍兵士の帰還を促進する仕事に従事していた医師マチルドのもとに、一人のシスターが助けを求めてやってきます。任務とは無縁な要望に、最初は拒んだものの、祈り続けるシスターの姿に促されたのか、その求めに応じて修道院を訪ねます。そこで目にしたのは、妊娠して苦しむシスターの姿でした。帝王切開で赤ん坊を取り上げることになりますが、翌日あらためて修道院を訪れたマチルドは、恐るべき事実を告げられます。妊娠しているシスターは7人、すべてはこの地をドイツ軍に代わって占領したソ連軍兵士による蛮行が原因だというのです。

とても衝撃的な物語です。マチルダは共産主義者であると自ら語る場面がありますから、信仰者とはその思想・信条を異にしているわけです。しかし、事は一刻を争う事態になっていて、医師としての使命感からなのでしょうか、シスターたちとそのお腹にいる子供たちの命を守る行動を続けます。

問題は修道院の側にあるように描かれています。この事態が外部に知られたら、恥をさらすことになり修道院も閉鎖されてしまうと考える院長の判断によって、すべてを秘密裏に処置をするようにマチルダは求められます。さらに、重要な事実が映画の後半になりますが、開かされます。院長は生まれた子を、里親に渡したとマチルダや母親となったシスターに告げていましたが、実はそうではなかったのです。

清貧、貞潔、従順の誓願を立てようとしている志願者にとっては大いなる試練です。シスターたちにとっても、暴行されたとはいえ妊娠という、ありえない身体的状況に直面したわけですから混乱が生じないわけがありません。医師であるマチルダが診察したくとも、肌を見せることを拒絶するシスターにはなすすべがありません。

マチルダの任務は突然終了と告げられます。帰国に先立って、間もなく出産という時期を迎えているシスターたちを見捨てることができないマチルダは悩みます。思い切って、同僚の医師に打ち明け、二人で修道院を訪れます。その同僚が男性であること、またユダヤ人であることに、眉をひそめるシスターたちでしたが、結局は彼を招き入れています。マチルダの勇気ある行動が、シスターたちのかたくなな心を解き放ったと言えるのです。

「信仰は24時間の疑問と1分の希望です。」という言葉が伝えられています。信仰は、本来は神に向き合うことですが、組織を媒介にすることによって、ともすれば教条主義に陥りやすい危険も秘めています。修道院長の犯した誤りは、組織防衛を優先したことに起因しています。修道院長も、マチルダのヒューマニティあふれた行動に、感謝をいだきつつ。自らの過ちを認めます。

生まれたばかりの赤ん坊を取り上げられてしまったシスターが、自ら死を選ぶ場面も描かれています。修道院長が、生まれたばかりの命を、どのように熱かったのか・・・・考えさせられる場面が登場します。一つ一つの命の大切さを、あらためて考えさせてくれます。むごい現実に直面して、人はどれほど高貴になれるのか、問いかけます。

sawarabiblog at 22:26│Comments(0)

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