みなさん、お疲れ様です。
台風の影響により、受講生様と従業員の安全第一の観点から
10月12日(土曜)、13日(日曜)の新宿Lタワーの講義はすべて休講となりました。
その後のスケジュールについては後日LECホームページ等で掲載いたします。
よろしくお願い申し上げます。

今日は休講なので、ブログで年金の講義をします。

今日は『老齢厚生年金の加給年金額』について。講義を展開していきます。
60歳台前半で報酬比例部分のみの支給を受ける受給権者については、「加給年金額は支給されません」。ということは・・・
60歳台前半でこれから裁定請求する者は、特定警察を除き男子全員と第1号厚生年金の被保険者である女子も含めて定額部分の支給はありません。
第1号厚生年金女子で定額部分が支給されるのは、昭和29年4月1日まで生まれです。
(定額部分が64歳で支給される1号女子の最後の生年月日である、昭和29年4月1日生まれの方は、今年65歳に達しています。)

よって、60歳台前半では原則的に加給年金額が加算される受給権者は、特定警察を除いていないということになります。
さて、それでは例外的に加給年金額が加算される受給権者はどのような方でしょうか。
それは「特例対象者」です。

『65歳前半の老齢厚生年金の特例』
特例とは「障害者特例」、「長期加入者の特例」、「坑内・船員特例です」
まずは障害者特例の話から。
障害者特例は以下の3要件に該当した場合で、かつ、「請求すること」が要件となっています。

1、報酬比例部分の支給開始年齢に達していること
2、厚生年金の被保険者でないこと
3、3級以上(相当)の障害等級に該当していること。

3要件に該当した場合は条文上は請求することができる。となっています。
しかし、その後改正があり、3要件に該当した場合は「みなし請求」の取り扱いとなりました。

よって、3つの要件がそろった時点で請求みなしとなります。
3つの要件は、その該当時期が異なりますので、最後の要件に該当したときに、みなし請求となります。
みなし請求により、報酬比例部分に定額部分と対象者があれば「加給年金額も加算」されることとなります。ちなみに、配偶者の加給年金額(特別加算額)は224,700円×改定率+165,600円(昭和18年4月2日以後生まれの受給権者)で、「約39万円」相当です。
結果的に、特例に該当した場合で、加給年金額の対象となる配偶者がある場合は
報酬比例部分+定額部分+配偶者加給年金額・特別加算額(加給+特別加算:約39万円)の支給となります。

さて、ここでよくあるパターンですが。
同一人が障害等級の1級又は2級又は3級に該当し、障害厚生年金、障害基礎年金を受けている場合は、下記のパターンから選択受給することとなりますので、額をよく確認する必要があるのです。
60歳台前半では以下の選択となります。
・報酬比例部分+定額(障害者特例)+加給年金(特別加算含む)
   OR
・障害基礎年金+障害厚生年金+配偶者加給年金額(特別加算なし)
・3級のみの場合は障害厚生年金単独(最低保障あり※)

更に、この者が65歳に達したなら以下のパターンから選択することとなります。
・障害基礎年金+障害厚生年金+配偶者加給年金額(特別加算なし)
・障害基礎年金+老齢厚生年金+配偶者加給年金額(特別加算あり)
・老齢基礎年金+老齢厚生年金+配偶者加給年金額(特別加算あり)
・3級のみの場合は障害厚生年金単独(最低保障あり※)
※障害基礎年金(2級)の4分の3の額
配偶者が65歳に達した場合は、配偶者の老齢基礎年金に加給年金額が振替加算となってしまうため額が変わることにも注意が必要です。

次に「長期加入者の特例」です。
長期加入者とは、「同一の実施機関」の厚生年金の被保険者期間が「44年間以上」あることです。
もちろん、この44年には「離婚時みなし」は含まれません。
例えば、60歳時点で44年の被保険者期間があるとすれば、中学を卒業して16歳から働いていることとなります。集団就職の時代なら珍しくはありません。
長期加入者の特例の要件は以下の通りです。「請求することは要件とされていません」。

1、報酬比例部分の支給開始年齢に達していること
2、厚生年金の被保険者でないこと
3、厚生年金の被保険者期間が44年以上あること


被保険者でない、被保険者期間が44年以上の者が報酬比例の支給開始年齢となった場合、定額部分と対象者があれば加給年金額(配偶者の場合は特別加算額)が加算されます。

次に「坑内・船員特例」です。
この特例は、坑内員又は船員の期間が「実期間で15年以上」ある場合に対象とされます。
例えば、昭和29年4月2日から昭和33年4月1日まで生まれの者については、60歳から、「定額部分と報酬比例部分+対象者があれば加給年金額(配偶者の場合は特別加算額)」が支給されます。
この特例は、定額部分と報酬比例部分の支給開始年齢が「同時に65歳に近づいていく」という特徴を持っています。
最終的には、昭和41年4月2日以後生まれの者からは、すべて65歳から支給となります。
昭和41年4月2日生まれから、60歳台前半の老齢の支給がなくなるというスケジュールは、「第1号厚生年金女子と同じ」と覚えておきましょう。

『加給年金額の支給要件と支給停止要件』
さて、老齢厚生年金に加給年金額が加算されるのは、その計算の基礎となる被保険者期間が240月以上の者とされています。
60歳台前半では、定額部分の支給開始年齢に達したときに対象者があれば加算されます。よって、報酬比例部分相当のみの受給権者には加算がありません。

その場合は、65歳に達して老齢厚生年金の支給を受けることとなったときに加給年金額も加算されます。(ただし、65歳時点で被保険者期間が240以上ない者については、退職改定によって240以上となったときに対象者がいることが要件となります)

『繰下げ支給の老齢厚生年金と加給年金額』
では、65歳で老齢厚生年金の受給権が発生した者に年下の配偶者があり、かつ、本人が老齢厚生年金の繰下げの申出をした場合は、本来65歳から加算される加給年金額と特別加算(約39万円)はどのようになってしまうのでしょか?
もちろん、「支給停止」です。
本体の老齢厚生年金がないので、おまけの加給年金額を加算することができないからです。
繰下げをする場合、「1000分の7の増額率」だけを考えていると結構後から悔やむこともあります。
年下の妻がいる男性の受給権者の方は、「加給年金額+特別加算の合計で年間約39万円の存在」を忘れてはいけません。
年の差が大きければそれだけ加給年金額と特別加算額の加算される期間も長くなりますので、差額が大きくなります。
例えば5歳年下の配偶者の加給年金額を、繰下げで放棄した場合、最高額で・・・
39万円×5年=約195万円の加給年金額と特別加算を放棄することとなります。

『加給年金額の支給停止について』
配偶者に係る加給年金額(特別加算額)は、配偶者が以下の要件に該当した場合、支給停止となります。
1、被保険者期間が240月以上の「老齢厚生年金」を受けることができるとき
2、障害厚生年金、障害基礎年金の支給を受けることができるとき
(1・2とも全額支給停止されている場合を除く)

『配偶者が240月以上の報酬比例部分のみの支給を受けることができるときの加給年金額は?』
では、年上の夫が65歳に達したときに年下の生計を維持している妻があり、妻が「60歳台前半の報酬比例部分のみの老齢厚生年金で240月以上のもの」を受ける場合は、夫の老齢厚生年金に加算されている妻に係る加給年金額(特別加算額)は支給停止となるのでしょうか?
はい、条文には「老齢厚生年金」とありますが、夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額は、妻が240月以上の「報酬比例部分のみ」の支給を受けることができる場合「支給停止」となります。

例えば、年下の妻が60歳台前半で「240月以上の報酬比例部分のみの受給権」を取得して、支給を受けることができる場合は、それまで夫に加算されていた加給年金額(特別加算額)は支給停止となります。
原則では、妻自身が65歳に達して「老齢基礎年金」の受給権を取得した時点で振替加算となります。ただし、妻自身の老齢厚生年金が240以上となっているパターンでは、振替加算は結局行われないこととなります。

☛ワンポイント…加給年金額(昭和18年4月2日以後生まれの受給権者の特別加算)については、特別加算を含めて約39万円前後とほぼ固定されていますが、振替加算は若い世代ほど少額となり、昭和41年4月2日以後生まれの者からなくなります。年金相談では、生年月日を確認して、41年に近い配偶者ほど、加給年金額+特別加算(約39万円)との落差が大きくなるため、振替加算額については、過度な期待を抱かせるのは避けるべきです。

『妻の報酬比例部分が退職改定で240となった場合』
では、こんなパターンはいかがでしょうか。
年上の65歳以上の夫に年下の60歳前半の妻がいて、夫の老齢厚生年金に妻の加給年金額(特別加算額)が加算されています。
妻は、現在「在職老齢年金」を受給中で239月の報酬比例年金を受けています。
妻は会社を退職しました。「退職改定が行われて240以上」となりました。
退職改定で240月となったとき、夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額と特別加算額の合わせて39万円は支給停止となってしまうのでしょうか?
はい、その通りです。
そうすると、妻はうっかり転職して「退職改定」しない方がよかった・・・
ということにもなりかねません。

『240以上の報酬比例を受ける妻が、在職老齢で全額支給停止となったとき』
では、こちらはいかがでしょうか。
年上の65歳以上の夫に年下の60歳台前半の妻がいて、夫の老齢厚生年金に妻の加給年金額(特別加算額)が加算されています。
妻は在職老齢で「240月以上の報酬比例年金」を受給中です。
よって、夫の老齢厚生年金に加算されていた「加給年金額と特別加算額」の約39万円は支給停止がかかっています。
ところが、妻が昇給又は賞与が支給されたために、「在職老齢年金」の適用の調整を受けて、妻の報酬比例年金が「全額支給停止」となってしまいました。
この場合、夫の老齢厚生年金に加算されずに支給停止となっている「加給年金額と特別加算額」の約39万円はどうなるのでしょうか。
はい、「支給停止は解除されます」。
報酬比例で240月以上の支給を受けている妻が、在職老齢年金で全額支給停止となった場合、夫の老齢厚生年金の支給停止されていた「加給年金額と特別加算額は支給停止が解除」されます。
なぜなら、配偶者の加給年金額の支給停止要件は
被保険者期間が240月以上の「老齢厚生年金」を受けることができるとき(全額支給停止の場合は除く)」となっているからです。



台風の休講、ごめんなさい!