2007年05月08日

天童市の再生を考察する

 今回は少し趣向を変えて、「天童市の将棋駒産地としての再生」を考えてみたいと思います。

 「天童市」

 将棋界では言わずと知れた「駒」の大産地です。

 人間将棋でも全国的に有名ですね。

 そんな「将棋の町」ですが、数字を拾ってみますと、実態はかなり深刻です。

(数字データ)

1、全国の将棋駒生産で「95%」のシェア

2、生産量

 ・1965年 700万組
 ・1999年 100万組
 ・2004年  50万組

 *40年間で14分の一に減少。

3、生産額

 ・1980年 約4億7千万円
 ・1999年 約2億3千万円
 ・2004年 約1億8千万円

 *25年間で62%減少。

4、県将棋駒協同組合員

 ・1954年 120人
 ・2006年  32人

 *50年間で約4分の一まで減少。

5、山形県将棋駒協同組合会員(平成18年9月30日現在)内訳

 ・製造販売元 11人(社)
 ・木地師    1人
 ・書き師    5人
 ・彫り師   13人
 ・盛上げ師   2人   合計32人

<参照>
asahi.com山形
山形県将棋駒協同組合

 95%のシェアというのは、国内では「無敵」ということです。

 にもかかわらず、「生産量」「生産額」はともに大激減の一途というのは大変皮肉なものです。


 高シェアにも関らず生産量・生産額が急激に落ち込む。

 このことは「既存のビジネスモデルは時代に完全に合わなくなった。」ということを意味します。

 これをいかに変えていくか?

 「変える」ことは相当な困難を伴いますが、もはや「待ったなし」の状況でしょう。

 職人の高齢化も進んでいるようですし、現状のままだと、あと10年もすれば「産業の自然消滅」も十分考えられます。

 では、どう変えていくか?

 これについて次回以降考えていきたいと思います。

 お楽しみに。
  
Posted by sbc2005com at 08:47

2007年04月28日

メセナとロジック

 本日は、メセナとロジックというテーマでお話します。

 「メセナ」とは、企業が社会貢献事業の一環として、文化・芸術活動を支援することを言います。

 バブル好景気時代には、超高価格で絵画などを落札し、それを美術館に寄贈するなど、派手な文化・芸術活動支援が行われました。

 が、それもバブル崩壊と共に規模が一気に縮小し、現在は比較的地味な支援活動が行われています。

 さて、

 「バブル時代のメセナと今のメセナの違いは何か?」

 ですが、1つは、

 「これは文化・芸術だから。の一言だけでは支援してくれなくなった。」

 というものがあります。

 「文化・芸術だから支援する」のではなく、

 もう一歩踏み込んで、

 「その文化・芸術を支援することが、自社にとってどんな”意義”を持つのか?」

 を企業は考えるようになってきています。

 この2つの間には決定的な違いがあります。

 前者は、「(支援を)お願いします。」だけで良いのに対して、

 後者は、「支援することで得られるメリット、つまり相手方にとっての意義」を提示しなければなりません。

 「相手にきちんとメリットを提案しなければならない。」

 この点においては、メセナとして支援してもらうことも、営利性の強いスポンサーとして支援してもらうことも違いはありません。

 たとえ「メセナ」であっても、相手が納得する「ロジック」が必要になってきている。

 このことを見落としてしまうと、「経営者が個人的に将棋界を応援している会社は支援してくれるが、そうでない会社には相手にもされない。」という事態も起こりえるでしょう。

 どんな形で支援を受けるにしても、やはり「やるべきことは同じ」だと思います。
  
Posted by sbc2005com at 12:04Comments(0)

2007年04月25日

心を1つに

 今回、新団体に移籍する女流棋士の人数は、最終的に17人と決まりました。

 この17人に私が望むのは「心を1つにすること」です。

 今回の独立問題の発端には、「”自分達”のことは”自分達”で決めたい。」という想いがあったはずです。

 しかし、このことと「”自分”のことは”自分”で決めたい。」は全く別物です。

 前者は「組織として行動する」ことが前提となっていますが、後者は「組織には縛られたくない。指図は受けたくない。」が前提となっています。

 言うまでもなく、今回の場合は「組織として行動する。」ことが優先されます。

 とするならば、「”自分がやりたいこと”は一体何か?」という発想ではなく、「自分の強みを活かして、”組織に貢献できること”は一体何か?」という発想が必要になってきます。

 これを勘違いして、各自がバラバラに好き放題やった場合、「組織としての体」を維持することすらできないでしょう。

 「強力なリーダーシップ」と「緊密なコミュニケーション」。

 心を1つにしていくにはこの2つの要素は絶対に欠かせないと思います。

  
Posted by sbc2005com at 13:57Comments(0)

2007年04月11日

コンセプト

 さて、本日は「コンセプト」のお話です。

 コンセプトのキーは「一貫性」。

 一旦コンセプトを決めたら、その後の「自分達の全ての行動」はこのコンセプトの制約を受けます。
 

 さて、そのコンセプトを考える上でのポイントは「本質を考え抜く。」という点でしょうか。

 表面ではなく、ギリギリと「本質」を追求していく。

 その場合、次のような質問を全員で考えるのも有効です。

 ・自分達が誇れるものは何か?

 ・自分達の将棋の本質は何か?

 ・連盟と比較して、自分達の存在意義は一体何か?

 ・ファンに伝えたいことは何か?

 ・一体どんなイメージで自分達はファンに覚えられたいか?

 コンセプト作りですが、この際、「十数人のメンバー全員参加」で良いのではないでしょうか。

 全員が一同に集まって、自由な発想で発言していく。

 この場合のポイントは、「声の小さい人」の意見をどんどん吸い上げる工夫をすることです。

 「運命共同体」

 これは否定できない事実です。

 だからこそ、コンセプト作りを通して、全員に共通の価値観を持たせなければなりません。

 「混沌・混濁とした将棋界」

 だからこそ、胸がすーっとすくような、そんな清涼感のあるコンセプトが求められているような気もします。


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Posted by sbc2005com at 14:10Comments(0)

2007年04月06日

志を立てる

 本日は、私が尊敬する松下幸之助の言葉を紹介します。

道をひらく


【以下、『道をひらく』より引用】

 「志を立てよう」

 志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの思いで志を立てよう。志を立てれば、事はもはや半ば達せられたといってよい。

 志を立てるのに、老いも若きもない。そして、志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。

 今までのさまざまの道程において、いくたびか志を立て、いくたびか道を見失い、また挫折したこともあったであろう。しかし、道がない、道がひらけぬというのは、その志になお弱きものがあったからではなかろうか。つまり、何かをなしたいというその思いに、いま1つ欠けるところがあったからではなかろうか。

 過ぎ去ったことは、もはや言うまい。かえらぬ月日にグチはもらすまい。そして、今まで他に頼り、他をアテにする心があったとしたならば、いさぎよくこれを払拭しよう。大事なことは、みずからの志である。みずからの態度である。千万人といえども我ゆかんの烈々たる勇気である。実行力である。

 志を立てよう。自分のためにも、他人のためにも、そしてお互いの国、日本のためにも。

【以上、引用終わり】


 出た者、残った者、どちらにも「志」を立てて欲しいと思います。

 将棋界活性化のための「志」を立てて欲しいと思います。

 この正念場に力を発揮できるのは、やはり「志」ある者だけでしょう。


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Posted by sbc2005com at 02:19Comments(0)

2007年04月03日

選択と集中

 「女流独立問題」ですが、独立派のメンバーで新法人設立との発表がありました。

 これで事実上、分裂が決定したことになります。

 ・女流棋士新法人設立準備委員会の発表
 
 ・女流棋士会が分裂…独立派が新法人設立表明(スポーツ報知)

 分裂の賛否の判断云々もありますが、事実上、「新たに動き出す」ことはもう間違いないようです。

 ならば、それを前提に「今、何をすべきか?」ですが、

 まずは、「現状の経営資源をきちんと整理・分析すること」でしょう。

 人・物・金・情報等の「経営資源」について

 ・「一体何が使えるのか?」

 ・「どこまで使えるのか?」
 
 をきちんと精査し、「見極めること」が重要です。

 この場合のポイントは「厳格に精査、見極める」ことです。
 
 甘い見通しでは、その後の計画をすぐに修正せざる得なくなるでしょう。

 その上で、

 ・「どういった組織を作るのか?」

 ・「どういった活動を行うのか?」

 を詰めていく必要があるでしょう。

 いわゆる「ビジョン策定」もしくは、「コンセプト作り」です。

 この場合の重要なポイントは「選択と集中」です。

 コンセプト作りでは、いきおい「あれもこれも」と範囲を拡大しがちになります。

 しかし、財政基盤がない状況で手を広げすぎることは、組織破綻の危険性大です。

 だからこそ、「自分達が最もその持てる力を発揮できる分野を見つけ出し、そこに経営資源を集中して突破をはかる必要があります。」

 いずれにしても、今回の場合は、「組織が生き残る戦略」を立てるべきだと思います。

 組織が存在しなくなったら、新たなメンバーを迎え入れることすらできません。

 「生き残るための選択と集中」

 これが重要なキーワードだと思います。


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Posted by sbc2005com at 15:00Comments(6)

2007年03月31日

区切りと新たな始まり

 昨日は連盟より女流棋士独立問題に関して重要な発表がありました。

 詳細は、将棋トピックスさんにまとまっていますのでそちらをご確認下さい。

 独立希望 17
 残留希望 36
 不明   2  合計 55

 以前行われた「慎重派の記者会見」では独立慎重派は13人でした。

 ですから、今回の意思表明は「中間派」が多数残留サイドに流れた格好となっています。

 確かに、この結果の背後には、連盟サイドの切り崩しもあったでしょう。

 しかし、今回私が何より残念に思うのは、結局ここまで一度も、独立準備委員会より「独立後の展望が公式に発表されなかった」ことです。

 もちろん、ここでいう「独立後の展望」は「確固たる数字の裏づけのついたもの」です。

 この発表がなかっただけに、結局「感情論」の闘いになってしまった感があります。

 つまり、連盟サイドと委員会サイドのどちらの「戦略プラン」の方が優れているかという「戦略プラン上の優劣を争う闘い」に全くなりませんでした。

 この結果、皮肉なことに大きな課題を残すことになったと思います。

 それは言うまでもなく、「今後のプランは一体どうなの?」です。

 確かに今回は残留派が多数を占めました。

 しかし、仮に残留したとしても、今後のプランは現状「???」なわけです。

 今後の待遇が「上がるのか」「現状維持なのか」それとも「下がるのか」すら未知です。

 結局、今回の争いは、「どちらの方がより魅力的か」という前向きな選択ではなく、「どちらの方がより信用できないか」という極めて後ろ向きな選択になってしまったように思います。


 さて、17人の独立希望者が今後どうするのかは現時点では不明です。

 今後も引き続き独立の準備を進める可能性も残っています。

 その場合どうすべきか、ですが、やはり戦略プランを詰めるべきでしょう。

 結局、「なぜ女流独立か?」

 といえば、「それが将棋界活性化に繋がるから。」でしょう。

 ならば、「将棋界活性化に繋がる独立プラン」を発表して、今度こそプランの中身で勝負してもらいたいと思います。


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Posted by sbc2005com at 11:31Comments(2)

2007年03月26日

ビジョンメイキング

 皆さん、こんにちは。

 今日は本当に暖かいですね。

 「春だな。」という感じがします。

 春は、色々な意味で「始まりの季節」でもあります。

 私もMBAを卒業したので、本業のコンサル業に専念する春でもあります。

 さて、タイトルの「ビジョンメイキング」ですが、これは私の今後の事業で重要な「キーワード」になります。

 MBAではそれこそ数多くの企業を研究しました。

 その中で、「エクセレントカンパニー」と呼ばれる企業にはある共通点がありました。

 それは、「ビジョンが明確で、かつ、それが徹底されていること」です。

 「ビジョン」は、組織の「方向性」を決めるものです。

 また、「ビジョン」は、途に迷った際の「羅針盤」になるものです。

 自分達の組織は一体何のために存在し、どんな点で社会貢献できるのか?

 この組織で自分達は一体何を成し遂げたいのか?

 この組織の根本部分を固めていく作業が「ビジョンメイキング」です。

 一見、当たり前のような作業ですが、実は「詰め切れていない組織」がたくさん存在します。

 とりあえず「書き出してみただけ」という組織もたくさん存在します。

 これでは、そのビジョンはいつまで経っても達成できないでしょう。

 女流独立問題は混沌としてきました。

 現時点ではどんな決着を迎えるのかは私も全くわかりません。

 しかし、独立するにしろ、残るにしろ、自分達の今後の「ビジョン」は明確にすべきでしょう。

 でないと、だんだん影が薄くなって、やがて本当に「飾りだけの存在」になる。

 そんな危惧感があります。


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Posted by sbc2005com at 16:15Comments(6)

2007年03月20日

将棋界の今昔

 さて、今回は久しぶりに、将棋の本の紹介です。

勝負


 升田幸三先生の著書です。
 
 この本は、どうでしょう。

 少なくとも、通しで5回以上は読んでいるでしょうか。

 構成は短編コラム集ですので、コラムによっては20回以上読んでいるものもあるはずです。

 将棋の本というよりも、「ビジネスに通じる哲学書」「人生哲学書」として私は読んでいます。

 さて、それだけ読んでいるのに、「これは?」という箇所が見つかりました。

 以下の内容です。

 【内容抜粋 P166〜167】

 私は弟子には放任主義です。あまりガチャガチャ言いません。

 ただ、われわれの将棋連盟というところの方針、これはよく教えとく。

 妙な動きをしたきゃしてもいいが、即刻、退会するか、筆誅をうけるか、とにかくそういう特別な団体なんですから、そういうあらましのことは教えときます。

 【以上、抜粋終わり】

 この箇所も過去何度も読んでいるはずですが、印象はほとんど残っていませんでした。

 が、将棋界が今のような状況の時に読み返してみると、俄然目を引くものがあります。

 「即刻、退会」「筆誅」

 非常に過激な言葉が並んでいます。

 この文章は今から40年近く前に書かれたものです。

 しかし、まるで「今」を写し取って書かれたような感覚にもとらわれます。

 ふと、「升田先生が今も生きておられたら何と書くだろう。」

 と考えました。
 
 「何も変わっていないよ。将棋界は。」

 でしょうか。


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Posted by sbc2005com at 12:45Comments(4)

2007年03月18日

郵政公社を狙え!

 さて、今回は読者の方より頂いたアイデアを自由な発想で膨らませてみたいと思います。

 【アイデア】
 ・新スポンサーとして「金融機関」はどうか?

 私は、これは結構おもしろいんじゃないか。

 と考えました。

 簡単なロジックは以下の通りです。

 今年2007年より、団塊世代が順次退職していきます。

 その退職金の総額は「85兆円」とも言われています。

 この巨額の退職金をめぐって、各企業が壮絶なしのぎを削っています。

 もちろん、金融機関もしかり。

 投資信託等の金融商品の売り込みにあの手この手の大合唱です。

 「ここに将棋界が一枚かめないか?」

 に着目します。

 つまり、将棋界のスポンサーになることにより、シニア将棋ファンの金融資産にリーチ(接触)することができる点をアピールするわけです。

 ちなみに、「大和証券」がネット棋戦のスポンサーになってくれた背景には、同様の計算があると思います。

 では、具体的に「どの金融機関にアプローチをかけるか?」

 ですが、

 私が考える一押しは

 「郵政公社」

 です。

 小泉改革の決定を受けて、郵政公社は今年の秋には「民営化」となります。

 現在でも投資信託等の金融商品は販売していますが、民営化後の「販促キャンペーン」に将棋を一枚かませるのはどうだろう。と考えます。

 郵政公社にスポンサーになってもらうメリットには、「郵便局」が使えるというものもあります。

 郵便局の窓口で将棋の普及をしてもらえれば、ある意味「最強」かもしれません。


 今回は、自由にアイデアを膨らませてみました。

 閉塞感が漂う時こそ柔軟な発想は重要です。

 今後も、皆さんのアイデアをお待ち致しております。


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Posted by sbc2005com at 00:23Comments(4)