保険の契約者変更情報の共有

平成30年1月1日から、保険契約の変更に関する情報について、税務署が把握をするようになりました。これは平成27年度の改正によるもので、保険会社は保険契約者の死亡により契約者の変更が行われた場合や保険契約の一時金の支払いが行われた際に、契約者変更の情報を記載した調書を作成し税務署に提出することになりました。これらの調書の提出により、税務署側は以前より申告漏れの把握が容易になりました。

今後、特に注意が必要なケースは下記の2件です。
保険事故が発生していない保険契約に係る相続税の申告漏れ
(契約変更前)【契約者】父【被保険者】母【受取人】父 →父が死亡
(契約変更後)【契約者】子【被保険者】母【受取人】子
→生命保険契約に関する契約者の地位を「子」が引き継いでいるため、相続開始時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金相当額が“相続財産”となりますが、以前より申告漏れが多くありました。

一時所得の計算における払込保険料の控除過大
(契約変更前)【契約者】父【被保険者】母【受取人】子 →父が死亡
(契約変更後)【契約者】子【被保険者】母【受取人】子
→将来、保険料が満期を迎えて一時金の支払いがあった場合、一時所得として所得税の申告を行いますが、過去に父が払い込んだ保険料は所得税の計算上、控除をすることはできません。しかし、旧契約者である父の払込保険料も含めて控除しているケースが多くありました。

この改正は平成30年1月1日以後に変更の効力が生じるものから対象となります。

新しい改正については、その処理方法が煩雑になりがちです。税務調査が入ってからでは対応が間に合いません。正しい知識で正しい申告をするためにも、やはり税の専門家に依頼する方が安心・安全です。

食用の農林水産物事業のみなし仕入率(消費税)の見直し

平成30年度の税制改正で消費税について、簡易課税制度のみなし仕入率(※1)の見直しが行われました。改正の主な理由として、消費税率が10%へ引き上げられるタイミングで軽減税率制度(※2)も適用されることに伴い、農林水産業のうち食用の農林水産物を生産する事業を「第2種事業」とし、みなし仕入率を80%(現行70%)とする改正が行われました。

(※1)みなし仕入率
消費税の計算で実際の仕入れに係る消費税額を計算せずに、業種別に決められた率(=みなし仕入率)で消費税額を計算するものです。

(※2)軽減税率制度
消費税率を10%に引き上げる際に、生活必需品等は税率を10%に引き上げず、8%に据え置くことになりました。この8%に据え置く制度を「軽減税率制度」といいます。

この改正は、平成31年10月1日を含む課税期間から適用されます。

注意点として、消費税は“取引単位”で適用税率を判定するため、平成31年9月30日までの期間に係る事業については「みなし仕入率70%」で消費税の計算を行い、平成31年10月1日以後の期間に係る事業については、「みなし仕入率80%」で計算して、各々の計算を行った合計額で消費税額を確定させる必要があります。

新しい改正については、その処理方法が煩雑になりがちです。税務調査が入ってからでは対応が間に合いません。正しい知識で正しい申告をするためにも、やはり税の専門家に依頼する方が安心・安全です。

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の見直し

小規模宅地特例※について、形式的な要件を満たすことによって本来の立法趣旨に反した課税回避を防止することを目的として改正が行われました。

※小規模宅地特例とは、被相続人等の「居住・事業・貸付の用に供していた宅地等」を、その親族が相続等により取得する場合、一定の要件の下で、これらの宅地等の相続税対象額を相続税の課税対象から減額できる制度のことです。

主な見直しは下記の3点です。

①いわゆる「家なき子」の特例適用についての一部除外
●適用除外対象者
相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者、相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

②貸付事業用宅地等の範囲の見直し
●相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等
【改正前】適用可(200㎡まで50%評価減額)
【改正後】適用不可(相続開始前3年を超えて事業的規模での貸付事業を行っている者が貸付に供したものを除く)

③介護医療院に入所したことにより居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について特例の適用が可能となりました。

この改正は、平成30年4月1日以後の相続税について適用されます。

新しい事象については、正しい知識で正しい申告をするためにも、やはり税の専門家に依頼する方が安心・安全です。

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