2005年02月08日23:17

前川貴行の動物写真

前川貴行
 先日、丸山健二さんにご紹介いただいた、動物写真家の前川貴行さんとお会いすることができた。

 前川さんは1969年東京都生まれ。コンピュータ技術職を経て、二十代後半で動物写真家の巨匠、田中光常氏の助手になり、写真家として独り立ちした。田中光常氏と言えば、門下にはあの故・星野道夫氏もいる。日本の動物写真の草分けの一人で、ぼくも一度だけ取材でお目にかかったこともがある(前川さんの事務所在籍時代と重なるため、ぼくは前川さんとニアミスしていたらしい)。

 ibookのスライドウショウで、アラスカのシロクマ、北海道の黒熊、アラスカのハクトウワシ、江ノ島の猫、北海道の動物たちの写真を見せてもらった(その一部は前川さんのホームページで見ることができる)

 自然と動物の関係性をドラマチックに表現した写真で、人間とは無関係の、動物たちだけの「世界」がこの地上にあることが実感できる。動物の世界が、限りなく単純でシンプルなことがよくわかる。翻ってみれば、人間の世界のなんと混沌と複雑なことよ。

 ト、まあ、そんな見方は情緒的にすぎるかもしれないが、前川さんの写真が一つの世界を作っていることは紛れもない事実だ。

 聞けば、自然科学系の雑誌が次々に消えていき、動物写真を掲載する媒体は少ないという。犬、猫写真は売れると巷間言われているが、たしかにほかの動物についてはあまり聞かない。写真家ベースで見ても、スター写真家といえるのは岩合光昭氏のほかには、亡くなってしまった星野道夫氏くらいではないか。前川さん世代の動物写真家とい言われても、正直、思い浮かばない。

 世間を見れば、動物好きの人は少なくない。テレビの娯楽番組でも、動物を扱った番組には根強い人気がある。では、彼らと動物写真を楽しむ人はなぜ重ならないのか。本や雑誌のつくりが動物好きのニーズを満たしていないのか。もしかすると、これは「編集」の工夫が必要な問題なのかもしれないと思う。

 白銀の世界にたたずむシロクマの、物音一つしないような静かな世界。人間並みの知性があるのではないかと思わせるハクトウワシの哲学的な風貌。前川貴行さんの写真には、見るものを別の世界に引っ張り込む握力の強さがある。これから注目の動物写真家だ。

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この記事へのコメント

1. Posted by studio1984jp   2007年01月03日 12:58
はじめまして。
TOHO見聞録というブログを最近はじめた者です。
前川貴行さんから年賀状が届き、彼の作品が紹介されている写真展が東京写真美術館で昨日から開催されていることを知りました。
その情報をブログにアップしました。

こちらのブログのURLを、TPさせていただきましたので、よろしくお願い致します。
2. Posted by タカザワ   2007年02月16日 12:19
studio1984jpさん

東京都写真美術館で前川さんが参加している三人展「地球の旅人:新たなネイチャーフォトの挑戦」を見てきました。

運良く、前川さんと会場でお会いできました。

展示は、前川さんの作品がトップバッターで、入り口に掲げられたハクトウワシの写真は迫力がありました。

いい仕事をされています。

6月には調布で、11月には柏崎で個展を開かれるそうです。詳しい情報がわかり次第、ブログで紹介していく予定です。

今後ともよろしくお願いします。

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