要旨
JRAの2013年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。
ランキングに誤りがあったため、修正済み。
背景と目的
2013年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。
記事の詳細
1.2013年リーディングサイアーランキング 表1は2013年リーディングサイアーランキング上位10傑である。
1位、2位は予想通りディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強時代が際立ってきた。それを裏付ける数値として、以下が挙げられる。
- 勝馬率が2頭とも高い
- アーニングインデックス(以下EI)が高い
ディープのEIは2.67と傑出している。キンカメも1.68と優秀だが、ディープとは差をつけられた。1頭あたりの平均出走回数が4.5回と今年は平凡だった。
3位シンボリクリスエスは、昨年に続き勝馬率、EIとも凡庸だが相変わらず出走回数の多さで稼いでいる。4位ダイワメジャーは、3年目で4位に食い込んできた。1頭あたりの平均出走回数、平均勝ち数が高く、優秀である。ハーツクライも5位進出、勝ち馬率、EIが高く種牡馬としての総合力が高いといえる。6位ステイゴールドは勝ち馬率は低いがEIが高く大物で稼いでいる。7位~10位は近年の上位常連であるが、クロフネが10位になってしまった。ダイワ、ハーツクライらに押し出された感じだ。アグネスタキオンはついに10位以内から陥落してしまった。
順位 | 馬名 | 勝馬率 | EI | 賞金[億円] | 代表産駒 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ディープインパクト | 0.444 | 2.67 | 54.6 | ジェンティルドンナ |
2 | キングカメハメハ | 0.33 | 1.68 | 40 | ロードカナロア |
3 | シンボリクリスエス | 0.269 | 1.1 | 22.1 | エピファネイア |
4 | ダイワメジャー | 0.324 | 1.46 | 21.8 | ダイワマッジョーレ |
5 | ハーツクライ | 0.332 | 1.57 | 21.6 | ジャスタウェイ |
6 | ステイゴールド | 0.256 | 1.56 | 21.1 | ゴールドシップ |
7 | マンハッタンカフェ | 0.262 | 1.37 | 20.3 | グレープブランデー |
8 | フジキセキ | 0.302 | 1.27 | 19.2 | ブライトライン |
9 | ネオユニヴァース | 0.257 | 0.94 | 18.4 | デスペラード |
10 | クロフネ | 0.277 | 1.09 | 18.1 | ホエールキャプチャ |
2.過去10年間の変遷
本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
2007年までは、SS独壇場、2008年にタキオンが内国産として数10年ぶりにリーディング1位を獲得、2010年、2011年はキンカメ、2012年にディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。2頭は非常に優秀なのでしばらくはこの2強体制が続くだろう。
過去のリーディング1位タキオン、マンカフェは5位に入ることができなくなってきた。その代りに、ダイワメジャー、ハーツクライらが台頭した。勝ち馬率やEIの点でこれら2頭は優秀であり、2強がいなければタキオン、マンカフェ以上の活躍をした可能性は十分ある。
SS勢力という見方をすると、2010年以降安定してSS産駒が10位以内に半分以上ランクインしているが、SS孫世代種牡馬は目立ったものがいない。昨年と同様にSS直仔種牡馬以降に孫世代が上位を形成できるかは不透明だ。今年引退したオルフェーヴルなどが活躍してほしいところだ。

2.今後の展望
前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
1位、2位は勝馬率、EIに優れるディープ、キンカメで堅いだろう。3位、4位はダイワ、ハーツの争いになるだろう。シンボリクリスエスは、出走頭数が多く安定はしているがダイワ、ハーツの世代数が増えると逆転される可能性は高い。クロフネは非常に高い安定感がある。ステイゴールドはゴールドシップよりも下の世代から大物がでるかが重要である。かつてのリーディングであるタキオン、マンカフェ、またネオユニヴァースなどは10位前後を形成する力はあるだろうが、今年より大きく上昇は難しいだろう。フジキセキ年齢的にはかなり頑張っているが来年あたりが10位以内最後のチャンスになろう。
新興勢力について触れておく。昨年アドマイヤムーンを推したが15位までだった。しかし、力のあるところは見せているので10位も視野に入るだろう。それと、ゴールドアリュールがじわじわ上がってきている。ダート巧者のため大きく稼ぎづらいが力があるので、10位前後を形成するのは間違いないだろう。今年は、初年度で100位以内に入った馬がいないようだ。今後数年はリーディング上位のメンバーは固定化されそうだ。
最後に2013年のリーディング予想を表2にまとめておく。
順位 | 馬名 | コメント |
---|---|---|
1位 | ディープインパクト | 極めて傑出した能力によりほぼ確実。 |
2位 | キングカメハメハ | 傑出した能力で2位を堅持。 |
3位グループ | ダイワメジャー、ハーツクライ | 新興2頭。非常に優秀だ。 |
5位-10位グループ | シンボリクリスエス、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、アドマイヤムーン、クロフネ |
まとめと今後の課題
2013年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。
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