要旨

 JRAの2014年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2014年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2014年リーディングサイアーランキング

 表1は2014年リーディングサイアーランキング上位10傑である。
1位、2位は昨年記事の予想通りディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強継続だ。ディープは勝馬率0.399、アーニングインデクス(以下、EI)が2.74と他の9頭の平均である0.279、1.29に比べて圧倒的に高い。EI=1.79で2位のハーツクライ(以下、ハーツ)とくらべても1近くの差がある。この能力の傑出ぶりは、もはや語る必要はない。
 キンカメは、出走回数が200回程度増えたもの賞金は前年とほぼ同じで、結果的にEIが下がった。GI勝ち馬が前年同様1頭のみ(ホッコータルマエ)であり、2位としては寂しい。また、リーディングトップ時の売りであった1頭あたりの出走回数が4.4と下がり平凡になってしまった。
 3位ハーツクライは、やはりというべきか、浮上してきた。勝馬率、EIの点では既にキンカメより勢いがある。4位シンボリクリスエスは、1頭あたりの平均出走回数が5.1回と丈夫だ。ただ、JC勝ちのエピファネイアのおかげで賞金がダイワを上回った感があり、実際には勝馬率の高いダイワのほうが勢いがありそうだ。こちらも1頭あたりの平均出走回数が多い。6位ネオユニヴァースは実は10頭の中であまり目立つ部分がないが、前年より重賞勝ちが増え、順位が上がった。ステイゴールドは、相変わらず我が道を行く感じで、低勝馬率ながら大物が大レースで活躍する。フジキセキは、出走回数が減ってきたがその中でイスラボニータが出て踏ん張った。ゴールドアリュールは、昨年予想で10位以内に期待と書いたが、まさに食い込んできた。コパノリッキーがG1を勝ち、ダート屋の役割を完全に果たしている。また、昨年予想で面々に大きな変化がないと書いたが、やはりその通りでクロフネが11位になったくらいでほとんど変化がなかった。


表1 2014年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.399 2.74 67.6 ジェンティルドンナ
2 キングカメハメハ 0.331 1.49 39.8 トゥザワールド
3 ハーツクライ 0.334 1.79 32.2 ワンアンドオンリー
4 シンボリクリスエス 0.247 1.24 21.9 エピファネイア
5 ダイワメジャー 0.308 1.30 21.6 コパノリチャード
6 ネオユニヴァース 0.252 1.10 20.1 デスペラード
7 マンハッタンカフェ 0.257 1.06 18.5 ラブイズブーシェ
8 ステイゴールド 0.193 0.99 18.1 ゴールドシップ
9 フジキセキ 0.257 0.45 16.8 イスラボニータ
10 ゴールドアリュール 0.336 1.23 16.7 コパノリッキー


2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2007年までは、SS独壇場、2008年にタキオンが内国産として数10年ぶりにリーディング1位を獲得、2010年、2011年はキンカメ、2012年にディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。昨年と今年で10位以内で入れ替わったのはゴールドアリュールとクロフネの間だけである。
 過去のリーディング1位タキオン、マンカフェは凋落した。特に、タキオンは前年より5億も賞金を減らし15位だ。その代り、ダイワメジャー、ハーツクライらが台頭した。勝ち馬率やEIの点でこれら2頭は優秀であり、実際今年ハーツクライは32億稼ぎ、キンカメに迫る勢いだ。
 

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2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 1位は圧倒的成績のディープ、2位は今年10億ほど賞金を伸ばしたハーツクライ、3位はキンカメ、ここまでは堅いだろう。4位はダイワメジャーだろう。勝馬率、EIの劣るシンボリクリスエスより上に行きそうだ。5位以下は、あまり差がなさそうだが、いつもの面々であるステイゴールド、シンボリクリスエス、ネオユニヴァース、ダート屋ゴールドアリュールあたりに今年約3億賞金を伸ばしたゼンノロブロイ、クロフネ、アドマイヤムーンあたりが食い込めるかという感じだろう。フジキセキは今年9位ながら賞金、出走頭数が落ちてきたため、もう10位以内は厳しいと思われる。
 新興勢力については、新種牡馬としてハービンシャーが55位、ヴァーミリアンが88位で今後が楽しみだ。初年度50位台は将来のベスト10も期待できる。ヴァーミリアンはエルコンドルパサー産駒の種牡馬があまりいないので、頑張ってほしい。 最後に2015年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2015年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 ハーツクライ 傑出した能力で2位に上昇。
3位 キングカメハメハ ハーツに抜かれそうだが、3位は確実だろう。
4位 ダイワメジャー 3位は厳しいが、勝馬率が高く出走回数が多いため、ほぼ4位を確保できそう。
5位-10位グループ シンボリクリスエス、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ


まとめと今後の課題

2014年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。