要旨

 JRAの2015年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2015年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2015年リーディングサイアーランキング

 表1は2015年リーディングサイアーランキング上位10傑。
1位、2位はそれぞれディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強状態が今年も継続した。ディープは勝馬率、EIとも昨年より下がったが、EI=2.55は、他の9頭の平均である1.22に比べて圧倒的に高い。勝馬率は、他9頭と比べ最も高いが、他9頭も平均が.300と上昇したため今年はやや差が縮まった。それでも非常に優秀だ。
 キンカメは、獲得賞金が約3割も増えた。勝馬率、EIとも上昇し、ここへきてディープとの差を少し詰めた。EIが2近くになったのは、初リーディングトップの2010年以来だ。また、クラシック3勝を含むG1 6勝と最もG1馬が多くなった。牡馬のラブリーデイ、ドゥラメンテが活躍したのは、後継候補が増えるという意味でも非常に良かったと思う。
 3位ハーツクライは昨年、勝馬率、EIの点で優秀なため、キンカメを抜くと予想したが、逆にかなり差を付けられた。重賞勝利馬の数で大きく差がある。主力のヌーヴォレコルト、ワンアンドオンリーが活躍できなかったのも残念だ。4位ダイワメジャーは、勝馬率は非常に優秀だが、EIが1.20と寂しい。ハーツ同様上級レースで勝てる馬がいなかったということであろう。5位ステイゴールドは、勝ち馬率が改善した。G1はゴールドシップのみだったが、産駒全体で稼いだ印象だ。6位マンハッタンカフェは昨年とほぼ同様の成績。目立つ部分はないが、安定している。ゼンノロブロイは、勝馬率が上昇し、今年ついに10位以内に入った。ネオユニヴァースは勝ち馬率が上昇したが、全体の賞金が減り8位に下降。クロフネは、昨年11位から9位に戻ったが、勝馬率、EIとも下がり、さすがにピークは過ぎたか。ゴールドアリュールは、ダート路線では圧倒的で、勝馬率も.321と優秀。シンボリクリスエスが産駒数も勝馬率も低下したためか、11位になってしまった。
 10位以内でみると、フジキセキ、シンボリクリスエスの代わりに、ゼンノ、クロフネが入ったくらいで大きな変化はなかったといえる。


表1 2015年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.366 2.55 69.1 ショウナンパンドラ
2 キングカメハメハ 0.347 1.91 53.7 ラブリーデイ
3 ハーツクライ 0.332 1.36 25.0 ヌーヴォレコルト
4 ダイワメジャー 0.329 1.22 24.4 メジャーエンブレム
5 ステイゴールド 0.265 1.16 22.3 ゴールドシップ
6 マンハッタンカフェ 0.255 1.12 18.6 クイーンズリング
7 ゼンノロブロイ 0.304 1.03 17.8 リアファル
8 ネオユニヴァース 0.293 1.05 17.0 サウンズオブアース
9 クロフネ 0.258 1 17.0 アップトゥデイト
10 ゴールドアリュール 0.321 1.17 15.6 コパノリッキー


2.過去10年間の変遷

 図2は、過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷である。
 2011年以降、ディープ、キンカメ2強が続いている。ディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。数年前までの上位常連であるフジキセキ、シンボリクリスエス、クロフネはピークが過ぎ、新世代としてダイワメジャー、ハーツクライ、ゴールドアリュールが安定勢力となった。また、ネオユニヴァース、ゼンノロブロイらも安定して上位を形成している。ここ数年は、メンバ―の入れ替わりが少ない傾向が続いている。年齢的にはステイゴールド、マンハッタンカフェが年上であることから、来年以降はこれらの後釜が出てくるかが注目ポイントになるだろう。
 

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2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 来年も1位ディープ、2位キンカメが堅いだろう。2頭は賞金的にも突出している。3位、4位はハーツクライ、ダイワメジャーが甲乙つけがたい。5位以下は、あまり差がなさそうだが、ステイゴールド、ネオユニヴァース、ゼンノロブロイ、ゴールドアリュール、クロフネ、マンハッタンカフェは安定として、アドマイヤムーン、ハービンジャーの上昇に期待もしたい。ハービンジャーは予想通り、2年目14位と台頭してきた。なお、スクリーンヒーローも期待したいが、少し産駒数が少なすぎる。
 新興勢力については、初年度100位以内として、ヴィクトワールピサ(74位)、ワークフォース(83位)、カジノドライヴ(84位)、ダノンシャンティ(91位)、ドリームジャーニー(97位)がいる。ヴィクトワールピサは、シンボリクリスエスの初年度と同程度の順位、出走頭数、勝ち馬率なので、将来の上位も期待できるかもしれない。 最後に2016年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2016年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で2位確実。
3位グループ ハーツクライ、ダイワメジャー 2015年ほぼ同等の成績。2016年も3位争いをするだろう。
5位-10位グループ マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、ネオユニヴァース、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ、ハービンジャー 産駒数が多く安定な面々に、ハービンジャー、アドマイヤムーンが食い込めるか。
新興勢力 ヴィクトワールピサ 2015年はシンボリクリスエス初年度相当の活躍。2016年は上昇していきそう。


まとめと今後の課題

2015年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。