概要

 JRAの2016年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2016年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


詳細

1.2016年リーディングサイアーランキング

 表1は2015年リーディングサイアーランキング上位10傑。
1位、2位はそれぞれディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強状態が今年も継続した。ディープは勝馬率、EIとも他の9頭に比べて抜きん出ている。相変わらず優秀。
 キンカメは、獲得賞金が約10億円減り40億円程度になったが、これは、昨年G1を6勝と好調だったためで、初リーディングの2010年以降ずっと40億前後で稼ぎまくっているので全く成績は落ちていないといえる。
 ダイワメジャーは、上2頭とは差があるが、ついにトップ3入り。勝馬率がキンカメとほぼ同等で、クズが少ないのだろう。
 4位ハーツクライは、EIはダイワに勝っているが、勝馬率でやや劣る。また、G1勝ちがないのも辛い。2年連続でG1勝ちがないのが少し心配だ。
 5位ステイゴールドは、相変わらず勝馬率もEIも低いが、稼ぎはハーツクライと同等。産駒数が多いのが救いか。
 6位マンハッタンカフェは稼ぎが昨年とほぼ同等だが、勝馬率が非常に上がった。目立つ部分はないが、安定している。
 クロフネは、重賞2勝だけだが、渋太く上昇。勝馬率が上がって手堅く稼いでいる。
 ネオユニヴァースは昨年と同じ8位。勝馬率が下がったがどうにか踏みとどまったという感じだ。
 ハービンジャーは、産駒数も増えてついに本領発揮か。しかし、大物不足でやや物足りない。コンスタントに稼ぐタイプかもしれない。
 ブラックタイドは、さすがディープの全兄。しかし、勝馬率はベスト10クラスとしては物足りない。稼ぎがキタサンブラックにかなり依存している。
 昨年との変化で見ると、ゴールドアリュール、ゼンノロブロイが1年でいなくなってしまったのが少し寂しい。

表3 表3 2016年リーディングサイアーランキング10傑
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.374 2.8 73.7 サトノダイヤモンド
2 キングカメハメハ 0.321 1.66 42.5 ヤマカツエース
3 ダイワメジャー 0.319 1.31 27.8 メジャーエンブレム
4 ハーツクライ 0.281 1.41 25.6 シュヴァルグラン
5 ステイゴールド 0.264 1.25 25.4 オジュウチョウサン
6 マンハッタンカフェ 0.314 1.18 18.7 クイーンズリング
7 クロフネ 0.307 1.12 17.6 ホワイトフーガ
8 ネオユニヴァース 0.233 1.19 16 サウンズオブアース
9 ハービンジャー 0.291 0.99 15.7 マイネルサージュ
10 ブラックタイド 0.248 1.52 14.9 キタサンブラック


2.過去10年間の変遷

 図2は、過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷である。
 2011年以降、ディープ、キンカメ2強が続いている。数年前までの上位常連であるフジキセキ、シンボリクリスエス、クロフネはピークが過ぎ、新世代としてダイワメジャー、ハーツクライ、ステイゴールドが安定勢力となった。また、ネオユニヴァース、マンハッタンカフェらも安定して上位を形成している。ここ数年は、メンバ―の入れ替わりが少ない傾向が続いている。注目株であったハービンジャーが9位に入ったのが、今年の大きな変化だろう。

2016
図2 過去10年の変遷

3.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 来年も1位ディープ、2位キンカメが堅いだろう。3位、4位はハーツクライ、ダイワメジャーだろうがダイワが優位か。5位以下は、常連のステイゴールド、マンハッタンカフェに、ハービンジャーが食い込んでくるだろう。クロフネ、ネオユニヴァースはさすがに上昇はきついと思われる。10位以内確保できるかどうかという戦いになりそう。
10位をうかがう馬としては、ヴィクトワールピサが今年17位で有望。アドマイヤムーンは少し頭打ち気味だが、まだ可能性はありそう。
 新興勢力については、初年度100位以内として、ルーラーシップ(65位)、アイルハヴアナザー(78位)、ディープブリランテ(81位)がいる。ルーラーシップは、勝馬率0.257と優秀。言わずと知れた良血で、ややムラのある現役時代を考えると、ステイゴールド的な活躍をするかもしれない。なかなか期待が持てそう。最後に2017年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2017年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で2位確実。
3位、4位 ダイワメジャー、ハーツクライ 2017年も3位争いをするだろう。
5-6位グループ ステイゴールド、ハービンジャー ハービンジャーは上昇しそう。
7-10位グループ マンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、ネオユニヴァース、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ、ヴィクトワールピサ 産駒数が多く安定な面々に、ヴィクトワールピサが食い込めるか。
新興勢力 ルーラーシップ 高勝馬率。いずれはトップ10を狙える感じ。


まとめと今後の課題

 2016年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。