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概要

 JRAの2016年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2016年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


詳細

1.2016年リーディングサイアーランキング

 表1は2015年リーディングサイアーランキング上位10傑。
1位、2位はそれぞれディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強状態が今年も継続した。ディープは勝馬率、EIとも他の9頭に比べて抜きん出ている。相変わらず優秀。
 キンカメは、獲得賞金が約10億円減り40億円程度になったが、これは、昨年G1を6勝と好調だったためで、初リーディングの2010年以降ずっと40億前後で稼ぎまくっているので全く成績は落ちていないといえる。
 ダイワメジャーは、上2頭とは差があるが、ついにトップ3入り。勝馬率がキンカメとほぼ同等で、クズが少ないのだろう。
 4位ハーツクライは、EIはダイワに勝っているが、勝馬率でやや劣る。また、G1勝ちがないのも辛い。2年連続でG1勝ちがないのが少し心配だ。
 5位ステイゴールドは、相変わらず勝馬率もEIも低いが、稼ぎはハーツクライと同等。産駒数が多いのが救いか。
 6位マンハッタンカフェは稼ぎが昨年とほぼ同等だが、勝馬率が非常に上がった。目立つ部分はないが、安定している。
 クロフネは、重賞2勝だけだが、渋太く上昇。勝馬率が上がって手堅く稼いでいる。
 ネオユニヴァースは昨年と同じ8位。勝馬率が下がったがどうにか踏みとどまったという感じだ。
 ハービンジャーは、産駒数も増えてついに本領発揮か。しかし、大物不足でやや物足りない。コンスタントに稼ぐタイプかもしれない。
 ブラックタイドは、さすがディープの全兄。しかし、勝馬率はベスト10クラスとしては物足りない。稼ぎがキタサンブラックにかなり依存している。
 昨年との変化で見ると、ゴールドアリュール、ゼンノロブロイが1年でいなくなってしまったのが少し寂しい。

表3 表3 2016年リーディングサイアーランキング10傑
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.374 2.8 73.7 サトノダイヤモンド
2 キングカメハメハ 0.321 1.66 42.5 ヤマカツエース
3 ダイワメジャー 0.319 1.31 27.8 メジャーエンブレム
4 ハーツクライ 0.281 1.41 25.6 シュヴァルグラン
5 ステイゴールド 0.264 1.25 25.4 オジュウチョウサン
6 マンハッタンカフェ 0.314 1.18 18.7 クイーンズリング
7 クロフネ 0.307 1.12 17.6 ホワイトフーガ
8 ネオユニヴァース 0.233 1.19 16 サウンズオブアース
9 ハービンジャー 0.291 0.99 15.7 マイネルサージュ
10 ブラックタイド 0.248 1.52 14.9 キタサンブラック


2.過去10年間の変遷

 図2は、過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷である。
 2011年以降、ディープ、キンカメ2強が続いている。数年前までの上位常連であるフジキセキ、シンボリクリスエス、クロフネはピークが過ぎ、新世代としてダイワメジャー、ハーツクライ、ステイゴールドが安定勢力となった。また、ネオユニヴァース、マンハッタンカフェらも安定して上位を形成している。ここ数年は、メンバ―の入れ替わりが少ない傾向が続いている。注目株であったハービンジャーが9位に入ったのが、今年の大きな変化だろう。

2016
図2 過去10年の変遷

3.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 来年も1位ディープ、2位キンカメが堅いだろう。3位、4位はハーツクライ、ダイワメジャーだろうがダイワが優位か。5位以下は、常連のステイゴールド、マンハッタンカフェに、ハービンジャーが食い込んでくるだろう。クロフネ、ネオユニヴァースはさすがに上昇はきついと思われる。10位以内確保できるかどうかという戦いになりそう。
10位をうかがう馬としては、ヴィクトワールピサが今年17位で有望。アドマイヤムーンは少し頭打ち気味だが、まだ可能性はありそう。
 新興勢力については、初年度100位以内として、ルーラーシップ(65位)、アイルハヴアナザー(78位)、ディープブリランテ(81位)がいる。ルーラーシップは、勝馬率0.257と優秀。言わずと知れた良血で、ややムラのある現役時代を考えると、ステイゴールド的な活躍をするかもしれない。なかなか期待が持てそう。最後に2017年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2017年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で2位確実。
3位、4位 ダイワメジャー、ハーツクライ 2017年も3位争いをするだろう。
5-6位グループ ステイゴールド、ハービンジャー ハービンジャーは上昇しそう。
7-10位グループ マンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、ネオユニヴァース、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ、ヴィクトワールピサ 産駒数が多く安定な面々に、ヴィクトワールピサが食い込めるか。
新興勢力 ルーラーシップ 高勝馬率。いずれはトップ10を狙える感じ。


まとめと今後の課題

 2016年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。

要旨

 JRAの2015年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2015年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2015年リーディングサイアーランキング

 表1は2015年リーディングサイアーランキング上位10傑。
1位、2位はそれぞれディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強状態が今年も継続した。ディープは勝馬率、EIとも昨年より下がったが、EI=2.55は、他の9頭の平均である1.22に比べて圧倒的に高い。勝馬率は、他9頭と比べ最も高いが、他9頭も平均が.300と上昇したため今年はやや差が縮まった。それでも非常に優秀だ。
 キンカメは、獲得賞金が約3割も増えた。勝馬率、EIとも上昇し、ここへきてディープとの差を少し詰めた。EIが2近くになったのは、初リーディングトップの2010年以来だ。また、クラシック3勝を含むG1 6勝と最もG1馬が多くなった。牡馬のラブリーデイ、ドゥラメンテが活躍したのは、後継候補が増えるという意味でも非常に良かったと思う。
 3位ハーツクライは昨年、勝馬率、EIの点で優秀なため、キンカメを抜くと予想したが、逆にかなり差を付けられた。重賞勝利馬の数で大きく差がある。主力のヌーヴォレコルト、ワンアンドオンリーが活躍できなかったのも残念だ。4位ダイワメジャーは、勝馬率は非常に優秀だが、EIが1.20と寂しい。ハーツ同様上級レースで勝てる馬がいなかったということであろう。5位ステイゴールドは、勝ち馬率が改善した。G1はゴールドシップのみだったが、産駒全体で稼いだ印象だ。6位マンハッタンカフェは昨年とほぼ同様の成績。目立つ部分はないが、安定している。ゼンノロブロイは、勝馬率が上昇し、今年ついに10位以内に入った。ネオユニヴァースは勝ち馬率が上昇したが、全体の賞金が減り8位に下降。クロフネは、昨年11位から9位に戻ったが、勝馬率、EIとも下がり、さすがにピークは過ぎたか。ゴールドアリュールは、ダート路線では圧倒的で、勝馬率も.321と優秀。シンボリクリスエスが産駒数も勝馬率も低下したためか、11位になってしまった。
 10位以内でみると、フジキセキ、シンボリクリスエスの代わりに、ゼンノ、クロフネが入ったくらいで大きな変化はなかったといえる。


表1 2015年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.366 2.55 69.1 ショウナンパンドラ
2 キングカメハメハ 0.347 1.91 53.7 ラブリーデイ
3 ハーツクライ 0.332 1.36 25.0 ヌーヴォレコルト
4 ダイワメジャー 0.329 1.22 24.4 メジャーエンブレム
5 ステイゴールド 0.265 1.16 22.3 ゴールドシップ
6 マンハッタンカフェ 0.255 1.12 18.6 クイーンズリング
7 ゼンノロブロイ 0.304 1.03 17.8 リアファル
8 ネオユニヴァース 0.293 1.05 17.0 サウンズオブアース
9 クロフネ 0.258 1 17.0 アップトゥデイト
10 ゴールドアリュール 0.321 1.17 15.6 コパノリッキー


2.過去10年間の変遷

 図2は、過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷である。
 2011年以降、ディープ、キンカメ2強が続いている。ディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。数年前までの上位常連であるフジキセキ、シンボリクリスエス、クロフネはピークが過ぎ、新世代としてダイワメジャー、ハーツクライ、ゴールドアリュールが安定勢力となった。また、ネオユニヴァース、ゼンノロブロイらも安定して上位を形成している。ここ数年は、メンバ―の入れ替わりが少ない傾向が続いている。年齢的にはステイゴールド、マンハッタンカフェが年上であることから、来年以降はこれらの後釜が出てくるかが注目ポイントになるだろう。
 

20151228230520


2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 来年も1位ディープ、2位キンカメが堅いだろう。2頭は賞金的にも突出している。3位、4位はハーツクライ、ダイワメジャーが甲乙つけがたい。5位以下は、あまり差がなさそうだが、ステイゴールド、ネオユニヴァース、ゼンノロブロイ、ゴールドアリュール、クロフネ、マンハッタンカフェは安定として、アドマイヤムーン、ハービンジャーの上昇に期待もしたい。ハービンジャーは予想通り、2年目14位と台頭してきた。なお、スクリーンヒーローも期待したいが、少し産駒数が少なすぎる。
 新興勢力については、初年度100位以内として、ヴィクトワールピサ(74位)、ワークフォース(83位)、カジノドライヴ(84位)、ダノンシャンティ(91位)、ドリームジャーニー(97位)がいる。ヴィクトワールピサは、シンボリクリスエスの初年度と同程度の順位、出走頭数、勝ち馬率なので、将来の上位も期待できるかもしれない。 最後に2016年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2016年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で2位確実。
3位グループ ハーツクライ、ダイワメジャー 2015年ほぼ同等の成績。2016年も3位争いをするだろう。
5位-10位グループ マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、ネオユニヴァース、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ、ハービンジャー 産駒数が多く安定な面々に、ハービンジャー、アドマイヤムーンが食い込めるか。
新興勢力 ヴィクトワールピサ 2015年はシンボリクリスエス初年度相当の活躍。2016年は上昇していきそう。


まとめと今後の課題

2015年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。


要旨

 JRAの2014年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2014年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2014年リーディングサイアーランキング

 表1は2014年リーディングサイアーランキング上位10傑である。
1位、2位は昨年記事の予想通りディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強継続だ。ディープは勝馬率0.399、アーニングインデクス(以下、EI)が2.74と他の9頭の平均である0.279、1.29に比べて圧倒的に高い。EI=1.79で2位のハーツクライ(以下、ハーツ)とくらべても1近くの差がある。この能力の傑出ぶりは、もはや語る必要はない。
 キンカメは、出走回数が200回程度増えたもの賞金は前年とほぼ同じで、結果的にEIが下がった。GI勝ち馬が前年同様1頭のみ(ホッコータルマエ)であり、2位としては寂しい。また、リーディングトップ時の売りであった1頭あたりの出走回数が4.4と下がり平凡になってしまった。
 3位ハーツクライは、やはりというべきか、浮上してきた。勝馬率、EIの点では既にキンカメより勢いがある。4位シンボリクリスエスは、1頭あたりの平均出走回数が5.1回と丈夫だ。ただ、JC勝ちのエピファネイアのおかげで賞金がダイワを上回った感があり、実際には勝馬率の高いダイワのほうが勢いがありそうだ。こちらも1頭あたりの平均出走回数が多い。6位ネオユニヴァースは実は10頭の中であまり目立つ部分がないが、前年より重賞勝ちが増え、順位が上がった。ステイゴールドは、相変わらず我が道を行く感じで、低勝馬率ながら大物が大レースで活躍する。フジキセキは、出走回数が減ってきたがその中でイスラボニータが出て踏ん張った。ゴールドアリュールは、昨年予想で10位以内に期待と書いたが、まさに食い込んできた。コパノリッキーがG1を勝ち、ダート屋の役割を完全に果たしている。また、昨年予想で面々に大きな変化がないと書いたが、やはりその通りでクロフネが11位になったくらいでほとんど変化がなかった。


表1 2014年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.399 2.74 67.6 ジェンティルドンナ
2 キングカメハメハ 0.331 1.49 39.8 トゥザワールド
3 ハーツクライ 0.334 1.79 32.2 ワンアンドオンリー
4 シンボリクリスエス 0.247 1.24 21.9 エピファネイア
5 ダイワメジャー 0.308 1.30 21.6 コパノリチャード
6 ネオユニヴァース 0.252 1.10 20.1 デスペラード
7 マンハッタンカフェ 0.257 1.06 18.5 ラブイズブーシェ
8 ステイゴールド 0.193 0.99 18.1 ゴールドシップ
9 フジキセキ 0.257 0.45 16.8 イスラボニータ
10 ゴールドアリュール 0.336 1.23 16.7 コパノリッキー


2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2007年までは、SS独壇場、2008年にタキオンが内国産として数10年ぶりにリーディング1位を獲得、2010年、2011年はキンカメ、2012年にディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。昨年と今年で10位以内で入れ替わったのはゴールドアリュールとクロフネの間だけである。
 過去のリーディング1位タキオン、マンカフェは凋落した。特に、タキオンは前年より5億も賞金を減らし15位だ。その代り、ダイワメジャー、ハーツクライらが台頭した。勝ち馬率やEIの点でこれら2頭は優秀であり、実際今年ハーツクライは32億稼ぎ、キンカメに迫る勢いだ。
 

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2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 1位は圧倒的成績のディープ、2位は今年10億ほど賞金を伸ばしたハーツクライ、3位はキンカメ、ここまでは堅いだろう。4位はダイワメジャーだろう。勝馬率、EIの劣るシンボリクリスエスより上に行きそうだ。5位以下は、あまり差がなさそうだが、いつもの面々であるステイゴールド、シンボリクリスエス、ネオユニヴァース、ダート屋ゴールドアリュールあたりに今年約3億賞金を伸ばしたゼンノロブロイ、クロフネ、アドマイヤムーンあたりが食い込めるかという感じだろう。フジキセキは今年9位ながら賞金、出走頭数が落ちてきたため、もう10位以内は厳しいと思われる。
 新興勢力については、新種牡馬としてハービンシャーが55位、ヴァーミリアンが88位で今後が楽しみだ。初年度50位台は将来のベスト10も期待できる。ヴァーミリアンはエルコンドルパサー産駒の種牡馬があまりいないので、頑張ってほしい。 最後に2015年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2015年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力により確実。
2位 ハーツクライ 傑出した能力で2位に上昇。
3位 キングカメハメハ ハーツに抜かれそうだが、3位は確実だろう。
4位 ダイワメジャー 3位は厳しいが、勝馬率が高く出走回数が多いため、ほぼ4位を確保できそう。
5位-10位グループ シンボリクリスエス、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、アドマイヤムーン、クロフネ、ゼンノロブロイ


まとめと今後の課題

2014年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。


要旨

 JRAの2013年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。
ランキングに誤りがあったため、修正済み。


背景と目的

 2013年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2013年リーディングサイアーランキング

 表1は2013年リーディングサイアーランキング上位10傑である。
1位、2位は予想通りディープインパクト(以下、ディープ)、キングカメハメハ(以下、キンカメ)となり2強時代が際立ってきた。それを裏付ける数値として、以下が挙げられる。

  1. 勝馬率が2頭とも高い
  2. アーニングインデックス(以下EI)が高い
 ディープは勝馬率が種牡馬デビュー以降4年間ずっと4割以上をキープしていて、能力が傑出している。キンカメも2010年の.412からは下がるが、.330と優秀だ。
 ディープのEIは2.67と傑出している。キンカメも1.68と優秀だが、ディープとは差をつけられた。1頭あたりの平均出走回数が4.5回と今年は平凡だった。
 
3位シンボリクリスエスは、昨年に続き勝馬率、EIとも凡庸だが相変わらず出走回数の多さで稼いでいる。4位ダイワメジャーは、3年目で4位に食い込んできた。1頭あたりの平均出走回数、平均勝ち数が高く、優秀である。ハーツクライも5位進出、勝ち馬率、EIが高く種牡馬としての総合力が高いといえる。6位ステイゴールドは勝ち馬率は低いがEIが高く大物で稼いでいる。7位~10位は近年の上位常連であるが、クロフネが10位になってしまった。ダイワ、ハーツクライらに押し出された感じだ。アグネスタキオンはついに10位以内から陥落してしまった。


表1 2013年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.444 2.67 54.6 ジェンティルドンナ
2 キングカメハメハ 0.33 1.68 40 ロードカナロア
3 シンボリクリスエス 0.269 1.1 22.1 エピファネイア
4 ダイワメジャー 0.324 1.46 21.8 ダイワマッジョーレ
5 ハーツクライ 0.332 1.57 21.6 ジャスタウェイ
6 ステイゴールド 0.256 1.56 21.1 ゴールドシップ
7 マンハッタンカフェ 0.262 1.37 20.3 グレープブランデー
8 フジキセキ 0.302 1.27 19.2 ブライトライン
9 ネオユニヴァース 0.257 0.94 18.4 デスペラード
10 クロフネ 0.277 1.09 18.1 ホエールキャプチャ


2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2007年までは、SS独壇場、2008年にタキオンが内国産として数10年ぶりにリーディング1位を獲得、2010年、2011年はキンカメ、2012年にディープとトップは入れ替わってきた。2011年からディープ、キンカメの2強が形成されている。2頭は非常に優秀なのでしばらくはこの2強体制が続くだろう。
 過去のリーディング1位タキオン、マンカフェは5位に入ることができなくなってきた。その代りに、ダイワメジャー、ハーツクライらが台頭した。勝ち馬率やEIの点でこれら2頭は優秀であり、2強がいなければタキオン、マンカフェ以上の活躍をした可能性は十分ある。
 SS勢力という見方をすると、2010年以降安定してSS産駒が10位以内に半分以上ランクインしているが、SS孫世代種牡馬は目立ったものがいない。昨年と同様にSS直仔種牡馬以降に孫世代が上位を形成できるかは不透明だ。今年引退したオルフェーヴルなどが活躍してほしいところだ。


2013年
2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 1位、2位は勝馬率、EIに優れるディープ、キンカメで堅いだろう。3位、4位はダイワ、ハーツの争いになるだろう。シンボリクリスエスは、出走頭数が多く安定はしているがダイワ、ハーツの世代数が増えると逆転される可能性は高い。クロフネは非常に高い安定感がある。ステイゴールドはゴールドシップよりも下の世代から大物がでるかが重要である。かつてのリーディングであるタキオン、マンカフェ、またネオユニヴァースなどは10位前後を形成する力はあるだろうが、今年より大きく上昇は難しいだろう。フジキセキ年齢的にはかなり頑張っているが来年あたりが10位以内最後のチャンスになろう。
 新興勢力について触れておく。昨年アドマイヤムーンを推したが15位までだった。しかし、力のあるところは見せているので10位も視野に入るだろう。それと、ゴールドアリュールがじわじわ上がってきている。ダート巧者のため大きく稼ぎづらいが力があるので、10位前後を形成するのは間違いないだろう。今年は、初年度で100位以内に入った馬がいないようだ。今後数年はリーディング上位のメンバーは固定化されそうだ。 最後に2013年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2013年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力によりほぼ確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で2位を堅持。
3位グループ ダイワメジャー、ハーツクライ 新興2頭。非常に優秀だ。
5位-10位グループ シンボリクリスエス、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゴールドアリュール、アドマイヤムーン、クロフネ


まとめと今後の課題

2013年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。


要旨

 JRAの2012年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2012年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。今年のリーディングサイアーランキングは昨年2位のディープインパクトがトップとなり、現役時代最強を誇った同馬が種牡馬としても最強の地位を確立しつつある状況である。本記事では、昨年と同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2012年リーディングサイアーランキング

 まず、表1にまとめた2012年リーディングサイアーランキングを見てみる。
1位はディープインパクト(以下、ディープ)であり、昨年末の記事でキングカメハメハ(以下、キンカメ)を抜いてしまうかもしれないと弱気に書いたが、あっさり抜いてしまった。2位キンカメとの差は約6億円であるが、過去2年連続リーディング1位を3年目で抜いたというのは極めて優秀といえる。そして、三冠牝馬ジェンティルドンナが出てきていよいよ歴史的名種馬の気配ができてた。さらに、それを裏付ける数値として以下が挙げられる。

  1. 勝馬率が.500とサンデーサイレンス全盛期並に高い
  2. アーニングインデックス(以下EI)が2.92とサンデーサイレンス全盛期並に高い
 まず、勝馬率.500は2002年と産駒が少なくなった2007年以降を除き生涯.400以上を維持した父サンデーサイレンス(以下、SS)に勝るとも劣らない水準である。そして、ディープは現在種牡馬デビュー以降3年間ずっと4割以上をキープしていて、過去4年のリーディング1位アグネスタキオン(以下、タキオン)、マンハッタンカフェ(以下、マンカフェ)はリーディング獲得時いずれも3割台であり、キンカメも2010年の.412が最高となっていることから、ディープの能力は傑出しているといえる。
 次に、アーニングインデックスであるが、2.92という値はやはり父SSに匹敵する。タキオン、マンカフェ、キンカメとも1点台後半であったことを考えると、やはり極めて優秀といえる。
 2位はキンカメとなった。ディープに抜かれはしたが獲得賞金は3位の約2倍にあたる43億を稼ぎ出し、通常であればリーディング1位でもおかしくない水準である。そして、当馬の勝馬率は.371とディープには及ばないが優秀である。また、1頭あたりの平均出走回数が5.2回とレースをたくさん使える丈夫さがあるため、コンスタントに活躍できているといえる。
3位ステイゴールドは昨年のオルフェーヴルに続き、ゴールドシップという大物を出し相変わらずのポテンシャルの高さである。4位シンボリクリスエスはほぼ予想通りである。勝馬率.261、EI 1.10とも凡庸だが出走回数の多さで稼いでいる印象である。5位クロフネは昨年と変わらず非常に安定している。6位~10位についてであるが、フジキセキは年齢的には踏ん張ったといえる。7位、9位は新興勢力として期待したダイワメジャー、ハーツクライが予想通り食い込んできた。8位タキオン、10位マンカフェは過去リーディング1位としてはややさびしいが、勝馬率、EIがそのパフォーマンスを物語っている。


表1 2012年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 ディープインパクト 0.492 2.88 50.3 ジェンティルドンナ
2 キングカメハメハ 0.369 2.04 44.7 ルーラーシップ
3 ステイゴールド 0.246 2.25 24.4 ゴールドシップ
4 シンボリクリスエス 0.261 1.1 23 ストロングリターン
5 クロフネ 0.286 1.29 20.9 カレンチャン
6 フジキセキ 0.299 1.26 19.7 サダムパテック
7 ダイワメジャー 0.362 1.45 19 カレンブラックヒル
8 アグネスタキオン 0.278 0.91 17.2 グランデッツァ
9 ハーツクライ 0.352 1.52 16.4 ギュスターヴクライ
10 マンハッタンカフェ 0.243 1.15 16 ショウナンマイティ


2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2007年まではSS独壇場であり、サクラバクシンオー、フジキセキ、スペシャルウィークが上位を形成していが、その後、2008年タキオン、2009年マンカフェとリーディング1位の変化もあり、クロフネ、シンボリクリスエスが上位に浮上、00年台前半に現役で活躍した産駒が何頭もリーディング上位に入れ替わり立ちかわり顔を出してきて、内国産/国内調教種牡馬の活躍が確実になった。そして2010年からはキンカメが1位を獲ったが、今年ディープに抜かれる格好となった。ディープ、キンカメとも先述したとおり非常に優秀なので、今後数年はディープ、キンカメを中心としたリーディング上位が形成されるだろう。
 過去のリーディング1位タキオン、マンカフェはディープ、キンカメのいる状況では厳しいと昨年書いたが、予想通り順位は下降気味である。ジャングルポケット、ネオユニヴァースも10位以内から陥落し今後の上昇は厳しいだろう。代わりに、ハーツクライ、ダイワメジャーが台頭してきた。
 SS勢力という見方をすると、2010年以降安定してSS産駒が10位以内に6頭以上ランクインしており相変わらずである。ただ、少し不安材料として考えられるのはSS孫世代の種牡馬の活躍である。現在、目立ったSS孫種牡馬がおらず、SS直仔種牡馬以降に孫世代が上位を形成できるかは不透明といわざるを得ない。


リーディングサイアーの変遷_2012年

2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 ディープは今年リーディング獲得となり、先述のとおり勝馬率、EIとも圧倒的であることから来年も1位だろう。キンカメはディープに抜かれたものの相変わらず成績は傑出しており来年もリーディング2位は堅いだろう。シンボリクリスエス、クロフネは非常に高い安定感がある。そして、ダイワメジャーは昨年新興勢力として期待すると書いたが予想通り上位に食い込んできた。勝馬率が高く活躍が期待できそうである。この3頭が5位以内を形成するだろう。ステイゴールドはオルフェーヴル、ゴールドシップといった大物の活躍によるところが大きく読みづらい。10位前後を形成する力はあるだろう。マンカフェ、タキオンは10位に残れるかという状況になってきた。代わりに、ハーツクライが10位以内形成に加わってきた。ネオユニヴァースのように数年は10位以内を形成できるかもしれない。フジキセキは今年かなり踏ん張ったが、もう年齢的に来年以降10位ぎりぎり確保なるかという状況である。ネオユニヴァース、ジャングルポケットは今年の成績が物語るとおり、今後の上昇は厳しいだろう。
 新興勢力について触れておく。今年は、初年度100位以内に入った馬はブラックタイドのみのようだ。2008年以降リーディング1位となった馬は初年度100位以内であることを考えると、リーディング争いに加わりそうな新種牡馬は今年はいなさそうである。2年目種牡馬でいえば、アドマイヤムーンが今年25位とよい位置に上がってきた。もしかすると10位前後まで挙がってこれるかもしれない。 最後に2013年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2013年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位 ディープインパクト 極めて傑出した能力によりほぼ確実。
2位 キングカメハメハ 傑出した能力で上位を維持。
3位グループ シンボリクリスエス、クロフネ、ダイワメジャー 常連と新興。安定的に結果を積み重ねるだろう。
6位-10位グループ アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ハーツクライ、フジキセキ、アドマイヤムーン、ゼンノロブロイ ネオユニヴァース、ジャングルポケットの後釜をハーツクライが引き継ぎそう。


まとめと今後の課題

2011年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。


要旨

 JRAの2011年リーディングサイアーに関する一考察である。過去10年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2011年もJRA全レースが終了し、リーディングサイアーランキングが確定した。今年のリーディングサイアーランキングは昨年に続きキングカメハメハがトップとなり、日本国内調教馬が2008年以降4年連続でトップとなり確実に日本独自血統が繁栄しつつある。そこで本記事では、昨年の記事同様、過去10年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2011年リーディングサイアーランキング

 まず、表1にまとめた2011年リーディングサイアーランキングを見てみる。
1位はキングカメハメハであり、これは昨年末の記事で予想したとおりとなった。2位との差は昨年よりも広がり入着賞金で約17億円、割合で言えば約1.7倍となった。サンデーサイレンス没後としては非常に優秀な成績である。この要因については昨年と換わらず以下のことが言える。

  1. 出走頭数、出走回数が多い(1頭あたりの平均出走回数が多い)
  2. 勝馬率が高い
  3. EIが高い
aについては、当馬は種付け頭数が非常に多く、種牡馬としての仕事を十分にこなしてきたこと、また1頭あたりの出走回数が多い=競走馬として多くのレースに出走できる丈夫な産駒が多いということである。
bについては、産駒レベルの平均値が高くクズが少ない優秀な種牡馬ということである。
cについては、産駒が上級レースで活躍できることを示しており、今年の重賞勝利数は全種牡馬トップの12勝である。以上より、当馬は今年も質、量とも充実した優秀な成績であり、来年以降も同様の活躍が期待される。
2位にはディープインパクトが入った。昨年の記事では10位以内と予想したが2位に入るとは思わなかったため予想以上の活躍といえる。当馬の優秀性は数字として現れており勝馬率0.485はサンデーサイレンス全盛期(2000年前後)の水準、またG1勝ち馬3頭輩出は全種牡馬中最も多い。2年目で2位というのはトニービン(2年目3位)以上の成績であり来年以降がますます楽しみになった。
3位シンボリクリスエスはほぼ予想通りである。重賞勝ちが2勝と少ないものの昨年とほぼ同様の成績で安定感を示した。4位ステイゴールドは三冠馬オルフェーヴルを輩出しポテンシャルの高さを見せた。5位クロフネは非常に安定した成績を残した。6位~10位は昨年とほぼ同様でディープインパクトにあっさり抜かれたという印象である。また、遂にサクラバクシンオーとスペシャルウィークが10位以内から陥落しそれぞれ11位、12位である。新興勢力として期待したゼンノロブロイ、ロージズインメイであるがそれぞれ13位、21位であり10位以内の争いには加われなかった。


表1 2011年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1 キングカメハメハ 0.356 1.93 41.5 トゥザグローリー
2 ディープインパクト 0.485 1.95 24.6 マルセリーナ
3 シンボリクリスエス 0.294 1.26 24.2 サンカルロ
4 ステイゴールド 0.31 2.27 23.4 オルフェーヴル
5 クロフネ 0.283 1.35 23.4 カレンチャン
6 マンハッタンカフェ 0.322 1.6 23.2 ヒルノダムール
7 ジャングルポケット 0.247 1.24 21.3 トーセンジョーダン
8 アグネスタキオン 0.289 1.15 21.1 リディル
9 ネオユニヴァース 0.339 1.23 20.7 イタリアンレッド
10 フジキセキ 0.312 1.29 20.1 サダムパテック


2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2002年~2007年まではSS独壇場であり、サクラバクシンオー、フジキセキ、スペシャルウィークが上位を形成していが、昨年のダンスインザダークに続き今年遂にサクラバクシンオー、スペシャルウィークが10位から陥落した。スペシャルウィークはブエナビスタ等世代最強クラスを輩出するポテンシャルがあり、毎年重賞5勝程度の活躍をしているが勝馬率がやや低く全体的な成績が上がらなかったようである。クロフネ、シンボリクリスエスはここ数年安定感を示しており今後もしばらくは上位を形成するものと思われる。
 アグネスタキオン、マンハッタンカフェは順位の遷移が非常に似ておりリーディング1位を獲得したあと5位以下に落ち込んでしまった。力があるのは間違いないが、ディープインパクト、キングカメハメハのいる状況でリーディングを取り返すことは困難だろう。ジャングルポケット、ネオユニヴァースはそれぞれ10位以内常連を形成しつつある。
 ディープインパクトは2年目の今年2位、勝馬率0.485となった。これはキングカメハメハやトニービンをしのぐ成績であり、種牡馬として傑出していることが明白となった。
 現在上位を形成するメンバー全体を見渡すと、サンデーサイレンス後継の頭数非常に多くそれ以外はほぼ外国産の日本調教馬である。内国産の日本調教馬はジャングルポケットが見当たるぐらいで、サンデーサイレンスの血が入っていない馬はほとんど上位にはいないという状況である。


リーディングサイアーの変遷2011

2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 キングカメハメハは順当に2年連続リーディング獲得となり優秀な成績であるのは間違いないが今年のG1勝ちは1頭であり、ディープインパクトが圧倒的な成績で迫ってきていることから、来年はもう少しディープインパクトとの差が埋まることになるだろう。2位ディープインパクトは2年目成績としては傑出しており来年以降数年にわたってリーディング争いを確実にするだろう。場合によっては来年キングカメハメハを抜いてしまうかもしれない。シンボリクリスエス、クロフネは非常に高い安定感がありいずれも今後数年はまず5位以内を形成するだろう。ステイゴールドはオルフェーヴルの活躍で上昇したが、来年以降数年はおそらく10位以内を形成するだろう。マンハッタンカフェ、アグネスタキオンはしばらくは10位以内常連でだろうが3位以上の上位に食い込むのは難しいだろう。ネオユニヴァース、ジャングルポケットはスペシャルウィーク的な10位前後のポジションに安定しそうである。フジキセキは年齢的なピークを過ぎつつあり、徐々に後退するだろう。
 また、新興勢力について触れておく。今年初年度の種牡馬で活躍したのはダイワメジャーである。初年度35位は実は昨年のディープインパクトと同じであり、勝馬率、EIはそれほど高くないが今後期待できそうな1頭といえる。また、ハーツクライも2年目の今年16位と着実に上位に食い込んできた。来年以降10位以内を形成できるかどうか気になるところである。 最後に2012年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表3 2012年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位グループ キングカメハメハ、ディープインパクト 傑出した能力により、この2頭が争うのはほぼ確実。
3位グループ シンボリクリスエス、クロフネ 抜群の安定感で上位を維持。
5位グループ ジャングルポケット、ネオユニヴァース、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ いわゆる常連。安定的に結果を積み重ねるだろう。
9位グループ フジキセキ、ステイゴールド、ハーツクライ、ゼンノロブロイ、ダイワメジャー 新興勢力のゼンノ、ハーツが面白そう。ダイワも食い込んでくるかもしれない。


まとめと今後の課題

2011年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。


要旨

 JRAの2010年リーディングサイアーに関する一考察である。過去11年にわたるリーディングサイアーランキングの変遷とともに今年のランキングの意味合いおよび来年以降のトレンドについて考察した。


背景と目的

 2010年のリーディングサイアーランキングは種牡馬3年目のキングカメハメハがトップとなり、サンデーサイレンス(以下SSと表記)を持たない馬が1994年以来16年ぶりにトップとなった。すなわち、現在の日本競馬はサンデーサイレンス一色だったここ十数年の状況から変化しており、また内国産あるいは日本国内調教馬が2008年以降3年連続でトップとなりそれらの馬が日本独自血統が繁栄しつつある。そこで本記事では、過去11年にわたるランキング変遷とともに今年のランキングの意味合いと今後のトレンドについて考察する。


記事の詳細

1.2010年リーディングサイアーランキング

 まず、表1にまとめた2010年リーディングサイアーランキングを見てみる。
1位キングカメハメハは2位のフジキセキに対して賞金で言えば12億円以上、割合で言えば約1.5倍以上稼ぎ出した。サンデーサイレンスの1位陥落以降2008年のアグネスタキオンの2位との差は1.35倍、2009年1位のマンハッタンカフェの2位との差は1.12倍でありこれらに比べてキングカメハメハは優れていることがわかる。この要因としては以下のようなことが考えられる。

  1. 出走頭数、出走回数が多い
  2. 勝馬率が高い
  3. EIが高い
aについては、当馬は種付け頭数が非常に多く、種牡馬としての仕事を十分にこなしてきたこと、また表には挙げてはいないが1頭あたりの出走回数が多い=競走馬として多くのレースに出走できる丈夫な産駒が多いということが背景にあると考えられる。
bについては、産駒レベルの平均値が高くクズが少ない優秀な種牡馬ということである。
cについては、産駒が上級レースで活躍できることを示しており、実際にアパパネ、ローズキングダムといった世代トップクラスを輩出している。
 以上より、当馬は質、量とも充実した優秀な種牡馬であることは疑いようがなく、来年以降も優秀な成績が期待できると考えてよい。
2位以下は昨年とほぼ同じSS後継が中心で順位が入れ替わっただけである。10位以内に入ったジャングルポケット、ネオユニヴァースは期待度からすれば当然といえる。むしろネオユニヴァースは種牡馬としてはキングカメハメハと同期であるが今年水を開けられた感がある。ダンスインザダークは残念ながら10位以内から陥落した。勝馬率、EIとも低水準なのが気になる。


表1 2010年リーディングサイアーランキング
順位 馬名 勝馬率 EI 賞金[億円] 代表産駒
1キングカメハメハ0.4121.9137.2ローズキングダム
2フジキセキ0.3131.424.7キンシャサノキセキ
3シンボリクリスエス0.3041.323.8アリゼオ
4クロフネ0.3751.2823.7ブラボーデイジー
5マンハッタンカフェ0.2941.3722.9ゲシュタルト
6アグネスタキオン0.3131.3721.5レーヴディソール
7スペシャルウィーク0.2831.4220.8ブエナビスタ
8サクラバクシンオー0.3511.3220.1グランプリボス
9ネオユニヴァース0.2681.2618.6ヴィクトワールピサ
10ジャングルポケット0.251.2717.4ジャガーメイル
11ダンスインザダーク0.1630.915ダノンヨーヨー
35 ディープインパクト0.4591.175.37リアルインパクト

2.過去10年間の変遷

 本節では、単年成績ではなく過去の流れにおける今年のランキングの意味合いを明らかにするため、図1にまとめた過去10年のリーディングサイアーランキングの変遷を見てみる。
 2001年は90年代後半からつづくいわゆる御三家時代末期でSS独壇場の時期であるが、このころから10年後の現在にわたりサクラバクシンオー、フジキセキ、ダンスインザダークはずっと上位キープであり、これら3頭はやはり優秀であることがわかる。特にサクラバクシンオーの安定感は顕著であり、同様の成績を残した父サクラユタカオーから強く引き継いでいると思われる。しかし、産駒の代(ショウナンカンプなど)までは伝わっていないようだ。ダンスインザダークはトニービン没落後ブライアンズタイムと競り合いを見せてきたが、今年は11位となり勝馬率、EIとも低水準で今後の浮上が難しい印象だ。さすがにピークは過ぎたかもしれない。
 スペシャルウィークは2005年に10位以内に入ったが、その後ある意味頭打ちであり、当馬の種牡馬としてのポテンシャルを示しているのかもしれない。このような見方をするとタニノギムレット、ネオユニヴァース、ジャングルポケットも同様の気配を感じる。一方、クロフネ、シンボリクリスエスは頭打ち感よりも安定感を感じるられる。
 アグネスタキオン、マンハッタンカフェはデビューから4年目にいずれもリーディング1位を獲得し順位の遷移が非常に似ている。しかし、今年デビュー3年目のキングカメハメハに抜かれてしまい今後は苦戦を強いられそうだ。
 最後にディープインパクトに触れておく。当馬の初年度成績(順位35位、勝馬率0.459)は父サンデーサイレンスの(31位、0.625)には及ばないがキングカメハメハの初年度(44位、0.267)をしのぎ、2年目の勝馬率(0.386)をもしのぐ。また、ここ数年のリーディング10位以内常連の中で初年度40位以内という例はない。したがって、当馬は種牡馬としても傑出している可能性が高く、2年後にディープインパクトがリーディングサイアーというのも考えられなくはない。そのときのライバルはやはりキングカメハメハだろう。


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図1 過去10年のリーディングサイアーランキング変遷


2.今後の展望

 前節までを踏まえてここでは今後の展望を行ってみたい。
 キングカメハメハはデビュー3年目でリーディング獲得、2位との差の大きさを考えると今後数年はリーディング最有力であろう。フジキセキは活躍期間が長く優秀であるが、年齢的には今後緩やかに後退していくだろう。シンボリクリスエス、クロフネはいままさに高値安定状態であり今後数年はまず10位以内常連であろう。特にクロフネは勝馬率が高く安定感を示していきそうである。マンハッタンカフェ、アグネスタキオンはキングカメハメハ、シンボリクリスエス、クロフネに負けてしまったことで今後リーディング復権は望めそうもない。しばらくは10位以内常連で踏みとどまれるだろう。スペシャルウィークはシーザリオ、ブエナビスタのような大物輩出の可能性が当馬の魅力であり、特に牡馬の後継が重要課題である。ネオユニヴァース、ジャングルポケットは前述のとおりスペシャルウィーク的なポジションとなりそうである。サクラバクシンオーは安定してはいるが高齢ということもあり徐々に後退していくと思われる。その前に後継馬を輩出したい。ダンスインザダークは勝馬率、EIが低く残念ながらこのまま後退を続ける可能性が高い。どうにか後継が浮上してくることを祈る。 最後に2011年のリーディング予想を表2にまとめておく。


表2 2011年リーディングサイアーランキングの予想
順位 馬名 コメント
1位グループキングカメハメハ2010年圧倒的成績につき最有力。
2位グループクロフネ、シンボリクリスエス高値安定の2頭。リーディングは無理でもこの位置は十分確保可能。
4位グループアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、フジキセキ現在サンデーサイレンス系最有力だが3位以内は難しいかもしれない。
6位グループスペシャルウィーク、ネオユニヴァース、ジャングルポケットある意味で安定感があり、5位以内は無理でも10位以内常連になれるかもしれない。
9位グループディープインパクト、ゼンノロブロイ、ロージズインメイ、ステイゴールド、サクラバクシンオーディープインパクトは来年早くも10位以内へ。ゼンノ、ロージズとも好位置をキープしており期待大。サクラバクシンオーはどうにか踏みとどまるか。

まとめと今後の課題

2010年のリーディングサイアーランキングについて、過去10年の変遷および今後の展望を交えて考察を行うことができた。今後は特定の種牡馬1頭に着目したより詳細な考察を行ってみてその馬の特徴を詳しく捉えるといったことにトライしてみたい。


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