工作と競馬

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カテゴリ:3. 競馬 > 3.0 その他

概要

 レースにおける着差について、着差の大きさと出現頻度の分布を作成し、考察した。


背景と目的

 レースでは、さまざまな着差がつく。そこで、どのような大きさの着差がつくのか調べてみる。


詳細

1.方法

 今回は、手始めとして、1着と2着の着差と出現頻度について調べてみた。レースデータは、2013年のJRA平地全3324レースの結果を用いた。(JRA正式発表データではなく、独自に収集)距離や、馬場などの条件は限定していない。

2.結果

 図2が、着差ごとの出現頻度の分布図だ。
首差が最も多く、1馬身差以内の決着がおよそ半分を占めることが分かった。3馬身以内の決着では、9割に達する。つまり、レースのほとんどが、3馬身以内の決着になるということだ。5馬身差以上のレースは非常に出現頻度が低い。だから、大きな差をつけて勝つと見た者の印象に残るのだろう。ただ、大きな着差をつけて勝った馬が上級レースでも好成績なのかどうかは、調べてみないと分からない。これは、後で調べてみようか。
 頭差と1馬身差の頻度が低いのは、なぜだろうか?着差の決め方の基準によるのだろうか?2013年の分布だけの傾向なのだろうか?これも興味引くところだ。
 また、レース格や距離、コースなどによっても傾向があるかもしれない。今回は、時間が限られているのでこれだけだがいずれ調べてみたい。

着差ごとの出現分布
図2 着差ごとの出現頻度の分布

まとめと今後の課題

 着差ごとの出現頻度について調べて、傾向を見ることができた。いくつか疑問点や興味を引く点があるので、今後調査してみたい。

概要

 前回までの検討で判明した回収率100%を超える買い目決定条件が、十分有効であるかレースデータを増やし詳しく調べた結果、確実に回収率100%を超えるのは厳しいが、100%を超える場合が多く、条件設定は概ね有効であることがわかった。


背景と目的

 前回、単勝オッズ範囲に加えて買い目数が3になるレースのみに絞って買った場合に、回収率が100%を超えることがわかったが、使用したデータが直近の半年分のデータであり、他の期間についても同様の結果が得られるか調べる必要が出た。そこで、今回は、異なる期間のレースデータに対しても同様に回収率が100%を超えるか調べ、回収率100%超えに有効であるか検証する。


詳細
1.調査条件と方法

 調査対象のレースデータは、前回のものにさらに半年を加えた2012年の7月~2013年6月の全平地レース3357件である。データは、JRA発表のものではなく、私が独自に収集した出走馬全頭の最終単勝オッズのデータである。おそらくJRA発表のものと同等であろうが保証はない。
 このデータを使って、前回の調査期間から1ヶ月単位でずらした計7つの期間について半年間通算回収率を求める。

2.調査結果

 図2が、調査期間ごとの回収率である。右端は、全データを用いた場合の回収率である。この結果、5期間で回収率が100%を超えており、最高で116%となることがわかった。しかし、残り2つの期間では、80%台前半と振るわず、買い目数を条件に加える前の89.3%より悪化した。また、1年間の通算では93%と100%を割り込んでしまう。回収率の低い2期間が大きく影響している。
 以上より、残念ながら全ての期間で100%を超えることはできなかったが、調査した期間のうち半分以上が100%を超える結果となり、条件設定は概ね有効であると考えられる。しかも、馬の実績も見ずにただ一定ルールに従って買い続ける方法にも関わらず、回収率100%に到達するというのは、非常に興味深い。
 というわけで、ここまでの検討結果より、

 締め切り直前オッズが16倍~45.3倍の馬が3頭いるレースに限りその3頭の単勝を買うというのを半年程度続けた場合、1割程度の儲けが出る可能性が比較的高い。

 と結論づける。

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図2 調査期間ごとの回収率


まとめと今後の課題

 回収率100%超えが期待された条件設定の有効性について調べ、それが概ね有効であることがわかった。

概要

 前回の回収率が改善した方法について、さらに検討を進めた結果、買い目数が3となるレースのみを購入した場合に、回収率100%を超えることがわかった。


背景と目的

 前回、単勝オッズ範囲に着目し買い目を絞った場合に、回収率が改善できた。そこで、前回の条件にさらに新たな条件を付け加えて買い目を決めた場合に回収率が改善できないか検証する。


詳細
1.調査条件と方法

 調査対象のレースは、2013年の1月~6月の全平地レース1684件である。データは、JRA発表のものではなく、私が独自に収集した出走馬全頭の最終単勝オッズのデータである。おそらくJRA発表のものと同等であろうが保証はない。
 今回は、前回の検討で回収率が改善できた単勝オッズ範囲16-45.3倍という条件に加えて、その範囲に該当する頭数すなわち買い目数という条件を追加し、買い目数ごとの回収率を調べてみることにした。なぜこれに着目するかというと、買い目数が少なすぎれば的中率が下がり、多すぎれば無駄打ちが増えるから、買い目数には最適値があるのではないかと思ったからである。

2.調査結果

 表2が、買い目数ごとの回収率である。買い目数が7以上のレースは該当数が少ない(50レース以下)のため、参考外とした。この結果、なんと、買い目数3のレースだけを買った場合は106%と、買い目数にこだわらず全て買った場合の89.3%から、およそ2割の改善となる。回収率が100%を超えるというのは、驚異的である。
 しかしながら、これはたまたま最近のレースでそういった結果になったに過ぎないかもしれない。したがって、他の期間についても回収率を調べ、同程度の結果になるか、確認する必要がある。

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表2 買い目数ごとの回収率


まとめと今後の課題

 オッズ範囲に加えて買い目数を条件として追加することで、回収率100%を越える場合があることがわかった。次は、別の期間のデータを用いて回収率を調べることにより、今回発見した条件設定が有効であるか確かめたい。

概要

 単勝オッズに基づいて買い目を絞った場合の回収率を調べた結果、全頭買いに比べて改善できることがわかった。


背景と目的

 単勝人気と勝率の関係を調べた後、勝ち馬と単勝オッズとの関係が気になってきたため、勝ち馬のオッズがどのような範囲で分布しているかを調べてみた。その結果は図1に示すようなある範囲にピークを持つ分布となった。(2013年上半期JRA平地レース結果を用いて独自に算出)このことから、単勝オッズに基づいて買い目を適切に選べば、全頭買いよりも回収率を上げることができるのではないかと考えた。そこで、単勝オッズ範囲をいろいろ変えた場合の回収率を調べ、全頭買いに比べて回収率が改善できるか検証する。

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図1 勝ち馬の単勝オッズヒストグラム


詳細
1.調査条件と方法

 調査対象のレースは、2013年の1月~6月の全平地レース1684件である。データは、JRA発表のものではなく、私が独自に収集した出走馬全頭の最終単勝オッズのデータである。おそらくJRA発表のものと同等であろうが保証はない。
 このデータから、単勝オッズ範囲を絞って買い目を決めた場合の回収率を計算する。ちなみに、

回収率 = 払い戻し金額 / 購入金額 * 100 [%]

である。単勝オッズ範囲は、下限を2^(n/2) (n = 0~8,nは整数)、上限を2^(m/2) (m = 8~16,mは整数)倍として、合計100通りのオッズ範囲について回収率を求める。

2.調査結果

 図2が、オッズ範囲と回収率の関係である。同じデータを使って全頭買いの回収率を求めると73.2%となるが、図2に示す値はすべての場合でそれを上回っている。したがって、オッズ範囲を絞って買い目を減らすことで、回収率が向上する(1割程度)ことがわかる。最も高い回収率となるのは、16倍~45.3倍までの範囲を買った場合で89.3%となる。ただ、この方法では回収率が100%を超えないので、もちろん儲けるのは無理である。

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図2 買い目オッズ範囲と回収率の関係


まとめと今後の課題

 単勝オッズ範囲を限定して買い目を絞ると回収率は改善できることがわかった。次は、さらに回収率が改善できる手段がないか研究してみたい。

概要

 単勝人気と勝率の関係を調べてみた。


背景と目的

 単勝人気は、馬に対する期待度の現れであるが、それが実際のレース結果と結びついているのか気になった。そこで、単勝人気と勝率の関係について、調べてみる。


詳細
1.調査条件と方法

 調査対象のレースは、2013年の1月~6月の全平地レース1684件である。データは、JRA発表のものではなく、私が独自に収集した勝ち馬の単勝人気のデータである。おそらくJRA発表のものと同等であろうが保証はない。
 このデータから、単勝人気ごとの勝率を計算する。ただし、出走頭数ごとに集計し、該当レース数が少ないもの(50レース以下)は、除外することにした。(調べてみてわかったが、17頭立てレースはすごく少なかったのは意外だった。逆に、16頭立てレースが最も多い。たった1頭の違いなのになぜなのだろう)

2.調査結果

 図1は、単勝人気と勝率の関係である。概ね単勝人気に反比例するような分布となった。つまり、それなりに単勝人気どおりに勝っているといえるのではないだろうか。私は、競馬は予想どおりにはいかないという先入観から、一定の綺麗な分布にはならないだろうと予想したが、意外にも綺麗な分布で驚いた。
 図2は、人気のあるほうから、勝率を積み重ねた累積勝率(と勝手に定義した)を示している。これを見ると、2番人気以上の馬がほぼ50%の確率で勝つということになる。5番人気まででいえば、およそ80%とかなり高い割合で勝つということだ。ということは、おそらく5番人気以下の配当は、6.3倍(5倍÷80%)以下程度ということになるであろう。こういった配当金と人気との関係については、また別の機会に考察しようと思う。

勝率
図1 単勝人気と勝率の関係

累積
図2 単勝人気と累積勝率の関係


まとめと今後の課題

 単勝人気と勝率の関係を明らかにすることが出来た。次は、配当金について調べてみたい。

 先日非常に久しぶりに、日本ダービーを観戦したので感想をメモしておく。

 まず、何年ぶりかというと2000年以来なので実に13年ぶり。他のG1には行っていたがダービーはこんなに久しぶり。2000年といえば、テイエムオペラオー8連勝の年。最後の有馬記念は圧巻だった。勝ち時計、着差を根拠にテイエムを評価しない人が多いらしいけれど、個人的には非常にすばらしい馬の1頭だと思う。ダービーはアグネスフライトが最後の直線で皐月賞馬エアシャカールを差して勝った。しかし、アグネスはその後レースも種馬としてもいまいちなのは残念。まあ、弟が種牡馬で活躍できたから牝系一族的にはOKか。というわけで、当時からだいぶ日が経っているのだが今年も相変わらず当日の賑わいぶりはすさまじかった。JRA発表によるとおよそ13万人来場したらしい。確かに途轍もない人数だった。昨年観戦したジャパンカップも11万人で多かったが今回それより多かった。それでも、早めにスタンド下のゴール50m前エリアに移動したおかげでレースは比較的よく見えた。ま、ターフビジョンで見てたけど。
 やっとレースの話に入る。普段、私は馬券は買わないのだがせっかく来たし一緒に来た競馬初心者に教える意味もこめて珍しく買ってみた。普段、買わないくせにいざ検討に入ると当てようと考えてしまう。結果どんどん買い目が増える。結局人気どころ満載の馬単フォーメーションで、レース前から儲からない雰囲気がぷんぷん漂っている。外れたら記念馬券ということにしようかな?いや、馬単フォーメーションで記念馬券なんて聞いたことない。人気薄が2着に入ってくれことを願うしかない。
 レースは、知ってのとおり後方待機の1番人気キズナが直線一気を決めて戴冠。馬もすばらしかったが、個人的にはジョッキーのグッドパフォーマンスが光ったように見える。最近精彩を欠いていた武豊が復活。図ったようにゴール前さしきり。あれは、いわゆる仕掛けのタイミングが完璧だったというしかない。あれより早くても、遅くてもだめだろう。おそらく、武は馬に相当な自信があったのだろう。もし、自信がなければ早仕掛けになる。我慢できないと思う。ま、素人考えだけど。2着コディーノは、かつてこの世代をリードした馬。ここで、地力の高さを証明できた。ダービー2着は大成することが多い。昨年のフェノーメノもいまや天皇賞馬だ。何となく名前の響きが似ているコディーノも今後に期待。で、馬券のほうは的中。しかし、予想どおりマイナス。回収率66%。人気どころで決まれば当然だ。だが、それ以上に、いいレースが見られたのでマイナス分は観戦料と考えたい。
まとめると、 ・馬、騎手ともグッドパフォーマンスのレースだった ・人が多くて移動が大変だったがそれだけ注目のレースを見られたわけで、一緒に行った競馬初心者も観戦できてよかったと言ってくれた ・馬券もたまに買うのはわくわく感があって面白い という感じだ。このブログはタイトルに競馬と付いておきながら、あまり記事がない。もう少し増やせたらと思う。

概要

 JRAで行われたレースの勝ち時計と馬場状態についてまとめた。


背景と目的

 勝ち時計は馬場状態によって変わるが、それがどの程度変化するのか私はよく知らない。そこで、馬場状態に対する勝ち時計の変化について調べ、まとめてみる。


詳細
1.条件

 調べる条件は、

  • JRAで行われた2012年の平地全3321レースが対象
  • 馬場状態と距離ごとに分類し、該当するレースの勝ち時計の平均値を求める
  • レース情報は独自の方法で収集、JRA発表資料によるものではない

 ということにする。

2.結果
2.1 芝ダート全体の傾向

 まず、図2.1に芝、ダートをまとめた全レースの馬場状態ごとの勝ち時計と良馬場に対する変化の割合を一覧表にした。ここで、各距離および馬場状態に該当するレースが10レース以下のものは『-』として算出していない。
 これをみると、概ね馬場状態の悪化に対して勝ち時計が遅くなる傾向が見える。その大きさはばらつきはあるものの概ね1%~2%程度のようだ。

芝ダート
図2.1 全レースの馬場状態に対する勝ち時計の変化

2.2 芝、ダート別距離分布

 次に、図2,2、図2.3に芝、ダート別に勝ち時計をまとめてみた。ここでは該当するレースが5レース以上あるものに対して算出を行った。芝レースでは、やや重で1.5%程度、重で2~3%程度、不良で3~4%程度と馬場の悪化に伴い勝ち時計が遅くなる傾向が見える。
 逆に、ダートレースでは、馬場の悪化とともに勝ち時計が速くなる。ただ、やや重ではほとんど変わらず、重、不良でも0.数~2.7%といったところである。芝よりも時計変化は少ないように見える。
以上から、一般に言われる『ダートは重のほうが勝ち時計が速い』というのがよくわかる。やはり、ダートの重は砂がシマり脚が埋まりにくくなるので走りやすいのだろう。

芝
図2.2 芝レースの勝ち時計

ダート
図2.3 ダートレースの勝ち時計


まとめと今後の課題

 JRAで行われたレースの勝ち時計と馬場状態について調べ、馬場状態による勝ち時計の変化をまとめることができた。ただ、実際には、レース格や競馬場、そのほかさまざまな条件があるため平均値だけでは明らかにならない部分もあると思われるので、今後より詳細な条件でも検討してみたい。

概要

 JRAで行われたレースの距離別分布についてまとめた。


背景と目的

 JRAではさまざまな距離のレースが行われているが、どの距離がどのくらい行われているか私はよく知らない。そこで、距離別の分布について調べ、まとめてみる。


活動の詳細
1.条件

 調べる条件は、

  • JRAで行われた2012年の平地全3321レースが対象
  • 競馬場とトラック種類(芝、ダート)ごとに分類して集計
  • レース情報は独自の方法で収集、JRA発表資料によるものではない

 ということにする。

2.結果
2.1 全体の距離分布

 まず、図2.1に芝、ダートをまとめた全レースの距離分布を一覧表にした。これより、全競馬場で施行されているレースは2000mのレースだけということがわかる。しかし、最も多く施行されている距離は1800mである。なお、3200m以上のレースはいずれも重賞の天皇賞春、ダイヤモンドステークス、ステイヤーズステークスというたったの3レースである。このような長距離のレースを3レースだけ設ける意味はあるのだろうか?

全体
図2.1 全レースの距離分布まとめ

2.2 芝、ダート別距離分布

 次に、図2,2、図2.3に芝、ダート別に距離分布をまとめてみた。芝レースでは2000mが全競馬場で行われているが、ダートレースでは全競馬場共通で行われているレースは存在しないことがわかる。1800m付近の距離が最も多い。
 図2.4に距離別のレース数をグラフで表示した。1800mレースも多いが、1200mレースも多いことがわかる。

芝
図2.2 芝レースの距離分布

ダート
図2.3 ダートレースの距離分布

レース数分布
図2.4 距離別レース数

2.3 平均距離

 最後に、行われているレースの平均距離をまとめておく。よく種牡馬成績で産駒平均勝ち距離なるものがあるが、種牡馬間の比較にはなってもその種牡馬自体の距離適性がよくわからないので、この平均勝ち距離と比較してみるとわかりやすいかもしれない。

平均施行距離
図2.5 距離別レース数


まとめと今後の課題

 JRAレースの距離分布についてまとめることができた。

要旨

 1996年~2010年までの15年間におけるJRA G1レースについて勝ち馬のG1勝利数という側面からそのレース価値を考察した。


背景と目的

 G1レースは賞金、名誉ともに最高とされ種牡馬を選定するという目的がある。そのため、勝ち馬は高い競走能力を持つ必要があるのはいうまでもないが、そのレース自体も高い競走能力の勝ち馬を輩出しているかどうかがレース価値を決めているとも考えられる。極端なことをいえば、G2、G3相当の勝ち時計、ラップで勝った馬は評価されるべきでないし、そのような内容のレースは価値が高いとはいえない。そこで、今回はJRAで施行されているG1レースについて、勝ち馬の強さという点からレース価値を探ってみる。


詳細

1.方針

 当該レースの勝ち馬の強さを評価するための指標は、今回は生涯G1レース勝利数とした。理由としては、データを集めるのが非常に簡単であること、および競馬の基本である強い馬ほど上級レースを勝つという原理に合致するからである。これを用いて各G1レースの価値について数値化してみる。

 結果は表1のとおりである。表には2種類の数値があり、ひとつはレース勝利数からレース価値を数値化したポイントであり、G1勝利数が多い馬が勝ったレースほどポイントは高くなる。もう一つはレース勝利馬がG1を複数勝利している割合である。すなわち、そのレースがG1複数勝利馬をどれほど輩出しているかを示す数値である。なお、表の色づけ部分は、平均よりも30%以上高い数値を青、-30%以下の数値を赤としている。また、レース名の()内の数値はレース施行回数であり、15回未満の場合を表す。


表1 G1レース価値を数値化した結果
G1ポイント
2.結果

 まず、ポイントが高いレースをみると、天皇賞(秋)が最も高く3.67である。これは天皇賞(秋)勝ち馬はG1を生涯平均3.67勝するということである。G1を3勝以上する馬は世代最強レベルであり、そのような馬が勝つことが多いといえることから、レース価値は非常に高いといえる。同様に複数勝利馬輩出率も最も高いのは天皇賞(秋)であり86.7%となった。すなわち、天皇賞(秋)勝ち馬のうちほぼ9割はG1を生涯複数勝利する強豪ということである。調査対象の15年間でG1勝利が天皇賞(秋)のみの馬は2頭だけであり、生涯G1 1勝クラスの馬が容易に勝てるレースではないということである。もちろん秋古馬戦線の緒戦であるため夏場の休養→トライアルとローテーションが組みやすく好メンバーが揃うという部分もあるかもしれないが、やはりこのレースの価値は非常に高いといえる。

 逆に、ポイントが低いのは高松宮記念の1.33であり、勝ち馬は概ね生涯G1勝利は1勝程度ということである。もちろんG1を1勝すること自体は容易なことではないが、他のG1に比べるとあまり高い数値ではなく、このレースの価値を他のG1同様に考えることは難しいといえる。
 さらに、複数勝利馬輩出率が最も低いのもやはり高松宮記念であり33.3%である。本来このレースは前年の短中距離戦線有力馬や今後の短中距離戦線を担う馬が勝つべきレースであるが、勝ち馬のおよそ7割はこのレースが生涯唯一のG1勝利となっている。この原因のひとつとして考えられるのは、中京1200というコース形態である。中京は他のG1が行われる中央4場に比べると平坦、小回り、また直線が短い。したがってローカル競馬場に性質が似ており、中央4場ほど総合力が求められないため実力がG1級でなくても勝てる場合があるのではと思われる。事実、前年または同年の古馬短中距離G1勝ち馬は必ずこのレースに出走しているにもかかわらず取りこぼしているのである。したがって、高松宮記念は実力馬でなくとも勝つことが容易なのでありレース価値は他のG1に比べて低いといわざるを得ない。

 最後に、3歳クラシックについても触れておく。
 牡馬クラシックは皐月賞、ダービーが平均よりも高いのに比べ、菊花賞は概ね数値が低い。春のクラシック勝ち馬が出走しているにもかかわらず取りこぼしが多い。ただし、菊花賞馬でG1を複数勝利をしている馬は明け4歳でほぼ確実に古馬G1を勝っており勝ち馬が必ずしもレベルが低いわけではないが、菊花賞のみのG1勝利になる馬が多いため、勝ち馬の質にばらつきが多いレースであると考えられる。
牝馬クラシックは桜花賞のポイントの低さが少し気になる。1.40は高松宮記念とあまり変わらずよいとはいえない。いわゆる早熟馬が勝つのではという意見も出そうだが、それよりも早い時期にある阪神JFのほうがポイントが高いことを考えるとその言い訳も通用しない。ただし牝馬戦線は牡馬ほどG1レースの選択肢が広くないため(牝馬限定レースという意味で)複数勝利がしづらいのかもしれない。いずれにしても、オークスよりはポイント、複数勝利馬輩出率が低いためレース価値を高く考えることはできない。
そのほか、ヴィクトリアマイルは最も新しいG1だがポイントは3.2と高く十分G1レースとして役割を果たしているのではと考えられる。


まとめと今後の課題

 JRAのG1レースについて、勝ち馬の生涯G1勝利数からレース価値を数値化してみたところ、レースにより大きな差が見られその原因について考察できた。ただし一部、原因がはっきりしない部分もあるため今後の検討で明らかにしていく必要がある。


要旨

 JRAのレース施行体系に関する記事である。2010年のJRA施行レースについて、競馬場、トラック種類、レース格の面から調べてまとめた。


背景と目的

 JRAでは年間3000レース以上が行われており、それらは競馬場、トラック種類(芝、ダート)、レース格といった条件が異なっており、競走馬にとって試される能力がレースごとに異なるとも考えられる。一方、血統考察とは考察対象馬のレース成績と血統の因果関係を見出すのが主目的であるから、考察者は対象馬が出走したレース結果について至当に評価できなければならない。したがって、考察対象馬が走るレースがどのような施行体系であるかはよく知っておかなければならない。そこで、本記事では、JRAのレース施行体系について、代表的な分類である競馬場、トラック種類、レース格の面から施行レース数を調べ、どのようなレースがどの程度行われているかを把握する。そして、それが決められた背景や競走馬にとってどのような影響を与えているかについても考える。


詳細
1.概要と方針

 本記事で使用するデータは2010年のJRA全レース結果であり、これは筆者が独自に調査し入手したデータである。当然JRA発表のものではない。(ほぼ間違いなくJRA発表のものと一致するはずであるが)
 今回は、2010年JRAで施行された全3320レースについて、代表的な条件分類である競馬場、トラック種類、レース格という3つの条件を用いてどのような条件で何レース行われたかについてまとめてみる。なぜそれら3種類の条件を選んだかというとそれらの条件が競走馬にとってレースをする上での影響が大きいと考えられるからである。競馬場はそれぞれトラック形状、カーブの大きさ、直線の長さ、アップダウン、回り方向が異なり、ペース配分やレース展開に大きく関わってくると考えられる。トラック種類は、芝とダートでは走りやすさがまったく異なるのは想像に難くなく競走馬による得手不得手が反映されやすい。レース格は出走馬間の関係性を決める要素であり。ペースやレース展開を左右すると考えられる。


2.競馬場ごとの施行レース数

 まず、どの競馬場でそれぞれ何レース行われているのかを芝、ダートと分けて調べてみた。その結果は図2のとおりである。東京、中山、阪神、京都、(以下、まとめて中央4場と呼ぶ)は開催が多く、一方、函館、札幌、福島、新潟、小倉(以下、まとめて地方5場と呼ぶ)についても中央4場よりも少ない。(なお、2010年の京都は改修工事中の中京開催分が振り分けられたため多い)
 芝、ダートの割合で見ると、中央4場は概ね芝よりもダート比率が高く、地方5場ではその逆である。理由としては、これは推測だがダートに比べ芝のほうが管理に手間がかかるからではないかと思われる。中央4場で芝比率を地方5場程度に上げると芝レース数が地方5場の2倍弱となり管理しきれなくなると考えられる。


競馬場vsレース数
図2 競馬場vsトラック種類 レース数分布

3.レース格ごとの施行レース数

 次に、どのレース格でそれぞれ何レースが行われているかを同様に芝、ダートと分けて調べてみる。その結果は図3のとおりである。ここで、新馬、および1600万下までのレースを条件戦とよびOP戦および重賞をOP以上と呼ぶことにする。図3からわかるとおり、下級条件ほどレース数が多い。500万下までの条件戦がおよそ半数を占めている。この分布は上級条件レースに出走できるのは下級条件を勝ち上がった馬だけであるから当たり前である。
 芝、ダートの割合で見ると、下級条件ほどダートの比率が高く重賞では8割以上が芝である。レース格に対するレース数分布を見ると、芝に比べてダートは上級条件になるに従い急激にレース数が絞られるのがわかる。ひとつ格が上がるごとに約1/3程度に減少する。芝では、1600万までは約1/2程度だがそれより上の条件では絞りが甘い。これは、ダートでしか活躍できない馬にとっては稼ぎづらい体系であり、それが牡馬であれば種牡馬になるチャンスは芝で活躍する馬に比べて低いといわざるを得ない。


レース格vsレース数
図3 レース格vsトラック種類 レース数分布

4.競馬場vsレース格分布

 最後に、競馬場ごとにどのレース格が何レース行われているかの分布を調べてみた。その結果は図4である。中央4場では上級条件に行くに従いレース数が絞られているが、地方5場では1000万下になると急激にレース数が減少し、それ以上では非常にレース数は少ない。つまり、上級条件レースは中央4場で多く行われており、重賞の数を見ればよりはっきりする。地方5場ではG1は行われずG2は札幌記念のみである。これはJRAの興行的なメリットを考えているためと考えられる。中央4場のほうが入場者数が稼げるからである。


競馬場vsレース格
図4 競馬場vsレース格 レース数分布

まとめと今後の課題

 JRAのレース施行体系について、競馬場、レース格、トラック種類の3条件から調査しレース数の分布を明らかにし、さらにどのような背景からそれが決まっているか、あるいは競走馬に対する影響についても考察することができた。今後は、この結果を他の考察(たとえば、レース結果の分析)などに役立てたい。


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