概要

 シミュレーテッドインダクタを用いた回路に関する記事。回路動作についてまとめた。


背景と目的

 とある機会に、『サウンドクリエイターのための電気実用講座』という本を入手した。その本の中に、シミュレーテッドインダクタを用いた回路が載っていたが、その本は回路動作の理論的説明はしない方針で書かれているので、自分なりに理論的説明をまとめてみることにした。


詳細
1.サウンドクリエイターのための電気実用講座について

 『サウンドクリエイターのための電気実用講座』という本(=以下、参考書とよぶ)は、図1に示すような本で、どうやら音楽をやるための電気・電子的知識を習得するための本らしい。内容的にほとんど数式は出てこないし、筆者自身も電気の専門家ではないと書かれている。理論はともかく実用回路集、実用テクニック集という感じに見えた。

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図1 サウンドクリエイターのための電気実用講座

2.回路動作を考えてみる

 シミュレーテッドインダクタの回路はいくつかパターンがあるようだが、参考書では図2.1に示す形の回路が載っていた。この回路は図2.2のような回路と同じ動きをするという。そこで、図2.1の回路が図2.2の回路と同じ動作になるのか理論的に考えてみる。

シミュレーテッドインダクタ
図2.1 シミュレーテッドインダクタ回路

等価回路
図2.2 等価回路

回路動作
図2.3 回路動作を考えるための電流、電圧を書き込んだ

 まず、図2.3のようにInput端子に電圧vを加えたとき、オペアンプの出力電圧がv0で電流i1とi2が流れるとする。このとき、回路方程式を立てると

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 となる。これらから、i1は

   20130113164104

 となり、インダクタンスL=CR1R2となるインダクタに電流i1が流れるとみなすことが出来る。また、R1には電流i1が流れるから、そのインダクタと直列にR1が接続されているとみなすことが出来る。また、i2が流れる部分はR2とCの直列回路だから、結局図2.4のような回路に置き換えられる。

理論等価回路
図2.4 理論的に考えた等価回路

 ところが、図2.2で示した回路にはCが無い。これは

   20130113164108

 という仮定を置くと、CのインピーダンスがR2に比べて十分小さいため、i2は角周波数ωによらずほとんどR2の値で決まるので、実質的にCがない状態と変わらず、図2.2の回路にたどり着く。

 さらに、実用的な回路として使用するために

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 が必要だろうと思われる。つまり、i2がi1に比べて十分小さい必要がある。なぜなら、i2がi1に比べて十分小さくないとi1がL成分によって周波数によって変化しても、その変化がi2に埋もれてしまいLの効果が見えなくなってしまうからである。


まとめと今後の課題

 シミュレーテッドインダクタ回路の理論的動作を確認した。今後は、回路シミュレータで理論どおりになるか確かめてみる。