概要

 回路シミュレータLTSpiceで、Linear Technology以外のパーツを使用するための方法について記したメモである。具体例として、新日本無線のオペアンプを使用できるようにした。


背景と目的

 フリーの回路シミュレータであるLTSpiceはLinear Technology製であり、インストール直後では同社のパーツ以外は使用できない。しかし、ネット上や関連書籍において同社以外のパーツを使用できるようにする方法が紹介されている。そこで、本記事では筆者が見たWebページや関連書籍の内容を参考に実際に筆者の手でLinear Technology社製以外のパーツを使用できるようにしてみたのでその手順をまとめておく。


詳細

1.手順の確認

 手順は大きく4つである。それぞれの方法について、以下順に示す。なお、今回新たに追加するパーツは新日本無線のオペアンプNJM4580とした。

  • マクロモデルの入手
  • マクロモデルのインストール
  • デバイスシンボルの割り当てと属性の変更
  • デバイスシンボルファイルの保存(登録)
2.方法
2.1 マクロモデルの入手(新日本無線の例)

 マクロモデルの入手は基本的に欲しいパーツのメーカーのウェブサイト等で入手することになる。今回は新日本無線のオペアンプNJM4580を例に取り手順を記す。ほかのメーカーの場合は手順が異なると思われる。
まず、新日本無線の半導体情報サイトで製品情報ページで入手したいパーツのページに移動する。そのページ内のマクロモデルダウンロードというボタンがあるのでクリックすると、マクロモデルのzipファイルがダウンロードできる。(この記事を読んでいただいた方からご指摘をいただいた2015年11月現在。)


2.2 マクロモデルのインストール

 マクロモデルは、新日本無線の場合.libという拡張子のファイルで提供される。2.1で入手したzipファイルを解凍するとデバイスごとにフォルダに分かれてマクロモデルのファイルが入っている。今回はNJM4580を使用するので、NJM4580というフォルダにあるnjm4580_2.libというファイルを
C:\Program Files (x86)\LTC\LTspiceIV\lib\sub\JRC_lib
にコピーすればインストール完了である。(\LTCより上位のフォルダはPCによって異なるかもしれない)ところで、JRC_libというフォルダは通常存在せず今回新たに作成した。理由は、LT製デバイスと区別しておいたほうが後で見分けやすくなるからである。


2.3 デバイスシンボルの割り当てと属性の変更

 この手順は、実際にNJM4580をシミュレーションをする際の回路図上のシンボルをどれにするかということと先ほどインストールしたマクロモデルをちゃんと呼び出すために必要な手順である。デバイスシンボルを選択するにはまずLTspiceを立ち上げ、Componentボタン(ANDゲートのマーク)から[opamp]に移動し、その中のopamp2というシンボルを選択して配置する。なぜopamp2を選んだかというと、NJM4580のマクロモデルで定義されている端子と一致するシンボルを選ぶ必要があるからである。(端子が一致すれば他のものでもよいだろう)
次に、デバイス属性の変更を行う。まず、配置されたパーツの上で右クリックするとウインドウが表示されるので、ウインドウ上部にあるopen symbolというボタンを押す。すると、新たにopamp2.asyというタブが出てくる。ここで、メニューバーのEdit>Attributes>Edit Attributesを押すとウインドウが出てくる。その中のValue、Description、ModelFileの3つを編集する。Valueは呼び出し対象のマクロモデルの名称を記入する。Descriptionは部品リストで選択したときに出る部品の説明文で記入は任意である。ModelFileは割り当てるマクロモデルファイルを指定する。今回は
Value=NJM4580_S
Value=NJM4580_SUB
Description=Operational amplifier NJM4580.
ModelFile=.include JRC_lib\njm4580_2.lib
とした。ValueをNJM4580_Sとしたのは、マクロモデルnjm4580_2.lib内で定義されているサブサーキットの名前と一致させなければいけないからである。また、ModelFileはC:\Program Files (x86)\LTC\LTspiceIV\lib\subからの相対パスで記入すればよい。
以上で、デバイス属性の変更は終了である。


Symbol Attribute Editor
図2.3 Symbol Attribute Editor画面

2.4 デバイスシンボルファイルの保存

 最後に、先ほど2.3で変更した内容を保存して、次回以降部品リストに表示させるためにデバイスシンボルファイルを保存する。まず、メニューバーのFile>Save Asを選ぶとファイルの保存ウインドウが出るので、そこにNJM4580.asyと入力して保存する。すると、部品リストに表示されるようになる。
ためしに、部品リストを表示してみた結果が図2.4である。確かにNJM4580が追加されていることがわかる。


部品リスト
図2.4 部品リストに追加されたNJM4580

3.動作確認

 ためしに、登録したNJM4580を用いてゲイン約40dBの増幅回路を構成しシミュレーションを実行してみた。すると、LTSpiceによりデバイスは認識されシミュレーションが実行できた。図3がシミュレーションを行った結果の画面である。なお、左側縦軸の単位はdBとあるが実際にはdBVであり入力信号が0.1V=-20dBV、出力は20dBVとなって結果的にシミュレーション結果のゲインは40dBということになる。


動作確認
図3 追加したNJM4580を用いてシミュレーションした結果

まとめと今後の課題

 LTspiceでLinear Technology以外のパーツを使用するための方法について調査し、手順をまとめることができた。また、そのデバイスを用いたシミュレーションが実行できることも確認できた。今後は追加したパーツを用いた回路のシミュレーションをしていきたい。