CQ出版社の『パソコン計測USBマイコン基板』を動かしてみる記事。第2回は、参考書第10章の内容に従いノイズ性能確認を行った。
前回、『パソコン計測USBマイコン基板』(以下、参考書とよぶ)に従い付属基板をPCに接続して動かすためのドライバと付属ソフトウェアのインストールをし、動作を確認できた。今回は、高分解能を謳うA/Dコンバータがどの程度微小信号を測定できるか、すなわち十分低ノイズなのかについて調べてみる。
今回やる内容の流れは、参考書の第10章に相当する内容で、
①ノイズ指標の確認
②ノイズの測定方法
③測定と結果確認
である。それぞれの手順は、参考書に書いてあるのでそれに従う。
参考書には、ノイズ性能の指標として、
・RMSノイズビット数(有効ビット数、Effective Number of Bits)
・ピークツーピークノイズビット数
が挙げられており、これらはA/Dコンバータのノイズ性能指標の代表的なものとのことである。というわけで、この指標に従い、実測値がどうなるのか調べることにする。
RMSノイズビットは、
RMSノイズ電圧=ノイズをランダムノイズと仮定した場合の振幅ヒストグラムの標準偏差σ
として電圧を求め、それをフルスケール電圧に対する比でビット数に変換すれば求まる。
また、ピークツーピークはRMSノイズの6倍である。これは、ピークツーピークは本来振幅ヒストグラムの幅のはずであるが、ヒストグラムがガウス分布だとすると理論上幅は無限であり、埒があかないので便宜上±3σ、すなわち全振幅値の99.7%が出現する範囲として計算するということであろう。
参考書には、ノイズを測定する際には、外部からのノイズによって回路本来の実力が阻害される可能性があるのでシールドを施すこととの注意書きがある。方法としては、アルミケースなどに入れるとのことだが、手元にないので変わりにアルミホイルを使って簡易的にシールドをした。もちろん、アルミホイルは回路のAGNDに落とす。
図2.1はアルミホイルと基板との絶縁用ビニル袋を準備した様子である。図2.2がアルミホイルで包んだ様子である。電子回路実験というよりホイル焼きのように見える。

図2.1 シールドするための準備

図2.2 ホイルでシールドした様子
ノイズは、付属のソフトウェアで測定した。条件は、基本的に参考書のとおりだが、
・更新レート16.7Hz
・測定回数500回
・ゲイン1,16,128
とした。
結果は、表2にまとめた。これよりほぼ仕様どおりの値が得られたことになる。24ビットA/Dコンバータだが、当然24ビットまるまる使えるわけではなく、最高20ビット程度までが実力ということである。それでも非常に高分解能で測定できるのは間違いないので、早くなにかをつないで測定してみたい。
ゲイン | unit | ||||
---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | 128 | |||
RMSノイズ | 実測値 | 2.145 | 0.265 | 0.088 | uV |
仕様値 | 1.96 | 0.25 | 0.088 | uV | |
RMSノイズビット数 | 実測値 | 20.06 | 19.08 | 17.67 | bit |
仕様値 | 20 | 19 | 17.5 | bit |
CQ出版社の『パソコン計測USBマイコン基板』のノイズ性能を実測確認し、ほぼ仕様どおりの値を得ることができた。今後は、何かをつないで測定してみたい。