中年とオブジェ

美術館・街で見かけたオブジェ 旅先で手に入れたオブジェ オブジェの視点で世の中を楽しむ中年の日常。

ふたつの「原爆ドーム」








ヒロシマには、原爆投下の象徴としての原爆ドームが遺された。最近ネットオークションではこのドームのプラモデルキットを使用した自作ジオラマが高値で落札されたりしている。この戦後間もない頃だろう絵葉書にも、原爆ドームの姿を絵画に写しとるという行為が切り取られている。

一方、長崎の爆心地にあった浦上天主堂は撤去され、再建された。長崎原爆資料館を2009年に見学した折に印象に残ったのは長崎に投下された原子爆弾「ファットマン」の原寸大模型であった。現在は塗り替えが行われ、黄色と黒の当時の実物通りの彩色になっているそうだ。


長崎になぜ「原爆ドーム」が遺されなかったのか?興味のある方にはこの本をおすすめする。



天地無用





採集地 横浜

国境警備隊





採集地 東京

『かくも長き不在』





採集地 東京

予言者としてのEric Dolphy





エリック・ドルフィーの名盤「At the Five Spot Vol.1
このアルバムのB面全編に及ぶ演奏「Prophet」では、私がドルフィーの生涯最高のプレイと感じるアドリブが展開されている。

Prophet(予言者))とは、ドルフィーの「Outward Bound」や「Out There」のジャケットアートを手掛けた、ドルフィーの友人の画家の名である。決して巧みではないが、その独特なシュールな画風には、ドルフィーの音楽世界に通底する不思議な魅力がある。

だが、私にはエリック・ドルフィー自身が「予言者」と呼ぶにふさわしい表現者であったと思われてならない。

ドルフィーの即興演奏は、常に次に来るフレーズの展開の予測を翻すような、ひらめきの連続で形成される。凡庸な「即興演奏者」のプレイが、硬直した反復や直進的なストーリー展開に依存するのに対して、ドルフィーはあたかもパッチワークないしコラージュのように、分節されたフレーズをつなぎ合わせてソロを構築する。しかも多くの場合きわめて高速度で。前述した「Prophet」も、バラード演奏にもかかわらず多くのパートでテンポが倍速になりアグレッシブに奏されている。

彼の脳内では、つねに目まぐるしく「先取りする」フレーズが湧き出していたと考えるならば、その演奏の謎が理解できるかもしれない。彼の切羽詰まったような、支離滅裂さを伴うような、彼方へと投げかけられ続けるような即興演奏。そこに私が連想するのが、精神医学の木村敏が指摘した「アンテ・フェストゥム」の概念なのである。


分裂病の患者は、つねに未来を先取りし、現在よりも一歩先を読もうとしている。彼らは現実の所与の世界によりも、より多く兆候の世界に生きているといってよい。中井久夫氏の表現をかりれば、彼らは「もっとも遠くもっとかすかな兆候をもっとも強烈に感じ、あたかもその事態が現前するごとく恐怖し憧憬する」。(中略)分裂病者特有のこの未来先取的なありかたを、私自身は従来から「アンテ・フェストゥム的」と呼んできた。アンテ・フェストゥムというラテン語はもともと「祭りの前」という意味で、フランスの社会学者で精神科医でもあるJ・ガベルがプロレタリアートの未来希求的なユートピア意識をそう名づけて、ルカーチがかつてブルジョワジーの保守的な意識に与えた「ポスト・フェストゥム的」という形容と対比させたものである。

木村敏「時間と自己」


木村は同書で、「アンテ・フェストゥム」対して、「祭りのあと」という意味の「ポスト・フェストゥム」を鬱病者の世界に関連付ける。

鬱病者のポスト・フェストゥム意識においては、過去も現在も未来も、これとは完全に様相を異にしている。彼らは未知なる未来を見ようとしない。「未知なる未来」という観念すら持ち合わせていないかに見える。彼らにとってあるべき未来とは、これまでのつつがない延長にほかならないのであって、彼らがときとしてあるべからざる未来に対して極端に用心深くなるのも、これまでの経験に照らして当然起こりうるかもしれない災厄を怖れるからである。



木村は統合失調症者の特性として、先取りの不安過敏な予兆への感覚連想の逸脱などを捉え、「アンテ・フェストゥム」という言葉で表現した。

鬱病者の特質については、木村は「ポスト・フェストゥム」という言葉を付与したが、これは平明に言えば「あとのまつり」という心性。過ぎ去った時間に対して拘泥するこの心性は、多くの人にとって諒解可能なものであろう。

それに対し、「アンテ・フェストゥム」はこの心性への親和性を持つ人にしか諒解しづらいものなのかもしれない。近年注目を集めているアウトサイダーアート(ないしはアールブリュット)という概念の形成の発端は精神病者の、それも主に統合失調症者の美術表現の研究にある。一般人には奇矯で諒解不能と感じられる彼らの表現は、エリック・ドルフィーの音楽と、どこかで繋がってはいないか?

「予言者」であるドルフィーは、常に未来への畏怖という深淵に向き合いながら、その表現を模索していたに違いない。エリック・ドルフィーの「わかりにくさ」や、「躍動感と翳り」の共存「アンテ・フェストゥム」という概念には、そんな謎を解くカギがあると私は感じている。


6月29日。ドルフィーの命日にこんなことを考えた。

妖怪バス停





採集地 横浜

トマソンズ ライブ・スケジュール





先月、トマソンズの相方のチェロとピアノ担当ジョヴァンニ・スキアリさんが突然入院しました。5月は活動予定が少なかったもののトマソンズとしてのライブへの参加を1本断念。今は無事退院され、6月3日には復帰後最初の演奏で、モダンダンスの万城目純さん・広岡愛さんとの即興パフォーマンスを無事終えることができました。

この後も様々なステージが控えていますが、打ち上げで飲ませすぎないよう保護観察中。短い間とはいえ演奏から遠ざかった反動か、今、ジョヴァンニさん、冴えています。


トマソンズ・ライブスケジュール

初夏の室内楽コンサート
・6月11日(日)14:00〜16:10
・旭区民文化センター サンハート音楽ホール(相鉄二俣川駅)
・入場無料

クロカル・アンサンブルのメンバーによるクラシックのグループコンサートにトマソンズ+1が参加。
ゲストギタリストの鵜野澤’うのこ’達夫さんをむかえ、武満徹の映画音楽などを演奏します。
木質の音楽ホールの美しい響きにも注目。我々の出番は15時頃です。
多彩なユニットの演奏を、いろいろお楽しみ下さい。

はるもきライブ
・6月17日(土)20:00〜
・立ち飲み居酒屋「はるもき」(藤沢駅)
・入場無料 ドリンクオーダーをお願いします

地元のジョヴァンニさんが夜な夜な通う個性派立ち飲み屋の恒例のライブに、トマソンズが登場。
大いに飲んで楽しんでください。我々の出番は21時頃の予定。生ホッピーがおいしいです。

ベイサイドネット試聴会ミニ・ライブ
・6月18日(日)15:00〜17:00
・オーディオ・ショップ 横浜ベイサイドネット(桜木町駅)
・1080円(ドリンク付き)

わたくしテツが頼りにしている自作派オーディオショップの試聴スペースをステージに、トマソンズが演奏します。ストリートでも活躍しそうなポータブルPAシステムのデモも兼ねています。
ベイサイドネットの西川さんは無類のアルバート・アイラー好き。パワフルに行きますよ!

真夏の夜のDuo at JAZZ FIRST
・7月9日(日)19:00〜21:30
・横浜ジャズファースト(京急日ノ出町駅)
・1080円+ドリンクオーダー

3回目になる老舗ジャズスポット「ファースト」でのライブ。今回は人気沸騰中のキュートな若手ジャズDuo、サファリパークDuoと共演。世代もスタイルも大きく異なるDuoユニットが演奏します。
トマソンズにはサファリパークDuoの園長こと野村おさむさんがゲストパーカッションで参加。
フルメンバーでのセッションもあるかも?


その他、8月には下田市民文化会館で、9月には東横線白楽の「ビッチェズ・ブリュー」で、トランペットの大御所庄田次郎さんとの共演を控えています。

皆さんのご来場を、お待ちしています。



隠れ身の術





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