福よし暖簾福よし刺身福よし囲炉裏






今年の夏、豊橋の居酒屋「千代娘」で偶然、テレビ番組「居酒屋紀行」のスタッフの一人、カメラマンの立石さんに出会った。その時、秋に行くのなら気仙沼の「福よし」が一番のおすすめだとうかがい今回の旅を思い立ったのである。

繁華街から外れた魚町という静かな町並みの中に「福よし」はあった。粋な暖簾をくぐり店内に入ると分厚い木のカウンター席、小上がり、囲炉裏を囲んだ席、奥は個室だ。予約してあったカウンター席に座りゆっくり飲み始めた。料理は5,000円のおまかせにしたのだが、その内容とボリュームには圧倒された。山盛りの刺身盛り合わせやたくさんの料理を食べているあいだに、囲炉裏では火がおこされ串に刺したサンマがずらりと焼かれている。

戻りガツオの刺身はまさに驚きの旨さだった。脂がのって全く臭みがなく、口の中でとろけていく。
刺身盛り合わせは他にはサンマ・ホタテ・北海ツブ貝・ホッキ貝・大ボタン海老。その他生ガキ・殻つきホタテのホイル焼き・生ウニ・イカの肝和えの陶板焼き・カニミソをまぶした毛蟹のほぐし身。あまりの量の多さに腹が苦しい。ローマ人のように吐いてリセットしたい気分だ。
福よしサンマ
そして囲炉裏でじっくりと焼き上げた見事なサンマの塩焼きがやってきた。余計な脂が落ちて身がしまり、軽やかで旨みがある。

カウンターで魚をさばく板前が弟さんで、囲炉裏で魚を焼く焼方がお兄さん。もう27年になる店という。弟さんはしゃべりも達者で、手を休めることなく魚のこと・気仙沼のことをあれこれ楽しく聞かせてもらった。カツオの血合いとねぎ・味噌を和えた味噌たたきは酒にぴったり。締めはサンマのつみれ汁。残していたウニを見て「もったいねえなあ」とささっとウニ丼をこしらえてくれた。満腹ながらもこれは別腹と思わずかっこんだ。

この日は「プチ・シェフ」という子供達の料理コンテストが気仙沼で行われたそうで、審査員を務めたフレンチ・シェフ三国清三の一行も来店していた。弟さんは忙しい中最後まで我々の話し相手をしてくれ、帰りは港沿いの道を歩くといいよと教えてくれた。おやじさん、ナイス・フォロー!

福よし