神馬

かつての朱雀大路にあたる京都千本通りに面した蔵造りの古風な建物。数年前に初めて訪れ、是非再訪したいと思っていた居酒屋「神馬」(しんめ)である。ゴールデンウィークに京都の一夜を過ごした。

奥の深い店内には大きくコの字型にカウンターが回り、太鼓橋まである凝った内装。よく見ると壁一面の飾り棚には、数々の古ぼけた酒器が並んでいる。昭和9年創業のこの佇まいだけでも、稀にみる居心地のよさだ。

酒は大きな甕に灘の酒数種をブレンドして入れており、銅の燗付け器でお燗してくれる。灘の酒は男酒、伏見の酒は女酒というのだとか。そして、地元京都の料亭で修行したという若い三代目の料理がなんとも旨い。

充実のお通し

この日は希少なシャケ、時知らずの刺身や絶妙の火加減で香ばしくジューシーに焼かれた地鶏塩焼など楽しんだが、メバルと筍の煮付けにとどめを刺された。身がぷりぷりとはち切れそうな新鮮で大きなメバルと、筍・ゴボウなどの野菜がたっぷり盛られた大皿。甘辛目の煮汁に、思わず白い飯が欲しくなり注文。

飯についてきた漬物とちりめん山椒も只者ではなかった。自家製のちりめん山椒の鮮烈な芳香は、その日の朝、ホテルの朝粥セットで食べたちりめん山椒を、たちまちにして駄物に感じさせるほどだった。

神馬の難点を挙げるならば、一品のボリュームがありすぎて一人で飲むにはもてあましてしまう料理が多いということだろう。

前回は穴子寿司で締めたので、今回は最後に肉厚な鯖寿司を。高級食材から黒ホッピーまで。その品揃えは懐が深く、懐にあわせた飲み方のできる居酒屋だ。

京都市上京区千本通中立売上ル玉屋町38
営業17:00〜22:00 日曜休