外観側面
外観
住宅街の中に

国立国際美術館で9月12日(日)まで開催されていた「横尾忠則全ポスター展」にあわせ、大阪に小旅行をした。1日目は芦屋のヨドコウ迎賓館(フランク・ロイド・ライト設計)と宝塚カトリック教会(村野藤吾設計)をめぐり、2日目に横尾忠則全ポスター展鑑賞。そのあとは大阪で訪ねたかったジャズ喫茶や居酒屋でゆったり過ごしてきた。

今回は宝塚カトリック教会のレポート。阪急宝塚南口駅のすぐ近くの線路沿い、住宅街の中に現れた異形の教会だ。

ご待望の鯨のような皆様の教会堂がやっと完成いたしました。大洋を漂いつづけていた白鯨がようやく安住の地をみつけ岸辺に打寄せられたとでも申しましょうか。(中略)この建築は敷地の形が三角形になるような性格にあるため、平面計画の上でも三角形という制約を受けました。鯨のシッポの部分、即ち前の方に塔屋を、後方の部分に会堂を配し、全体としては、できるだけ素直な表現に努めました。
村野藤吾「宝塚カトリック教会の設計にあたって」

なるほど言われてみれば鯨にも見える。しかし、私の第一印象は住宅街の中に出現したナメクジ怪獣ナメゴンなのであった。

隣接する事務所の窓口で記帳をすると、教会の方が建物の内外を丁寧に案内してくださった。はじめに照明の落とされた教会堂の内部を自然光だけで目にした瞬間の美しさ。建物にあわせデザインされたシンプルで端正な椅子。村野らしいうねった階段手すり。煉瓦を積み白く塗った内壁の仕上げ。ウェーブを描く木質の天井の有機性。小規模な建築の中にディテールの魅力があふれている。

もっともダイナミックだったのは、建物側面に突き出た雨樋の排水口。現在は隣接する建物の関係で雨水受けが設置されているが、創建当初はここから地面まで雨水がドウドウと流れ落ちたのだという。繊細にして大胆。異形にして優美。静かに椅子に腰掛け過ごした、至福のひとときであった。

内部
側面窓
スリット窓
階段
会堂全景

宝塚カトリック教会図面


1965年竣工の宝塚カトリック教会。大気の汚染などで黒ずんでいた外壁が、昨年の改修でまた「白鯨」としてよみがえった。