丹沢の山中にある国民宿舎丹沢ホームを今夏再訪した。京都駅ビル・札幌ドームなどを手がけた原広司による設計。建築的な側面については以前こんな記事を書いた。→原広司の丹沢ホーム







食堂の横の谷のような大階段がなんと言ってもインパクトがあるのだが、今回はこの大階段を上った裏手にある別棟に宿泊したため、デザインばかりでなく動線としての機能にも優れていることに気づかされた。また渓流側にある玄関口から、この階段を吹き抜ける川風の心地よいこと。

夜は夕食後、食堂のテーブルに陣取り持ち込んだチーズなどつまみにワインをオーダーしたのだが、なんと立派なワインクーラーで供され驚いた。山の宿の洒落た計らいに、そうか、ここは宿舎オーナーの住まう巨大な山荘に招かれたようなものなのだなと思い腑に落ちた。オーナー家族の居住スペースも、食堂の先のコーナーにレイアウトされているし、客の入浴が住んだあとに従業員も入浴。モダンで斬新な建築でありながら、デザイナーズホテルなどとは対極ともいえるこの居心地の良さは、民営国民宿舎であるこの山荘のオーナーが、自分自身の生活を愉しむ延長線上にゲストとして招かれている楽しさに負うところが大きいのである。

静かな山の夜が更けていった。