昨日の午後、山下公園で開催されていたアフリカン・フェスタ2011に行ってみた。メインステージのトリ、マリ共和国出身のキーボード奏者Cheick Tidiane Seckのバンドは強烈であった。黒く重いビートが呪術的に効いてきてクラクラする。そのあと、近くに来たついでと神奈川県民ホールギャラリーの「日常/ワケあり」を鑑賞。これが実によく、期待を超えた展示だった。

江口悟田口一枝播磨みどりの三人展。江口のインスタレーションは、明るく軽妙な空間で「日常/ワケあり」というタイトルから連想されるイメージに一番近い。日常のオブジェをひとひねりした仕掛けに気づき、ハッとさせられる。そのあと展開する田口・播磨の展示室は闇の中や薄明かりの中に現れるオブジェが、白昼夢のような静謐な心象を抱かせる。何しろアフリカンバンドの興奮の余韻が一気にクールダウンされたのだから、ただならぬ空間となっていることは確か。

このギャラリーの特徴である階段のある吹き抜け大展示室に広がる田口一枝の世界は、2007年に、この展示室を黒い糸で埋め尽くした塩田千春の個展「沈黙から」にも迫る空間演出だ。








「※全作品繊細にできています。お手を触れたり、荷物が当たらないようにご注意ください。」という注意書きに納得の、表現自体の繊細さ。階段があったり細長かったり、マイナスとなりがちなこのギャラリーの作りが、作品の奥行きを引き出すために有効に使いこなされているのも特筆すべき点だろう。会期は11月19日(土)まで。撮影可能。