中年とオブジェ

美術館・街で見かけたオブジェ 旅先で手に入れたオブジェ オブジェの視点で世の中を楽しむ中年の日常。

居酒屋

黒ひげ危機一髪





採集地 大阪

『帰って来たヨッパライ』





採集地 川崎

ディオニュソス





採集地 東京

焼鳥屋のミッキーマウス





採集地 横浜

『緑の家』





採集地 宇都宮

『バカの壁』





採集地 青森

立ち飲み 立ち読み





採集地 川崎

石灯籠のようなもの。





採集地 横浜の居酒屋

2011年 私のお気に入り 旅めし



今年は旅に出ることが例年になく少なく、「旅めし」との出会いはわずかでしたが、印象に残る店などを紹介します。あいかわらず居酒屋ばかりなのですが。



1位 藤ひろ(岡山)

秋に岡山を訪ねたとき、割烹「藤ひろ」のカウンター席で、地元料理を中心にしたおまかせ料理を地酒とともに愉しみました。食事なし、酒肴に向いた料理というアレンジをしてくれるところが居酒屋派にはうれしい心くばり。この店は岡山の様々な蔵元と付き合いがあり、地元のお酒の紹介に熱心。料理も、まったく知らなかった本来の食べ方で焼きままかりをいただいたり、鰆(さわら)は冬が旬だと知ったり。旅の客に知られざる岡山の魅力を伝えてくれる女将や親方の姿勢がとても気持ちよく、ついつい飲みすぎてしまいました。瀬戸内方面に行く折には再訪したいなあ。

2位 企久太(鎌倉)

鎌倉の小町通り脇の路地裏にある小さな居酒屋。日替わりのお品書きは、地物の魚がメイン。相模湾の魚はあなどれません。たまたま佐島でとれたというフグのから揚げには驚いた。しこ鰯七味醤油漬けやムカゴの素揚げなんていう小味の利いたメニューもありました。酒はやはり日本酒が中心。初春に飲んだときの満足が忘れられず今冬に再訪しましたが、期待にたがわずシンプルだけれどしっかりした料理を愉しみました。漬物を漬けている糠床は、100年以上使っているものだとか。「鎌倉で呑む」というのがうれしい店です。

ただし、大変な人気店となっているので週末は予約しないと厳しいかも。
 


3位 震災後の花見の赤飯

私の伯母の作るお赤飯は、大きな豆が入っているのが特徴です。震災後に昔からの友人と三人で、自宅近くの公園で花見をしました。今もまだ我々は震災・原発事故の渦中にいるというべきなのでしょうが、震災直後のまだざわざわと心が騒ぐさなかに桜の花を見ながら食べたこのお赤飯は、今年忘れられない「旅めし」のひとつとして記憶にとどめておきたいと思います。

 
厚木近郊の川入園という廃墟のような外観のうなぎ屋で食べた、関西流のうな重もインパクトあったな。

杉本博司アートの起源 岡山寄りみちのススメ




丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催中の「杉本博司 アートの起源」。昨年11月より「科学」「建築」「歴史」といったサブテーマで一作家の個展を継続するという画期的なプロジェクトが進行中なわけですが、現在その最終章「宗教」がスタートしています。会期終了は11月6日(日)。

この丸亀という街。骨付き鳥の「一鶴」本店があったり、郊外に本場さぬきうどんの名店が散在していたりしますが、正直なところ谷口吉生の名建築である猪熊弦一郎現代美術館以外には魅力に乏しく宿泊施設も少ない。

そこで今回の1泊2日の小旅行では、前日に岡山に宿泊し、翌日丸亀日帰りで横浜に帰ってくるという旅程を組んでみました。丸亀は四国ですが、瀬戸大橋のおかげで岡山からのアクセスはすこぶるよいのです。(特急で40分程)

1日目
午後ゆっくり岡山に到着。初めて歩く街なので駅前から、中心街のアーケード、路地裏の怪しげな飲み屋街など徘徊。自家焙煎の古ぼけた喫茶店などでゆったり。

この日の夕食は、比較的岡山駅に近い日本料理店「藤ひろ」で。この店、以前は「佐久良屋」という屋号の居酒屋さんを併設していたそうで、太田和彦の居酒屋紀行でも紹介されている。玄関すぐの美しい木のカウンター席に。居酒屋派の私にはちょっと敷居が高い感じだが、岡山の地モノにこだわったお任せの料理をお願いし、岡山の地酒の徳利を備前焼のぐい飲みで重ねるうちにすっかり気持ちもほぐれ、至福の酔い心地。

瀬戸内の魚のお造りでは、やはりさっと焙った鰆(さわら)であろうか。私は春が旬の魚なのかなと勘違いしていたのだが、実はこれから冬に向けて脂がのって旨みが俄然まして行くのだそうだ。この日いただいたものも十分おいしく、寒い時期に再訪したいとつくづく思う。また鱧(はも)の生刺し・卵の塩辛・骨せんべいと、鱧の上品さを堪能。ゲタ(舌平目)の煮付けにはなんとモロヘイヤが添えられ、聞けばマスターが自家菜園で作るさまざまな野菜が「藤ひろ」の卓を彩っているのだとか。

ままかりももちろん供された。しかしそれはままかり寿司とかの酢〆した小魚の印象しかもたなかった私には驚きの料理。黒く焦げるほどに焼いたままかり(さっぱという小魚)が酢に漬けられている。なんとも素朴な滋味。マスターが試みにはじめたという自家製チーズは、さっぱりした酸味とほろりとした口どけで実に日本酒に合うのである。お料理の締めには黄ニラと卵のお吸い物。岡山は黄ニラの生産日本一で、関東などでは高級食材である黄ニラが、家庭料理で普通に出回っているそうだ。とても上品な風味でした。

三種いただいた純米酒も蔵ごとに個性豊かで、おだやかで米のふくらみを生かしたのが岡山の酒の持ち味なのかなと。




帰りしな、玄関の鉄製の鬼に気がついた。純度100%に近い鉄だそうで、持たせていただいてみると小さいのに凄い重さ。「藤ひろ」もこの鬼同様、ずっしりした手ごたえのある名店。なにより温かく軽やかな接客のもてなしが、一人旅の身にはうれしかった。岡山で飲むならば絶対のお勧めです。

このあと、JAZZ喫茶としてスタートしながら、いまやオールジャンルの音楽と酒を愉しむバーとなっているという「COMMAND」に。マスターと二人、レコードを次々に聴きまくること5時間半!気がつけば深夜2時になっていました。
エリントン、ボサノバ、サム・テイラー、ハワイアン、ストラヴィンスキー、スーダン音楽・・・
私のJAZZ喫茶遍歴のなかでも、マスターの音楽知識の奥深さ・話題のぶっ飛び方において空前絶後の体験でした。




2日目



さて旅の本題である丸亀へ向かいます。丸亀駅の目の前にある猪熊弦一郎現代美術館を横目に、まずはタクシーで1000円ちょっとの距離の街道沿いにあるうどん屋「おか泉」へ。名物「冷天おろし」をいただきます。平日11時台にしてすでに店内は満員。昼時はかなりの行列必至の店。

ぶっかけうどんの上に、たっぷりの大根おろしと巨大な海老天2尾・野菜天がそそり立っております。(画像の帽子と見比べてください)本場のさぬきうどんのコシの強さはほんとに異文化体験です。もはや噛んで咀嚼できない。飲み込んでそののど越しを味わう領域なのです。




さぬきうどんに満足し、美術館に取って返し展覧会を鑑賞。この感想は別エントリにゆずります。この美術館では鑑賞の合間に是非カフェでゆっくり過ごされる事をおすすめします。ハンス・ウェグナーのYチェアーをはじめとして、名作家具が客席を彩り、屋上庭園に面した窓からは明るい光が差し込むゆったりしたスペースです。私は今回はどっかりとイサム・ノグチのソファーに腰掛けてコーヒーを愉しみました。





旅のメモ
藤ひろ 岡山市北区野田屋町1-8-20 TEL 086-223-5308
おか泉 香川県綾歌郡宇多津町浜八番丁129-10  TEL 0877-49-4422

アートの起源展に行くなら、直島や豊島・犬島あるいは倉敷の大原美術館などとからめるのもよいでしょうが、旅めし的には岡山寄りみちプラン、お勧めのひとつです。

2010年 私のお気に入り 旅めし

明治屋


twitterをはじめて以来、食い物のことはブログに書かず、つぶやくばかりになりました。今年は、昨年の青森・十和田の記事のように、旅の食事の記録くらいはまとめていこうかと。

圧倒的だったクロアチア旅行。旅めし的にはそれほど印象深いものは食べられなかったのですが、思わぬ地酒に出会いました。

バーテンダーラキア

1位 ラキヤ(クロアチア)
発酵させた果実からつくる様々な蒸留酒のことで、実にストロングな地酒。スモモの「シュリヴォヴィツァ」、洋ナシの「ヴィリャモウカ」は甲乙つけがたく、ブドウの蒸留酒(グラッパ)をベースにハーブの風味・芳香を加えた「トラヴァリツァ」は深く濃厚な味わい。ドングリを使ったラキヤまであった。何より、夜ホテルのバーでツアーの現地人ガイドやツアーバスのドライバーさんと一緒に飲めたのが、一番の思い出です。クロアチアワインや地ビールもなかなかでした。

居酒屋「F」

2位 居酒屋「F」 (青森)
青森の魚のうまいこと。刺身はもちろん、大振りなホタテの身をふんだんに使った貝焼き(卵や味噌をからめ帆立貝を皿にして焼いたもの)に、地酒がすすみます。ご主人はとても個性的ですが、すっかり波長が合ってしまい、津軽人の気質にひきつけられました。閉店時間を過ぎてからご主人と酒を酌み交わしたのは、那覇の「小桜」以来だなあ。青森新幹線も開通したし、再訪したい居酒屋です。

鹿焼肉NEC_0090

3位 鹿の焼肉(長野)
藤森照信展のため茅野市に1泊したとき、ローカルな居酒屋で食べた1品。(店名は失念)茅野近辺は野生の鹿による害がひどいらしく、どんどん駆除されているので、新鮮な鹿肉が居酒屋などに出回るのだそう。独特の脂の味わいだが、フレッシュなのでくせがなく美味。しかもとても安い。これぞ「旅めし」の愉しみ。馬刺し・蜂の子なども堪能。

そのほか、大阪の老舗居酒屋「明治屋」で、念願の昼酒を楽しめたのも収獲。以前訪問したときは夕方で満席状態で飲んだのだが、午後3時くらいから飲みにいった今回は、常連のおじちゃんたちばかりが三々五々。古風な名店の風情を、ゆったり味わいました。

やはり旅の酒は格別。東京の人気店に行く気持ちはますます失われるのです。

青森・十和田 極楽おいしい四泊五日

日本全国どこへいっても同じような旅館めし。ちょこんとさえない刺身・固形燃料で温める陶板焼に小鍋・さめた茶碗蒸し・甲羅に入ったカニグラタン・・・。それがいやなので 温泉に泊まるとき以外、旅館で食事をすることはほとんど無い。いつもビジネスホテルに泊まり、土地のものが食べられそうな居酒屋を探す。海の近くなら、きときとの地魚の寿司なんていうのもいい。ホテルのフロントやタクシーの運転手におすすめの店を教えてもらうのもひとつの手だ。「これはできる」と気に入った店のご主人に、他の店を紹介してもらうというのは最高のパターン。かなりの確率で、いもづる式の収穫があるのだ。

さっぱり更新していない拙ホームページ、「観光」の旅めし編に書いた一文である。「旅めし」というのは私の造語で、旅先で楽しむ飲み食いのこと。旅に出たなら夕食はもちろん、朝食・昼食・喫茶店・バーなど、一食たりとも妥協したくないという食い意地の張った私。青森・十和田の旅めしの記録をご紹介しよう。

1日目
昼食:東北新幹線車内で仙台「牛タン弁当」
新幹線に乗る前に弁当は買わない。途中駅でご当地駅弁が積み込まれるのを待つのだ。ひもを引っ張ると加熱剤が発熱し、ほかほかになる弁当だった。

夕食:炉端焼き居酒屋「煉瓦亭」

煉瓦亭じゃがバター

函館―青森間を結ぶ大型高速フェリー「ナッチャンworld」に乗船するため函館入り。函館駅近くの古ぼけた「煉瓦亭」へ。まるで藤森照信作品のようなクラフト感あふれる年季の入った店内。異例の暑さの今夏の函館。炉端の火で店内はサウナ状態。やっぱり冬くるもんだ。直火で焼いたじゃがいもはほっこり。バターとイカ塩辛を一緒に食べるのが北海道流。

2日目
昼食:フェリー船内で、ホッキ貝を使った限定弁当
青森に上陸
青森県立美術館のカフェで有機栽培コーヒーとチーズケーキ
夕食:青森市街の居酒屋「F」

居酒屋F

活ツブ刺・近海マグロ中落ち・油目(あいなめ)刺・ホタテ貝焼きや青森の地酒を堪能する。そのあとジャズバーに行ったのだが、「F」が恋しくて閉店直後にご挨拶に。ご主人に「もう一杯飲んでいきなよ」と迎えられ、一緒に地酒をぐいぐい。3年寝かせた発酵ニシンまでいただき、夜更けまで酒を酌み交わしたのであった。

3日目
朝食:くどうラーメン

くどうラーメン青森の市場で働く人たちが朝飯に集うというラーメン屋があると知り、ホテルの朝食をキャンセル。くどうラーメンは朝8時開店。魚介系のごく薄あっさりスープと細麺は、朝から食べてももたれない。コショウは入れないほうがよいかも。





昼食:小坂鉱山の「ホルモン幸楽」ミックス定食

ミックス定食青森から小坂鉱山経由で十和田へ向かう。大きな鉄板鍋で、牛カルビ・ホルモンを食べる「ミックス定食」。キャベツたっぷり。甘辛のたれにご飯がすすむ。しめにうどん玉をサービスしていただきたれを食い尽くす。女将さんのキャラが楽しい。

夕食:十和田市の居酒屋「呑兵衛」
刺身からもつ焼きまで、メニュー豊富な活気ある店。韓国料理やマッコリなどもそろっているのは、在日の方の経営だからだとうかがう。サムゲタンが安くてうまい!(青森産ニンニクたっぷり)

バー:Bar-K's
カウンターのみの穴蔵のようなショットバー。マスターは、バーテンダースクールでも教えている本格派。ジントニックは、ステンレスマグでキリリ。オリジナルカクテルも絶品。十和田市唯一の(?)洒落た店。

4日目
昼食:奥入瀬渓流ホテルのラウンジでミル挽きコーヒーとホットサンド

ミル挽きコーヒーカリカリと自分でミルを回しコーヒー豆を挽いてからサーブしてもらうコーヒーは、深煎りで香りよし。岡本太郎の巨大暖炉「森の神話」を見上げながら。








夕食:奥入瀬渓流ホテルの和食膳

十和田牛のヒバ蒸このホテルでは、夕食バイキングは避けたほうがよさそう。青森の地産食材づくしの和食コースは、ヒバのチップを入れたお湯で蒸す十和田牛、姫ニンニクの天ぷらなどがよかったな。

ホテルの夜は静かでバーなど無いので、ラウンジで十和田ワインの赤。ヤマブドウを使っているそうだ。



5日目
朝食:渓流テラスで朝食ビュッフェ

テラス朝食奥入瀬渓流に臨んだ屋外で、のんびり朝食。奥入瀬ガーリックポークは餌がニンニクだそう。生ハム・部厚いベーコンエッグなどに、風味が生かされる。台風の影響で「奥入瀬濁流」だったのは残念。






昼食:十和田市現代美術館カフェで、ハートランドビールとピザ

十和田市現美カフェ

高い天井・大ガラス・床はカラフルなマイケル・リン作品。ハコは申し分ないのだが、キャパ少なく、ウエイティングの管理も無く、セルフサービス。混雑時には椅子取り合戦勃発。見るだけでいいかもしれません。

夕食:焼肉大昌園でB級グルメ「バラ焼き」

大昌園十和田市がB級グルメとして普及を目指してる「バラ焼き」。牛バラと玉ねぎを甘辛いたれで鉄板焼きする。十和田の人々には昔から愛されている料理で、北海道のジンギスカンの感覚。老舗大昌園のたれの味は甘いけれどクドくない。ビールにも合うしご飯もすすむ。家庭用にバラ焼き肉をテイクアウトする地元の客が次々にやってくる人気店だ。無煙ロースターなど無いこの店、網焼きをすると大変なことになるが、塩ホルモンの網焼きも抜群の旨さでした。煙と臭いには覚悟して食うべし。

というわけで青森・十和田「極楽おいしい四泊五日」でした。





※さとなお著「極楽おいしい二泊三日」(文芸春秋)は、旅めし派のわたしが待っていた一冊。青森は出てこないけど、日本各地のおいしい旅めしの情報にあふれてます。朝食にまで手を抜かないところがさすが。居酒屋は知ってる店多くてうれしいなあ。

極楽おいしい二泊三日
極楽おいしい二泊三日
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ギャラリーと街歩き

昨日は久しぶりに東京に出かけた。ギャラリーをいくつかめぐり、カメラを持って街を歩く。まずは新橋駅からスタート。SL広場の蒸気機関車の背後にタモリの看板。はまってる。

新橋

タモリとSL

新橋から資生堂ギャラリー「椿会展2010」へ。いつもながらやわらかな光を感じる伊庭靖子。やなぎみわは女性性を象徴する赤いハイヒールを、様々なサイズで作り並べている。最大のは60cmだったかな。塩田千春は映像作品。裸体の作者に絡みつく膨大な細いチューブの中を赤い液体が流動し、心音が聴こえる。このチューブが血管なら、塩田作品の「糸」は神経繊維だったのかと思えてくる。

工事中

エルメスの向かいのビルはすっかり梱包されて工事中。青い空にクレーンのオレンジが鮮やか。メゾンエルメス8階フォーラムでは「市井の山居 細川護熙展」。細長いギャラリーを外露地・内露地・草庵に見立てた会場構成がうまい。(細川氏自身の演出だそう)モダンなガラスブロックに囲まれたスペースに焼物・絵画・書・陶仏そして苔!これが不思議に響きあう。藤森照信設計の茶室「亜美庵杜」ばかりを目当てで行ったのだが、展示全体が小宇宙を形成している味わいは予想以上。茶室の縁側には腰掛けてもいいのでお試しを。心地よく包まれます。是非昼間の明るい光の中で観て欲しい展覧会。

有楽町

果物屋

ガード下

昔の猥雑さの断片を残す有楽町を通り過ぎ、日比谷へ。はじめて入った第一生命ビルのギャラリーでは「脇田和展」と「藤原裕策展」。壮大なエントランスホールの壁面に、歴代VOCA賞受賞作が展示されているのには驚いた。伊庭靖子のVOCA展'98の奨励賞作には、静謐な近作にはないエロスと過剰さが感じられる。

日比谷丸の内

整然としたビル・並木・花の彩る日比谷・丸の内をしばし歩き、高橋コレクション日比谷で「会田誠+天明屋尚+山口晃」。3人展であることが、会田の分散・増殖する作品世界の魅力を際立たせる結果となった感がある。山口の「九相図」や天明屋のグラフィティも面白いんだけど、会田誠の表現のデプスと振り幅にはかなわない。

日比谷から市ヶ谷のミズマに移動。会田誠「絵バカ」。サラリーマンの死体とOA機器が累々と積みあがった「灰色の山」のでかさと描写量は半端でなかった。遠くの山にもよく観ると小さくうっすらとした死体。死体による遠近法である。映像作品は好悪分かれるだろうな。2人目の微乳の子、動作がかわいかった。

※ミズマの「絵バカ」は6月5日(土)で終了。

加賀廣
ギャラリーと街歩きの半日、最後は護国寺のもつ焼き屋「加賀廣」で。ビルの建ち並ぶ中、ポツリと残った木造2階建ての古風な店。もつの鮮度、仕事の丁寧さ、焼酎のセレクトなど、お気に入りの店だ。

2009年 私のお気に入り 旅めし

057


・神馬(京都)
今まで全国あちこちの居酒屋で飲んできましたが、風情ある店構えと料理の旨さはさすが京都の老舗。それでいて敷居は高くなく、気安く飲める。2度目の訪問でしたが、期待を超えた満足度でした。

・安楽子(長崎)
長崎の街の人に愛される大衆酒場。料理の種類が豊富で悩ましいほど。クジラのサエズリの刺身も安い・旨い・ボリュームあり。常連の年配のご夫婦と、長崎のこと、原爆のことなどお話ができたのも貴重でした。

・あんかけ家(名古屋)
独特の食文化を持つ名古屋人のソウルフード、「あんかけスパゲティー」を初体験。不思議だけどくせになりそう。

・登喜和(京都)
丹波マンガン記念館からの帰り道、京北周山町で昼飯に立ちよった肉屋さん併設の食堂。何気なく喰った牛肉野菜炒め定食が驚きのうまさ。あとで知ったのですが、実は極上の黒毛和牛のステーキ・すき焼きが格安で食べられる名物店でした。

・北山珈琲店(都内某所)
ここで飲んだ物凄く濃厚なオールドビーンズのコーヒーは、私のコーヒー認識を覆す衝撃でした。ひっそり静かでコーヒーの芳香に包まれた特別な店。

京都の居酒屋 神馬

神馬

かつての朱雀大路にあたる京都千本通りに面した蔵造りの古風な建物。数年前に初めて訪れ、是非再訪したいと思っていた居酒屋「神馬」(しんめ)である。ゴールデンウィークに京都の一夜を過ごした。

奥の深い店内には大きくコの字型にカウンターが回り、太鼓橋まである凝った内装。よく見ると壁一面の飾り棚には、数々の古ぼけた酒器が並んでいる。昭和9年創業のこの佇まいだけでも、稀にみる居心地のよさだ。

酒は大きな甕に灘の酒数種をブレンドして入れており、銅の燗付け器でお燗してくれる。灘の酒は男酒、伏見の酒は女酒というのだとか。そして、地元京都の料亭で修行したという若い三代目の料理がなんとも旨い。

充実のお通し

この日は希少なシャケ、時知らずの刺身や絶妙の火加減で香ばしくジューシーに焼かれた地鶏塩焼など楽しんだが、メバルと筍の煮付けにとどめを刺された。身がぷりぷりとはち切れそうな新鮮で大きなメバルと、筍・ゴボウなどの野菜がたっぷり盛られた大皿。甘辛目の煮汁に、思わず白い飯が欲しくなり注文。

飯についてきた漬物とちりめん山椒も只者ではなかった。自家製のちりめん山椒の鮮烈な芳香は、その日の朝、ホテルの朝粥セットで食べたちりめん山椒を、たちまちにして駄物に感じさせるほどだった。

神馬の難点を挙げるならば、一品のボリュームがありすぎて一人で飲むにはもてあましてしまう料理が多いということだろう。

前回は穴子寿司で締めたので、今回は最後に肉厚な鯖寿司を。高級食材から黒ホッピーまで。その品揃えは懐が深く、懐にあわせた飲み方のできる居酒屋だ。

京都市上京区千本通中立売上ル玉屋町38
営業17:00〜22:00 日曜休

東海道ぶらり旅

佳水園

4月25日から30日まで、京都を中心に東海道をぶらぶらしてきました。高速1000円乗り放題利用の車旅です。さいわい渋滞は一度もなし。車での長旅は久しぶりで、サービスエリアにスターバックスがあったり、コンビニがあったり、高速道路の様変わりに驚きました。さて今回の旅はカテゴリー別に振り返ってみます。

建築
佳水園(村野藤吾)
京都東山のウェスティン都ホテルの別館。建築に興味のない方にとっては普通の数奇屋建築に見えるかもしれませんが、平面構成のリズム・家具・建具・照明など、村野流のモダンなディテールにあふれた空間でした。夕食は部屋食で京懐石をいただき、ゆったりと過ごしました。

京都御所
申し込み不要の一般公開期間中と現地で知り、急遽見学。すごい人出でした。

京都国立近代美術館( 槇文彦)
今見ると、ちょっと野暮ったい。平安神宮の大鳥居の馬鹿でかさに負けてます。

豊田市美術館(谷口吉生)
いつ見ても、クールで美しい。

・豊田大橋、豊田スタジアム(黒川紀章)
有機的で過剰な造形の大橋と、巨大なスタジアム。バブリーです。

資生堂アートハウス(谷口吉生)
達人にも模索の時代があったのか。いまいちです。

アート
・ヤノベケンジ「ウルトラ展(豊田市美術館)
巨大な新作は、電磁波を発する強烈なエレクトリック作品。でも「キンダガルテン」のときほどの規模の個展ではなく、物足りなさも・・・

石田徹也展と静岡県ゆかりの画家(浜松市美術館)
石田徹也の展覧会ははじめてでしたが、原画ならではの感動はあまりなし。かなり大きな作品があることや、NHKでは放送しないだろうダークな作品もあることは発見でした。

・都築響一「着倒れ方丈記(京都国立近代美術館)
常設展の新コレクションとして特集展示。チープな狭いアパートに住み、ブランドもののファッションに人生を捧げる、「着倒れ」な人たちの部屋の写真がズラリ。あきれた人たちがいるものだ。「オブジェ倒れ」な私も笑えませんが。

丹波マンガン記念館

B級スポット
丹波マンガン記念館(京都)
今年5月31日で閉館する、鉱山観光スポット。苔むした坑夫マネキンの姿に感動。「在日の恋人」の高嶺格が住み込んだ小屋も発見。裏京都観光を堪能しました。

五色園(愛知県日進市)
広大な敷地にコンクリートの人形たちが散在する宗教テーマパーク。侘びさび系。

紫峰人形美術館(愛知県高浜市)
3万体の人形たちが繰り広げる、豪華絢爛な舞い踊り。言葉にできない物凄いパワースポット。

旅めし
神馬(京都)
西陣近くの蔵造りの居酒屋。雰囲気もお料理も最高です。再訪してますますファンになりました。

大甚本店(名古屋)
大衆酒場の王道を感じさせる老舗。なぜかシャネルの眼鏡をしたご主人が、いい味出してます。

・千代娘(豊橋)
タイムスリップしたような懐かしい店内。料理もいい。

あんかけ家(名古屋)
名古屋独特の食文化、「あんかけスパゲティー」を体験。B級だけどくせになる。

登喜和(京都)
丹波マンガン記念館からの帰り道、京北周山町で昼飯に立ちよった肉屋さん併設の食堂。何気なく喰った牛肉野菜炒め定食が驚きのうまさ。あとで知ったのだが、実は黒毛和牛のステーキ・すき焼きが格安で食べられる名物店だった。今は寂しいこの町が、かつては北山杉の産地として栄えたという。

ドライブイン藤田屋(知立)
昭和の雰囲気の街道沿いの食堂。安くて大盛り。名物お菓子「大あんまき」も旨い。

・すいのや(掛川)
掛川城の大手門横の駄菓子屋。静岡おでんを格安でおやつにいただく。黒はんぺんにじゃがいもが旨い。

スマート珈琲店(京都)
ご主人が毎朝焙煎するコーヒー。お土産にも買いました。

鈴木珈琲店(豊橋)
上質でシンプルなモーニングセットがよい。

ジャズ遍路
・ろくでなし(京都)
・ロジウラのマタハリ(名古屋)
・グッドベイト(知立)
・キーボード(豊田)
・グロッタ(豊橋)
・アドリブ(豊橋)

いつものごとく盛りだくさんな旅となりました。この中からいくつブログにアップできることやら。それにしても、我ながらダイナミックレンジの広い旅でした。(悪趣味とも)

明日から京都へ

明日から新緑の京都へ向かいます。

高嶺格の「在日の恋人」の舞台となった、丹波マンガン記念館が5月31日で閉館するのです。今まで全国各地の炭鉱・鉱山の資料館・テーマパークを旅してきましたが、丹波マンガン記念館は初訪問です。朝鮮人強制連行の歴史を前面に打ち出した資料館と、ボロボロに朽ちかけた坑夫マネキンがいい味を出しているという坑道見学。京都の山奥にひそむ見逃せないスポットです。

いつも旅の宿はチープなビジネスホテルなのですが、今回は村野藤吾設計の佳水園に1泊します。ウェスティン都ホテルの離れの数奇屋建築です。簡素な中に、村野のディテールへのこだわりが感じられるといいます。

京都では、蔵造りの老舗居酒屋「神馬」(しんめ)を再訪しようと思っています。喫茶店のモーニングも楽しみです。

神馬※2005年の年賀状で、神馬
を紹介しました。

三杯のコップ酒 武蔵屋

武蔵屋












今年は旅に出ることも少なく、居酒屋探訪もあまりできなかったが、秋の一夜、以前から飲みたいと思っていた野毛の武蔵屋で、酒を飲むことができた。店の場所を調べ、過去2回訪ねたのだがいつも「しばらく休業します」の貼り紙。この日も半ば諦めつつも店の前に向かったのだが、今日は行列ができている。暖簾も何も無い、薄暗い木造平屋の一軒家の前に行列とは不思議な光景だ。

しばらく待って、店内に案内される。コンクリートの床、右手にカウンター、左手に簡素なテーブル。空いていた奥の小上がりに落ち着く。小さな木の台が座敷に置かれていて、先客と膝突き合わせるように相席となる。

若い女店員に「お酒からですか」と聞かれ、うなずくと武蔵屋の「清貧のフルコース」の始まりだ。台にコップが置かれ、土瓶からなみなみと燗酒が注がれる。受け皿なんていう小洒落たものはない。コップに口を近づけてすすってから飲まないとこぼれてしまう。1杯目のおつまみは、おからとタマネギの酢漬け。2杯目を頼むと、ネギたっぷりの大粒の納豆が出される。ほろ酔いになってきて、開け放たれた窓からの、秋の夜気が心地よい。そして3杯目とともにメインディッシュ、タラ豆腐とぬか漬けがやってくる。自家製だろうポン酢と出汁の香る湯豆腐にタラの切り身がのり、シラス干がたっぷりかけられたタラ豆腐はボリュームもあり、しみじみ旨い。この酒とおつまみの「コース」、1年中不動のメニューなのだそうだ。

この店、酒はひとり3杯までのきまり。その他にビールを追加することはできる。相席になった方によれば、3杯以上おまけで飲ませてもらえることもあるらしい。

ご高齢の姉妹が切り盛りする武蔵屋。土日月がお休み。休業もしばしばの様子で、現役でありながらまるで幻の伝説の如き居酒屋である。

先週の胃袋

たまには、1週間自分が何を喰っているのか振り返ってみる。

先週は月曜日にスーパーで鮮度のいいスルメイカの特売があり、
自作料理はイカ中心に。外出が多く居酒屋飯も多かった。

月曜日:●スルメイカ刺●イカ肝ルイベ

火曜日:●イカ墨パスタ●豚軟骨煮オレガノ風味

水曜日:あしてびち定食(昼:渋谷沖縄)/うなぎ串焼き各種(夜:渋谷うな鐵)

木曜日:●イカとブロッコリーのトウチ炒め

金曜日:ほうれん草とチキンのカレー・シシカバブー・タンドリーチキン(昼:上野アーグラー)/うなぎくりから焼・合鴨串焼・煮奴(夜:根岸鍵屋)

土曜日:●たらこスパゲティ(昼)/ダルマイカ刺・レバ刺・ばくらい・たてがみ・トコブシ煮・なまこ酢・釣りアジなめろう(夜:某居酒屋)

日曜日:●ラフティー

こうして書き出してみるといろいろ喰ってるなあ。
●印は自作料理です。

古民家の居酒屋 待家

待家個室









馬刺しイシモチ塩焼き









群馬音楽センターで東京佼成ウィンドオーケストラの演奏を鑑賞したあと、音楽センターから程近い薄暗い通り沿いに、予約しておいた居酒屋「待家」(まちや)を見つける。注意していないと通り過ぎてしまうほどの、ほのかに照らされた店先。玄関を入るとたくさんの招き猫が出迎え、4畳半ほどの個室に案内された。この建物は築80年以上のもとは蒲団屋だった商家だそうで、居酒屋として使われ始めてまだ数年。大小の個室のみで営業しており、まるで人の屋敷に招かれたような雰囲気だ。

箪笥の上にはずらりと酒瓶が並ぶ。奄美の黒糖焼酎や、青ヶ島の青酎もある。料理はおまかせにしてもらい、生ビールのあとは、「越州」という新潟の酒の純米を燗で、純米吟醸を冷で飲む。刺身の盛り合わせなど出てきたが、生ものはやはりいまいち。馬刺しは脂がのり、しょうが・わさび・にんにくスライスとそれぞれの薬味で楽しんだ。締めは1人1尾、たっぷりとイシモチの塩焼き。ゆずこしょうが盛られ、焼加減がいい。

コンサートの後で飲み始めたので、時間も遅くなり、どうせならバーに寄るかわりにカクテルもこの店で飲んでいこうとしたが、カンパリ・ディタ(ライチ)・カシスなど女性客向けのリキュールしか置いていない。カンパリ・ベースのスプモーニで妥協。気分を変えて厨房前の小さなカウンター席に移らせてもらう。この席は普段お客用には使っておらず、ちょっと顔を出した常連が軽く一杯やっていったりするのだそうだ。

待家のこの夜のBGMはボサノバやMPBが中心で(CDをかけている)、まさに自宅で飲んでいるようにくつろぐことができた。雰囲気は実に良い店。酒や料理にもっと郷土色を出してくれたなら言うこと無しだ。

待家(サントリーグルメガイド)
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テツ

「中年とオブジェ」とは赤瀬川原平の名著「少年とオブジェ」へのオマージュである。美術、オブジェ収集、エリック・ドルフィーを愛好する。

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