中年とオブジェ

美術館・街で見かけたオブジェ 旅先で手に入れたオブジェ オブジェの視点で世の中を楽しむ中年の日常。

新潟

クリスマスブーツ





採集地 新潟(水と土の芸術祭)

ピンク写真館





採集地 新潟

路上の大仏





採集地 新潟

新潟 芸術祭ではない風景













採集地 新潟

今年秋に遠征した新潟の「水と土の芸術祭」。
まもなく12月24日(月)で会期が終了するが
大友良英と飴屋法水たちによるインスタレーションのその後が気になりつつも
再訪はできそうにない。
冬を迎えて、あの空間はまた異なった様相を見せているのであろう。
冬枯れの瓦礫の集積の中に佇みたかった。

そんな芸術祭をめぐる途中で目にした新潟の風景。

Girls





採集地 新潟

水と土の芸術祭2012 点景












メイン会場のショップで売っている「みずつちサイダー」。新潟産の洋ナシの品種ルレクチェの風味が上品で、甘さを抑えたさわやかな飲み物だ。洋ナシをあしらったボトルのデザインも洒落ている。

※新潟の水と土の芸術祭の会期は今年12月24日まで。

水と土の芸術祭2012 新潟島エリア散策

JR新潟駅から信濃川を渡った新潟島エリアにも、水と土の芸術祭の様々な作品が散在している。中でも印象に残った、歴史的建造物を利用した展示について紹介しよう。

北方文化博物館新潟分館は、大地主伊藤家の持ち家のひとつを、展示施設としている場所。「自註鹿鳴集」などで知られる會津八一が晩年をすごした屋敷でもあり、普段は會津八一関連の資料等を展示している。その建物の一角に、書家、華雪の作品が展示されていた。

旧齋藤家別邸は新潟の三大財閥の豪商・齋藤喜十郎が建てた別荘。普段から公開されている建築だが、芸術祭では庭園の眺めが見事な2階座敷や蔵の中に、照屋勇賢の紙袋を切り取った代表作などが展示されている。
















歴史的建造物の再利用、保護のあり方は難しい。とかくきれいに塗装しなおしたり、安易に手入れできるリノリュームの床にしてしまったり。私が新潟島で散策した2会場は、建物の持つ本来の面影がよく残されており、庭の手入れも行き届き実に居心地のよいスペースだった。座敷に座り込んでしばしボーっとくつろいだ。そして芸術祭の作品の展示のあり方も、忽然と押し付けがましいのではなく、平常の展示物と適度な距離を保ちつつ、歴史的建造物により、チカラを引き出されている印象を受けた。

やはり、廃屋や廃校を再生した展示施設と、普段から人の手が入り愛されている建築における展示というのは、一見似ているようでありながら、大きな違いが感じられるのだ。メイン会場の旧水揚場に見られた寂寞とした廃墟のような眺めに戦慄し、新潟島エリアの、建物の持つ「気」が伝わってくるようなお屋敷での展示に包み込まれる。このレンジの広さもまた水と土の芸術祭の魅力なのだな。

廃屋や廃校のように建物の「気」がそがれた場所というのは、現代美術の器としては美術館のホワイトキューブと同工異曲で使いやすいのではないかなと思う。だが、建物そのものがまだ息づいている空間にちょっと間借りしている美術作品というのは、うまくはまるとさらにその力を引き出され、建物自体にも異化作用を及ぼす。照屋勇賢の紙袋作品には、そんなぎりぎりの均衡を鮮やかにとって見せた静かな美しさが感じられた。

※水と土の芸術祭の会期は今年12月24日まで。

水と土の芸術祭2012 王文志の浴火鳳凰

新潟は河川がうねり、運ばれた土が潟を残し形成された土地である。その新潟を象徴する風景が、大きな信濃川の流れとクラシカルで美しい萬代橋の眺めだ。その萬代橋をのぞむ緑の美しい河川敷に、忽然と異容を現した作品がある。台湾生まれの作家、王文志(ワン・ウェンヂー)の「浴火鳳凰」(よっかほうおう)と名づけられた巨大な構築物だ。









王文志は、2009年の水と土の芸術祭でも「バンブーハウス」で話題を集めたが、台風の被害で作品が倒壊。再建した作品は「フェニックス」(不死鳥)と呼ばれたそうである。今回の芸術祭の「浴火鳳凰」の英語表記は「Phoenix From The Flames」。東日本大震災の復興への願いも込めて「フェニックス」を名前に入れたそうだ。

400本に及ぶ竹の切り出しには、多数の市民サポーターが参加し制作されたという。入り口部分に編みこまれている布には、市民から回収された古着・古布を利用。チベットのタルチョの持つ土俗性にも通じるものを感じた。私が訪れた時は、夏の名残の強い太陽光が内部にも透過し、竹のシルエットが幻惑的な陰影を構成していた。

内部に佇むと、そこはまさにサンクチュアリ。特別な聖域性を宿している。

市内のタクシーの運転手さんたちも、居酒屋の主人も「芸術祭に来た」と告げると、「ああ、あの大きな鳥の巣みたいなやつね」「夜はライトアップされてきれいですよ」と口々に答えた。水と土の芸術祭を象徴する作品として、すっかり定着しているようだ。

※新潟の水と土の芸術祭。会期は今年の12月24日まで。

水と土の芸術祭2012 メイン会場 おもしろ半分制作所

 


新潟で開催されている「水と土の芸術祭2012」。その面白さを支えているのは、ボランティア・スタッフたちの芸術祭を楽しんでやろうという意気込みなのではないだろうか。メイン会場の小さな手作り感あふれるチープな受付で、女の子から会場案内を受けた。「ここ、すごく面白いから是非観ていってください。私、大好きな展示なんです」とすすめられたのが「おもしろ半分制作所」。通称はアジト。新潟港のメイン会場の一番はずれにある古ぼけた建物。屋根の上に変なものが、と思いつつ入場。

以前は長岡中央水産、北日本石油事務所などが入っていた施設。港で働く人々の風呂、休憩所として利用された場所が作品に変貌

水と土の芸術祭ガイドブック








いやもう、内部はすごいことになってます。和室あり、ベッドルームあり、屋上庭園あり、大浴場あり。唖然としているとボランティアの男性が熱く語りかけてきた。「ここは、まさに違法建築の秘密基地ですから、気をつけてくださいね。屋上庭園の土運び込むのほんとに大変でした」とニヤニヤ、顔がゆるんでる。

このテイスト、もしやと思ったら、仕掛け人はwah document。かつて、都現美の川俣正「通路」展のとき、とんでもないアイデアを募って企画を実現しようというテーマでチームを組んだwah projectのメンバーによる作品だったのだ。

狭い危険なはしごをのぼり屋上に出ると、新潟の市街地を一望する絶景。 「アジト」の看板の上には風見鶏ならぬ風見トキが!

もちろん、この作品は来場する子供達に大うけだ。みんな熱心に内部を探検していた。

「おもしろ半分制作所」は、今回の水と土の芸術祭の姿勢を象徴するスポットだと思う。既存の建物を再利用して、脱構築。あくまでチープで、粗雑で、手作りで、ゆるく、気取らず。昨今はやりの「リノベーション」なんかじゃないんだな。

作家達も内部にある既存の浴場で汗を流し、泊まりこみで制作をしたそうです。お風呂入浴イベントもあるそうで、ほんとに「ワウ」って感じですね。

※水と土の芸術祭の会期は今年12月24日まで。みずつちレポート、まだまだ続きます。

水と土の芸術祭2012 メイン会場 大かまぼこ

9月中旬に、新潟市街をはじめ周辺エリアで開催されている「水と土の芸術祭2012」に行ってきました。1泊2日の旅程で、今回は新潟港の旧港湾施設を利用したメイン会場と、新潟市街地の数箇所のスポットしか鑑賞できませんでしたが、大変刺激的な芸術祭です。

まずはメイン会場を写真を中心にご紹介します。これから鑑賞される方のために、なるべく説明的な画像は避けました。是非ご自身で体験していただきたい空間です。

メイン会場は、開港都市・にいがたの象徴とも言える新潟港にある「万代島旧水揚場」。最近まで水産物の水揚げやせりを行っていたこの場所でかつての歴史を感じながら、港の様々な表情とともに存分にアートを楽しめます。

水と土の芸術祭ガイドブック











ここが、中心となる展示スペース「旧水揚場」の通称大かまぼこです。「大友良英×飴屋法水たち」による広大なインスタレーションが展開。場内を歩くとあちこちから様々な音が聴こえてくるサウンド・インスタレーションでもあります。毎週のようにスタッフが新潟にやってきて、その姿は更新を重ね続けているそうです。仙台から来場された3.11の被災者からは、震災のガレキを想起したという声もあったとか。私自身は、昔はまった炭鉱跡地のゴーストタウンめぐりを思い出したり、タルコフスキーの映画に出てくる無意識の象徴を暗示する水の存在、「ノスタルジア」のラストシーンで燃え上がる家屋の姿などが脳裏に浮かびました。旧港湾施設のガランとした大空間は、川俣正ディレクションの横浜トリエンナーレ2005にも似た場の力を感じさせたのも興味深いポイントです。

見る人それぞれに、記憶の中の何かを引き出してくれる空間です。大かまぼこには原口典之の石油を使ったインスタレーション、人工雨の降りしきるゾーンなどもあります。

※大友・飴屋作品では、鑑賞者が持ってきた使い古した履物や、家電製品を集め展示空間に増殖中です。何かを自分の記憶の一部として持って行き、作品に参加してはいかがでしょうか?昼間と夕刻では、大きく会場の印象も変わり、地元の方はリピーターも多いそうです。私も午後早くと、閉館まぎわの2回、足を踏み入れて佇みました。

会期は今年の12月24日まで。秋冬の旅に計画されてはいかがでしょうか。新潟は酒も魚もご飯も美味しいですしね!その他の会場も、これからご紹介していく予定です。

光の館 アートに泊まる

光の館金沢21世紀美術館「Blue Planet Sky」直島「オープン・スカイ」に続き、新潟県十日町市の「光の館」に宿泊体験することが出来た。昨年春に直島の地中美術館で「オープン・スカイ」の日没を鑑賞するナイト・プログラムを体験し、「光の館」も是非という気分が高まっていたことに加えて、12月中旬まで富山の発電所美術館で内藤礼の個展が行われていたことが旅の決め手になった。

しかし、天井にぽっかりあいた空を見上げるタレルのこの作品、金沢・直島は観賞場所が屋外の構造になっているので雨が降っても体験できるが、新潟の「光の館」はなんと12畳の和室の屋根がスライドして空を見られるようになっているのだ。12月という天候の不安定な時季に宿泊するのは確率の低い賭けだった。

光の館に到着した午後4時頃、空は曇り空から青空に変わり、さっそく管理人の女性に屋根を開けてもらいじっと見上げた。白い雲が美しく流れる。吹きさらしの天井からは冷え切った空気が入ってくるが、部屋の暖房はダクトから強力に噴き出し快適だ。

管理人は隣接した小屋にいるが、夜は帰ってしまい、屋根の開閉も宿泊者の管理となる。荒天時の開閉による損害の賠償などについての誓約書にサインし、屋内施設の説明を受けた後は、この日は我々ふたりの貸切だった。部屋は屋根が開閉する12畳間と8畳間、6畳間。大きなシステムキッチンと広い風呂、トイレ2つなどがある。神殿のような外観・和風の内装と天窓のシステムのギャップが面白い。

光の館1光の館2光の館3






廊下外観風呂






やがて日没の時間が近づきコンピューター制御のライト・プログラムが始まった。空は曇ってきたが何とか降らずにすんだ。地中美術館の空との補色を鮮やかに使ったプログラムに比べ、シンプルなライティングの変化だが、暮れ行く空の色を切り取っただけでこんなにも深い色調の変化を体験できるとはなんとも不思議だ。淡い青から濃紺、漆黒まで、移ろう空を和室の畳に寝そべって味わえるというのは極上の気分だ。

日が暮れたあとの「光の館」の佇まいも格別。室内の調光器はタレル指定の照度に設定され、薄暗いほのかな陰影を味わう。風呂はすっかり闇の中で、浴槽に設置された光ファイバーだけが光源の神秘的な空間に生まれ変わる。24時間いつでも入れる、4人でもゆったりのこの風呂、さすがに循環バスで、塩素臭さはいまいちだったが。

夕食は山菜・野菜を中心にしたケータリングを頼んだ。冷蔵庫には新潟の地酒が各種、冷えている。

やがて降りだした雨は夜通し続き、夜明け前に一旦やんだものの、霧雨が続き、夜明けのプログラムは断念せざるを得なかった。

光の館の宿泊料金は、何人で泊まっても基本使用料2万円がかかる。(2人で泊まればひとり1万円づつの負担)これに1人当たり3000円の宿泊費、寝具・タオル代500円などが加わってくる。キッチンや食器の使用は無料なので、大人数で宿泊して宴会を楽しむグループもいるとか。ちなみに宿泊希望が何組か入ったときは、宿泊者に部屋のシェアの仕方などをまかせ同泊となることもある。(相部屋にはしないそう)

半年前から、週末は予約で埋まる「光の館」。これからますます予約困難になっていきそうな気がする。文字通りアートに泊まる体験。直島のベネッセハウスに泊まる比ではない。

光の館ホームページ
プロフィール

テツ

「中年とオブジェ」とは赤瀬川原平の名著「少年とオブジェ」へのオマージュである。美術、オブジェ収集、エリック・ドルフィーを愛好する。

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