中年とオブジェ

美術館・街で見かけたオブジェ 旅先で手に入れたオブジェ オブジェの視点で世の中を楽しむ中年の日常。

相国寺

若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会

鶏卵若冲の動植綵絵全30幅を観るため、京都の相国寺に行ってきた。ブルータスの若冲特集号でこの企画展を知ったときから心は決まっていた。今回の展示については、すでに優れたレポートをされている方がいるので、このブログでは、私と若冲についての思い出を書いてみよう。

最初の画像、無論若冲ではない。小田原に住んでいた20年近く前、古書店で見つけた、昭和のものと思われる鶏卵のポスターである。鶏と旭日の鮮やかさに惹かれ、手に入れた。

その後だいぶたってから、画集で若冲の描いた鶏をはじめてみた。その克明な描き込みに驚いたが、鶏卵のポスターのことを思い出し妙にポップな印象も受けたのを覚えている。鶏卵ポスターの名もなき作者も若冲を知っていたのだろうか。

鳥獣花木図屏風時は過ぎ、初めて若冲の作品を目にするときがやってきた。森美術館開館記念の「ハピネス」展である。プライス氏のコレクション、「鳥獣花木図屏風」が、数多くの現代美術作品とともに展示されていたのだ。このモダンさには驚いた。古典でありながらポップ。若冲の名を再認識した。

そして昨年の東博の「若冲と江戸絵画 プライス・コレクション」展を見に行ったのだが、「鳥獣花木図屏風」との再会はうれしかったが何か物足りない。そう、私はもっと鮮烈な鶏の絵が見たいのだ。そこで、すでに4期目を迎えていた宮内庁三の丸尚蔵館の「動植綵絵」展に出かけた。

そこで出会った「群鶏図」。まさに私が求めていた若冲がそこにあった。鮮烈で繊細で大胆でポップ。残る5期にももちろん出かけ、相国寺での若冲展を心待ちにした。

群魚図(蛸)いよいよ相国寺の若冲展がはじまった。会期2日目の月曜日、会場の相国寺承天閣美術館へ向かった。第一会場の鹿苑寺大書院障壁画をはじめとする作品もすばらしかった。全部若冲なのだ!そして長いプロローグを経ていよいよ第二会場へ。入り口に立ち、会場全体を見渡したとき、身体が震えそうになった。釈迦三尊像を中心に左右を取り巻いた動植綵絵。稠密な張り詰めた空気が、会場を包んでいる。

全体と細部の緊密なバランス。これが動植綵絵1幅づつにこめられた魅力なのだが、そのことは、30幅すべてが一堂に会したとき空間全体と、1幅づつの細部の緊密なバランスにそのまま置き換えられるのだ。慎重に推測され再現された動植綵絵の配列は、見事にひとつの世界を構成していた。

太陽系が銀河系のなかに存在し、その銀河系もまた宇宙全体の片隅に存在するように、蛸の足に絡まる子蛸という細部が群魚図のなかに存在し、群魚図が動植綵絵全体のなかに存在する。釈迦三尊という至高の存在と、花・虫・蛙・鶏・魚・蛸・・・、地上の万象が同時に存在する世界がそこにある。まるで宇宙全体の成り立ちの不思議さえ感じるような体験をした。

若冲の1枚1枚の絵の持つポップとも感じられる世界が、仏教の摂理の高みにまで昇華されるのだという解釈は、こうして釈迦三尊像と動植綵絵がすべて出会って初めてダイレクトに体感することができる。

鶏卵のポスターからはじまった(?)私の若冲体験も、今回ひとつの頂点を迎えたのである。

若冲展公式サイト

若冲展行ってきます

明日から京都へ行ってきます。
昨年、皇居内の三の丸尚蔵館で公開された伊藤若冲の「動植綵絵」30幅が
元の持ち主である相国寺の承天閣美術館で、一挙に公開されるのです。
相国寺が所蔵している釈迦三尊像と一堂に会するのは120年ぶりだとか。

三の丸尚蔵館では5期にわたって展示されたのですが、
最後の2期になってから観に行き、その素晴らしさに圧倒されました。
「これはもう全部観なければ」と京都まで。

新緑の京都、久しぶりの訪問です。
仏像・庭園・カフェ・居酒屋・ジャズ喫茶・・・

やっぱり京都はわくわくしますね。

若冲展公式サイト
プロフィール

テツ

「中年とオブジェ」とは赤瀬川原平の名著「少年とオブジェ」へのオマージュである。美術、オブジェ収集、エリック・ドルフィーを愛好する。

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