カズ「人生に偶然はない」日弁連の弁護士検索

2010年12月18日

企業内弁護士に9割が消極的

企業内弁護士に9割が消極的 日弁連調査(2010/12/17 08:47 共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010121701000092.html

米国8万人、日本435人 「企業内弁護士」これから増えるか(2010/12/17 20:05 J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/kaisha/2010/12/17083844.html?p=all



まぁ当たり前の結果でしょうね。>9割が消極的

企業は無駄な人員を抱える気なんて、サラサラないですからね。
必要性がなければ、採用しないだけの話。

必要性のある企業なら、とっくに採用しているはずと思います。
たとえば小口のディテール相手の訴訟を多数抱えている会社なら、会社内で弁護士を抱える実益があります。
私も修習中にヤフーの法務部を見学させてもらう機会がありましたが、彼らは個人相手の訴訟(発信者情報開示とか)を多数抱えているんですね。
掲示板やオークションなどを運営していると、個人相手のトラブルが多くなるのはやむを得ないのでしょう。
そういう会社であれば、いちいち訴訟を外部の事務所に委託するよりは自社で抱えてしまったほうがコストダウンにつながるので、企業内弁護士は合理的です。

逆に訴訟があまり多くない会社であれば、社員に弁護士資格がないと出来ない業務というのは限られてきますから、ニーズもないということになりますね。
そして、日本の会社の圧倒的多数が、そういう会社なんです。
それは当たり前のことで、今まで弁護士が社内にいなくてもやってこれたんですから。ニーズなんて、あるわけがないんです。

もちろん法的知識のある社員が社内にいること自体は望ましいので、条件が合えば採用を検討するところもあるかもしれません。
しかし、この「条件」というのが曲者です。要は、他の社員と同等の待遇であれば採用してもいいよ、ということであって、弁護士資格に着目して余分なコストを払おうという気は、会社にはないのです。
なぜなら資格に実益がないんですから。それだけの経済的対価を支払う気が起きなくても、それは仕方がない。

一方で、弁護士側の事情としては、一般社員と同等の待遇なら、なぜ苦労してまで弁護士資格を取らなくてはならないのかという問題になってしまいます。試験勉強の苦労という点だけでなく、ロースクールの学費・時間、修習の貸与、そういう「決して安くない出費」を負担して得られるものが「一般社員と同じ待遇」では、何のメリットもない。
さらに厄介な問題が弁護士会費です。会費を会社が負担してくれず個人負担をするとなると、それこそ持ち出しになってしまう。何のために弁護士登録をするのかという話になってしまいます。

つまり、「法曹人口を拡大して社会の隅々にまで弁護士を行き渡らせよう。企業内弁護士を爆発的に増やそう。」と本気で考えるのなら、弁護士資格の取得過程をもっと簡素・簡易なものにして、低コスト・短期間で取得できる制度設計にしないとおかしいはずです。弁護士会費の低額化も必要でしょう。
少なくとも大学院に行くことを強制し、司法修習の負担を課してまで養成している限り、現実のニーズとはマッチしない。
ただしこの場合、弁護士資格は宅建や行政書士のような資格と限りなく接近化し、社会的ステータスも下落していくことでしょう。でも、現実のニーズに対応させようとするなら、そうするしかないですね。


そういう弁護士像を本気で望むのかどうか。まさに今、その選択を迫られているのだと思います。
従来のような弁護士のあり方を望むのか。それとも「本気の増員」をして、社会に弁護士を行き渡らせるのか。

私は、従来の弁護士が果たしてきた社会的使命や意義を維持していることの方が大切だと思っていますから、社会の隅々に弁護士を行き渡らせる必要など全くないと思っています。
世の中一般にとっては、必要な時に弁護士を利用できる体制にあればいいのであって、無理に社会の中に生き渡せる必要などないはずです。
企業が弁護士を抱えることも、必要だと判断する企業が採用すればいいだけのことです。必要のない企業に無理に採用させる必要なんてない。それだけの話じゃないですか。
そうなると、大量増員のニーズなんてないので、さっさと司法試験の合格者数は元に戻したほうがいいと思いますし、だったらロースクールなんて止めてしまって、旧司法試験・昔の修習制度に戻さないと、いつか行き場のない弁護士だらけになって破綻するでしょうね。

schulze at 17:10│Comments(3) 企業法務 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 弁護士HARRIER   2010年12月20日 18:26
>社会の隅々に弁護士を行き渡らせる必要

佐藤教授などはこれなんですよね。
例えばカフェでコーヒー頼むときに店員さんが法曹有資格者で、法律相談できる社会とかを目指してるのかな?と思うような。そんなイメージです。

>一般社員と同等の待遇なら、なぜ苦労してまで弁護士資格を取らなくてはならないのかという問題

ローの学者先生からは、就職難について「合格者が必ずしも法曹にならなくていい、だから合格者増やせ」などと真顔でおっしゃる方が少なくありません。
意味が分からないですよね。
こんな発想だから、適性試験受ける人が激減することがわかってないのかもしれません。あわれすぎます。
2. Posted by schulze   2010年12月20日 20:42
弁護士HARRIER先生
お疲れ様です。

>例えばカフェでコーヒー頼むときに
>店員さんが法曹有資格者

まさにリアル版「Sammy's Cafe」!
ちょっと憧れますな(^^ゞ
会社法に異様に詳しいコーヒー屋のマスターって、カッコイイですもん。

社会の隅々に法律家が行き渡ると、コンビニ店員の弁護士とか、タクシー運転手の弁護士とか、たくさん登場するんでしょうね。
コンビニ店員やタクシー運転手が弁護士会費払えるのかは知らないですけどね。(^^;)

>ローの学者先生からは、就職難について
>「合格者が必ずしも法曹にならなくていい、
>だから合格者増やせ」などと真顔で
>おっしゃる方が少なくありません。

まぁコーヒー屋の店員を法律家にしようってんなら、しゃーないでしょう(死)。
それよりコーヒー屋の店員がローに行くのか、という根本的疑問は置いときます(苦笑)。

皮肉はともかく、なんだかもう、こうなってくると、このまま弁護士業界がどうなろうと国民の権利や財産がどうなろうと、そんなことは知ったことではなく、ただひたすら「誰もローに行かない社会」さえ実現してくれれば、私としては本望に思えてきます(泣)。
3. Posted by サラサー   2015年01月17日 01:13
企業内弁護士が
2005年時点で123人
2014年時点で1179人

この増加率の少なさを見れば、『ニーズなんて、あるわけがない』と言い切れそうですね。
ニーズがあれば今頃1万人です。

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