書泉グランデ短文を作りなさい

2011年11月04日

貸与制移行を主張する法科大学院なんて、一体誰が信頼するというのか

一般的に法科大学院は司法修習の給費制に反対していて、貸与制への移行に賛成する立場をとっているとされています。

(参考)
法科大学院協会プレスリリース「修習生の給費制維持は司法制度改革に逆行(理事長所感)」2010年10月12日
http://www.lawschool-jp.info/press/press09.html

私には、法科大学院が貸与制を支持している理由が、どうしても理解できません。
なぜ自分たちの卒業生である司法修習生が苦しむような施策に賛成するのだろうか、と。
卒業生を守ろうとしない態度は、これからローに入学して法曹を目指そうという人たちには、マイナスのメッセージにしかならないと思います。
なぜならローに入学しても、ローは自分たち学生のことを守ってくれないからです。
このことは法科大学院の利益にも反しているのではないでしょうか。

もちろん一口に法科大学院と言っても、大学ごとに利害も異なりますし、必ずしも一枚岩とは言えないところがあります。
大学院や教授の中にも、本音では給費制の維持を望んでいる人たちもいるはずと思います。
それでも、一般的には給費制の問題は司法試験の合格者数と結び付けられているものとされていて、給費制がある限り、これ以上合格者数は増やせないものと考えられています。
そのため、合格者数を増やしたい法科大学院としては、貸与制への移行を支持しているものとされているのです。

しかし、これはあまりにも単純な思考だと思います。
「給費制の下では合格者数を増やせない」のは真実だとしても、「貸与制なら合格者数を増やせるのか」と言ったら、それはイエスではありません。
今の深刻な就職状況、そして合格者の質の低下が叫ばれる状況を考えれば、とても合格者を増やせる環境にはないのです。

そもそも、今の就職難の状況で合格者を増やすこと自体、ますます路頭に迷う修習生を増やすことに他なりません。
こんなことを推し進める法科大学院というところは、自分たちの卒業生を守るという考えがないとしか思えないです。

合格者を増やし、見かけの合格率を上げたところで、人々が法科大学院に入学したいと思うのでしょうか。
法曹になりたいと思うでしょうか。
いや、そうではないでしょう。むしろ法科大学院は確実に信頼を失って、ますます志願者が減っていくことでしょう。
法律家を輩出するための専門職大学院だというのに、法律家の資格の価値を貶めて、経済的に苦しむような施策に賛成するような大学院が、人々に信頼されるわけがないのです。

法科大学院が本当に信頼を取り戻したいと思うのなら、給費制や合格者数の問題で政治的圧力をかけることではなく、少しでも司法試験合格に役立つような教育をすることです。
そして就職難の苦労から卒業生を少しでも開放するため、新しい職域・仕事を開拓していくような就労支援を大学院自身が実行していくことです。
もちろん、司法試験に最終的に合格できない卒業生もいますから、彼らの就労支援も不可欠です。

そういうことをやらないでおきながら、学生が卒業したら、「司法試験に受かるかどうかは自己責任だよ、就職先も自分たちで開拓しろ、合格者を増やすためにお前らの給費は貸与でいいんだ」だなんて、どうしてそんなことを言えるのでしょうか。
貸与制でいいんだと主張している大学院の教授の先生方は、今一度自分たちの主張が周りからどのように見られているのか、冷静に考え直したほうがいいんじゃないでしょうか。法曹フォーラムで日弁連の担当者を論破して喜んでる場合じゃないと思うのですが。

schulze at 00:09│Comments(8) 司法修習 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by ダァシェイリイェス!!   2011年11月04日 20:59
>私には、法科大学院が貸与制を支持している理由が、どうしても理解できません。
法科大学院の設立趣旨は、研修所に全面的に担わせている法曹養成プロセスの一部を肩代わりさせるところにあったので、旧試のみの時代に法曹養成に割り当てられていた予算の一部が、補助金の形で法科大学院に回っているようです。
つまり、裁判所の法曹養成の予算と法科大学院の補助金とは、一つの予算枠をめぐって利益相反関係にあるということですね。
だから、ローは、補助金削減の煽りを食らわないために、貸与推進の立場であると。

とすれば、貸与か給費かを決める国の法曹養成フォーラムに、特別利害関係人であるはずの学者が全委員の約半数も入っているのは許されるんかいな・・・(#・∀・)
2. Posted by schulze   2011年11月04日 21:07
ダァシェイリイェス!!さん
なかなか素敵なハンドルですな。
(^^ゞ
補助金の話は分かりますよ。でも、もし本気で補助金目当てのための貸与制推進なのだとしたら、学生や卒業生に対する裏切り行為に他ならないと思いますけどね。
3. Posted by 国語の授業   2011年11月05日 00:01
就職できないから落としてあげる。
そういうのを、おためごかし、という。


三振者はどうなるねん。
4. Posted by 会費!   2011年11月05日 00:30
露骨な予算の取り合いなんて起きないでしょ。
そもそもLSにどれだけ使っているか文科省も把握していないって話、フォーラムで出てたし(笑)
5. Posted by schulze   2011年11月06日 15:57
私を含めて司法試験合格者数の減少論者に「就職できないから落としてあげる」との理由を挙げている人を見たことがありません。就職先がなくOJTの機会も積めない弁護士が増えることが社会や国民にとって不利益になるということを心配しているのです。
三振者の問題は、三振という制度を設けている以上、いくら合格者を増やしたところで解決しません。三振制度はそれ自体が問題とされるべきで、「三振者のことを考えて合格者数を決めるべき」という議論には私は賛成しません。
6. Posted by 大阪の弁護士   2011年11月07日 11:27
 でも法科大学院側は、「最高裁から前期修習の代わりを行うよう要請されたことはない」と開き直ってますよね。
 それなら補助金いらないのでは?
7. Posted by 柴犬大好き   2012年04月22日 14:56
「法律家を輩出するための専門職大学院だというのに、法律家の資格の価値を貶めて、経済的に苦しむような施策に賛成するような大学院が、人々に信頼されるわけがない」

本当にそうですよね。
でも,LSの中の人(特に学者)は,合格後の事なんて全く考えてないですからね。
学生のことも卒業生のことも全く考えず,せっかく増えた教授ポストが減ったら困るくらいしか考えてないのでしょうね。
8. Posted by せんせんかくかく   2012年07月16日 00:44
「法律家を輩出するための専門職大学院だというのに、法律家の資格の価値を貶めて、経済的に苦しむような施策に賛成するような大学院が、人々に信頼されるわけがない」

そのとおり。自分のことしか考えてない、しかも自分たちの能力不足にも気づいていないどうしようもない先生方がつくったのだから、やむなし。
法科大学院っていう制度はもしややり方によっては悪くなかったのかもしれないけど、法曹資格を凋落させるような大増員でむしろだめになった感じ。。
法律家の資格の価値を維持してこそ法律家の卵の意味があるんだし。目的に意味がいないのに無用な卵なんて廃棄されるべきものにすぎないでしょう。害獣か害虫の卵とあまり変わらない。生み出すことは社会の無駄。若い優秀な人が法科大学院で無駄に年取って採用されない残念な人になっちゃうだけなんて残念すぎる。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
書泉グランデ短文を作りなさい