スマートフォン用モバイルバッテリー日経の言う「企業のニーズ」の正体

2012年06月05日

「弁護士ミスマッチ 本当に就職難なのか」(日経新聞)

日経新聞が「弁護士ミスマッチ 本当に就職難なのか」と題した記事を、6月4日付朝刊に掲載しています。
ネットでは(会員を除き)記事の一部しか閲覧できないようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO42142760S2A600C1TCJ000/

引用はできませんが、見出しだけ紹介しますと


「弁護士就職 開拓の余地」

「企業や役所、法曹ニーズは拡大」

「人材のミスマッチ 課題」


・・・・だそうです。
( -д-)ノ


記事の構成を要約すると
・法律事務所への就職は厳しくなったが、企業や役所ではニーズは拡大している。
・新人弁護士と企業に就職を巡るミスマッチがある。

という流れになっています。

要するに、
・企業にはニーズがあるのに、弁護士の意識が企業に向いていないのが悪い。
・また司法修習の修了時期が企業の採用時期と合っていないのも採用が広がらない原因。

という方向に持っていきたいようです。


しかし、ここでは肝心の「ニーズ」というのがどれほどあるのかという検証は、何も行われていません。
現状では企業や役所で1〜2万人単位で弁護士を雇うようなニーズは顕在化していないことは明らかだと思いますが、それでもこの記事では「弁護士増員をやめる前に改善すべき点は多い」としていますので、そうするとこのまま司法試験の合格者を年間2000人のまま維持して、現状ですら3万人の法曹人口が「平成34年に5万人に達し、平成61年に8万6123人に達し、平成65年以降8万4761人で均衡」したとしても、それでも十分に賄えると考えているのでしょう。

世の中では、そんなにも企業や役所が弁護士を渇望しているのに、弁護士が来てくれないという状況になっているんでしょうか。
そもそも募集してないように思うんですが。
('A`)
本気で弁護士が必要で、企業が採用したいと願っているのなら、採用の時期なんて、それこそどうにでもなると思うんですがね。
現に弁護士を採用している企業では、たとえば12月に修習を終えた弁護士を1月に採用して、現場配属を先行させ、4月から新人研修に合流させているケースが一般的と思いますが、その程度のことは可能でしょうし、採用時期が大きな問題であるとは思えません。


さらに、この記事では就職難の原因を「人材のミスマッチ」に求めていますが、ここでミスマッチの具体例として挙げられている対比は、かなりひどいと思います。
(企業が求める人材)
・契約や業務をチェックできる能力や語学力が欲しい。
・経済や社会に関心があり、当該業界の知識もある。
・年収300〜400万からスタート。

(法科大学院生の意識)
・大学院で訴訟を遂行する能力を勉強。
・司法試験に合格して法律事務所に入りたい。
・大手法律事務所では初年度の年収は1000万円。

なんだか、この対比には悪意を感じますね。
ロー生が一般的に年収1000万も欲しい(!)と考えている人たちであるかのように、読めなくもありません。
┐(´〜`)┌

しかし、このミスマッチは永遠に埋まらないでしょうね。
能力があって語学力もあって、経済や社会に関心があって、業界の知識もあって・・・・そんな人を年収300万円で採用したいだなんて、そんな「企業のニーズ」など、ずいぶんとムシの良い願望ではないですか。
そんな人材は、弁護士に限らず存在しないと思われます。
年収300万円からスタートで良いのなら、最初から大学院など行って弁護士資格を取らなくとも、新卒で会社に就職すればいいだけの話ですし、もし「能力があって語学力もあって、経済や社会に関心があって、業界の知識もある」ようなスーパーマン(笑)なら、自分で起業したり弁護士以外のビジネスをやった方が良さそうですね。

日経新聞としては、何としても法曹増員は維持し、司法試験合格者を減らしたくないがために、「人材のミスマッチ」を就職難の原因にしておきたいという気持ちは分かるのですが、それが全く実態に合っていない空論であるのは、日経新聞自身が弁護士の募集をやっておらず社内弁護士がいないことからも明らかだろうと思います。
日経新聞は自他共に認める経済界を代表するメディアなんですから、何万人もの弁護士を受け入れるだけのニーズや余力は経済界にはなく、増員の受け皿として企業に期待するのは誤りであるという現実を、正面から認めて欲しいものだと思います。
法科大学院の意向ばかりを気にしているようでは、肝心の経済界からハシゴを外される日が必ず来ると思いますよ。


<つづき>
日経の言う「企業のニーズ」の正体
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51956971.html


<参考>
それって、「弁護士」でなくてもいいのでは・・・?(福岡の家電弁護士 なにわ電気商会)
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-11268643432.html
わずか10年で企業内弁護士は10倍に(JILA片岡理事長インタビュー、2012年4月15日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51945698.html
弁護士増員政策を支えるためのインハウスローヤーではない(2012年4月7日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51943922.html
企業内弁護士に9割が消極的(2010年12月18日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51801712.html
企業内弁護士急増 5年で4倍に(2011年1月8日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51810145.html

schulze at 00:01│Comments(3) 企業法務 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 弁護士HARRIER   2012年06月05日 10:52

弁護士→訴訟しかやってない みたいなイメージばかりを勝手に植え付けられて、しかも、それを問題視されていますが、結局、弁護士って何?という議論なのだと思うのですよね。

そこをきちんとせずに、ただ数だけ増やしてもアカンでしょう。ってことなんですけどね。

前提からして狂ってるけれど、議論している学者さんが狂ってるような気がするので、しょうがないのかな。と思っています。
2. Posted by むし   2012年07月16日 21:52
5 この対比が本当だったらすごいですね。
でも、そんな虫のいいことをまじめに企業が考えてるわけがない。むしろ、いらないんだけど、これくらいだったらとってもいいかなあって感じで、企業内弁護士なんて肩書きのある人はいらないってことでしょ。よーするに。
弁護士だの会計士だのは改革改革っていらない改革のねたにされてかわいそうだ。。会計士なんてもう資格制度としてはほぼ崩壊してるし。未だにアメリカの会計士は。。などというばかげた比較をして数か足りないとかいってる人も多いし。。
新聞とかレベルで得たの浅はかな知識でものをいうのは本当にやめてほしい。個人的に内輪でやってるのはかってですが。。
3. Posted by jiro   2013年07月27日 22:56
多くの企業では弁護士資格はいりません。
実務ができる法務部員がいればいいだけです。
弁護士がたまたま企業が求める法務部員の要件に該当すれば採用したいというレベルのものです。
そこに、弁護士会費も払ってくれとかいうニーズが発生すると無資格者の法務部員より使い勝手が悪い。
新人弁護士はそういった余計な費用がかかる人材でしかない。

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