「暴排条項自体は守秘義務契約であっても入れておいた方が良い。ただ…」九大ロー キャンパス移転

2012年06月22日

法科大学院の挫折 司法改革の方向を疑う(岩手日報)

法科大学院の挫折 司法改革の方向を疑う(2012年6月20日 岩手日報・論説)
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2012/m06/r0620.htm
『先ごろ、本紙はじめ各メディアが報じた「63法科大学院定員割れ」とのニュースに、県内の法律家の多くは複雑な思いを抱いたことだろう。今春、学生を募集した法科大学院73校の実に86%で入学者が定員を下回ったという。かつて本県でも、法科大学院の設置を目指す動きがあった。第1期分の開校を3年後に控えた2001年、岩手弁護士会の呼び掛けをきっかけに、岩手大が秋田と弘前の両国立大に連携を呼び掛けた。しかし、ともに法学部の伝統がない上、国立大の法人化を目前に、それぞれが「個性」確立に躍起となっていた時期とも重なり、本県関係者の熱意は伝わりにくかった。(中略)大多数の大学院が運営難に陥る現状に、結果的に白紙にして良かった−と思うのは人情。しかし逆に、本県はじめ「司法過疎」に直面していた地域の設置に理解を示すほどに国側の制度設計がしっかりしていれば、こんなみっともない結果にはならなかったとも言える。
法科大学院は、明治以来の大改革といわれる一連の司法改革の中で、裁判員制度と並ぶ大きな目玉。大学院修了者の司法試験合格率は70〜80%が目標とされた。その理想が需給ギャップなど現実の壁に阻まれる間に、どれほどの時間とカネを費やしたことか。何より有為の人材の芽を多く摘んだに違いない結果には、当時もろ手を挙げて推進した政治の責任が見逃せない。(以下略)』


地方の社説は、大手新聞やテレビ局など、東京のマスメディアとはかなり論調が異なるなぁと実感します。
「司法改革の方向を疑う」というのは、極めて素朴な視点だと思います。
いま起こっている現象を直視したら、このような考えに至るのは自然ではないでしょうか。

読売・朝日・日経の社説と比較してみるのも面白いと思います。

schulze at 01:21│Comments(8) 司法試験 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 大阪の弁護士   2012年06月22日 19:00
 国の制度設計がしっかりしていなかったとの点はそのとおりだと思いますが、
 「何より有為の人材の芽を多く摘んだに違いない」
との点には首をかしげざるを得ません。
 
 記事の意味が「法曹を志さなければ、法曹界以外で活躍できた有為な人材の芽を摘んだ」というのであれば、理解できなくはないです。
 しかし、きつい言い方ですが、現在の司法試験に三振する程度の法的知識や事務処理能力しかない人が「法曹界で有為な人材」とは思えません。
2. Posted by 弁護士HARRIER   2012年06月22日 20:52
政治決定に全面的に関わった専門委員の法律学者の責任こそ問題でしょうね。
3. Posted by schulze   2012年06月24日 17:57
私は大阪の弁護士様とは、少し異なる感想を持っています。
「現在の司法試験に三振する程度の法的知識や事務処理能力しかない人」を、そのまま合格させるわけにはいかない、という意味では同意します。岩手日報の趣旨が「だから三千人合格は実現すべきだった」と短絡的に結論付けるなら、それは単に合格レベルを引き下げろというだけの話ですから、私も反対します。でも、三振した人たちが「法曹界で有為な人材」ではないなどと本当に言えるんでしょうか。今の制度で三振するような人は、もう永久に法曹界に来るな、ということなんでしょうか。私はそんなことは絶対に言いたくありません。私は合格まで時間がかかってしまったクチですが、年数を重ねることによって得られたものがあると実感しています。三振した人たちも、きっとそれを糧にして乗り越えたあとに素晴らしい法律家になれる素養のある人は必ずいるはずだと信じています。だからこそ私は三振制度が不合理だとして、その撤廃を主張してきましたし、その考えを今後も改めるつもりはありません。「何より有為の人材の芽を多く摘んだに違いない」という岩手日報の考え方自体に私が賛同するのは、そういう趣旨からです。
4. Posted by ダアシェイリイェッス   2012年06月25日 01:58
個人的には、司法試験や東大に通るなど、難関試験合格者のことを「頭がいい」と言い表すのは、やめた方がいいと思うのです。
試験対策、それに向けた勉強法の確立、その実践等、受験技術があるというだけの話です。
ボクシングが強い、卓球が上手い、歌が上手いというのと同じ。受験の場合は、勉強が上手いというべきか。

この業界は、少なくとも法曹としてやっていくには、参入には試験が不可欠ですから、その意味では「勉強が上手い」ことは、現状、業界でやっていくための「一要件」ではあるでしょう。

ですが、試験に通らなかったことは、「勉強が上手くない」ということを意味するものでしかない以上、合格経験なしの一事をもって、法曹として必要十分な知見を有さないなど、法曹として有用でないという論は、説得力を持たないと思いますが、いかがでしょうか。
5. Posted by 大阪の弁護士   2012年06月25日 11:37
schulze様

 三振した人の中に、4回目、5回目の受験をすれば合格するかもしれない方がおられるであろうことは否定しません。しかし、受験回数別の合格率をみれば「多く」はないでしょう。
 私は、昔、法学部の学生が猫も杓子も法科大学院に進学するのを見て、三振制度は法曹に向いていない人を法曹以外の職に目を向けさせるために必要なのではと思いました。現実にはそれでも甘く、三振どころか法科大学院修了でも就職が困難な状態です。
 法曹を志す者が法曹に向いているかを自覚できる機会は、現在では法科大学院に入学しないかぎりありません。
本来は適性試験がその役目を果たすはずだったんでしょうが、全く用をなしてません。
 法科大学院を廃止できればいいですが、できないのであれば、法科大学院進学を選択すべきかを自らが判断できる制度を確立する必要があると思います。
6. Posted by schulze   2012年06月25日 12:00
大阪の弁護士様
最近の受験回数別合格者数の推移をご存知ですか。1回目の合格者が減って、3回目の合格者が増加傾向です。もし三振制度がなければ4回目5回目・・・で合格する人たちも確実に存在することでしょう。
私が残念だったのは、大阪の弁護士様から「三振するような奴が法曹界にとって有為の人材なわけがないだろ」と言われたような気がしまして、有為の人材かどうかは受験回数で決まるものではありませんよ、と申し上げた次第です。自分が法曹の適性があるかどうかをどう自覚させるか、ということが仮に問題になるのだとしても、それを三振制度という形で受験資格を剥奪する方法によって行うことには私は断固反対します。
7. Posted by schulze   2012年06月25日 12:04
ダアシェイリイェッス様
おっしゃっているご趣旨(特に後段部分)には賛同しますが、いつから「頭がいいかどうか」が問題になったのでしょうか・・・?
8. Posted by 大阪の弁護士   2012年06月25日 12:19
ダアシェイリイェッス 様

 あなたのご主張は「試験で問われる能力が実務では役に立たない」場合には成り立つと思います。
 しかし、旧試験でも新試験でも、裁判例を基礎として出題されることが多く、試験で問われる能力は実務をこなすために最低限必要な能力といってよいと思います。

 法的知識や事務処理能力が不足していても、巷には情報が氾濫していますから、何らかの結論にはたどり着くことは可能だと思います。
 しかし、普通の書面1通をああだこうだと時間をかけて作成するのでは一般国民と大した差はありません。
 法曹がプロとしての仕事をこなす以上、即時に状況を理解し、方針を判断し、調査し、早期に適切な書面等を作成するだけの基礎知識と事務処理能力が必要だと思います。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
「暴排条項自体は守秘義務契約であっても入れておいた方が良い。ただ…」九大ロー キャンパス移転