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2013年01月16日

久保利英明弁護士「逆風のなか、あえていう─それでも法科大学院は必要だ」(中央公論2013年2月号)

中央公論の2013年2月号におきまして、『大学と人材 「育てる」と「求める」の乖離』という特集が組まれています。

そこに、あの久保利先生が寄稿されています。
題して、「逆風のなか、あえていう─それでも法科大学院は必要だ」


さすがに今回は「法曹の望ましい資質として「若い」ことなど大したことではない」などといった暴論は書かれていません(笑)。
久保利先生の従来のスタンスに沿った内容になっています。


(従来の主張から変化なしと思われる部分の要旨)
・法科大学院失敗の原因=志願者の激減。
・志願者激減の原因=〇碧〇邯海旅膤兵圓3000人ではなく2000人に抑えられており、合格率も当初予定の7〜8割の半分以下(※就職難や借金問題には言及なし)。◆嵋〔廓郢痢廚粒悵未砲和に「三振博士」という言葉があるように試験に受からなかった人というイメージが強くMBAのように資格として評価されていない。
・文科省は第三者評価とは無関係に、新司法試験の合格率や入試倍率、定員充足率を基準に補助金減額を決めており、何のポリシーもない。
・大宮ローのユニークな教育(「弁護士が弁護士を創る」教育とはどのようなものか)の紹介。
・法曹人口を増やすことで社会に何が実現できるのか=)〜皸豸気亮存宗⊆匆饑験莨紊琉綮佞増える。
・訴訟弁護士が5万人も6万人も必要になるはずがないのは当たり前。企業や自治体こそ弁護士が必要になる。


今日は時間がないので、これらについては触れません。
むしろ新しい主張についてです。

(新しいと思われる部分の要旨)
・「三振博士」への企業のニーズが少なくない。実際に雇ってみたら、非常に優秀だというのだ。
・私のところにも、大宮法科で「三振」した人を紹介してほしいとの依頼が多く、間に合わないぐらいだ。
・自分で新しい世界を切り開いていく人にとっては、法務博士もひとつの資格になりつつあると言えそう。MBAも、最初はアメリカでこのような学位を取っても役に立たないと言われていたのが、外資系の証券会社やコンサルタントなどが高給で採用して評価されるようになった。法務博士も同じ道をたどる可能性がある。
・私は法務博士が企業に勤め、CEO(最高経営責任者)を目指すのが最高と考えている。「あなたはどこのPh.D.を持っているのか」と聞かれて「法学部出身」では話にならない。大学院卒は世界の常識。



大宮法科で「三振」した人を紹介してほしいとの依頼が多く、間に合わないぐらい

大宮法科で「三振」した人を紹介してほしいとの依頼が多く、間に合わないぐらい



大事なことなので、二度言いました。
(-_-)zzz


「三振した人を紹介してくれ」なんてことが、本当にあるんでしょうか!?
「ロースクールの修了生が欲しい」なら分かりますが、あえて「三振した人」というのも・・・?
にわかに信じられないです。

三振しても、それだけ求人があるのなら、結構なことですね。
それなのに、どうして大宮ローは統廃合に追い込まれるほど志願者が集まらなかったんでしょうか。
司法試験に合格できなくても、それほどまで求人があるのなら、人は集まりそうですが。
仮に求人があっても、待遇がどうなのかも気になりますね。

紹介を依頼されたケースがあったのだとしても、それを広くニーズとして一般化することはどうなんでしょうか。
久保利先生がおっしゃっているような現実や未来が本当ならば、法科大学院はきっと今のような惨状にはなっていないだろうに、と思います。


でも、この論稿の本当の問題点は、現実が見えてないんじゃないか?というところではありません。
「それでも法科大学院は必要だ」というタイトルながら、なぜ法科大学院でなければならないかについて、説明できていないと思うのです。
唯一、それらしい説明になっているのが、「(経営者が)大学院卒は世界の常識だから」
うーん。。。。


<関連>
「逆風のなか、あえていう−それでも法科大学院は必要だ」久保利英明弁護士(中央公論2013年2月号)にあえていう−法科大学院は不要だ(タダスケの日記)
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20130118/1358493432

<当ブログでの久保利先生に関する過去記事>
日経夕刊に久保利先生のインタビュー記事(2010年10月4日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51766359.html
日弁連が法科大学院に固執する理由(2011年8月21日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51888267.html
久保利英明弁護士「法科大学院の評価基準を変えよう 弁護士が変わる、司法試験も変わる」
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51964291.html
久保利英明弁護士「法科大学院の評価基準を変えよう 弁護士が変わる、司法試験も変わる」(つづき)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51964933.html
久保利英明弁護士「若くて優秀な法曹ってウソでしょう−予備試験を再考する」(ザ・ローヤーズ2012年11月号)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51989407.html

schulze at 01:47│Comments(16) 司法試験 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 弁護士HARRIER   2013年01月16日 10:07
三振者が役立つとしたら、法科大学院教育のおかげではなく、その人の資質でしょう。法科大学院では実務に役立つことはほとんどされてませんから。
2. Posted by HR   2013年01月16日 10:08
「うちのローは試験に落ちても就職支援が抜群なので、安心して来てください」との宣伝ならまだしも、一般化するのは間違っていると思いますが…。

それに、CEOを目指すんだったら絶対にローなんか行きませんよ。初めからMBA取りに行きます。
久保利弁護士は、彼の言う、ユニークな「弁護士が弁護士を創る」教育を受けて、経営ができるようになると思ってらっしゃるのでしょうか。

何の解決にもならない主張ですね(個人的な感想ですが)。
3. Posted by 弁護士HARRIER   2013年01月16日 10:26
三振者の皆様に見てもらいたいですね。久保利先生によれば求人が一杯あるようですから、きっと斡旋してくれますね。
4. Posted by 大阪の弁護士   2013年01月16日 10:47
HARRIERさんの言われるとおり、三振者で実際に雇ってみたら優秀だった人は、法科大学院のおかげで優秀になったんじゃなくて、もともと社会では有能だったけど、司法試験には向かなかっただけだと思います。

 そうであれば、大学卒業後に社会に出たとしても優秀であったはずですので、2〜3年を法科大学院に費やし、3〜5年かけて三振させた5〜8年の年月が全くの無駄ということになります。

 これらの人たちの多くは、旧試験制度時代であれば、4年生や卒1で試験をあきらめ、社会で能力を発揮できたはずです.
5. Posted by 名乗るまでもない名無し   2013年01月16日 22:29
重箱の隅をつつくようですけど
法務博士って博士とは付くけどPh.D.じゃないんじゃ…
6. Posted by ぽんいち   2013年01月16日 23:21
> 大宮法科で「三振」した人を紹介してほしいとの依頼が多く

とあるので、あくまで需要があるのは「大宮法科」を修了した三振者に求人が多いと彼は言いたいのだと思えてなりません。

つまり彼の教え子に限定すれば求人が多いということでしょう。

ってことは、彼自身が推薦しているから求人が来ているということなんじゃないのかな。
7. Posted by schulze   2013年01月16日 23:24
ぽんいち様
逆風の中で、それでも必要なのは、法科大学院ではなく大宮ローということですね、分かります。
8. Posted by schulze   2013年01月16日 23:48
>法務博士って博士とは付くけど
>Ph.D.じゃないんじゃ…

みんな気付いているので、
華麗にスルー推奨w
9. Posted by ぽんいち   2013年01月17日 00:04
schulze 様

> 逆風の中で、それでも必要なのは、法科大学院ではなく大宮ローということですね

でしょうね。しかも「久保利教授」がいる限りにおいて。彼の顧問先およびその関連企業(連結子会社など)を併せると1000社は超えるように思えるので、大宮ローの定員くらいの三振者は彼の力さえあれば押し込めるのかもしれません。
10. Posted by ぽんいち   2013年01月17日 00:28
皮肉はさておき、

> MBAも、最初はアメリカでこのような学位を取っても役に立たないと言われていたのが、外資系の証券会社やコンサルタントなどが高給で採用して評価されるようになった。法務博士も同じ道をたどる可能性がある。

の点ですが、MBAが評価されるようになったのは、MBAで学んだ内容が、企業の収益を向上させたり、金融市場で儲けるのに役に立ったからだと思います。

他方でロースクールで学ぶ内容はコンプラには役に立っても、収益向上に直結ものではない(久保利教授の授業はともかく、制度設計として直結するようになっていない。)と思いますから、高給で採用して評価されるようになるとは思えませんね。

(日本のコンプラ意識は行き過ぎで、かえって日本を滅ぼすと指摘する実務家もいるくらいですし。)

また

> 私は法務博士が企業に勤め、CEO(最高経営責任者)を目指すのが最高と考えている。

の点についても、少なくとも日本の法教育がCEOに向くとも思えませんけどね。

久保利氏の主張は結論先にありきで、理由はあとづけのものである感が否めません。
11. Posted by 南の元受験生   2013年01月17日 01:50
三振者への就職支援については、以前このブログに投稿させていただきましたが、何度か日弁の役員に意見交換会などで質問しましたが、全く考慮されていない回答でした。
ようするに、司法試験受かった人の就職先の開拓で手いっぱいであり、(本来三振者の就職口と考えられるところさえ)合格者の就職口開拓先として考えなければならない、というものでした。ましてや、各法科大学院では三振者のその後について殆ど追跡調査をした形跡がないようでした。
久保利先生の記事は、少なくとも大多数の法科大学院の実情を理解されておらず、これからの受験生に間違った情報を与えるものとしか思われず残念でなりません。少なくとも今の制度は受験生を使い捨てにしている感が否めません。率直に言って、酷いな、と言わざるを得ません。
12. Posted by ぽんいち   2013年01月17日 10:39
南の元受験生 様

日弁連はあくまで弁護士(会)の集まりですから、日弁連が就職の世話をできるのは弁護士である者の世話をすることはできても、弁護士になる資格を有さない三振者の世話をするのは原理的に困難だと思います。これは旧試で受験を諦めた者でも同様であり、職能団体である以上、仕方のないことだと思います。三振者に関して出来ることとしては、政治的意見の表明にとどまらざるを得ないと思います。

反面、ローは違うと思います。司法試験に合格した者の就職は日弁連に任せればよい(というより日弁連の方が効率よくなしうる)一方で、三振者については自院の修了生としてその世話をするべきでしょうね。大学が学部生についてするみたいに。

そういう点において久保利氏の発言内容は、大宮ローの教員として三振者に対してなすべきことをしているという評価もできるように思います。

問題は仮に久保利氏の発言内容が真実だとして、その内容が他のロー修了の三振者にもあてはめられるかでしょう。もし久保利氏の発言内容が久保利氏の属人的な要素に依存しているとした場合には、それを一般化して制度論を主張するのは無責任のそしりを免れないと思います。

久保利氏は、そこまで言うのなら、大宮ローの三振者以外も対象とした就職支援の団体を作って、その理事長なりCEOに就任して実績を公表してもらいたいですね。
13. Posted by 大阪の弁護士   2013年01月17日 11:11
 私は、現状の合格者数が続くのであれば、司法試験に合格した者の就職の世話を日弁連や弁護士会がする必要は全くないと思います。

 ある京大法科大学院の教授は「合格者が2000人や3000人で何か問題があるのか?合格者の能力が不足してると思うなら採用しなかったらいいじゃないか。採用する余裕がないなら採用しなくていいじゃないか。」と言い切りました。
 私が「それだと、合格したけど就職できない者が大量に出ますけど、それは問題でしょ?」と聞くと、「別に、それで弁護士は困らないでしょ。それは弁護士が対応すべき問題ではないじゃない」との回答でした。

 ある意味、正論ですよね。現状以上の合格者数を法科大学院側が主張するなら、ここまで徹底してもらいたいです。

 ですので、今のような過大な合格者数が続くのであれば、弁護士会は何ら就職支援をする必要はありません。本来であれば採用されず登録できなかったはずの即独や早期独立者の支援をする必要もありません。法科大学院の考えから行けば、力のある人はそれでも生き残るでしょうから。
14. Posted by らいんばっく   2013年01月17日 12:31
流れからそれた話ですが

>ある京大法科大学院の教授は「合格者が2000人や3000人で何か問題があるのか?」と言い切りました。

ローにお金払えない人の合格者枠は最小時、
「50人」 にまで、無理矢理制限されました。
そのような制限をしなければ成り立たない関所商売に携わっているロー教授が、よくもまあ「3000人で問題あるのか?」などと、、、

久保利氏にせよそのロー教授にせよ、ロー強制制度を肯定できる方々は、
人としての倫理観を、どこへ失ってしまったのでしょうか
15. Posted by 甲南ロー出身の弁護士   2013年01月17日 20:03
私の知り合いの66期の方で一度三振し、去年新司に合格した方から聞きましたが、三振した方に就職はないそうです。
その方の三振した友人は今も派遣であったり、バイトで生活 しているそうです。
16. Posted by 逆転ファン   2013年01月18日 23:38
ほんとにこんなこと言ってるんですか?この人そのうち三振者に訴えられそうですね。

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