2013年07月31日

先送り後に待っている未来

花水木法律事務所の小林正啓先生が、私の書いたエントリー(「5年間は現状維持」2013年7月25日)を取り上げてくださっています。
http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/schlze-97c4.html

小林先生の目に止めていただいたのは光栄に思いますが、
私よりも黒猫先生のほうを取り上げるのが先じゃないかと思ったり思わなかったり(笑)。
(^^ゞ


細かいところでの見解の相違はあるのかもしれませんが、小林先生がおっしゃりたいことは要するに「官僚が自分たちから率先して制度の根幹を変えようとするわけがねーだろ」ということだと私は理解していて、それは私もそうだと思うんですよ。
だから、彼らが逃げ切りを図ろうとしているのは間違いない。

それが2年か5年かというのは、あまり本質的な問題ではないと思うんです。
2年だろうと5年だろうと、いま問題の先送りさえできれば、将来のことなど、「それはそのときに考える」というスタンスなのでしょうし。
あとは官僚(ロー推進派)の描いた通りのシナリオのまま逃げ切れるかどうか、でしょうね。

前のエントリーの繰り返しになってしまうのですが、私はロー制度の命運を決めるのは、予備試験ではないと思っているのです。
予備試験の合格者数が増えようが減ろうが、受験資格制限が設けられようが、一般教養が残るが残らまいが、大きな問題ではないんじゃないか、と。
ロースクール自体が人々に信認されない限り、ロースクールに人が戻ることはあり得ないわけであって、予備試験をいくらいじろうが、結果は変わらないだろうというのが、私の見立てです。


ところで、小林先生の言う「東大法科大学院1校だけ生き残っても、法科大学院「制度」は残る。」という点なんですけど、
この点についての記述を拝見して、私にはいろいろと思うところがありました。

私が「ロー進学、ダメ。ゼッタイ。」なんてことを言ってきたのは、ロー進学によるリスクを多くの人に知ってもらうと同時に、ロー進学者を一人でも減らすことで早く制度を破綻に追い込みたいという気持ちも、当然にありました。
入ってくる学生がいなくなれば、経営的に成り立たなくなるだろう、という考え方だったのです。
ところが現実に起きていることは、適性試験の出願者数は順調に減ってきているにも関わらず、残念ながら制度は何も変わらないのですね。
下位ローがいくら廃校になろうが、制度はビクともしないのです。

これは今後もそうであって、適性試験の出願者数は来年以降4000人割れ、3000人割れとなっていくかもしれない。
その可能性は(何年先の話かは別にしても)かなり現実的ではあると思います。
しかし、ゼロにはならない。そうである以上、ロー制度は残ってしまうことになります。
ゼロにすることは、きわめて難しい。というか、無理でしょう。いくらローに学費がかかろうと、時間とコストがかかろうと、それでも法曹資格が欲しいと思う人がゼロになるとは考えられない。

それが意味するところは、小林先生がおっしゃるとおり、『たとえ東大ロー1校になろうとも、ロー「制度」は残っていく』ということなのですね。
そうなんです。残念ながら、経済合理性だけでは、ロー制度を破綻に追い込むことは難しい。
小林先生の文章を読んで、その現実を噛みしめざるをえない。
「法科大学院は滅びないのだよ、永遠に。」と、小林先生には笑われるかもしれません。



それでも、あえて言いたいのは・・・・



「それでも地球は動く」ではありませんが、

「それでもロー制度は、いつか必ず消滅する」

私はそう確信しています。

法科大学院制度に引導を渡すのは、
最終的には予備試験でも、志願者数の減少でも、ないのかもしれません。
私は「人々の憎悪」ではないかと思います。

受験資格さえも奪われた旧試受験生の恨み。
三振によって時間とカネを浪費した学生の恨み。
そして、資格を取った後、就職先もなく借金だけが残る新人弁護士の恨み・・・。

それに加えて、市場から退出を余儀なくされた大学からの怨念が、これから定評あるロースクールたちに向けられていくことになるでしょう。
彼らは覚悟しなければなりません。


<関連>
もはや話題にもならないローの募集停止 その先にある未来とは…(2013年6月4日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52022837.html

schulze at 00:01│Comments(6)司法試験 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by DHA   2013年07月30日 23:30
>「官僚が自分たちから率先して制度の根幹を変えようとするわけがねーだろ」ということ

結果として、法曹養成制度もいわゆる「官製不況」のような状態になってしまったわけですね。
2. Posted by swa   2013年07月31日 00:50
予備試験受験により、ローにNGの意思表示をしようと思います。
3. Posted by HN忘れました   2013年07月31日 03:21
以前にコメントしたものですが、HN忘れました…

何か「法科大学院」って、建築基準法の既存不適格みたにな感じですね…
4. Posted by 弁護士HARRIER   2013年07月31日 15:45
学生も、もはや誰も授業などあてにしていないので、結局なんのためにあるのかわからない、と嘆く人が多い印象ですね。
ていうか、いっとき「授業を当てにするな、自分でやれ」と言われてましたからね。
本当に、何のためにあるんかわかりません。
5. Posted by あなごじゅう   2013年07月31日 18:37
>本当に、何のためにあるんかわかりません。

ローの学者と文科省の役人の生活保障のためですかね^^;
6. Posted by 3119分の1   2013年08月01日 23:27
私も、司法試験の受験資格としての法科大学院が早く絶滅してくれないかなと願う一人ではありますが、
法科大学院が将来ゼロになる可能性はあっても、正直な話「法科大学院制度」がなくなるのは非常に難しいと思います。
なにせ、e-gov を見ると「陪審法(大正十二年四月十八日法律第五十号)」とかが、まだ廃止されずに残っているわけですから。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字