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2016年11月25日

「法曹への道 経済負担で志を摘むな」(信濃毎日新聞 2016年11月24日付・社説)

「法曹への道 経済負担で志を摘むな」(信濃毎日新聞 2016年11月24日付・社説)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161124/KT161122ETI090013000.php
弁護士などの法曹には、困っている人の気持ちがよく分かる人にこそなってほしい。それには、志ある若者が経済的負担で諦めることのないよう支援しなければならない。国が、司法試験合格後の修習期間中に支払っていた給費を打ち切り、返済義務のある貸与制にしたのは、逆行する対応だった。新制度に切り替わって5年。重い経済負担から法曹への道を断念する人が少なくない。将来の司法サービスの低下につながる問題だ。早急な改善を求める。司法修習は、司法試験合格者が弁護士、裁判官、検察官になるため約1年間受ける研修だ。裁判所、検察庁、弁護士事務所などで実務や素養を身に付ける。裁判所法に修習専念義務があり、アルバイトや副業は禁じられる。その代わり、国は月額20万円余を基準に給費を支払ってきた。転換したきっかけは2002年。法曹需要の大幅な増加を見込んで、司法試験合格者を段階的に3倍にし「年間3千人」を目指すと、政府が決めたことだ。合格者が急増すれば給費の予算がもたないと、11年、基本月額23万円(上限28万円)の貸与制に移行した。修習を終えて5年後から10年間で返済する必要がある。実際は法曹需要が見込み通り伸びず、政府は13年に「年間3千人」の計画を撤回した。少なくともこの時点で給費制に戻すべきだったのではないか。貸与制は既成事実化して今も続く。日弁連によると、修習生の平均借入額は約300万円に上る。中野市出身で13年に修習を終え、弁護士過疎地だった飯山市で開業した小川陽一さん(38)。修習先の裁判所の近くに借りる住居の家賃など320万円ほどの貸与を受けた。周囲には司法試験に受かりながら、返済を考慮して法曹を断念した人が複数いるという。特に深刻なのは、社会人から法曹に転身しようとする人たちだ。法曹界に社会人経験は貴重だ。だが、扶養家族がいれば1年間、無収入になるのは厳しく、諦める人もいる。司法試験合格者だけの問題ではない。重い経済負担を考え、法曹を目指す人そのものが大幅に減っている。法科大学院受験に必要な適性試験の受験者数は貸与制移行前の7200人余から昨年度はほぼ半減した。お金がないために有為な人材が法曹に就けなければ、ツケは国民に跳ね返る。努力すれば志が果たせる環境づくりを急ぐべきだ。


信濃毎日新聞の社説ですが、素晴らしい内容だと思います。
先日の共同通信配信の記事に触発されたのかもしれませんが、内容的に申し分ありません。

特に、貸与制への移行を「逆行する対応」と非難し、
「(合格者が急増したら予算が持たないというのが貸与制移行の理由であるなら)司法試験合格者数3000人計画を撤回した時点で給費制に戻すべきだったのではないか」
とまで踏み込む意見は、マスコミでは初めて目にしました。

このほかにも
「(法曹志望者の減少は)将来の司法サービスの低下につながる問題」
であることや、
「社会人から法曹に転身しようとする人たちへの影響が深刻」
であることなど、問題点を正しく認識しています。

このような「まともな社説」が、大手紙ではなく、地方紙にしか載らないというところが、今のマスコミの現状だと思います。
どうして大手紙の論調は、この内容でまとまることができないのでしょうか。


<参考:当ブログで過去に取り上げた地方紙の記事>
法科大学院の志願者激減 開設の4割が廃止など(2016年10月6日 神戸新聞)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52169231.html
地方紙の論説に期待したい(2015年6月6日、「山学大法科大学院撤退へ 原点忘れた改革、地方を直撃」(6/4山梨日日新聞社「論説」))
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121215.html
給与なく、副業禁止、就職不安 あえぐ司法修習生(2014年1月25日 神戸新聞)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52057154.html
弁護士激増考える市民集会 若手の就職難深刻化/さいたま(2013年12月14日 埼玉新聞)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52051106.html
「司法制度改革/肝心の将来像が見えない」(2013年4月4日 神戸新聞社説)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52013762.html
法科大学院の挫折 司法改革の方向を疑う(2012年6月20日 岩手日報・論説)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51960317.html
司法修習給費制 廃止なら法曹の将来歪める(2011年10月12日 宮崎日日新聞社説)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51902214.html
司法修習給費制の存廃 養成制度全体で再度議論を(2011年8月29日 長崎新聞論説)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51895109.html
法律家の卵に「借金の足かせ」 司法修習の給費制廃止(2010年11月15日 千葉日報)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51783643.html


<参考:大手紙の報道>
法曹離れ対策 法科大学院は再生できるのか(2016年9月19日 読売新聞社説)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52167616.html
「魅力ある法曹を取り戻そう」(2016年5月17日付・日本経済新聞社説) 「魅力」を発信すれば志望者は戻ってくるのか?
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52155882.html
朝日新聞「司法試験の合格率が低いのに、授業料を払って大学院に行こうとはしないからね。」(2015年7月9日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52124652.html
「法科大学院離れの最大の要因は司法試験合格率の低迷」(日本経済新聞)(2014年4月20日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52067391.html
読売新聞「(貸与制は)当面の予算削減効果も大きいことが裏付けられた」(2011年12月4日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51915404.html
朝日新聞社説「法律家の養成―腰据え本題に取り組め」(2011年9月5日付)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51892411.html


<参考:給費制/貸与制問題に関する当ブログ過去記事>
共同通信配信「給費制打ち切り5年 司法修習生経済負担ズシリ」(2016年11月21日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52172891.html
閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」に司法修習生に対する経済的支援が盛り込まれる(2016年6月3日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52157351.html
【再掲】問題は「お金がないと法律家になれない」ことではない(2016年5月30日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52156991.html
第69期司法修習生の貸与申請率は67.4%(2016年2月19日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52148018.html
予備試験合格者はロー修了生に比べ司法修習の辞退率が明らかに高い傾向(2016年2月12日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52147295.html
司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明(日本弁護士連合会)(2016年1月20日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52145419.html
修習希望地の選択について(2015年9月13日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52132778.html
「司法修習」の問題を伝える漫画「ベンゴマン」(2015年7月3日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52124002.html
地方単位会(栃木・京都)による「法曹養成制度の改善を求める総会決議」 給費制復活と65期までの遡及的措置を求める(2015年6月2日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52120788.html
貸与制問題を経済問題・貧困問題として報じるマスコミ報道の危険(2014年1月29日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52057154.html
『この問題の本質は、経済問題・貧困問題というより、「国家が法曹養成にどのように関与すべきなのか、どのように責任を果たすべきなのか」という視点なくして語れないと思うのです。修習生の貧困問題だとしてしまうと、「かわいそうだから司法修習は義務ではなく任意化すればいいのではないか」とか、「修習専念義務を外してアルバイトを認めればいいではないか」という方向に行きがちです。そうではないのだ、ということを国民に納得してもらうためには、司法修習が法曹養成にとって必要不可欠なものであり、国家の責務であるということを、正しく理解してもらう必要があるのです。そこを踏まえないで、修習生の経済的苦境に同情だけを買おうとする論調は、かえって有害であると私は考えます。』

給費制廃止違憲訴訟に対する私の立場(2013年8月9日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52032770.html
鎌田先生「それ(補助金)を削って合格した人に回すというのは法科大学院の側から言うと納得はしがたい」(2013年7月15日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52029023.html
貸与制移行を主張する法科大学院なんて、一体誰が信頼するというのか(2011年11月4日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51907815.html
法曹養成フォーラム第一次取りまとめにあたっての日弁連会長声明(2011年8月31日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51891031.html
問題は「お金がないと法律家になれない」ことではない(2010年10月25日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51774058.html

schulze at 00:00│Comments(1) 司法修習 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 0302   2016年11月25日 07:21
東北や四国の「ロー過疎地」の地方紙も司法制度改悪への怒りの論陣を張って欲しいですね。
読者である地元の法曹志願者が改悪の最大の被害者なんですから。

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