2017年07月30日

Law未来の会が今年の司法試験合格者決定に際し少なくとも2100名程度を合格させるよう法務大臣・司法試験委員会委員長へ要請

Law未来の会が、7月20日付で法務大臣と司法試験委員会委員長に対して「司法試験の合格者決定についての要請」と題する文書(全7ページ)を提出しています。

これによりますと、今年度の司法試験の合格者数を少なくとも2100名程度とするよう要請しています。

Law未来の会による司法試験合格者2100名程度という主張は、実は2015年から展開されており、今に始まった話ではありません。
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52127976.html
私は把握できていませんでしたが、昨年も同様の要請がなされていたようですので、3年連続の要請ということになりましょうか。

その意味では新味はないかもしれませんが、要請文の全文を入手しましたので、ご参考までに紹介します。

☆画像はクリックすると拡大します。


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簡単に私の感想を記載しておきます。

2015年の要請の際にも感じたことの繰り返しになりますが、
彼らの主張は「3000名以上」であるにもかかわらず、あえて抑制的に「少なくとも2100名程度」という数字を持ち出していることには違和感があります。

これはもちろん、いかにLaw未来の会をもってしても合格者3000人が現実的ではなくなっている(何せ法科大学院の修了者が平成28年度は1870人しかいません)ため、せめて2100名程度は合格者を出して欲しい、という意味なのであろうとは思います。
しかし、あれほど3000人、3000人と息巻いて国民集会まで開いたほどのLaw未来の会なんですから、目標値である3000人という数字をもっと前面に出してもいいはずだと思うのです。もともと3000人は閣議決定までされていた数字なのですし、目標とするには最も適した数字のはずです。撤回されたことが不当であって、できるだけ3000人に近づけていくべきだ・・・という主張で良いと思うのですが、にもかかわらず、「少なくとも2100名程度」というのは、弱い印象を与えてしまうものだと思います。彼らがこの数字で納得している理由はなぜなのでしょうか。


もうひとつ。この要請文を読んで奇妙に感じたのは、少なくとも2100名程度の合格者が必要だとする理由に掲げられている事由の順番です。
合格者を増やせという主張の理由を挙げるなら、「ニーズがある」というのが一番の理由であるべきだと思うのです。
とにかく数が足りないのだ、と。世の中が困っているんだ、と。「社会が求めているのだから増やせ」というのは、真っ先に理由として掲げられるべきことではないでしょうか。

ところが、この要請文ではそうではなく、法科大学院の経営が苦境に陥っていることが、まず最初に記載されているのです。
これは冷静に考えると非常におかしなことです。ニーズよりも、供給側の都合が先に来てしまっている。

このことから、Law未来の会という団体の本音は、社会のニーズなどはただの口実であって、本当の狙いは法科大学院の存続にあるということなのだろうと思わざるを得ません。

2100名という数字も、当面それぐらいの合格者が確保されるのであれば、法科大学院制度が回っていくことが計算できるという数字なのでしょう、おそらく…。
┐(´〜`)┌


<参考>
修習期別に見た該当年度の司法試験合格者数
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52166490.html
修習期------旧 ----新 ----計
第56期----*990--****--*990
第57期----1183--****--1183
第58期----1170--****--1170
第59期----1483--****--1483
第60期----1464--1009--2473
第61期----*549--1851--2400
第62期----*248--2065--2313
第63期----*144--2043--2187
第64期----**92--2074--2166
第65期----**65--2063--2128
第66期----****--2102--2102
第67期----****--2049--2049
第68期----****--1810--1810
第69期----****--1850--1850
第70期----****--1583--1583
(注:修習期に相当する年度の司法試験合格者数であって、その修習期の人数ではありません。)

適性試験の実受験者のうち、入学有資格者数の推移
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52191872.html
第*9回(平成23年、2011年) (1)5,463人/(2)6,663人(実人数7,211人)
第10回(平成24年、2012年) (1)4,656人/(2)5,274人(実人数5,801人、19.6%減)
第11回(平成25年、2013年) (1)3,930人/(2)4,374人(実人数4,792人、17.4%減)
第12回(平成26年、2014年) (1)3,278人/(2)3,578人(実人数3,994人、16.7%減)
第13回(平成27年、2015年) (1)2,860人/(2)3,068人(実人数3,517人、11.9%減)
第14回(平成28年、2016年) (1)2,503人/(2)2,806人(実人数3,210人、*8.7%減)
第15回(平成29年、2017年) (1)2,426人/(2)2,631人(実人数3,014人、*6.1%減)

年度別のロー定員と実入学者数
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52187280.html
平成16年度 定員5,590人、実入学者5,767人(既修2,350人、未修3,417人)
平成17年度 定員5,825人、実入学者5,544人(既修2,063人、未修3,481人) *3.9%減
平成18年度 定員5,825人、実入学者5,784人(既修2,179人、未修3,605人) *4.3%増
平成19年度 定員5,825人、実入学者5,713人(既修2,169人、未修3,544人) *1.2%減
平成20年度 定員5,795人、実入学者5,397人(既修2,066人、未修3,331人) *5.5%減
平成21年度 定員5,765人、実入学者4,844人(既修2,021人、未修2,823人) 10.2%減
平成22年度 定員4,909人、実入学者4,122人(既修1,923人、未修2,199人) 14.9%減
平成23年度 定員4,571人、実入学者3,620人(既修1,915人、未修1,705人) 12.2%減
平成24年度 定員4,484人、実入学者3,150人(既修1,825人、未修1,325人) 13.0%減
平成25年度 定員4,261人、実入学者2,698人(既修1,617人、未修1,081人) 14.3%減
平成26年度 定員3,809人、実入学者2,272人(既修1,461人、未修**811人) 15.8%減
平成27年度 定員3,169人、実入学者2,201人(既修1,431人、未修**770人)*3.1%減
平成28年度 定員2,724人、実入学者1,857人(既修1,222人、未修**635人)15.6%減
平成29年度 定員2,566人、実入学者1,704人(既修1,137人、未修**567人)*8.2%減
平成30年度 実入学者1,600人?(6.1%減で計算)

年度別のロースクール修了者数
http://www.moj.go.jp/content/001225085.pdf
平成17年度 2,176人(修了者全員が標準年限で修了、標準年限修了率92.6%)
平成18年度 4,418人(うち、標準年限修了者4,383人、標準年限修了率80.6%)
平成19年度 4,911人(うち、標準年限修了者4,541人、標準年限修了率80.0%)
平成20年度 4,994人(うち、標準年限修了者4,537人、標準年限修了率78.6%)
平成21年度 4,792人(うち、標準年限修了者4,263人、標準年限修了率75.9%)
平成22年度 4,535人(うち、標準年限修了者3,931人、標準年限修了率73.6%)
平成23年度 3,937人(うち、標準年限修了者3,263人、標準年限修了率68.7%)
平成24年度 3,459人(うち、標準年限修了者2,814人、標準年限修了率68.2%)
平成25年度 3,037人(うち、標準年限修了者2,425人、標準年限修了率68.7%)
平成26年度 2,511人(うち、標準年限修了者2,005人、標準年限修了率68.1%)
平成27年度 2,190人(うち、標準年限修了者1,732人、標準年限修了率68.1%)
平成28年度 1,870人(うち、標準年限修了者1,489人、標準年限修了率66.4%)
(注)
・「標準修了年限」とは、既修2年/未修3年。
・「標準年限修了率」は、文科省資料から転記。


<参考:Law未来の会に関する記事>
法律時報2017年4月号「司法修習生への給費制復活」(須網隆夫・早稲田大学教授)(2017年5月2日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52186107.html
Law未来の会セミナー『今こそ、司法修習の意義を問う−「給費制」の議論を超えて−』(2017年5月25日開催)(2017年4月29日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52185860.html
Law未来の会セミナー「現役弁護士が司法試験(民法)を解いてみた−法曹養成をねじ曲げる司法試験の実態を暴く−」(2016年10月31日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52171110.html
司法試験合格発表から一週間 沈黙を続けるLaw未来の会(2016年9月13日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52166995.html
「久保利英明ロースクール講義」(日経BP社)(2016年9月5日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52166353.html
「そんな希望のない職業を目指す人が減るのは当然」(2016年8月29日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52165406.html
「ネガティブキャンペーン」をしているのは誰なのか(2016年8月28日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52165321.html
Law未来の会「弁護士会が弁護士が儲からんというようなことを吹聴しているのは問題である」(2016年5月19日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52156033.html
LAW未来の会「司法試験問題漏洩事件についての見解」(2015年9月15日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52132946.html
「今年(2015年/平成27年)の司法試験合格者数2100人」との主張に垣間見えるLAW未来の会の本音(2015年8月4日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52127976.html
弁護士のニーズは「供給」によって増大する by 久保利弁護士(2015年6月9日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121519.html

日弁連が法科大学院に固執する理由(2011年8月21日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51888267.html

5月18日(月)LAW未来の会主催セミナー「司法試験をテストする」
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52115370.html

Law未来の会主催セミナー「“弁護士就職難”の謎を解く」書き起こし(高瀬文人氏)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52111816.html
Law未来の会主催セミナー 「弁護士就職難」の謎を解く(2015年3月5日開催)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52108387.html
就職難の謎を解いてみた
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52108436.html
「law未来なんとか」潜入レポート! - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/791246

10/27「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」書き起こし
https://note.mu/pointscale/n/n211931293249
「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」に参加しました
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52096488.html
「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」の感想 その1(岡田弁護士による為末さんについての発言)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52096696.html
「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」の感想 その2(需要の正体)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52096748.html
久保利英明弁護士『だから「合格者3000人」の実現を−「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」の開催』(ザ・ローヤーズ2014年12月号)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52108596.html

法曹養成制度に関する推進派vs懐疑派の意見の違い
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52116948.html
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-12018670989.html
対比表

<おまけ>
一炊の夢(タダスケの日記)
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20150303/1425370292

schulze at 00:00│Comments(4)司法試験 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by つもひこ   2017年07月30日 00:09
合格者を増やしても無職者が増えるだけなのに…
現状認識能力もなく、論理的な説明もできず、ひたすら既得権確保に腐心する連中が法曹養成制度に関わっていることには、怒りすら覚えますね。
2. Posted by やめべん   2017年07月30日 13:25
私もシュルジー先生と同様、意見書の理由が「法科大学院制度が維持できないから」合格者数を増やすべき、という論調に偏っている印象を受けました。
ローさえ存続できれば、合格した後のことは「知ったことか」というスタンスは、ロー擁護派共通のものなのでしょう。
3. Posted by 猿   2017年07月30日 17:46
ここが法科大学院反対、法曹拡大反対はのブントですね
お噂はかねがね
4. Posted by 大阪の弁護士   2017年07月31日 12:02
そもそも、
「一発試験で少数の者を選抜し、司法修習制度により教育するという法曹養成制度では、複雑化し、国際化した市民社会と経済社会の要請に応えられない」
ということは何ら実証されていないんですよね。

その上、仮にこのような問題があるとして、その問題の原因が、^貳試験なのか、⊂数の者の選抜なのか、司法修習制度による教育なのかの調査確認は何らなされていない。

これだけロー卒の弁護士が溢れかえっても市民社会と経済社会の要請に応えられていないのであれば、 銑が問題なのではなく、「市民社会と経済社会の要請」に対する分析と対策ができていなかっただけだと思うんですがね。

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