中日新聞社説「一日も速く最低賃金の時給1000円に到達すべき」⇒自社のアルバイトは910円で募集していることが話題にまとめブログ

2017年08月22日

日経新聞「インハウスの人材供給が追い付かない。『弁護士は余っている』という見方は当てはまらなくなってきている。」

インハウス弁護士 存在感 10年で10倍、IT企業が積極採用 新事業、法的リスク見極め(2017/8/21付 日本経済新聞 朝刊)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO20126810Y7A810C1TCJ000/
企業が弁護士を社員や役員などとして抱える「インハウス(企業内)弁護士」が急増している。コーポレートガバナンス(企業統治)の意識の高まりを受けたばかりでなく、IT(情報技術)企業などでは新規事業を立ち上げる際にも重要な役割を演じる。半面、人材供給が追い付かないなど課題も多い。
(中略)
人材不足が課題
ただ、こうした需要増に、人材供給は追いついていないのが現状だ。弁護士の就職や採用支援のサイト「ジュリナビ」を運営するジュリスティックス(東京・港)にはここ数年「弁護士を採用したいが、思うように集まらない」との相談が増えたという。野村慧リーガルプレースメント事業部長は「超有名企業でも1年以上、希望の条件に合う人材を採用できない例がある」と話す。一因には、司法試験合格者数の減少がある。司法試験合格者が司法修習を終えた後の就職先をジュリナビが調べたところ、08年以降、法律事務所に所属するのは毎年1400〜1700人程度。これに対し司法試験合格者は14年から2千人を割り込み、16年は1583人に落ち込んだ。







<参考>
社内弁護士の基本的な給与や賞与は一般の正社員と同等
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52171605.html
企業内弁護士数の推移(日本組織内弁護士協会/JILA調べ、2017年6月30日現在) 伸び幅・伸び率とも鈍化傾向?
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52193337.html
第18回法曹養成制度改革顧問会議(平成27年3月26日開催)【資料2−1】法曹人口調査報告書骨子試案
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52113821.html
(企業のニーズ 25〜26ページ)
『中小企業調査においては,法曹有資格者を通常の正社員として採用していると回答した企業も,任期付社員として採用していると回答した企業も,ともになかった。また,98.1%の企業は,法曹有資格者を採用していないし,今後も採用する予定はないと答えており(問10),採用は進んでいない。』
『大企業では,法曹有資格者を社員として採用している割合は未だにそれほど多くはなく,76.2%の企業においては,法曹有資格者を採用していないし,今後も採用する予定はないと答えている。』
(自治体のニーズ 30ページ)
『法曹有資格者を採用しているか(問10)に対しては,640自治体(有効回答733のうちの87.3%)が「法曹有資格者を採用していないし,今後も採用する予定はない」と回答している。』



私が言いたいことは、だいたい皆さんがすでにおっしゃってくださっています。

私の実感としても、「弁護士の数が足りなくて、人材供給が追い付かない」などという事態は発生していないと思います。

募集に応募がないのは、提示している条件が低いことが原因でしょう。
相応の対価を支払おうとはしない求人は、そもそも需要とは言えないのです。

・法科大学院への学費負担
・司法試験不合格のリスク
・司法修習の貸与
・学部卒業時に就職しなかったことによる逸失利益
これらの経済的負担やリスクを負ってまで弁護士となったことに見合う対価が得られなければ、これから弁護士になろうと思う人は出てこないでしょう。

この記事に対する一番の違和感は、
たしかに企業が提示した条件に応募がなかったのだとしても、その企業があまり困っている感じがしないところだと思います。
企業にとっては、「いると便利」かもしれないが、「いなくても別になんともない」のが、今のインハウスの実態ではないでしょうか。
・・・そういえば、「採用できなかったために、こんな不都合があった」という具体的な話は、あまり耳にしませんね。


<関連>
日経新聞が言う「企業が求める人材」の例
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51956761.html
・契約や業務をチェックできる能力や語学力が欲しい。
・経済や社会に関心があり、当該業界の知識もある。
・年収300〜400万からスタート。
Law未来の会の皆さんの発言
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52096748.html
(後藤富士子弁護士の発言)
「年収300万円でもいいという人を生み出すためにも、合格者増員が必要だ」
(岡田和樹弁護士の発言)
「就職先がないというのは300万とか500万とか貰えるのがないという話で、就職先自体はあるはずだ。」
弁護士が年収300万円で雇えるとなれば、需要は劇的に増えるでしょう。
ジュリナビが企業の人事・採用担当者へ配信しているメールマガジンに記載されている条件
(再掲)第16号(2016/10/19発行)より
〜〜今月の新規求職者ピックアップ〜〜

・30代 男性 弁護士
一般民事系法律事務所 実務経験1年以上
採用に必要な年収 450〜500万円程度

・20代 女性 司法修習生(70期生)
事業会社 法務経験2年以上
採用に必要な年収 500〜600万円程度

・30代 女性 弁護士
一般民事法律事務所 実務経験3年以上
採用に必要な年収 500〜600万円程度

・30代 女性 弁護士 
総合法律事務所 実務経験2年以上
採用に必要な年収 600〜700万円程度

・30代 男性 弁護士 
企業法務系事務所 実務経験2年、事業会社(インハウス)実務経験3年以上
採用に必要な年収 800〜900万円程度

・30代 男性 弁護士
大手渉外法律事務所 実務経験5年以上(事業会社に出向経験有り)
採用に必要な年収 1,000〜1,500万円程度


schulze at 00:00│Comments(7) 企業法務 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by 小林正啓   2017年08月22日 09:03
「相応の対価を支払おうとはしない求人は、そもそも需要とは言えないのです。」けだし名言。
2. Posted by つもひこ   2017年08月23日 11:56
ここは本当に経済紙なんですかねぇ・・・
3. Posted by 貧乏弁護士   2017年08月24日 12:26
>「相応の対価を支払おうとはしない求人は、そもそも需要とは言えないのです。」けだし名言。

じゃあインハウス以下の年収200万円台で働いてる事務所弁護士は需要とは言えないんですね 笑
4. Posted by やめべん   2017年08月24日 13:12
弁護士大増員で需給バランスが崩れて、インハウスにしろマチベンにしろ、増員前には通用しない(応募がない)ような労働条件でも、増員後は需要として罷り通るようになってしまったということでしょうかねぇ。
買い叩きたい使用者側(企業・ボス弁)にとっては歓迎すべき状況なのでしょうが。
5. Posted by 経済新聞読者   2017年08月31日 13:26
法科大学院、半数が撤退 甘い目算、乱立で質低下
立教も青学も…合格率低迷で拍車
2017/8/31付日本経済新聞 朝刊

今日の某経済新聞では、「法科大学院の撤退が相次いでいる。来年度に学生を募集する大学院はピーク時のほぼ半数の39校に減った。乱立が教育機能の低下を招き、司法試験合格率は低迷。政府の「法曹需要が増える」との見通しも外れた。大学院を出ても試験に合格できない、合格しても事務所への就職が厳しい――。それが志願者の減少に拍車を掛けている。」として法科大学院制度の記事を載せています。新たな論点はなさそうですが、「こうした需要増に、人材供給は追いついていないのが現状だ。」という記事と整合性があるとは思えません。記者は自社の新聞はよまないのでしょうか。
6. Posted by L   2018年10月29日 00:04
相当の対価は市場が決めます。
7. Posted by schulze   2018年10月29日 00:15
>相当の対価は市場が決めます。

この表現は正確ではないですね。たしかに対価は市場が決めるんですが、市場で決まった対価が「相応かどうか」、すなわちこれまでの投資や時間・労力に見合ったものかどうかは、志望者が判断するのです。

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