「平成の司法改革は、結局、改革の負担をほとんど全て受験生・新人といった発言力の低い人に押し付けている」四大事務所への就職は予備試験に合格していない限りきわめて困難という時代に

2020年01月10日

四大事務所が予備試験合格組の採用を増やしているのは、ロースクール修了者の評価が低下しているからではないか?







私は、これは雇用慣行の問題ではないと思います。
最初に引用したツィートのご意見のように、もし雇用慣行の問題で若い人(学部卒)が欲しいだけだとすると、それは今に始まった話ではないので、昔から四大事務所はロー修了者を採用していなかったことにならないとおかしいはずです。
新旧の司法試験が併存していた際には、学部卒の若い人は旧司法試験合格者であったはずですが、四大事務所が旧試験組ばかりを好んで採用してローを修了した新司法試験組の採用を敬遠していたという事実は認められません。

四大の予備組採用比率が急拡大しているのは、それこそ、ここ数年の話ではないのでしょうか。
予備組の比率が昨年が5割弱なのに、今年は6割強というのは、直近の変化の大きさを示していると思います。

ここで重要なのは、これは予備組の評価が上がったのではなく、ロースクール修了者の評価が下がったことによるものではないか、という点です。
予備組が大手事務所から青田買いをされていること自体は、当初からそういう動きが見られてはいました。しかし、採用が予備組ばかりに偏るというのは、予備試験の合格者数が増えてきたこともさることながら、ロースクール修了者の評価が急落しているという証左だと思うのです。
具体的には、同じロースクール修了者でも、制度導入当初の60期台初期と、現在とでは、評価が違ってきているのだと思います。

合格者の質についての議論は、これまでは「旧vs新」とか「予備vsロー」という対立軸で論じられてきましたけど、それに加えて「世代間での実力差」も想定しなければならなくなってきていると感じています。
というのも、ロースクールの入学者数は(今年度こそ増えましたが)低減傾向にある一方で、司法試験の合格率は上昇しているわけですから、母数が減るのに合格率を高めていったら、実力が低下するのは当然のことだと思います。

司法試験の実施結果
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52240452.html
R01年 33.6%(合格1502/受験4466)
H30年 29.1%(合格1525/受験5238)
H29年 25.9%(合格1543/受験5967)
H28年 22.9%(合格1583/受験6899)
H27年 23.1%(合格1850/受験8016)←受験回数が5年5回までに変更
H26年 22.6%(合格1810/受験8015)
H25年 26.8%(合格2049/受験7653)
H24年 25.1%(合格2102/受験8387)
H23年 23.5%(合格2063/受験8765)
shihoushiken-kekka-2006-2019
(グラフの出典はこちら


対受験者合格率の推移だけ見ると、平成25年は27%弱であり、昨年の33%でも極端な差ではないと感じられるかもしれません。
ただ、平成27年前後では、受験者の母集団の構成に大きな変化があります。
平成27年から、司法試験の受験回数制限が「5年3回まで」から「5年5回まで」に変更されました。これにより「出願しながら、当日受験しない」という「受け控え」が激減したことを考慮に入れる必要があります。
出願しながら受け控えをするような受験生は、自分の学力に関して合格可能性が低いと認識している人たちですから、そのような人たちも受験するようになった平成27年以降の受験者層と、それ以前の受験者層では、母集団としての実力に差があると考えるのが自然です。
実際に、この期間の対出願者数ベースでの合格率を見ると、右肩上がりで上昇する傾向にあります。

対出願者合格率の推移
R01年 30.5%(合格1502/出願*4930)
H30年 26.2%(合格1525/出願*5811)
H29年 23.0%(合格1543/出願*6716)
H28年 20.5%(合格1583/出願*7730)
H27年 20.4%(合格1850/出願*9072)←受験回数が5年5回までに変更
H26年 19.6%(合格1810/出願*9255)
H25年 19.9%(合格2049/出願10315)
H24年 18.7%(合格2102/出願11265)
H23年 17.3%(合格2063/出願11892)

そうすると、ロースクール修了による司法試験合格者の実力も、徐々に下がっている疑いは否定できないと思います。
現に、ロー修了資格による受験者と、予備試験合格資格による受験者の合格率の差は、拡大する傾向にあります。
このことは、予備組とロー修了組の同等性に関する議論にも影響を与えることになるでしょう。
予備試験の合格者数の議論だけでなく、究極的には、原則的にロースクールを修了しないと司法試験の受験資格が得られない現行制度の是非に立ち入らざるを得なくなってくるものと予想します。



【2020/1/11 追記その1】
司法試験合格者における予備組とロー修了者の実力差に関する私の認識の前提として、「予備試験合格組の実力はそれほど変わっていないはずだ」というのがあります。たしかに予備試験の受験者は年々増加していますが、合格者も増加しており、合格率では相対的に高止まりしている。もちろん現行司法試験の合格率に比べれば予備試験のほうが難関ですが、旧司法試験に比べれば予備試験のほうが合格率ではむしろ高い。かつ予備試験も年数が経ち運用として安定してきている。そうすると、予備試験合格組の実力にそう大きな変化があるとは考えにくい。
その前提で、四大事務所が予備組を増やしロー修了者を減らしている理由を考えてみると、大きく2つ挙げられるところです。.蹇悉の纂圓亮体呂変化したわけではなく、予備組のほうが時期的に早く青田買いが出来るというメリットがあるから事務所として政策的に予備組からあえて多く採るよう採用方針が変わったか、あるいは▲蹇悉の纂圓亮体呂低下しているため、相対的に予備組のほうの評価が上がった、のいずれかではないかと思うのです。私は後者の可能性が高いと考えているわけです。


【2020/1/11 追記その2】
私が本エントリーにて書き漏らしたことがありました。それは、「かつては、ロースクールに在籍している学生が旧司法試験を受験してしまうと、新司法試験を一振りした扱いになっていた」という事実です。
このルールのせいで、ローに進学した以上は旧司法試験の受験を断念した学生は、当時、かなりいたはずです。また予備試験も導入当初は運用が不透明で、受験を敬遠したロー生も多かったでしょう。
そういったことから、以前には新司法試験合格者の中にも、旧試合格者や予備合格者と肩を並べる実力者が、それなりにいたはずだと思います。だから四大事務所も旧試組や予備組だけでなくロー卒からも採用をしていた。
ところが、今では予備試験を受験しても司法試験の受験回数に影響しないですから、ロー生にとっても予備試験を受験しない理由がない。ましてや「ローは予備に落ちたら行くところ」という認識が定着してしまっている。こうなると、優秀な人から順に予備抜けしていくのは当たり前です。いわば「予備が一軍で、ローは二軍」という実力差が出てしまうのは、当然の帰結だと思います。


【2020/1/11 追記その3】
四大事務所の72期新人弁護士の最終学歴まとめ
*NA ロー修了21(39.6%)、ロー中退*9(17.0%)、学部卒23
MHM ロー修了19(37.3%)、ロー中退14(27.4%)、学部卒18
NOT ロー修了15(39.4%)、ロー中退10(26.3%)、学部卒12、専門学校1
AMT ロー修了14(37.8%)、ロー中退*6(16.2%)、学部卒17

これをみると、「ロー修了者も4割弱いるのだから、四大事務所から評価されているロー修了者もまだそれなりにいるのではないか」とお感じになられるかもしれません。
しかし、最終学歴がロー修了の中にも予備試験合格経験者が含まれているはずです。これは、司法試験出願時に「法科大学院課程修了見込者で,同課程修了の資格に基づいて受験するが,同課程を修了できなかったときは司法試験予備試験合格の資格に基づいて受験する者」のカテゴリーで出願した人たちのことで、主にロースクール最終学年在籍時に予備試験に合格した方々です。

そこで「最終学歴がロー修了で、かつ予備試験にも合格経験がある人」がどれほどの割合で存在するかが問題となりますが、四大事務所のウェブサイトに掲載されている弁護士の経歴には、予備試験の合格経験の有無が記載されてはいません。
そこで推測するほかないのですが、「ロー中退」の経歴の人、すなわちロースクールの既修1年目ないし未修の1〜2年目に予備試験に合格しロースクールを中退した人たちがおおよそ2割程度いることから、同様にロースクール最終学年(既修2年目ないし未修3年目)在籍時に予備試験に合格した人も同程度は存在しているのではないか?と考えてもおかしくないと思います。
そうすると、ロー修了者が四大事務所の採用者の4割弱ほどだとしたら、おおよそその半分程度は予備試験合格経験者なのではないか?と推測することになります。

この結果、「予備試験の合格経験がないままロースクールを修了した四大事務所採用者」は、採用者全体のうち2割弱程度、すなわち5人に1人未満しか存在しない可能性があるということが分かります。
こうなると、四大事務所へは予備試験に合格していない限り就職はきわめて困難という時代になりつつあるのは、ほぼ間違いないと言えるように思います。




<参考:法科大学院の教育能力>
ロースクールでは司法試験の受験指導は行わない
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52073193.html
法科大学院では前期修習の役割を担うことはできない、とローの教員が明言
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51988608.html
法科大学院教育では実務に役立つ起案能力を涵養する教育がほとんど行われていない
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20150121/1421851111
ロースクールの教育効果は5年で薄まる(政府見解)
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20121230/1356828107
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-478.html
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-385.html


<参考:五大法律事務所の採用に関する記事>
森・濱田松本法律事務所の72期新人弁護士51人のうち、最終学歴がロースクール修了はわずか19人(約37%)、残り32人は予備試験合格組、ロー修了の学歴が少数派に
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52248108.html
西村あさひ法律事務所の72期新人弁護士53人のうち、最終学歴がロースクール修了は21人(約40%)、残り32人は予備試験合格組
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52248115.html
長島・大野・常松法律事務所の72期新人弁護士38人のうち、最終学歴がロースクール修了は15人(約39%)、残り23人は予備試験合格組
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52248130.html
アンダーソン・毛利・友常法律事務所の72期新人弁護士37人のうち、最終学歴がロースクール修了は14人(約38%)、残り23人は予備試験合格組
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52248139.html
TMI総合法律事務所の72期新人弁護士35人のうち、最終学歴がロースクール修了は25人(約71%)、五大事務所の中ではロー重視か?
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52248146.html

五大事務所の72期新人弁護士の最終学歴まとめ
*NA ロー修了21(39.6%)、ロー中退*9、学部卒23
MHM ロー修了19(37.3%)、ロー中退14、学部卒18
NOT ロー修了15(39.4%)、ロー中退10、学部卒12、専門学校1
AMT ロー修了14(37.8%)、ロー中退*6、学部卒17
TMI ロー修了25(71.4%)、ロー中退*4、学部卒*6

5大法律事務所の71期の採用者のうち、予備試験合格者は48.5%と約半数(ジュリナビ調べ)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52240394.html
5大法律事務所の新人採用では、ロー修了組は1割未満しか採用されないのに、予備試験組は3人に1人近くが採用されている
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52240432.html


<参考:ロー修了者と予備試験合格者の同等性(※司法試験法第5条参照)に関する記事>
2019年(令和元年)司法試験 予備試験合格資格による受験者の合格者315名・合格率81.8%、ロー修了資格受験者との合格率の差は52.7ポイント
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52240183.html
予備試験組とロー修了組との合格率比較
※カッコ内は左から合格者数/受験者数
R01年
予備試験組 81.8%(*315/*385)
ロー修了組 29.1%(1187/4081)
差 52.7ポイント


法科大学院修了者と予備試験合格者の平成27年司法試験成績比較(全受験者ベース)
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-49c2.html
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52145754.html

法科大学院ルートより予備試験ルートの方が上位で合格できる
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-70cb.html
平成25年度も法科大学院ルートより予備試験ルートの方が上位合格する傾向
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-3824.html
平成26年度も法科大学院ルートより予備試験ルートの方が上位合格する傾向
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-e1cd.html
平成27年も法科大学院ルートより予備試験ルートの方が司法試験に上位合格する傾向
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-c53e.html
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52145133.html

司法修習の起案成績は予備試験組がロー修了組を上回ることが明らかに
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52127075.html
政府による予備試験合格者の「法曹としての質」問題視は“捏造”か“デマ”の類
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-6c71.html
根拠なく予備試験合格組の「法曹としての質」「弊害が生じるおそれ」を問題にした可能性が濃厚
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-3a3b.html
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52126160.html

「司法試験の選択科目廃止かつ予備試験への選択科目追加で、予備試験ルートの司法試験合格者の価値が高まる結果になりそう」(2019年2月17日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52229450.html
「ロースクールは学部で予備試験に受からなかった人の逃げ道」(2017年11月16日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52201558.html

<参考>
司法試験法第5条第1項
司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者【引用者注:法科大学院課程修了者の意】と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。

規制改革推進のための3か年計画(改定)(抄)(法科大学院関係)(平成20年3月25日閣議決定)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/gijiroku/08033113/006.htm
本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。

民弁教官室「法曹としての活動を開始するにあたって必要な最低限の能力の習得すら難しいと懸念される者も見受けられる」(2017年12月8日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52203145.html

司法試験委員が法科大学院に求めるもの(2016年1月20日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52145411.html
司法試験委員が法科大学院に求めるもの〜まとめ(ウィン綜合法律事務所 弁護士坂野真一の公式ブログ)
http://win-law.jp/blog/sakano/2016/01/post-89.html

司法試験委員が採点に関する雑感で、法科大学院や受験生に望むことを、分かりやすく示してきたつもりだが、いずれの科目でも、共通して言われていることがあるように思う。
\騎里粉霑鍛亮韻侶臟 粗辰望鯤犬涼亮院⊇斗廚箆静世任気理解不十分
判例の勉強不足〜判例の結論だけを覚えているような答案が多い。基礎的重要判例でも理解が不足している。
O斥的説得的文章力の不足
は静声腟租な答案の多さ
年度別の新司法試験考査委員ヒアリング結果を読んで(2011年7月5日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51875509.html
旧試験では、ここまでの酷評がされていたでしょうか。旧試験に対しては、「金太郎飴答案」とか「論証パターン丸暗記答案」といった批判こそありましたが、「問題文を書き写しただけの答案」とか「根拠を示さないまま結論だけを記載した答案」というのは、そういう答案がゼロだったとは言いませんが、旧試験ではほとんど批判として耳にしたことはありません。こんなことを指摘されてしまうというのは、法律家を目指す者の答案として論外であって、悲しいことだと言わなければなりません。
これらの指摘は、かなり深刻な問題だと思います。今までなら、「不良」「特に不良」と評価され、それだけで合格しえなかったようなレベルの答案が、新司法試験では「一応の水準」「良好」と評価されてしまっている可能性があるわけです。そして、「一応の水準」「良好」であれば、最終合格できてしまう可能性がある、と。商法なんてさらにひどくて、法制を理解していて正確な分析さえできていれば「優秀」と評価されてしまうわけです。

旧試験も末期の1500人時代にはG評価の科目があっても最終合格できたケースはありましたが、それとは次元が異なるように思われます。あまりに全体の出来が悪いため、少しでも論点に触れられていれば、中身を問うことなくどんどん点数をつけていかないと全体で差が付かないのが、新司法試験の実態であるということを示しているのです。

このことは私自身、新司法試験答練の採点経験が少なからずあるのですが、その際の感覚とも一致しています。たとえば予備校の採点表で8点の配点がある論点があるとします。私も、最初は律儀に「この人は問題の所在は示せているが、理由付けの論証が甘い。ここは3点ぐらいにしておこうかな。」といった調子で採点していたのですけど、それでは全然点数がつかないのです。予備校から「全体で答案の平均点が××点になるよう調整してください」という指示を受けているのですが、旧試験答練の感覚で採点してしまうと、どの答案もとてもとてもその設定平均点には届かない。しまいには、論点に気付けていれば自動的に8点、挙げ句の果てには、一言キーワードさえ書いてあれば8点・・・といった調子で採点しないと、とても差が付かないのです。

本番の試験委員も、私と同じ感覚で採点しているのだな、と思いました。

平成22年新司法試験の採点実感等に関する意見(2011年2月23日)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51827842.html
(4) 設問に答えていない答案について
・問題文をきちんと読まず,設問に答えていない答案が多い。
・問題文の設定に対応した解答の筋書を立てることが,多くの答案では,なおできていない。
(5) 字が乱雑で判読不能な答案について
・字が汚い答案(字を崩す)が多い。時間がないことも十分に理解できるが,かい書で読みやすく書かれている答案も多く,合理的な理由とはならないであろう。
例えば,「適法」「違法」のいずれかであることまでは判別できるが,それ以上判別する手掛かりがなく,一番肝心な最終結論が分からないという答案も散見された。
・字を判読できない答案には閉口した。字の上手下手があるのは当然であるが,そうではなく,読まれることを前提としないかのような殴り書きの答案が相当数あった。時間が足りなくなって分かっていることを全て記載したいという気持ちは理解できるが,自分の考えを相手に理解させるのが法曹にとって必須の要素と思われ,その資質に疑問を感じざるを得ないように思った。
(6) 答案における文章表現について
・一文一段落という,実質的に箇条書に等しい書き方をする等,小論文の文章としての体裁をなしていない例が少なくない。
・「この点」を濫発する答案が少なからずあったが,「この」が何を指示しているのが不明な場合が多く,日本語の文章としても,極めて不自然なものとなっている。


schulze at 12:57│Comments(9) 司法試験 | 司法制度

この記事へのコメント

1. Posted by やめべん   2020年01月10日 19:30
後れ馳せながら、今年もよろしくお願いいたします。

四大とは縁もゆかりもないので、あくまでも思いつくままの想像ですが、予備とローの採用率の差の発生要因として
1 採用側がこれまでの採用者を実際に使ってみて、予備出身者の方が相対的に使えるとの感触を得るに至った。
2 青田買い(内定)が本試験合格最終発表前にされるのであれば、不合格で当てにしていた入所が流れるというリスクが相対的に低い予備出身者の方が好まれる傾向が出てきた。
ということは、考えられるのかなぁと。
あくまでも、想像ですが。
2. Posted by schulze   2020年01月10日 22:14
やめべん様
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

「予備とローの採用率の差の発生要因」について私が考えるところでは、四大事務所が欲しいと思うような人材はみんな予備試験に合格しているということなのだと思います。旧試験末期ないし初期の予備試験であれば合格者も少なかったですし、そもそもローに進学したあとでは旧試や予備は受けないという人もいたかもしれませんが、今では予備は受けるのが当たり前になったのでしょう。さらに予備試験で400人以上が合格するとなると、「予備に受からなかった人がローに進学する」ことが定着したのだろうと受け止めています。例えれば「予備が一軍で、ローは二軍」という実力差がハッキリしてしまった結果ではないかと思います。
3. Posted by schulze   2020年01月10日 22:32
ローの入学者減少の影響も大きいと見ています。5700人が入学していたときと、1700〜1800人しか入学しないのでは、同じロー生でも実力差はあるんじゃないでしょうか。

やめべん様が挙げられている2つの要因可能性とは、つまりは事務所の採用戦略の変更に伴う現象だと考えることになりますが、私の疑問は、4事務所の採用動向が共通だというところです。つまり予備とローの採用比率の動きが4事務所共通のように見える。もし事務所の採用戦略が変わったのだとすると、たまたま4事務所が同じように変更したということなのだろうか。それとも4事務所で新人採用について談合があるということか。まさかそういうことはないでしょうから、私は採用方針には変わりはなく、集まった志望者の中から優秀と判断した順番から採用していることには変わりはないのだが、優秀層の比率に予備組が高まっているのではないか。そう考える方が自然だと思います。
4. Posted by やめべん   2020年01月11日 00:18
詳細な説明、ありがとうございます。
私も、優秀層を獲得するという採用方針そのものは何ら変わっていないと思います。
ただ、疑問に思うのは、四大の内定時期には、優秀かどうかの最も客観的な指標である本試験の成績は不明である可能性があるため、個々の候補者が優秀かどうかを採用側が厳密に判別するのは難しいのではないか、という点です。
過去に採用した予備・ロー双方の新人に関する仕事の出来不出来や内定後に判明した本試験の合否・成績の傾向を踏まえた経験則や、予備の候補者には予備試験の成績という客観的指標があること、ローは予備に落ちた人のルートという認識が高まりつつあることなどから、採用側に、ローよりも予備に内定を出した方が、優秀層獲得手段として安全・無難という意識が醸成されつつあるのではないかと想像した次第です。
5. Posted by schulze   2020年01月11日 00:36
やめべん様
「採用側に、ロー卒よりも予備組に内定を出した方が、優秀層獲得手段として安全・無難という意識が醸成されつつある」ことの理由が、「過去に採用した予備・ロー双方の新人に関する仕事の出来不出来や内定後に判明した本試験の合否・成績の傾向を踏まえた経験則や、予備の候補者には予備試験の成績という客観的指標があること、ローは予備に落ちた人のルートという認識が高まりつつあること」にあるのだとしたら、それはまさに予備組・ロー卒に対する事務所の評価にほかならないので、私としては異論ありません。
「安全・無難」の意味が、単に内定を出せる時期の問題で、早めに内定者を確保できること(のみ)をもって予備組を取りたがっているということなのかと1番のコメントを拝見して私は受け取ってしまったのですが、経験則を踏まえた評価ということなのであれば、やめべん様と私には捉え方に本質的な違いは無いように思われます。
6. Posted by やめべん   2020年01月11日 00:57
1番のコメントが言葉足らずでした。申し訳ありません。
今回の採用率格差の拡大が、採用者の予備組・ロー卒の実力差に対する意識や評価の変化の兆表なのではないかという趣旨です。
おそらく、シュルジー先生と同じ視点だと思います。
7. Posted by schulze   2020年01月11日 01:18
結論的には、やめべん様と私との間に見解の違いはなく、同じことを述べているのだと思うに至りました。私こそ1番のコメントでやめべん様のご真意を誤解していたところがあったと反省しています。この点はお詫びします。

予備組とロー組の実力差に関する私の認識の前提として、予備合格者の実力はそれほど変わっていないはずだ、というのがあります。たしかに予備試験の受験者は年々増加していますが、合格者も増加しており、合格率では相対的に高止まりしている。もちろん現行司法試験の合格率に比べれば予備試験のほうが難関ですが、旧司法試験に比べれば予備試験のほうが合格率ではむしろ高い。かつ予備試験も年数が経ち運用として安定してきている。そうすると、合格者の実力にそう大きな変化があるとは考えにくい。
そうすると、四大事務所が予備組を増やしロー卒を減らしているのは、.蹇実瓦亮体呂睚儔修呂靴討い覆い里世、予備組のほうが時期的に早く青田買いが出来るというメリットがあるから事務所として政策的に予備組からあえて多く採るよう採用方針が変わったか、あるいは▲蹇実瓦亮体呂低下しているため、相対的に予備組のほうの評価が上がった、のいずれかではないかと思うのです。私は後者の可能性が高いと考えているわけです。
8. Posted by schulze   2020年01月11日 01:29
私が本エントリーにて書き漏らしたことがありました。それは、ロースクールに在籍している学生が旧司法試験を受験してしまうと、新司法試験を一振りした扱いになっていたという事実です。このルールのせいで、ローに進学した以上は旧司法試験の受験を断念した学生は、当時、かなりいたはずです。また予備試験も導入当初は運用が不透明で、受験を敬遠したロー生も多かったでしょう。そういったことから、以前なら新司法試験合格者の中にも、旧試合格者や予備合格者と肩を並べる実力者が、それなりにいたはずだと思います。だから四大事務所も旧試組や予備組だけでなくロー卒からも採用をしていた。
ところが、今では予備試験を受験しても司法試験の受験回数に影響しないですから、ロー生にとっても予備試験を受験しない理由がない。ましてや「ローは予備に落ちたら行くところ」という認識が定着してしまっている。こうなると、優秀な人から予備抜けしていくのは当たり前です。「予備が一軍で、ローは二軍」という実力差が出てしまうのは、当然の帰結だと思います。
9. Posted by schulze   2020年01月11日 11:57
7番と8番のコメントは、本文にも記載したほうが私の真意が読者の皆様にも伝わりやすいと判断し、本文にも追記することにいたしました。

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「平成の司法改革は、結局、改革の負担をほとんど全て受験生・新人といった発言力の低い人に押し付けている」四大事務所への就職は予備試験に合格していない限りきわめて困難という時代に