デザインの科学

デザインについての考察をしています。考察テーマも受け付けています。なるべく分かりやすく書いていきたいです。

ドナルド・ノーマンとデザインの科学

ドナルド・ノーマンさんといえば、『誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論』の本で有名です。

同じくノーマンさんの著作である『未来のモノのデザイン』は昔買っていたのにまだ読んでいませんでした。パラパラとめくっていると、「デザインの科学」という節があることを知りました。以下に部分的ですが、引用したいと思います。
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今日、デザインは一つの芸術様式や技能として教えられたり、実践されたりしている。実験で検証され、新しいデザインアプローチを引き出すために使えるような、既知の原理に基づく科学としてではない。多くのデザイン学校は今日、メンター方式や徒弟方式で教えている。生徒や、専門家になりたての人は、作業室やスタジオで、指導者やメンターが目を光らす中で技能を練習するのである。これは技能を学ぶのには素晴らしい方法だが、科学を学ぶやり方ではない。
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ここでは二つのことを書いているように思えました。一つは、デザイン自体の理解のやり方です。もう一つは、理解されたことのデザイナとしての学び方です。

続きの文はこうなっています。
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今や、デザインの科学の時代だ。なんといっても我々は、社会学と芸術、工学、経営学など、関連する多くの分野からデザインに関するたくさんのことを知っている。今日まで、技術者たちは、デザインの中の機械的、数学的側面を最適化するために公式的方法やアルゴリズムを適用しようと試みてきたが、社会的側面や美的側面をないがしろにしがちだった。一方芸術側は、体系化に対して、それはデザインの創造的な心を損なうとして、強く抵抗している。しかし、我々が知的機械のデザインへと向かうとき、厳密さが間違いなく本質的なのである。だがそれは、技術者の冷徹で客観的な厳密さではありえない。なぜならば、それが焦点を当てているのは測定できるものに対してだけであって、本質的で重要なものに対してではないからである。我々は、経営学と工学の緻密さや厳密さ、社会的インタラクションへの理解、芸術の審美性を結びつける新しいアプローチを必要としている。

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他にもいくつか参考になるものを紹介しておきます。

ハーバート・サイモンさんの『システムの科学』という本には、「デザインの科学」という章があります。

論文としては、2008年の"The Sciences of Design: Observations on an Emerging Field"が私の知る限り、一番新しい内容に思えます。

またデザインの研究という視点では、2008年の"Design research: a revolution-waiting-to-happen"という論文を参考にすることが多いです。

ところで、「デザインの科学(science of design)」という言葉も説明が難しいかもしれません。たとえば、次の言葉は「デザインの科学」と同じ意味でしょうか?
・デザイン科学(design science)
・科学的デザイン(Scientific Design)
Designerly Ways of Knowing』という本では、この辺りのことを議論している章があります。


デザインで扱えない価値あるモノ

何でもかんでもデザイン、みたいに考えたりしてるけど、デザインで扱えない価値とか満足とは何か、が気になる。

そういうのって何て呼ばれているんだろう? そして意図的に作れるのだろうか? 作る、という時点でデザインを行っていることになるんだろうか?


デザインとは編集

メモ。

Twitterの共同ファウンダー、ジャック・ドーシー、デザインの本質を熱く語る(ビデオ)


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15分間のスピーチは簡潔だが要点を突いている。スタートアップのファウンダーは全員がこのビデオを見るべきだろう。ここではいかにして優れたデザインが 優れたプロダクトを作るかが説明されている。「われわれの仕事はデザインすることだ」とDorseyは言う。「デザインとは何か? デザインとは編集だ。 プロダクトの編集とは、あらゆる夾雑物をそぎ落として物語の核心だけを残すことだ。われわれは世界のユーザーに向かって首尾一貫したストーリーとして理解 できるようなプロダクトを届けねばならない」。
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お笑いのネタ作りはデザイン?

お笑いのネタ作りって、デザインしていることになるのかな?

NHK教育の新番組「デザインあ」とデザインの見方


4月1日から、NHK教育で、「デザインあ」という新番組が開始されるようです。

「こどもたちの未来をハッピーにする『デザイン的思考』を育てる新番組」とのことです。以下の方々が出演されるようです。
・グラフィックデザイナーの佐藤卓さん
・ミュージシャンのコーネリアス
・インターフェースデザイナーの中村勇吾さん

気になりますね。

さて、公式サイトでは、次のようなデザインの見方が書かれています。
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デザインには、工業デザイン、グラフィックデザイン、服飾デザイン、キャラクターデザイン、建築デザイン、照明デザインなど様々な分野があります。

それらすべてのデザインは、物事の本質をしっかりと見出し、そこに工夫を加えることで、さらなる使いやすさ、美しさ、心地良さを実現することを目的としています。

つまり、デザインとは、人とモノ、人と人との関係を「より良くつなげる」ための観察・思索・知恵・行動のプロセスです。

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分野には他にも、ソフトウェアデザインや情報デザイン、サービスデザインなど、様々あります。様々なモノがあれば、そこにはそれぞれのモノを形作るデザインのプロセスがあったという感じでしょうか。プロセスの理解が一つの課題となります。

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デザインのプロセスでは、様々な人が関わります。関わる人の全てが、デザイナーとしての役割を持つわけではないかもしれません。ここでは、デザイナーやデザイナー同士の関係に関する理解が必要となります。たとえば、優れたデザイナーとそうでないデザイナーの違いは何でしょうか?

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また、デザイナーは、様々な状況(シチュエーション、コンテキスト)でデザインを行います。同じモノをデザインするとしても、デザイナーは、状況による様々な影響を受けるかもしれません。状況についても理解を深める必要がありそうですね。

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「デザインをみせて」と頼まれた場合、デザインのプロセスを見せてほしいというわけではないことに注意が必要です。また、モノ自体を見せてほしいという意図でもなさそうです。モノ自体はまだ存在しないかもしれません。このことからは、モノ(オブジェクト)としてのデザインについても考える対象になると言えるのかもしれません。デザイナーは、モノとしてのデザインを扱っているということでしょうか。さらに、モノとしてのデザインとモノ自体との関係も気になる点かもしれません。

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最終的なモノには、モノを利用、使用、体験するプロセスを通じて、モノと関わることで満足価値を得る人、つまり、ユーザーがいます。ユーザーが満足してくれるかどうかは、誰でも同じとは限らないようです。また、関わる場や状況が満足してもらえるかどうかに影響しそうです。ユーザー自体やユーザーがどのように、どんな場でモノと関わるのかについても理解したいですね。

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そして、ユーザーが満足するかどうかが、モノやデザインの評価を決めるものであるなら、デザインのプロセスでは、ユーザーの満足こそが目標とすることになりそうです。

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この枠組みを使って、記事を書きました。

料理とデザイン

キャラクターつくりとデザイン

物語工学論と設計

 

更新履歴:
2011/3/25: 図の追加とそれに伴う修正。

 

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この本は、デザインの参考書としては有名でないかもしれません。しかし、4章のA Framework for Studying Designがすごく参考になります。

この本で述べられている「物語工学」は設計の一分野になるかもしれないと書かれています。

本書によれば「キャラクター」とは視覚的に「デザインするもの」ではなく、「つくるもの」であるとしています。また「キャラクター」を「デザイン」することは「キャラクター」を「つくる」ことの一部分を成すという位置づけです。

この本でのデザイン対象は、ゲームです。ゲームデザイナーはデザインをどのようにとらえているのか?

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