■ 7月11日:扇風機の限界
今年の夏も節電対策として、エアコンは極力使わず、できるだけ扇風機で済まそうと考えている方は多いかと思います。でも、本当に暑いときは我慢せず、エアコンを入れた方がいいかもしれません。Cochrane Reviewに掲載された最新報告によると、35℃以上の猛暑日に扇風機を使うと、体温を下げるどころか逆に上昇させる可能性があるそうです。また、それによって促進された発汗が、脱水症状や他の健康被害を招くこともあるようです。論文の筆頭著者であり、イギリス公衆衛生コンサルタントのSaurabh Gupta博 士は、このように扇風機の限界を明らかにすることは、個人が扇風機を購入するかどうか選択する際に役立つばかりではなく、国や市町村が公衆衛生政策の指針 を決定する際にも参考にされるべきだと述べています。そういえば、エアコンはぜいたく品だ、扇風機があればいいだろうなどという安易な考えはもう許されな いほど、日本も暑くなり過ぎましたねぇ。(出典:WILEY出版プレスリリース)
■ 7月10日:禁煙すると太るは本当だった
禁煙すると太るとはよく言われますが、実際どのくらい太るものなのでしょう。フランスとイギリスの共同研究チームは、メタ解析という手法を用いて、これまでに報告されている62の研究結果を再解析し、禁煙に成功した人の1年間の体重変化を追跡しました。すると禁煙1ヶ月後の平均体重増加は、1.1kg、2ヶ月後は、2.3kg、3ヵ月後は、2.9kg、半年後は、4.2kg、そして1年後には、4.7kgにもなったそうです。この数字は、これまで考えられていた禁煙1年後の予想平均体重増加量である2.9kgをはるかに上回り、さらに、多くの女性喫煙者が禁煙後に許容できる最大の体重増加量として報告されている2.3kgをも上回る結果となりました。ただし、この結果には個人差によるばらつきも多く、禁煙成功者の16%は、逆に体重が減少したこと、禁煙1年後に10kg以上太った人は禁煙成功者の13%しかいなかったことなどを報告しています(全文購読無料)。この体重増加に、ニコチンパッドなどのタバコ代替品の使用は影響を与えなかったそうです。確かに、これまで禁煙による体重増加は、過小評価されていたのかもしれませんが、太っているだけでは必ずしも健康リスクがあるわけではないという最近の報告(全文購読無料)もあり、長い目で見れば禁煙した方が健康的なのは明らかなのですけどね。
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