21alzheimer-web-master315【今度は本物か?】

3月20日・米Biogen Idec社:

アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド斑を標的とした単クローン抗体薬aducanumab、第I相試験で好成績。アミロイド斑(写真左)の減少のみならず、病状の悪化も防ぐことができた。FDAの許可が下りれば今年の終わりまでには規模を拡大した第III相試験に入りたい意向。フランス・ニースで開かれた神経変性症に関する第12回国際会議にて発表された

166人の早期から中期のアルツハイマー病患者を5つのグループに分け、それぞれに異なった投与量のaducanumabか偽薬を投与し、最大54週間観察した。PET画像解析によるアミロイド斑の検出では、偽薬投与群と1 mg/kg投与群では54週目でも大きな変化が認められなかった(0および-0.056)が、3 mg/kg投与群 [-0.139 (p<0.001)] および10 mg/kg投与群 [-0.266 (p<0.001)]ではアミロイド斑の有意な減少が認められた。

患者の認知能力および行動能力に対するaducanumabの効果をみるために2つの試験(MMSE、CDR-SB)が行われた。MMSE試験によって調べられた認知・行動能力は偽薬投与群が54週間で3.14ポイント低下したのに対し、1 mg/kg投与群では2.21、3 mg/kg投与群では0.75、10 mg/kg投与群では0.58ポイントの低下にとどまった。後二者の投与群での効果は有為と判断された。CDR-SB試験によって調べられた認知・行動能力は偽薬投与群が54週間で2.04ポイント低下したのに対し、1 mg/kg投与群では1.70、3 mg/kg投与群では1.33、10 mg/kg投与群では0.59ポイントの低下にとどまった。10 mg/kg投与群での効果のみ有為と判断された。

副作用としてはaducanumabの投与量とアポリポタンパク質E4(ApoE4)遺伝子変異の有無に依存的な血管原性脳浮腫(アミロイド関連造影異常、amyloid-related imaging abnormality:ARIA)と頭痛が認められた。

ApoE4キャリアでは10 mg/kg投与群の55%に浮腫が認められ、そのせいでこの群の35%の治験が中断された。ノンキャリアでも10 mg/kg投与群の17%に浮腫が認められ、8%の治験が中断された。浮腫は、アルツハイマー病治療薬ではありがちとはいえ、この頻度は高めだという。自覚症状がないので、経過観察や投与量を減らすなどしてコントロール可能とは言うが、臨床的には看過できない副作用だとのこと。

頭痛はaducanumab投与群の22%で投与量依存的に、一方偽薬投与群でも5%で認められた。さらに治験中、3例の死亡が確認された。ただし、内2例は偽薬投与群だったことから治療とは無関係とされた。

aducanumabの今回の治験結果は、これまでの多くのアルツハイマー病治療薬より良かったとはいえ、これまでも第I相試験はパスしても、より大規模な後期の治験では効果なしとされることが多かったので安心はできない。その理由として、第I相試験では比較的症状の軽い患者を対象とするからだという。また、aducanumabと同じように、アミロイド斑の発生防止や除去を目的としたこれまでの治療薬(例:クリオキノール)がすべて後期の治験で効果なしと判定されたことから、もしaducanumabに効果があったとしてもそのメカニズムをうまく説明するのは難しいという専門家もいる。

今回の報告をうけてBiogen Idec社の株価が急騰している。今回の発表前と比べて10%、昨年の12月初旬からは50%も上昇し、現在475.98ドル。

「サイエンスあれこれ」で取り上げたアルツハイマー病治療薬関連過去記事:

クリオキノール

tetrahydroxystilbene glucoside