1年ほど前に本ブログでも取上げました、ゲーマーによるタンパク質構造解析の話に、最近新しい展開があったようです。今回は、一般メディアでも結構大きく取上げられているの で、もうすでに耳にした方も多いかと思いますが、前回と今回ではその内容に大きな違いがあります。前回が予測精度を確かめるために、すでに構造決定されて いるタンパク質を使った、いわば練習問題だったのに対し、今回は、研究者が長年格闘した末、果たせなかったタンパク質の構造決定を、ゲーマー達があっさり 達成してしまったという快挙なのです。まさに好きこそものの上手なれですね。この成果は、『Nature Structural & Molecular Biology』の9月18日付けオンライン速報版に掲載されました。
2011年09月
なぜヒトは齢をとるとボケるのでしょう?なぜって、そんなの古くなった機械の調子が悪くなるのと同じで、古くなった脳がボケるのは当たり前じゃないの?なんて思ってやしませんか?いやいや、それはちょっとあきらめが早すぎるというものです。最近報告された2つの論文は、ボケることが絶対に避けられないものなどではない可能性を指摘しているのですから。
続きを読む »遺伝子であるDNAからメッセンジャーRNA(mRNA)が転写され、それが次にタンパク質へと翻訳されるという、よく知られたこの流れの速度解析は、これまでいくつかの限られた数の遺伝子についてか、もしくは全遺伝子の平均としてしか行われてきませんでした。マックス・デルブリック・センターのBjörn Schwanhäusser氏らは、パルスラベル(短時間標識)した細胞内の全mRNAと全タンパク質を、それぞれ次世代シークエンサーと高速液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析装置(LC/MS/MS)で同定することにより、個々の遺伝子について、それがタンパク質へと翻訳されるまでの速度解析を行いました。この成果は、『Nature』誌5月19日号(2011; 473: 337-342)に掲載されました。
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小さくするにもほどがある。何と1分子で作動する世界最小の電気モーター(冒頭図)を作ってしまった人たちがいるのだ。これまでも、1分子電気モーターは、モーターと電極が正しく配置されれば、理論的には可能と言われていたのだが、成功した人はいなかった。今回の成功の秘訣は、全米にまだ100台ほどしかない最新の走査型トンネル顕微鏡を使うことで、顕微鏡から出るトンネル電流を電源としてモーターを動かし、同時にモーターの回転を観察することができた点にあるようだ。