年齢を重ねるにつれて、老化細胞が増え、炎症を引き起こす可能性のあるサイトカインと呼ばれる化学物質を放出します。これにより、病気に対する抵抗力や治癒力が低下し、がん、心血管疾患、糖尿病、認知機能の低下などの症状につながることが分かっています。

今回、ヒト胚性幹細胞由来エクソソーム(hESC-Exos)が、ヒトの老化細胞の増殖能力を回復させることで老化を逆転させることが分かりました。

さらに、人間の年齢で約6070歳に相当する2025か月齢のマウスに、hESC-Exosを注射したところ、平均して約 4.5 か月長く生きることが分かりました。薄くなっていた毛が再生し、体重も増加し、回転する棒の上でバランスを保つ時間も長くなり、体重に対して握力も向上しました。この結果は、hESC-Exosがマウスの寿命を延ばしただけでなく、老化の指標を減らしながら身体機能と認知機能を大幅に改善したことを示しています。

最後に、hESC-Exos中の有効成分を調べた結果、遺伝子調節に関与する小さな非コードRNA(マイクロRNA)で、免疫やがん細胞の抑制に関与することが知られているmiR-302bを特定しました。このマイクロRNA分子を、抗老化作用のない一般細胞由来のエクソソームに導入し、それを老齢マウスに注射したところ、hESC-Exosの注射と同様の若返り効果が確認されました。

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