前回から引き続き、第41回日本超心理学会大会の様子をご紹介します。

 

招待講演も含め4つの演題のうち3つに関しては、前回ご報告しましたので、本日は、残り1つの演題について、レポートしたいと思います。

 

残り1つの演題とは、NPO国際総合研究機構の小久保先生によるもので、電磁的刺激がキュウリ切片からのバイオフォトン放出に影響を及ぼすのかという内容でした。これだけでは、どこが超心理学の研究なの?という感じですが、この研究の背景には、演者らが以前に発見、報告したとても不思議な現象が関わっているようなのです。

 

輪切りにしたキュウリの断面からは、切断後約4-5時間をピークとして、バイオフォトンと呼ばれる微弱な生体発光が観察されます。これ自体は、切断により破壊されたり、刺激をうけたりした細胞内で生じる活性酸素種によるものであり、なんら不思議な現象ではありません。しかし、不思議なのはここからで、何と切断直後のキュウリ切片に対して、30分間「念」を送った後、その間何もしなかった陰性対照切片と並べてバイオフォトンを測定すると、その発光量に差がでるというのです。

 

この「念」というのは、演者らが非接触ヒーリング(手かざし治療)と呼んでいるもので、超心理学では古くから知られている、ある種の超能力のようです。つまり、キュウリ切片に対して、非接触ヒーリングを行うと、キュウリ断面から放出されるバイオフォトンの発光強度が変化するという現象が観察されたということです。観察したキュウリ断面は、元々つながっていた面の一方を、試験に用い、もう一方を陰性対照として使用することで、比較する断面の条件をできる限りそろえるようにしていました。また、この現象が、手かざしによって試料が温められた結果生じたものではないという確認も行っています。

 

今回の実験は、この手かざしによる効果と電磁場の間に何らかの関連があるかどうかを調べるために行われました。これまでに、手かざしの代わりに、静磁場、交番磁場、パルス磁場を与えて、同様の変化が起こるかどうかをみたところ、結果は否定的でした。そこで、今回は、磁気だけでなく、より周波数が高く、試料の加熱を誘導しない、極微弱な電磁波(ミリ波)をキュウリ切片に照射するという実験を行いました。結果は、ミリ波を照射してもバイオフォトンの発光量に有意な差は見いだせませんでした。この結果から、ミリ波照射では手かざしと同様な効果は得ることができなかったということになり、手かざし効果と電磁波との間には何の関連性もないと結論できます。

 

まあ、この結論自体は、それほどおもしろいものではないかもしれませんね。ネガティヴデータですし。恐らく皆さんの疑問は、1)手かざしで発光強度が変化するのは本当に本当なのか?2)その変化は、「念」じる強さに比例するのか?3)その変化は、手かざし療法の経験と比例するのか?等々ではないでしょうか?1)については、小久保先生の報告した論文をすべて精査したわけではないのですが、先生が別の場所で発表された最新の測定結果によれば、20名の被験者に対し、各人2回ずつ計8枚のキュウリ切片での測定を行った結果、その変化量の平均値が、何もしないときの発光強度変化の自然な振れ幅に対して有意に大きな変化を示した人が11名、40回の試行回数では21回という結果が得られていました。この頻度が統計的に有意かどうかの判断は、皆さんにお任せします。2)については、強く「念」じれば、より大きな発光強度の変化が得られるか?つまり、強度の変化を「念」の強さで制御可能かどうか?という問いと考えると、答えはかなり否定的です。1)でご紹介した最新の測定結果によれば、手かざしにある程度なれていて、強い「念」を送れると期待できるベテラン被験者よりも初心者の被験者の方に、有意な結果を出した人が多かったからです。また、今回の実験でも、陽性対照群として4名の被験者に手かざしをやってもらったのですが、有意な発光強度の変化を測定できたのは、1名のみで、それもその変化は、手かざしで発光強度を増すように念じたにもかかわらず、逆に発光強度が下がる方向への変化でした。3)については、問診による自己申告と比較した結果、手かざしの経験が長い人でもしばらくそれから遠ざかっていると、逆に手かざしの経験は浅いが毎日実践している人より成績が悪いとのことです。ただ、これを手かざしによる発光強度の変化が、手かざし療法としての治療効果(ヒーリングパワー)の大きさと関連するのかという問いと考えると、ヒーリングパワーを客観的に測定する方法が他にないため、答えることはできません。

 

以上で、発表演題についての紹介は終わります。次回は、この学会を通して感じたことを簡単に述べるとともに、超能力は疑似科学か否かという問いに対しての私なりの見解を述べてみたいと思います。