東十条無頼

東十条の夜を彷徨い続けるオトコ独り、その妄想ロンド

しゃぶり庵/地階、その攻撃性3

三連休を前にした花金。
雨はまだ落ちてきていない。所用を済ませ新横浜駅に向かって歩いていたが、駅前の巨大なロータリー式歩道橋への階段を上る一寸手前、ランチの看板に気がついてしまい、まるでアリジゴクの罠にかかったように、抗うことのできぬまま、その暗い階段を堕ちていった

【 挿入画/或る日の錦糸町 】
01-10-2017 015-16-44 AM
「しゃぶり庵 新横浜店」

午後一時半を過ぎていた。
電球から原子力までを謳う TOSHIBA の白熱電球の色温度は、どこか懐かしく、優しく、そしてなかんづく切なく ……
BGMはJAZZ。
おっかなびっくり下りてきた地階のフロアは、しかし相当な大面積を誇って天井も高く、洒落た雰囲気を醸す為に落とされたその控えめな光量以外、ゆったりと安心してくつろぐことの出来る空間となっていた。

おすすめなのであろうA4ペラの、“牛すじとナスのアラビアータ”というのが非常に気になったが、“牛すじ”というものの質(たち)が見えなかったので、今日のところは冒険はやめることにする

06-10-2017 014-00-30 AM
“ビーフ100%ハンバーグステーキ” @900 (税抜)也。
サラダ・ライス・味噌汁付

バスケットの中にナイフ & フォウクがのぞいているものの、ご飯がお茶碗提供だったので、自動的に箸を掴まざるを得なかった。
圧縮比の高い、重量感のある肉々しいスパルタンなハンバーグを、バンブーの割り箸を適度に撓らせながらやっつけてゆく。付け合わせの“紅い”スパゲッティのボリウムもある。ご多分に漏れず、付け合わせのポテトと目玉焼きに味が無かったので、お塩を貰おうとしたら胡椒ミルの登場と相成って、一瞬これ、黒い粒々の形をした塩かなぁ ? などとバカなことを考えてしまったがそんなはずはない !
ウェイトレスの女性に再び塩を注文したら、今度はそれは仰々しくも御小皿に盛られて顕れた。

―― 塩ってそんなに皆、頼まないもんなのかなぁ …… ?

このことはオシオとコショウとの発音の近さに私の滑舌の悪さが悪相乗しての結果に他ならないが、こんなときこそ、でも素直に「エヌエーシーエル下さい !!」 とやれない俺である。

なんかキザな気がしちゃってね ……

01-10-2017 015-23-00 AM
向こうのテーブルには両手に花の男性一人、都合三名チーム。
男性がスポーツカーの話を女性に熱く語っているのだが、意外にも女性もある程度の知識を持っているようで、それに呼応しての双方向での会話が成立しているようである。垣間見えたその女性の面持ちは、とびきり若くはないが、ちゃんとした大人の美人。

思えば、これまで俺の趣味の話に耳を傾けてくれる女性なんかいなかったなぁって、切なく振り返ることしか出来ないことがやけに沁みてくる。
向こうで展開されている風景から放たれる、私への攻撃性がクライマックスに達した時、自動的に私に備わった防衛本能もフルに発動したか、それが私にあることを否応なしに自動想起させた

01-10-2017 015-18-47 AM
―― ああ ! そういえば俺も女性と熱くクルマの話、語り合ってたよ ! マスターがどっかで酔っ払って、ママに当時の自慢の愛車、ファイヤーバード・トランザムで酒場に迎えにこさせようとして呼び出しちゃって、狭い路地で何度も何度も、その馬鹿デカいトランザム切り返しつつ、ママがもう男泣きしながら電信柱に何度も何度もバンパーをディープキッスさせてボコボコにした話とか、分厚い座布団シートに敷かないと、巨大なトランザムのフロントウィンドウから、その小っちゃなママはまったく前見えないんだっつ~話とか、その前にそもそも、シート一番前に出しても足届いてなかったわよ、っつ~話とか …… (笑)

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(笑)

月光

十月四日。演芸場通りの入り口。

昼間嫌なことがあって、お金を下ろさなければならなかったはずなのに、コンビニを数歩スルーしてしまい、でも気がついて踵を返す。そこへそれぞれ自転車に跨がった母娘が自転車を止めようとし様、お母さんが女の子に、「月、きれいだねぇ」と。
そういえば朝、お天気お兄さんが今日は中秋の名月、日本列島は全国的に月見日和となろうと言っていたことを想い出した。
イヤホンが鼓膜に叩きつけてくるラウドネスの「SOLDIER OF FORTUNE」をもってしても気が晴れずに、ずっと下を向いてここまで歩いてきたしまったことに、はたと気がついた

24-09-2017 017-48-54 AM
演芸場通りの終わり、踏切をこえる前に左に逸れる。
一寸開けた空き地越しに月が見えることは知っていて、満を持して頭を上げた。
夜空は漆黒寄りのBlue。まだらに純白の綿雲。その綿雲を悠々突き抜けるパワフルな月光。

その神々しさに、ただただひれ伏すだけの俺 ……

アモール/深海魚たちのある風景3

厚い雲に覆われた浅草。
いつもは避ける賑やかな通りを抜けて二天門のほうへと歩いていたら、喫茶店のような洋食屋さんのようなお店の店頭に、ハンバーグとかなんとか。喫茶店なのだろうから煙草がなぁと思いつつ、でもここから先に進んでも思い当たる店も浮かんでこず、思い切って入ってみることにした

<H29.10.2>
02-10-2017 013-35-22 AM
「アモール」

BGMは、なんか英語のポップなの。
お客が疎らだったので、勝手に入り口近くの、でも窓際の明るい上席に着かさせていただく。
道を挟んだ向かいは佃煮専門店のよう。こういったところの佃煮は、果たしてそこら辺のスーパーで市販されている佃煮よりも美味いのであろうか。まあそれも、もしもこの世で桃屋の海苔の佃煮よりも美味い佃煮が存在したならばということの、現段階での現実社会では全く以て架空、サイエンス・フィクションの話となろうが。

―― 白いご飯に海苔の佃煮、または昆布(“こぶ”であり、“こんぶ”ではない)の佃煮があれば、人はどこまでも生きてゆけると信じている ……

02-10-2017 013-08-16 AM
ランチメニュー
“ハンバーグ” @1,050
“ドリンクをアイスにしたときの割増し” @50
〆て 1,100円也。

玉葱ベースのオレンヂ色のドレッシングは、これは自家製であろうか。
どこまでも熱い味噌汁が、下町を限りなく主張していた。サラダにNaClをふったが、それはまたしても、こんな時の為に誂えたようなものの遠近両用の Glasses を容易(たやす)くすり抜けるほどに、どこまでもきめ細かく ……

ドミソースはケチャップ本来の味が活きた、不味さを感じさせにくい仕様。
お客を見て調節しているのであろうか、お皿へのご飯の盛りが良く、これではハンバーグが足りなくなるかなと思い、ポテトフライにもNaClを振り、おかずとしてのその戦闘力を上げる作業にただひたすらに没頭していた

02-10-2017 013-39-57 AM
やおら隣にフレンチ四人衆が来訪。
最初にグリーンティーを四つ、またカレーライス、ピラフなどを注文しているようである。そういえばメニュウが英語併記だったような気がするが、今はもうそれも朧気。二の腕に tattoo ありの、アラン・ドロンとは似ても似つかぬフレンチガイがカレーライスをやる様を暫し観察していたのだが、ジャパニーズがそれをやる様と当たり前の事ながら大差なくって、ちょっと拍子抜けしてしまった。ナイフとフォウクを使ってやるとか、何かパフォーマンスしてほしかったんだけど …… (笑)

喫茶店だというのに、泪雨に薄まったようなカフィが殊更に涙を誘う。新規のおばさまたちが、慣れた様子で入ってきた。硝子窓の向こうでは、少々の悪天候などまるで意にも介さぬように、二足歩行の深海魚たちの群れが往く

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